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重症虚血肢のHGF遺伝子治療薬「コラテジェン®」が条件/期限付きで承認を取得

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アンジェス株式会社(本社:大阪府茨木市)は、HGF(ヒト肝細胞増殖因子)遺伝子治療用製品-1 プラスミドベクター製品「コラテジェン®筋注用4mg(一般名:ベペルミノゲン ペルプラスミド)」について、「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な『重症虚血肢』=慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症及びバージャー病)に於ける潰瘍の改善」の効能、効果又は性能で、厚生労働省より条件及び期限付製造販売承認を取得したと発表しました。

本製品は、治験での評価症例数が少ないことから、「条件及び期限付き承認」扱いとし、5年かけて対照群を設け比較評価し、有効性を改めて確認することを条件とした。


重症虚血肢のHGF遺伝子治療用製品コラテジェン筋注用
*写真はイメージです。
重症虚血肢のHGF遺伝子治療用製品コラテジェン®筋注用4mgは、
条件及び期限付き製造販売承認を取得しましたが、
まだ製品写真はありません。


重症虚血肢(CLI=Critical limb ischemia)は、重篤な血流障害により引き起こされる安静時の下肢の疼痛や,趾肢(そし=足の指)の喪失が切迫した状態と定義されている。慢性動脈閉塞症(CAO=Chronic arterial occlusion)の虚血(動脈血量の減少)が進行して、安静時疼痛、皮膚潰瘍、壊死・壊疽を呈した病態を指します。


重症虚血肢の血管造影図

閉塞性動脈硬化症(ASO=Arterio-sclerosis obliterans)は、腹部大動脈・腸骨動脈・大腿動脈など四肢(両手足)に血液を供給する血管で、動脈硬化が進行し、動脈の内腔(ないくう)が細くなり、血管がつまって血流悪化をきたす病気です。
閉塞性動脈硬化症は難治性、進行性で、最終的には狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの合併症によって死に至ります。

**閉塞性動脈硬化症(ASO)は、近年ではより広い疾患概念で、全身の動脈硬化性疾患を指すようになっていて、末梢動脈疾患(PAD=Peripheral Arterial Disease)という言葉に変わりつつありますが、病態は同じです。


閉塞性動脈硬化症の疾患部位の血管造影

治療の第一選択は、Ⅰ度~Ⅱ度では、動脈硬化症の薬物療法である抗凝固療法(ワルファリン、ヘパリンなど)や抗血小板療法(アスピリンなど)、血管拡張剤(プロスタグランジンE1など)の投与が行われます。
進行している場合、手術が可能であれば動脈バイパス移植術や、血管拡張術などの血行再建術が行われますが、下肢壊疽(えそ)が進行し、Ⅳ度になると、全身状態の悪化を食い止める為、やむを得ず下肢切断が行なわれます。



重症虚血肢(慢性動脈閉塞症)は、進行度に応じて4つに分類されます。
重症虚血肢の分類
重症虚血肢の進行度分類

▼間歇性跛行(かんけつせいはこう)は……歩行などで下肢に負荷を掛けると、次第に下肢の疼痛・しびれ・冷えを感じ、一時休息する事により症状が軽減し、再び運動が可能となる事。




バージャー病の症例
バージャー病の症例

重症虚血肢・慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症及びバージャー病)では、外科的治療の施行が困難な患者に対しては、これまで有効な治療手段がありませんでした。





コラテジェン筋注用HGF遺伝子治療の作用機序
コラテジェン筋注用HGF遺伝子治療の作用機序

「コラテジェン®筋注用4mg」製品は、プラスミド*に、血管を新生する作用を持つHGF(ヒト肝細胞増殖因子)遺伝子を組み込み、それをベクター*として虚血部位に注射することで、細胞内で遺伝子が発現。血管新生が促され、血流が確保されて、潰瘍を改善するとされている。

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会が本年2月20日、ヒト肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子治療薬として、5年間の条件・期限付きで了承した。
国内の投与対象者数は年間270人ほど。海外で承認している国はない。


コラテジェン筋注_ベペルミノゲン_ペルプラスミドの構造式
コラテジェ®ン筋注用
ベペルミノゲン_ペルプラスミドの構造式





【本製品の概要~承認事項~】

【開発コード】:アンジェス AMG0001
【種別】:“再生医療等製品” 遺伝子治療用製品が含まれる。
尚、再生医療等製品については、期限付き、条件付きで早期に承認する条件及び期限付承認制度が導入されている。

【類別】:ヒト肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子治療用製品 1 プラスミドベクター製品
【製品名】:コラテジェン®筋注用4mg
【一般名】:ベペルミノゲン ペルプラスミド(JAN)/Beperminogene Perplasmid
【剤形】:注射剤
【規格・含量】:コラテジェン®筋注用4mg/1バイアル(1.6mL)中ベペルミノゲン ペルプラスミド4mgを含有。
【用法・用量】:基本的には、成人に対し1ヵ所あたり0.5mgを8ヵ所に4週間間隔で2回筋肉内投与する。治験では、初回投与から12週間後の潰瘍完全閉鎖率は、閉塞性動脈硬化症では14例中7例(50%)、バージャー病では10例中6例(60%)だった。

【製造販売承認年月日】:2019年3月26日
【薬価基準収載年月日】:薬価基準未収載

【製造販売元(輸入)】:アンジェス株式会社
【販売元】:田辺三菱製薬株式会社


【~特記事項~目標症例数】:本品投与群120例、比較対照群80例以上。

◇今回の条件及び期限付承認では‥
①重症化した慢性動脈閉塞症に関する十分な知識・治療経験を持つ医師のもとで、創傷管理を複数診療科で連携して実施している施設で本品を使用すること。

②条件及び期限付承認後に改めて行う本品の製造販売承認申請までの期間中は、本品を使用する症例全例を対象として、製造販売後承認条件評価を行うこと。
などが承認の条件とされ、その期限は5年となっている。

アンジェス株式会社は本製品の承認後、コメントを発表し、‥‥尚、安静時疼痛及び潰瘍の改善を目的として、製造販売承認申請を行っておりましたが、そのうち重症虚血肢の「標準的な薬物治療の効果が不十分で、血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能、効果又は性能として、条件期限付で承認を取得しました。
安静時疼痛の改善につきましては、今後、アンジェス株式会社で臨床試験等を実施して行くことを予定しております。








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