ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区)は7月3日、再発又は難治性の多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)の治療薬として、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤「ファリーダック®カプセル10mg、同カプセル15mg」(一般名:パノビノスタット乳酸塩、開発コード:LBH589)の製造販売承認を取得。
9月4日から発売を開始しました。
多発性骨髄腫は、治癒が困難な難治性の造血器腫瘍で、骨髄の中にある、ウイルスなどが体内に侵入して来た時に攻撃する、免疫グロブリンと呼ばれる蛋白を造る「形質細胞」というリンパ球が、癌化(腫瘍化)した病気です。
異常な抗体(M蛋白)が、異物が無いのにどんどん増殖し、骨の痛み、病的骨折・圧迫骨折、倦怠感、貧血、出血傾向、感染症に対する抵抗力の低下が起こり、腎臓の機能低下、過粘稠症候群、アミロイドーシス、ウイルスなどの感染による体力の低下などが起こります。
主な治療法は、化学療法(薬物療法)と放射線療法があり、抗がん剤で効果が現れる疾患ですが、残念ながら確実に治癒を期待できる治療法は確立されていません。
「多発性骨髄腫」は血液の悪性腫瘍(がん)の一種ですが、同種の白血病との違いは、多発性骨髄腫が形質細胞が癌化するのに対し、白血病は血液を作っている骨髄で、異常な癌化した白血球が無限に増えて血液中に放出され、血液が正常に機能しなくなる病気で、治療法の進歩が進み、急性骨髄性白血病の場合、化学療法で20~50%、移植で40~70%の治癒が期待できます。
急性リンパ性白血病の場合、化学療法で15~35%、移植による治癒率は45~55%です。
一方で多発性骨髄腫は、日本における推定総患者数は約14,000人、人口10万人当たりの推計年齢調整罹患率は約2人、年間死亡数は4,066人と報告されています。
近年、本疾患の総患者数、推計罹患数および死亡者数は、徐々に増加する傾向がみられています。
治療には、造血幹細胞移植や薬物療法(抗がん剤療法)による治療が行われますが、ほとんどの患者で再発又は病勢の進行が見られ、治療を繰り返すごとに薬剤への反応性が低下し、難治性の病態に移行していきます。
今回承認され、販売を開始した「ファリーダック®カプセル」は、多発性骨髄腫治療薬としては初めての『ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤』です。
DNAには様々な情報が刻まれています。
そしてDNAは裸のままでいるのではなく、ヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付いた状態で存在し、DNAの情報を読み取るにはDNAをヒストンから、一旦、剥がすと、転写(遺伝情報を読み取る事)が可能になります。
その後再びDNAとヒストンが結合しますが、この時関与する酵素をHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)と言います。
このHDACが働くと、DNAの中に元々存在する「がん抑制遺伝子」の情報を読み出せなくなり、がん細胞の増殖が促進します。
そこで、HDACの作用を阻害することで、DNAの中にある「がん抑制遺伝子」を転写し、働きを促す事によって、抗腫瘍効果を得ようと言うのがHDAC阻害剤です。
多発性骨髄腫細胞では、HDAC活性の異常な上昇が認められており、その活性化が癌を促進するプロセスにつながると報告されています。
「ファリーダック®カプセル」はクラスI、クラスIIおよびクラスIV(4)のHDACを阻害し、がん抑制遺伝子の転写促進、腫瘍細胞のアポトーシスや細胞周期停止の誘導などにより抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。
また、プロテアソーム阻害という異なる作用機序をもつ既存治療薬の「ボルテゾミブ」と併用する事で、骨髄腫細胞の増殖阻害及び腫瘍細胞のアポトーシスの強い相乗効果が期待できます。
【*アポトーシスとは・・・葉が落葉したり、人の胎児にある水かきが次第に消えて行く事や、オタマジャクシがカエルへと変化する時の尾の消失など、細胞にあらかじめプログラムされた、不要になった細胞を排除する為の、細胞が計画的に死滅するメカニズムの事。
製品名:
ファリーダック®カプセル10mg(FARYDAK® Capsules 10mg)
ファリーダック®カプセル15mg(FARYDAK® Capsules 15mg)
一般名:
パノビノスタット乳酸塩(Panobinostat Lactate)
効能又は効果:
再発又は難治性の多発性骨髄腫
用法及び用量:
ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用において、通常、成人にはパノビノスタットとして1日1回20mgを週3回、2週間(1、3、5、8、10及び12日目)経口投与した後、9日間休薬(13~21日目)する。
この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。
9月4日から発売を開始しました。
多発性骨髄腫は、治癒が困難な難治性の造血器腫瘍で、骨髄の中にある、ウイルスなどが体内に侵入して来た時に攻撃する、免疫グロブリンと呼ばれる蛋白を造る「形質細胞」というリンパ球が、癌化(腫瘍化)した病気です。
異常な抗体(M蛋白)が、異物が無いのにどんどん増殖し、骨の痛み、病的骨折・圧迫骨折、倦怠感、貧血、出血傾向、感染症に対する抵抗力の低下が起こり、腎臓の機能低下、過粘稠症候群、アミロイドーシス、ウイルスなどの感染による体力の低下などが起こります。
主な治療法は、化学療法(薬物療法)と放射線療法があり、抗がん剤で効果が現れる疾患ですが、残念ながら確実に治癒を期待できる治療法は確立されていません。
「多発性骨髄腫」は血液の悪性腫瘍(がん)の一種ですが、同種の白血病との違いは、多発性骨髄腫が形質細胞が癌化するのに対し、白血病は血液を作っている骨髄で、異常な癌化した白血球が無限に増えて血液中に放出され、血液が正常に機能しなくなる病気で、治療法の進歩が進み、急性骨髄性白血病の場合、化学療法で20~50%、移植で40~70%の治癒が期待できます。
急性リンパ性白血病の場合、化学療法で15~35%、移植による治癒率は45~55%です。
一方で多発性骨髄腫は、日本における推定総患者数は約14,000人、人口10万人当たりの推計年齢調整罹患率は約2人、年間死亡数は4,066人と報告されています。
近年、本疾患の総患者数、推計罹患数および死亡者数は、徐々に増加する傾向がみられています。
治療には、造血幹細胞移植や薬物療法(抗がん剤療法)による治療が行われますが、ほとんどの患者で再発又は病勢の進行が見られ、治療を繰り返すごとに薬剤への反応性が低下し、難治性の病態に移行していきます。
今回承認され、販売を開始した「ファリーダック®カプセル」は、多発性骨髄腫治療薬としては初めての『ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤』です。
DNAには様々な情報が刻まれています。
そしてDNAは裸のままでいるのではなく、ヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付いた状態で存在し、DNAの情報を読み取るにはDNAをヒストンから、一旦、剥がすと、転写(遺伝情報を読み取る事)が可能になります。
その後再びDNAとヒストンが結合しますが、この時関与する酵素をHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)と言います。
このHDACが働くと、DNAの中に元々存在する「がん抑制遺伝子」の情報を読み出せなくなり、がん細胞の増殖が促進します。
そこで、HDACの作用を阻害することで、DNAの中にある「がん抑制遺伝子」を転写し、働きを促す事によって、抗腫瘍効果を得ようと言うのがHDAC阻害剤です。
多発性骨髄腫細胞では、HDAC活性の異常な上昇が認められており、その活性化が癌を促進するプロセスにつながると報告されています。
「ファリーダック®カプセル」はクラスI、クラスIIおよびクラスIV(4)のHDACを阻害し、がん抑制遺伝子の転写促進、腫瘍細胞のアポトーシスや細胞周期停止の誘導などにより抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。
また、プロテアソーム阻害という異なる作用機序をもつ既存治療薬の「ボルテゾミブ」と併用する事で、骨髄腫細胞の増殖阻害及び腫瘍細胞のアポトーシスの強い相乗効果が期待できます。
【*アポトーシスとは・・・葉が落葉したり、人の胎児にある水かきが次第に消えて行く事や、オタマジャクシがカエルへと変化する時の尾の消失など、細胞にあらかじめプログラムされた、不要になった細胞を排除する為の、細胞が計画的に死滅するメカニズムの事。
製品名:
ファリーダック®カプセル10mg(FARYDAK® Capsules 10mg)
ファリーダック®カプセル15mg(FARYDAK® Capsules 15mg)
一般名:
パノビノスタット乳酸塩(Panobinostat Lactate)
効能又は効果:
再発又は難治性の多発性骨髄腫
用法及び用量:
ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用において、通常、成人にはパノビノスタットとして1日1回20mgを週3回、2週間(1、3、5、8、10及び12日目)経口投与した後、9日間休薬(13~21日目)する。
この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。