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認知症行方不明者、実人口に占める割合ランキング~統計数値の怪

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警察庁は6月15日、認知症が原因で行方が分からなくなったとして、2016年に全国の警察に届け出があった行方不明者は、前年比26.4%増の1万5432人だったと公表しました。

2012年の統計開始から4年連続で増え、過去最多を更新し続け、このうち年内に、警察や家族などによって98.8%は所在が確認されているものの、行方不明者全体の総数は8万4850人で、過去10年間ほぼ横ばいですが、認知症者が占める割合は前年比3ポイント増の18%と、深刻な状況が続いている。

 ~と、ここまでは報道されている通りですが、
一番気になったのは、こういった全国統計で必ず出てくる『都道府県別』と言う数字。


認知症行方不明者の数を発表したのは警察庁なので、この場合は『都道府県警別』となりますが、
大阪府が1830人で全国最多。埼玉県1641人、東京都1487人、兵庫県1300人、愛知県1265人と5つの都府県で1000人を超えた(2016年(平成28年))…とあります。



しかし考えてみれば、人口が多いと当然、認知症行方不明者も多いと思いますが、
本当にそうだろうか?



そこで実際に、全年齢を加えた都道府県別の人口に占める、認知症行方不明者の割合を算出してみた。

尚、2016年の全都道府県警別の人数が分からないので、2014年(平成26年)に公表された認知症行方不明者数に基づいて一覧にしました。

都道府県別認知症行方不明者の人口にしめる割合


2015年12月発表の、厚生労働省の推計によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人と推計され、2025年には、全国で認知症を患う人が700万人を超えるとの推計を発表しています。


所で、病気別の患者数など、多くの統計数値に登場する『人口10万人あたり○○○人』と言う、10万人あたりの数字。ほとんどは昭和60年(1985年)モデル人口を基準にした、5歳ごとの年齢調整率であらわされている。

例えば、男性で一番多い肺がん患者数も、年齢調整率で修正されたのち、都道府県別の順位が付けられる。

しかし単純に考えると、少なくとも未成年で肺がんの診断を受けた患者が、何人いるのか?
或いは、県人口が100万人に届かない場合、どうするのか?

更には、10万あたり0人でも、11万人に1人の場合は、20万人あたりでも1人にとどまってしまうのではないか?

更に更に、鳥取県のように総人口が57万4000人の場合、10万人あたりにすると、年齢調整率そのものが意味がなくなるのではないか?


基準人口-昭和60年モデル人口
10万あたりの基準となる昭和60年の基準モデル人口


矢印下向き
しかし現在は偏りが生じ、高齢化社会真っただ中!


基準人口-平成27年モデル人口
単純にグラフを上方向にスライドさせて、
平成27年の基準モデル人口を作って見ると。


基準値が古すぎて、時代に合っていないのでは…
と言う事で、都道府県別の実数値が出てくるのなら、交通事故死亡者数のように、単純に都道府県ごとの総人口に占める割合で見た方が、分かりやすくないか…
との気まぐれなので…あまり参考にはならないかもしれませんが、あしからず。



しかし、認知症行方不明者数では、西高東低がハッキリ出てしまった。
第1位・大阪府、第2位・埼玉県、第3位・東京都、第4位・兵庫県、第5位・愛知県だったのが、
総人口に占める割合で見ると、第1位・兵庫県、第2位・大阪府、第3位・富山県、第4位・京都府、第5位・徳島県となった。

愛知県は11位、埼玉県は36位、東京都はなんと47位のダントツの最下位だった。



これを見ると、西日本が上位を占めている事が分かる。
しかも人口が多いから、認知症行方不明者が多いという訳でもなく、また逆に高齢者が多いとされる人口減少が進んでいる所が、意外に少ない事も分かる。



発表される統計数値は、全都道府県で公平になるよう調整されている。
勿論、統計学者が苦心して生み出した計算方法だろう。

しかし、現在のように、あまりにも人口が偏り過ぎてしまい、年齢構成もいびつになると、時々、果たしてこの数字はマトを得ているのだろうか? と疑いたくなる時がある。


私たちが用心しなければならないのは、統計数値には、必ず偏りがあって、別方向からの見方もあると言う事。

ただ単純に鵜呑みにするのではなく、
数値や順位に隠れた、見えていない部分を探して見る努力を惜しんではならない、と思うのだ。


そこには、次の不運を回避するための、重要な証拠が潜んでいるかもしれない……






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