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国内初の新規乳がん治療剤「イブランスカプセル」が製造販売承認を取得

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は7月27日、新有効成分含有の乳がん治療剤「イブランス®(IBRANCE®)カプセル25mg、同125mg(一般名:パルボシクリブ=®palbociclib)」ついて、「手術不能または再発乳がん」を効能・効果とする製造販売承認を了承した。
同剤は、早ければ9月末にも正式に承認される見通し。

(適応症/予定:HR+HER2-=ホルモン受容体陽性ヒト上皮増殖因子受容体2陰性の進行性又は転移性再発乳がん)

新たに製造販売承認を取得したのは、ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)が、2016年10月31日に「手術不能又は再発乳癌」の効能・効果で、国内に於ける製造販売承認申請を行っていた、世界初・国内初のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬「イブランス®カプセル25mg、同カプセル125mg(一般名:パルボシクリブ)」です。



イブランスカプセル120mg_ドイツ
欧州(ドイツ)で販売されている「イブランス®(IBRANCE®)カプセル125mg」
尚、現在までの所、25mgカプセルの承認は日本のみで、欧米では販売されていない。


乳がんは、世界に於いて、女性の罹患率が第一位のがん種であり、全世界で約170万人が新たに乳がんと診断されています(2012年=World Cancer Research Fund International)。

日本に於いては、乳がんの年間罹患数は約7万4000人で、女性の部位別罹患数として第一位(2012年)、乳がんの年間死亡者数は1万3000人を超えています(2014年=国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計』)。

初診断時に転移がある場合、5年生存率は26.3%と予後は大変厳しい状況です(National cancer institute=米国立がん研究所)。

転移がない場合でも、原発巣に対する根治的治療後に推定20~30%の割合で転移・再発が見られ(Metastatic Breast Cancer Network=米国転移性乳癌ネットワーク)、転移・再発乳がんは切除可能な局所再発を除いて、治癒は極めて困難です(日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2015年版)。

乳癌の再発転移の部位別発症割合

転移・再発乳がんの化学療法後の10年生存率は、僅か5%です(日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2015年版)。




ガン細胞の細胞周期と増殖
細胞周期は正常細胞もガン細胞も同じですが、
ガン細胞では増殖のスピードが速くなる。


サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6は、細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こします。
「イブランス®カプセル25mg、同125mg(®palbociclib)」は、世界初の経口サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6に対する阻害作用を有する低分子化合物で、CDK4及びCDK6を選択的に阻害して、細胞周期の進行を停止させる事で、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。



イブランスカプセルの作用機序
サイクリンD1-CDK4/6複合体を阻害する事で、細胞周期に必要な
RBタンパク質を不活性化し、E2Pタンパク質を放出する事で
腫瘍細胞の増殖を抑制する。




【効能・効果】:「手術不能、または再発の乳がん」

【用法・用量】:「内分泌療法剤(ホルモン療法剤)との併用において、通常、成人にはパルボシクリブとして1日1回125mgを3週間連続して、食後に経口投与し、その後は1週間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返し、患者の状態により適宜減量する」

◎閉経の有無に関わらず使用できる。
◎7月27日の部会では、これに伴い、ホルモン療法剤の「フェソロデックス®筋注250mg(一般名:フルベストラント)」について、イブランスカプセルと併用出来るようにするための承認事項の一部変更が報告された。

◎再審査期間8年。



尚、米国(FDA)に於ける適応症は、2015年2月に「HR+HER2-(ホルモン受容体陽性ヒト上皮増殖因子受容体2陰性)閉経後進行または転移乳がんに対する初回内分泌療法(レトロゾールとの併用)」
「内分泌療法により疾患が進行したHR+HER2-進行又は転移乳がん(閉経の有無を問わない)に対する治療(フルベストラントとの併用)」となっている。

欧州医薬品庁(EMA)の承認勧告では、2016年9月に「HR+HER2-局所進行又は転移乳がん(アロマターゼ阻害薬との併用、又は内分泌療法を受けた患者ではフルベストラントとの併用)」が適応症となっている。


本剤の承認で、閉経の有無に関わらず、『ホルモン受容体(HR)陽性かつヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の手術不能または再発乳がん』の患者さんにとって、革新的治療選択肢が増える事は、精神的・肉体的に大きな支えになるものと期待されます。






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