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既存薬無効な感染症の最終救済抗菌薬が登場

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グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都渋谷区)は、他系統の抗菌薬の効果が認められない緑膿菌感染症に対する治療薬の「最後の選択肢」として、ポリペプチド系抗生物質製剤「オルドレブ®点滴静注用150mg」(一般名:注射用コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム)について、3月26日厚生労働省より製造販売承認を取得した。

この医薬品に関しての申請時の記事は、2014年8月20日付に記載。
http://ameblo.jp/aki-prism/entry-11912571490.html


一般的な緑膿菌
緑膿菌の鞭毛とRNA
一般的な緑膿菌と緑膿菌の鞭毛及び菌内のRNA。


近年、緑膿菌を中心としてグラム陰性菌の薬剤耐性化が進行しており、治療薬の選択肢が限られるなど、臨床上の大きな課題となっている。
新たな抗菌薬に対して、グラム陰性菌の耐性化変異が急速に進み、特に院内感染においては、殆ど効果が期待できない多剤耐性緑膿菌、多剤耐性アシネトバクター属などの、多剤耐性グラム陰性桿菌による感染症の発現が喫緊な問題となっている。

今回承認された「オルドレブ®」は、国内外のガイドラインにおいて、他系統の抗菌薬の効果が認められない緑膿菌感染症に対する治療薬の「最後の選択肢」として位置づけられている。


オルドレブ点滴静注用150mg
オルドレブ点滴静注用150mg:1バイアル



元々「コリスチン(別名:ポリミキシンE)」は、1950年代に日本で発見された、サイクリックポリペプチド系抗菌薬である。
1960~1970年代にかけて「グラム陰性桿菌由来感染症」に使用されてきたが、腎機能障害や神経毒性の頻度が高いこと、βラクタム系およびアミノグリコシド系抗菌薬が開発・使用されたことなどにより、日本国内で注射製剤は使用されなくなり、経口および外用製剤のみが臨床使用されていた。


しかし近年の薬剤耐性菌の出現により、治療薬の限界が見えてきたのだ。


このような状況から、今回の承認には、2009年に「医療上の必要性の高い未承認の医薬品または適応の開発の要望に関する意見募集」が実施された際に、社団法人日本化学療法学会から、「多剤耐性緑膿菌由来感染症」の治療薬として開発要請が提出された経緯がある。

そして厚生労働省は、2010年4月の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発の必要性が評価され、製薬会社を募集し、薬剤開発要請がなされていた。



種種の感染症
感染症は、エボラ出血熱やコレラなど、致死性の高い感染症法に記載されたものばかりではなく、
食中毒による感染症や風邪の感染症、集団感染もある結核や
ノロウイルス、RSウイルスなど様々な感染症があり、
歯の治療などの際にも化膿止めとして処方されるのが、抗菌薬(抗生剤)である。



グラクソ・スミスクライン株式会社は、本剤の医療上の必要性を鑑み、点滴静注製剤として、また腎機能障害などの重い副作用の少ない薬剤の開発に取り組んできた。

そして2010年11月には希少疾病用医薬品として指定され、日本の健康成人男性を対象とした第1相臨床試験で安全性が確認された。




「オルドレブ®点滴静注(注射用コリスチン)」の作用機序。
コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム製剤作用機序
コリスチンは、グラム陰性菌の外膜にあるリポポリサッカライド分子に結びつき
細胞の安定性を低下させ、細胞構成物質を流出させて殺菌活性を発揮する。


本製剤は、既存の薬剤では期待できない感染症に対する『最終救済薬』と評価されている。

しかし、副作用の発現など過去の経緯などから、薬剤使用に関しては適応する感染症や患者の選択、さらに投与中の患者の状態観察を定期的に行う必要があり、本薬剤は、承認時までの日本における対象患者が少ないこともあり、製造販売後も一定数の症例が集積するまでは、全症例に使用成績調査を実施することとなっている。


<適応菌種>
コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属。

<用法・用量>
通常、成人には、コリスチンとして1回1.25~2.5 mg(力価)/kg(体重当たり)を1日2回、30分以上かけて点滴静注する。




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難治性多発性骨髄腫治療薬「ポマリスト®」本日から発売

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セルジーン株式会社(本社:東京都千代田区)は、5月20日に薬価収載される、レナリドミド及びボルテゾミブの治療歴がある、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として、抗造血器悪性腫瘍薬「ポマリドミド®」(商品名:ポマリスト®カプセル1mg、同カプセル2mg、同カプセル3mg、同カプセル4mg)の販売を開始した。


「ポマリスト」は、多発性骨髄腫の標準的治療薬、「メルファラン(商品名:アルケラン)/プレドニゾロン療法(MP療法)」や、3種類以上の抗癌剤を併用する多剤併用療法、更に「サリドマイド(商品名サレド)」、「ボルテゾミブ(商品名ベルケイド)」、「レナリドミド(商品名レブラミド)」などの新しい薬剤の使用でも、尚、再発および難治化する症例が少なくなく、より有効性の高い薬剤として、本年3月26日、製造販売承認を取得した。



