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医療ドラマの手術シーンが変わる!世界初「アクロサージ」が製品化

本題の前に、まずこちらのシーン‥‥。(それぞれ拡大出来ます)


昨年末の第4シーズンも、米倉涼子演じる外科医・大門未知子の、眼光鋭い視線が圧巻だった『ドクターX~外科医・大門未知子~』の手術シーン!




患部を剥離・切除する際、出血を止める目的で使われる焼灼器具(エネルギーデバイス)の煙(微小霧)を、毎回何気なく見ていた人…、或いは臨場感の一部として見ていた人もいるでしょう。

医療ドラマに欠かせない手術シーン。
その場面で当たり前のように登場する、焼灼の煙が、これからは姿を消すかもしれない新たな製品が、間もなく登場する‥‥!!







日機装株式会社(本社:東京都渋谷区)は昨年7月29日に発表し、臨床試用を開始していた世界初のマイクロ波を活用した外科手術用エネルギーデバイス「アクロサージ(Acrosurge)」を製品化し、本年(2017年)1月末までに市場投入を開始する予定だ。

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アクロサージのハサミ型の刃

「アクロサージ」のハサミ型(刃)

マイクロ波を使って生体組織を焼灼する、針型のエネルギーデバイスは以前からあったが、今回新たに製品化されたのは、ハサミ型・鑷子型(せっし型=ピンセット型)・プローブ型のディスポーザブル・デバイスの3種類。

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アクロサージのピンセット型

アクロサージの鑷子型(せっし型=ピンセット型)

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アクロサージのマイクロ波ジェネレーター

アクロサージのマイクロ波ジェネレーター(発電機)

組織焼灼の際、周辺組織に影響を与えない“焼き過ぎない”病変切離と、高い止血性能を両立している。



従来のエネルギーデバイスは、バイポーラ(高周波電流)エネルギーや、超音波振動エネルギーを用いた物で、デバイスと組織の間に生じる摩擦熱などを使い、組織の外側から加熱する仕組みです。
この為、組織を「焼き過ぎる事で表面が黒くこげ、生体内の水分子がミスト(微小霧)となり術者の視界を悪くする」などの恐れがありました。



更に海外のサイト(Outpatient Surgery Magazine=米国外来患者手術誌)の「外科的な煙の危険性を減らしてください」とする研究報告の中に、
http://www.outpatientsurgery.net/surgical-facility-administration/personal-safety/reduce-the-risk-of-surgical-smoke--staff-patient-safety-15

『Airborne threats(空中脅威)』の項には‥‥
外科的な煙と関連した幾つかの潜在的危険があります。

血断片、生存可能な血液媒介病原菌、バクテリアとウイルス、肺に有害なガスと蒸気と塵。揮発ガスの幾つかには、発癌の突然変異誘発性の可能性を示しました。
 
発生する粒子状物質は、計装に依存していて、0.07から6.5マイクロメートルのサイズです。

CO2(炭酸ガス)レーザーで照射を受ける1グラムの組織が、3本のフィルター無しタバコの煙によって突然変異誘発性と同程度の物質を放つことが証明されました‥‥。

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手術中の空気の脅威

Outpatient Surgery Magazine

その為、執刀医ら外科手術チームの健康被害を防止するよう、対策が求められています。

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焼灼煙避難電気メス束

電気メスに焼灼煙避難束が付いたもの

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有毒な生物噴霧の効率濾過システム

吸引式の有毒な生物噴霧の効率濾過システム

これら病原菌微生物の混じった煙やミストを、執刀医らが吸い込むリスクを減らす為にも、焼灼煙とミストの出ない手術器具が求められていました。





「アクロサージ」は、マイクロ波加熱作用を利用する。
これは、電子レンジに使われている加熱原理で、マイクロ波を誘電体に照射すると、分子が振動して誘電体が熱を発する現象。

例えば、水にマイクロ波を照射すると水分子が振動し、その振動で水が発熱する。

その為、外側の変色で内部を含めた凝固の状態が判かる。更に、生体内の水分子が無くなればそれ以上にマイクロ波が作用する事はないので、焼き過ぎる事がない。


この事によって、高周波電流や超音波振動を使う外科手術用エネルギーデバイスに比べ、優れた止血能力と、1つのデバイスで生体組織の剥離、凝固、止血、脈管シーリングなどの一連の手術操作が可能となり、手術時間の短縮をもたらし、患者の負担軽減にも繋がると期待されている。



アクロサージの特徴としては、
  ■ マイクロ波の波長域は、電子レンジと同じ2.45Ghz(ギガヘルツ)
  ■ マイクロ波の照射対象に含まれる水分子に直接、均一に作用。凝固にムラが少なく、高い止血作用
  ■ アンテナとアースの間の限局された部分にのみ照射可能であり、近傍の熱損傷が非常に少ない
  ■ マイクロ波の作用中、煙やミストが殆ど出ないため、手術野が見やすい
  ■ 形状がハサミ型(刃)であり、生体組織の剥離、凝固、止血、脈管シーリングといった幅広い手術範囲に対応



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手術の流れと選択デバイス

手術の流れと選択デバイス


昨年8月から臨床試用を行った医療機関からは、期待の声が寄せられていると言う。

医療法人社団 仁生会 甲南病院(滋賀県甲賀市)院長の渡田正二氏は、「アクロサージは鋭利な剥離切開や血管などの組織凝固を正確に行う事ができ、電気メスなどの使い分けが不要になると期待している」とのコメントを寄せている。 



最先端医療をテーマにしたドラマは今後も制作される事でしょう。
しかし手術中に、執刀医の前で揺らめく煙やミストは、最先端であればある程、不自然になってしまう時代となります。







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