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再発/難治性慢性リンパ性白血病治療薬「ベネクレクスタ錠」の製造販売承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は8月23日、アッヴィ合同会社(本社:東京都港区三田3丁目)が製造販売承認を申請していた、1つ以上の前治療歴がある再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(CLL/小リンパ球性リンパ腫を含む)を効能・効果とする、経口BCL-2阻害薬「ベネクレクスタ錠10mg、同50mg、同100mg(一般名:ベネトクラクス=venetoclax)」について、新有効成分含有医薬品として、承認を了承した。

正式承認は9月下旬以降と見られる。


慢性リンパ性白血病治療薬ベネクレクスタ錠(ベネトクラクス)
再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)治療薬
<経口BCL-2阻害薬>
「ベネクレクスタ錠10mg、同50mg、同100mg」
(一般名:ベネトクラクスvenetoclax)」



慢性リンパ性白血病(CLL=Chronic Lymphocytic Leukemia)は、通常緩やかに進行する慢性の骨髄及び血液がんの一種で、血液細胞の中の成熟したB細胞リンパ球と呼ばれる白血球が癌化して、異常な白血病細胞が増殖する病気です。
日本での発症率は、年間10万人に0.3人です。患者数は慢性リンパ性白血病が約1000人、類似の小リンパ球性リンパ腫が約1600人と推定されています。

国内の診断時年齢中央値は60~70歳以上、全体の4分の3以上の患者が50歳以上の中高年で、若年層や30歳未満の人には殆ど見られず、小児には見られません。

米国や欧州では、最も多く見られる白血病が、慢性リンパ性白血病のため、治療薬の開発や治療のガイドラインの更新が早いのが特徴ですが、日本では希少がんのため、臨床試験の登録患者が少なく、治療薬の承認に時間が掛かっているのが現状です。

[国立がん研究センター がん情報サービス 2018年10月]
[MSDマニュアル-家庭版、慢性リンパ性白血病-原因、症状、診断、および治療についてより]
[米国癌学会 (2015). Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL).]




慢性リンパ性白血病は、完全に治癒する事は難しい疾患ですが、寛解に導く事で、長期生存が可能です。
しかしながら、体力や免疫力の低下による再発の不安を常に抱えている事になります。
また中・高齢者が多い事から、一部(若年者)を除いては症状緩和や病状のコントロールを目的とした治療となります。
慢性リンパ性白血病の病期分類
慢性リンパ性白血病の病期分類

病状の進行がゆっくりのため、病期分類0期、Ⅰ期、Ⅱ期では、慎重な経過観察を行います。
病期Ⅲ、Ⅳ期になると、リンパ節腫脹や肝臓・脾臓(ひぞう)の腫大、貧血や血小板減少などの症状が見られるようになり、治療の開始基準となります。



アッヴィのプレスリリース(2018年12月17日)によると、米国での再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する「ベネトクラクス(ベネクレクスタ錠)」と「リツキシマブ(遺伝子組換え/抗CD20モノクローナル抗体)」併用療法での3年全生存率は、87.9%で、「トレアキシン(ベンダムスチン塩酸塩)」と「リツキシマブ」の79.5%に比べて10%高い結果となった。



「ベネクレクスタ錠(一般名:ベネトクラクス=venetoclax)」は、B細胞リンパ腫2(BCL-2=B-cell lymphoma 2)タンパク質を標的に、選択的に結合及び阻害する初の分子標的薬です。

慢性リンパ性白血病では、BCL-2が過剰発現し、がん細胞のアポトーシスと呼ばれる自然死、又は自己破壊の過程を阻止しています。「ベネクレクスタ錠(ベネトクラクス)」は、失われたがん細胞のアポトーシスの過程を回復させる作用があります。


ベネトクラクス(ベンクレクスタ)作用機序・慢性リンパ性白血病
【用語説明】
◆BIMやBAXはBCL-2族タンパク質であり、通常はBAD、BID、BAXおよびBIMは細胞質に存在しますが、アポトーシス促進タンパク質の活性化によるシグナルを受け取ると、細胞死のためにミトコンドリアへと移動し、そこでシトクロムcの放出を促進。結果として癌細胞をアポトーシスへ導く。



2019年5月時点に於いて、慢性リンパ性白血病に関する効能・効果で、米国や欧州など68ヶ国で承認されている。

また本剤は、2019年5月28日に米国FDAにより、治療歴のない慢性リンパ性白血病に対する化学療法を含まない併用レジメン(オビヌツズマブ=分子標的薬/中外製薬)として、承認されました。




「ベネクレクスタ錠(Veneclexta)」は、以下の重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
◎腫瘍崩壊症候群(TLS)
腫瘍崩壊症候群(TLS)は、がん細胞が短時間に崩壊することにより起こり、TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性があるほか、死に至ることもあります。
担当の医療従事者は、本剤の投与開始前に検査を行い、TLSになるリスクがあるかを調べます。TLSになるリスクを低減させるため、本剤の投与開始前と投与中に他の薬剤を投与します。







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