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致死率19%…マダニ媒介性感染症抗ウイルス薬の国内第Ⅲ相試験―患者登録を開始

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マダニ媒介性感染症は――、


マダニ媒介感染症の種類

病原体(ウイルス)を保有するマダニに咬まれる事によって起こる感染症で、「クリミア・コンゴ出血熱(第一類感染症)」「回帰熱/ライム病(第四類感染症)」「重症熱性血小板減少症候群(SFTS=第四類感染症)」「ダニ媒介脳炎(第四類感染症)」「つつが虫病(第四類感染症)」「日本紅斑熱(第四類感染症)」などがあります。


このうち『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』は、2009年に中国で初めて流行が確認され、国内では2013年1月に、海外渡航歴の無い人がSFTSに罹患していた事が初めて報告され、それ以降、SFTS患者が確認されるようになり、2018年1月31日までに318名の患者が確認され、うち60名が死亡しています。

実に、5人に1人が亡くなっている事になります。


2017年7月25日のニュース
2017年(平成29年)7月25日のニュース

西日本での発症が多く、マダニの活動が盛んな春から秋にかけて罹患する危険性が高まり、非常に稀有ですが、感染したイヌやネコからヒトに感染した事例も報告されています。

重症熱性血小板減少症候群の届出地域

現段階で、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に対する有効な抗ウイルス薬等の治療法はなく、対症療法が主体になります。



危機感を持った国は、2016年2月22日、厚生労働省研究班のチームが、抗インフルエンザウイルス薬の「アビガン®錠(一般名:ファビピラビル=Favipiravir)」が有効である事を、マウスの実験で確かめたと、米国微生物学会の専門誌に発表しました。

抗ウイルス薬ファビピラビル
抗インフルエンザウイルス薬「ファビピラビル(アビガン®錠)」

「アビガン®錠(ファビピラビル)」は、エボラ出血熱の治療薬としても注目を集めている抗ウイルス薬です。



それからおよそ2年――。


2018年3月12日、富山化学工業株式会社(本社:東京都新宿区/富士フイルムグループ)は、マダニ媒介性感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を対象とした、抗ウイルス薬「ファビピラビル(アビガン®錠)」の国内第Ⅲ相臨床試験の患者登録を開始したと発表しました。


「ファビピラビル(アビガン®錠)」は、既に、抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している薬剤で、ウイルスの“RNAポリメラーゼを選択的に阻害する”事で、ウイルスの増殖を防ぐと言うメカニズムを有しています。
新薬アビガン錠の作用機序
アビガン®錠の作用機序。

このメカニズムの特徴から、インフルエンザウイルス以外のウイルス感染症分野でも、応用の可能性が高いと考えられており、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に於いても、先に述べたように、国立感染症研究所で行われた動物モデルでの基礎研究で、本剤の有効性が確認されている。

また、その後、2016年6月から愛媛大学、長崎大学、国立感染症研究所が中心となり、本剤を用いたSFTSを対象とする臨床研究を実施した結果、有効な治療法の開発に繋がる知見が得られた事が報告されている。



今回の国内臨床第Ⅲ相試験の患者登録開始によって、現在は対症療法のみである重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に対して、新たな治療法の提供を目指している。


アビガン錠薬2014年10月25日のニュース


【ファビピラビル(製品名:アビガン®錠)について】
尚、本剤は日本に於いて、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効、又は効果不十分な『新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症』が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合に、患者への投与が検討される医薬品として、2014年3月に承認を取得している。







ペタしてね月ペタしてね鳥

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