日本アレルギー学会が28日、「慢性疲労などの原因となる食物アレルギーが診断できる」として、一部の医療機関で行われている高額の血液検査について、「科学的に根拠がなく、健康被害を招く恐れがある不適切な診断が行われている」として注意を呼びかけました。
この血液検査は、免疫機能の指標であるIgGという抗体の値を調べるもので、「疲労や頭痛などさまざまな慢性症状は『遅延型』と呼ばれる食物アレルギーのせいで、その原因となる食品が分かる」などとして一部の医療機関で行われています。
検査は保険がきかず、中には5万円以上かかったり、特定の食品について食べないよう指導されたりするケースもあるという事です。
しかし、この抗体は健康な人の体内にも存在することなどから、欧米の学会などでは、「科学的根拠がない」として、食物アレルギーの診断には使うべきではないという見解をまとめている。
28日の日本アレルギー学会の東京での市民講座では、厚生労働省の研究班が去年、2000人余りの患者に対して行った調査結果が示され、この検査を基に、特定の食品を食べるのをやめていた人が、大人では17%、子どもでは5%いたことが報告されました。
学会の見解として、「科学的根拠がなく、検査を基に多くの食品の摂取を制限すると低栄養などの健康被害を招く恐れもある」として注意を呼びかけました。
保険適応外のため、診断料はやはり高額。
食物アレルギーの正しい検査には、『食物負荷試験』が欠かせません。
大学病院などのアレルギー科(専門外来)で受診するのがベストです!
高額な血液検査が必要と言われたら、必ずそのクリニックを疑って下さい。
日本アレルギー学会の斎藤博久理事長は「誤った診断による食事制限は特に子どもにとっては非常に危険だ。正しい知識に基づく医療が行われるよう呼びかけていきたい」と話しています。