厚生労働省は6月28日、他人の臍帯血(さいたいけつ)を投与(輸血)する医療を無届けで行ったとして、東京と大阪、福岡の11の『民間クリニック』に対し、再生医療安全性確保法違反に基づき、治療を一時停止させる緊急命令を出したと発表した。
【違反概要】
以下の医療機関に対し、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号。)第24条第1項又は第2項に基づく立入検査を行ったところ、下記の法律違反が確認されました。
●保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると判断したため、法律第85号第22条に基づき、当該再生医療等の提供の一時停止を命じましたのでお知らせいたします。
【確認された法律違反】
・第一種再生医療等提供計画を提出せず、他人の臍帯血を用いた第一種再生医療等を提供していたこと(法第4条第1項違反)。
医療機関名 住所 一時停止命令日
1)表参道首藤クリニック(東京都渋谷区/平成29年5月16日)
2)クリニック真健庵(東京都港区/平成29年5月16日)
3)大阪タワークリニック(大阪府大阪市/平成29年5月17日)
4)医療法人社団博心厚生会
アベ・腫瘍内科・クリニック(東京都千代田区/平成29年6月2日)
5)医療法人社団健若会
赤坂AAクリニック(東京都港区/平成29年6月2日)
6)医療法人恵聖会
恵聖会クリニック心斎橋院(大阪府大阪市/平成29年6月2日)
7)天神皮ふ科(福岡県福岡市/平成29年6月2日)
8)医療法人社団向笑会
花岡由美子女性サンテクリニック(東京都練馬区/平成29年6月2日)
9)品川荏原ライフケアクリニック(東京都品川区/平成29年6月2日)
10)六本木ドクターアンディーズクリニック(東京都港区/平成29年6月6日)
11)医療法人社団創輝会
東京国際美容クリニック(東京都港区/平成29年6月8日)
●発出:厚生労働省 医政局研究開発振興課 再生医療等研究推進室
尚、この命令発出以前に、厚生労働省は2017年2月20日付で、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、埼玉県内のクリニックに対して、再生医療等の提供の一時停止を命じる緊急命令を出しています。
小林麻央さん通ったクリニックが「無届け医療」で業務停止命令
6月22日に逝去した小林麻央さん(享年34)。その壮絶な死から約1週間後の6月28日、驚きのニュースが飛び込んできた。他人のさい帯血を投与する医療を無届けで行ったとして、全国11のクリニックに業務停止命令が下った。そのうちの1施設が、麻央さんの昨年から何度も通っていたAクリニックだったのだ。「11カ所の民間クリニックではがん治療などの..........≪続きを読む≫
これを受けて一般社団法人 日本再生医療学会は、声明を発表し、
第三者の細胞を患者に投与する行為は、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」で、「第一種再生医療等技術」として分類されています。
第一種再生医療等技術は、「人の生命及び健康に与える影響が明らかでない、又は相当の注意をしても人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれ」があるものとして、
(1)高度な審査能力を持つ「特定認定再生医療等委員会」の意見を聴いた上で、必要書類を厚生労働大臣に提出し、
(2)厚生科学審議会の意見に基づく安全性等の確認、を受けなければ実施できません。
つまり、現状の科学的常識に照らして、有効性と安全性のバランスを慎重に検討されるべき医療行為が、無届けで実施された、と言うことを意味します。
安全性確保の観点からは、絶対に許すことの出来ないものです。
もし受診したクリニックにおいて、細胞の移植や、それに類する治療法を勧められた場合、法律に基づいた対応を行っているか?
日本再生医療学会の認定医であるか?
と、言ったことを医師にご確認ください。
もし不安・不明な点がある場合は、かかりつけの医師にご相談されるなど、新規の治療法を受けるべきかの判断については、慎重に検討されることを推奨いたします。
法律に触れる行為や、不誠実な医療の排除のためには、日本再生医療学会の会員自身が自らを律するのは勿論のこと、国民の皆様の厳しい視線を絶対に欠かすことが出来ません。
再生医療という新しい医療を、社会と共に構築して行けるよう、国民の皆様のお力添えをお願いいたします。