中外製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)は、「腎性貧血」を効能・効果として販売を行っている、持続型赤血球造血刺激因子製剤「ミルセラ®注シリンジ(一般名:エポエチンベータペゴル=遺伝子組換え)」の低含有量製剤「ミルセラ®注シリンジ12.5μg(マイクログラム)」について、3月19日、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。
貧血と言うと、女性の病気と思いがちですが、腎機能の低下による貧血の発症には、性別による違いはありません。女性だけでなく男性にとっても注意が必要な貧血です。
しかも「腎性貧血」は、昨今増えており、腎臓の働きが少しずつ悪くなって行く「慢性腎臓病(CKD)」の患者数は1330万人(日本腎臓学会「CKD診療ガイド2012」より)で、20歳以上の成人の8人に1人が相当します。〔アステラス製薬/「貧血」と「腎臓」の深~い関係より〕
「貧血」には、1)低血圧症で意識が低下して倒れた様な場合と、2)赤血球の材料である鉄が不足して起こる場合、3)骨髄機能の低下、4)免疫の抗原抗体反応、5)造血ビタミンB12や葉酸の不足、そして6)腎機能の低下で起こるタイプに別れます。
1)は医学的な貧血とは違います。
2)は鉄欠乏性貧血です。
3)は再生不良性貧血です。
4)は溶血性貧血です。
5)は巨赤芽球性貧血です。
6)が『腎性貧血』です。
〔中外製薬 ミルセラQ&A等より〕
「腎性貧血」は、慢性腎不全に伴う腎性貧血と診断された血液透析患者、保存期慢性腎臓病患者、及び腹膜透析患者に見られる貧血です。〔新潟大学腎医学医療センター CDKより〕
http://www.med.niigata-u.ac.jp/cns/CKD-8.pdf
腎臓に於いてヘモグロビン(酸素を運搬するタンパク質)の低下に見合った、十分量のエリスロポエチン(赤血球産生促進ホルモン=EPO)が産生されない事によって引き起こされる貧血で、貧血の主因が慢性腎臓病(CKD)以外に求められないものを言う。〔日本透析医学会「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン2015年版」より〕
「ミルセラ®注シリンジ」は、スイスのロシュ社(Roche,Ltd.)が開発したエポエチンベータ(epoetin β=EPO β)をポリエチレングリコール(PEG)化する事により、血液中での安定性を高めた持続型の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)です。
骨髄の赤芽球系前駆細胞に存在する“エリスロポエチン受容体”を持続的に刺激することで、安定的、尚且つ持続的な貧血のコントロールを可能にした、腎性貧血治療薬です。
現在、米国を含む世界100カ国以上で発売され、日本では、2011年7月に「腎性貧血」を適応症として販売が開始されている。
現在、「ミルセラ®注シリンジ」は25μg(マイクログラム)、50μg、75μg、100μg、150μg、200μg、250μgの計7規格を販売し、多くの腎性貧血患者の治療に使用されています。
一方で、臨床現場から、より細やかな用量調整ができるよう、更なる低含量規格製剤が望まれていた。
今回の新用量追加で、成人体重に満たない患者への投与が可能となり、UI薬以外での治療薬の選択肢が増えると期待される。
【製品概要】
【販売名】:ミルセラ®(MIRCERA®)注シリンジ12.5μg
【一般名】:エポエチン ベータ ペゴル(遺伝子組換え)
【有効成分】:エポエチン ベータ ペゴル(1シリンジ0.3mL中)
注)本剤は、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。
【効能・効果】:腎性貧血
【用法・用量】:12.5μgについては不明。
【特徴】:エポエチン ベータ ペゴルは従来の赤血球造血刺激因子製剤(ESA:erythropoiesis stimulating agent)と比較すると血中半減期は長く、造血が長時間持続する。
同社の「エポジン®注」等の既存の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)よりも、長い血中半減期を有し、静脈内投与、及び皮下投与、共に維持用量は4週間に1回と少ない投与頻度で、「腎性貧血」治療のガイドラインの目標ヘモグロビン値を達成する事が可能となります。