サノフィ株式会社(本社:フランス・パリ)及び米ニューヨーク州タリータウンの米Regeneron(リジェネロン)社の7月5日発表及び配信によると、サノフィ株式会社と米Regeneron社(本社:アイルランド共和国リムリック市)は共同で、高コレステロール血症治療剤「プラルエント®皮下注75mgペン、同皮下注150mgペン、同皮下注75mgシリンジ、同皮下注150mgシリンジ」(一般名:アリロクマブ(遺伝子組換え))について、7月4日に厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。
「プラルエント」は、PCSK9(前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)を標的とする、完全ヒト型モノクローナル抗体です。
今回承認された「プラルエント」の効能・効果は、「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症で、但し、心血管有害事故の発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る」と、なっている。
「プラルエント」は、いずれの規格(75mg、150mg)も、ペンとシリンジで提供する。
高コレステロール血症は、日本における深刻な問題の一つで、既存の脂質低下療法では、LDLコレステロールの管理目標値に到達出来ない患者が多数います。
二十歳以降の、高コレステロール血症(又は脂質異常症)の患者は、188万人以上と推定されており、治療しないまま放置すると、血液中のコレステロール(=肝臓で生合成される脂肪に似た物質)濃度が増加し過ぎた病的状態になり、動脈硬化症や虚血性心疾患に成り易いとされている。
血管の内側に中性脂肪やコレステロール(脂質の一種)が沈着して血管が狭くなり、更に運動不足などが重なると、動脈硬化を起こす要因にもなっています。
「プラルエント」は、血液中の過剰になったLDLコレステロールによって発症する高コレステロール血症(脂質異常症)の患者にとって、重要な治療選択肢となります。
国際協同第3相臨床試験「ODYSSEY」プログラムでは、「プラルエント」はプラセボ(偽薬)に比べて強力で、一貫したLDLコレステロール低下効果を示す事が明らかにされた。
これを受けて、国内第3相試験「ODYSSEY JAPAN」では、原発性高コレステロール血症の日本人患者を対象に、「プラルエント(開始用量75mg、効果不十分な場合は150mgに増量)」を2週毎に投与した時の有効性と安全性について、プラセボ(偽薬)との比較で評価した。
その結果、「ODYSSEY JAPAN」では、「プラルエント」の投与群が、投与開始後24週でのLDLコレステロールを63%低下させた。しかしプラセボ(偽薬)群では2%上昇しました。
日本における第2相および第3相臨床試験では、「プラルエント」投与者における副作用発現割合は、17.1%(193例中33例)でした。
主な副作用として、注射部位反応が22例(11.4%)に認められました。
「プラルエント®皮下注75mgペン、同皮下注150mgペン、同皮下注75mgシリンジ、同皮下注150mgシリンジ」は、米国、EU(英国含む)、カナダ及びメキシコで承認されています。 また「プラルエント」の投与で、LDLコレステロールが低下した場合の心血管疾患の罹患率と死亡率に及ぼす影響は、明らかにされていません。
【作用機序】
■「プラルエント」が、PCSK9(前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)の、LDL受容体への結合を阻害する事で、LDLコレステロール(いわゆる「悪玉」コレステロール)の除去に関与するLDL受容体数を増やし、その結果、LDLコレステロール値が低下します。
【効能又は効果】
■ 家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。
(但し、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る)
【効能又は効果に関連する使用上の注意】
(1) 適用の前に十分な診察及び検査を実施し、家族性高コレステロール血症又は高コレステロール血症である事を確認した上で、本剤の適用を考慮する事。
(2) 家族性高コレステロール血症以外の患者では、冠動脈疾患、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病等の罹患又は既往歴等から、心血管イベントの発現リスクが高い事を確認し、本剤投与の要否を判断する事。[要:【臨床成績】参照]
(3) 家族性高コレステロール血症のうち、ホモ接合体については、有効性及び安全性が確立していないので、本剤による治療の適否を特に慎重に判断し、本剤に対する反応が認められない場合には投与を中止する事。[要:【臨床成績】参照]
【用法及び用量】
■ 通常、成人にはアリロクマブ(遺伝子組換え)として75mgを2週に1回皮下投与する。
効果不十分な場合には、1回150mgに増量できる。
【用法及び用量に関連する使用上の注意】
(1) HMG-CoA還元酵素阻害剤と併用する事。[日本人における本剤だけの単独投与での有効性及び安全性は確立していない。]
(2) アフェレーシスと併用する場合には、アフェレーシス施行後に本剤を投与する事。