セルジーン株式会社(本社:東京都千代田区丸の内)は7月3日、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)」の治療薬として、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤「イストダックス®点滴静注用10mg」(一般名:ロミデプシン=Romidepsin)の製造販売承認を取得したと発表した。
本剤は今回の承認により、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)」の治療薬として、日本で初めてのHDAC阻害剤となります。
末梢性T細胞リンパ腫(PTCL:Peripheral T-cell lymphoma)は、ホジキン病と非ホジキンリンパ腫に大別される悪性リンパ腫の一つで、免疫細胞のリンパ球の中の“T細胞”から発生する非ホジキンリパ腫です。
日本国内の患者数は、2000人以下と推計されています(厚生労働省大臣官房情報部 患者調査報告(傷病基本分類別統計)2014)。
月単位で病勢進行する「中悪性度」に分類され、中悪性度リンパ腫の10~15%を占めるとされています(国立がん研究センター:末梢性T細胞リンパ腫2015.)。
*「ホジキン」とはイギリスの医師の名前で、リンパ節を始めとする造血器細胞が系統的に侵される病気を指し、日本国内では非ホジキンリンパ腫(造血臓器以外)の発症率が高いのが特徴です。
*「ヒストン」とは、染色体の中にあるタンパク質の一種でDNAに結合している。
最初に行った化学療法(多剤併用療法=シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4種)で部分奏効や難治性、または再発の場合、予後は厳しいのが現状です。
末梢性T細胞リンパ腫に対する標準治療は、未だに確立されておらず、特に再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対する治療選択肢は限られている為、新しい薬剤の開発が求められていました。
「イストダックス®点滴静注用10mg」は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤で、HDACの活性を阻害します。
HDACの活性を阻害する事によりアセチル化ヒストンが細胞内に蓄積し、ガンの細胞周期の停止や細胞死(アポトーシス)が誘導され、その結果、抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。
【製品概要】
【販売名】:イストダックス®点滴静注用10mg
【一般名】:ロミデプシン
【効能・効果】:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫
【用法・用量】:通常、成人にはロミデプシンとして14mg/m2(体表面積)を 1日目、8日目、15日目に4時間かけて点滴静注した後、休薬(16~28日目)する。
この28日間を1サイクルとして投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。
【その他】:新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
「イストダックス」は、治療歴がある末梢性T細胞リンパ腫に対して、現在、米国を含め世界5ヵ国で承認を取得しています(2017年3月)。