多発性骨髄腫は、血液細胞の一つである形質細胞が癌化して増殖する血液の癌で、貧血や骨の痛
みなど様々な症状を引き起こす。
血液形質細胞は、免疫システムの重要な役割を担っており、感染症などと闘う抗体を産生する。

しかし多発性骨髄腫では、癌化した形質細胞がパラプロテイン(異常タンパク又はM蛋白)と呼ばれる、抗体としては作用しない免疫グロブリンを産生し、免疫能力の低下などを来す。
原因は不明であるが、遺伝的素因が疑われている。



近年「レナリドミド」や「ボルテゾミブ」など、治療薬や治療法の進歩により、寛解率が高まり、生存期間は延長しているものの、未だに治癒は難しい癌疾患で、日本での多発性骨髄腫の総患者数は14,000 人程度と推定されている。




デキサメタゾン

ポマリストカプセル4mg

「ポマリスト®」は、米国セルジーン社にて創製された免疫調節薬(IMiDs®)で、サイトカイン(免疫グロブリンを除く免疫系の細胞産生する蛋白質の総称)の産生調節作用、腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用等の薬理作用を示す、抗造血器悪性腫瘍薬である。
本剤は既に、米国及び欧州を始め世界36カ国で承認されている。



販売名:ポマリスト®カプセル1mg、同2mg、同3mg、同4mg

一般名:ポマリドミド

効能・効果:再発又は難治性の多発性骨髄腫

用法・用量:「デキサメタゾン」との併用において、通常、成人には「ポマリドミド」として1 日1回4mg を21日間連日経口投与した後、7 日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。

主な副作用 : 好中球減少症(69.4%)、血小板減少症(33.3%)、発疹(22.2%)などであり、重大な副作用は深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳梗塞など。

尚、本薬はサリドマイド誘導体であり、催奇形性を有する可能性があるため、胎児が本薬に曝される事がないよう、製造販売元に対して厳格な安全管理体制の構築が指示されている。








「科学的根拠なし」食物アレルギーの高額な血液検査

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日本アレルギー学会が28日、「慢性疲労などの原因となる食物アレルギーが診断できる」として、一部の医療機関で行われている高額の血液検査について、「科学的に根拠がなく、健康被害を招く恐れがある不適切な診断が行われている」として注意を呼びかけました。

1食物アレルギー検査根拠無し

この血液検査は、免疫機能の指標であるIgGという抗体の値を調べるもので、「疲労や頭痛などさまざまな慢性症状は『遅延型』と呼ばれる食物アレルギーのせいで、その原因となる食品が分かる」などとして一部の医療機関で行われています。

検査は保険がきかず、中には5万円以上かかったり、特定の食品について食べないよう指導されたりするケースもあるという事です。


食物アレルギー検査根拠無し
食物アレルギー検査根拠無し

しかし、この抗体は健康な人の体内にも存在することなどから、欧米の学会などでは、「科学的根拠がない」として、食物アレルギーの診断には使うべきではないという見解をまとめている。

28日の日本アレルギー学会の東京での市民講座では、厚生労働省の研究班が去年、2000人余りの患者に対して行った調査結果が示され、この検査を基に、特定の食品を食べるのをやめていた人が、大人では17%、子どもでは5%いたことが報告されました。

学会の見解として、「科学的根拠がなく、検査を基に多くの食品の摂取を制限すると低栄養などの健康被害を招く恐れもある」として注意を呼びかけました。



とあるクリニックで使われている食物アレルギーIgG抗体検査キット
とある食物アレルギー検査キット

とある食物アレルギー検査費用
保険適応外のため、診断料はやはり高額。

食物アレルギーの正しい検査には、『食物負荷試験』が欠かせません。
大学病院などのアレルギー科(専門外来)で受診するのがベストです!
高額な血液検査が必要と言われたら、必ずそのクリニックを疑って下さい。


日本アレルギー学会の斎藤博久理事長は「誤った診断による食事制限は特に子どもにとっては非常に危険だ。正しい知識に基づく医療が行われるよう呼びかけていきたい」と話しています。



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癌転移抑制へ臨床研究9月開始、最初は肺がん患者を対象に

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ハンプ注射用ANP
アルファ型ヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチド製剤
「ハンプ注射用1000©」

肺がんの手術後の転移を抑えると期待される、急性心不全治療薬「ハンプ®」。

既に心不全の治療薬として承認されている、この薬剤に着目したのは、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の野尻崇・ペプチド創薬研究室長らの研究グループで、6月1日、肺がんの手術後の転移を抑える臨床研究を、大阪大学附属病院など国内10施設が9月以降、順次始めると発表した。



癌細胞を直接攻撃するのではなく、癌細胞が増殖するために必要な、癌細胞から伸びる新たな血管の成長を阻止する事で、転移を防ぐ新しいタイプの薬として、効果が出るかどうか注目される。
近年、心臓から分泌される心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)ホルモンが血管に作用して、癌の転移を抑制する効果が確認されていた。



他にも、抗悪性腫瘍剤「ベバシズマブ」や、VEGF受容体阻害薬、チロシンキナーゼ阻害剤など多数の同様作用の薬剤が臨床使用されているものの、これらは化学療法薬である為、抗がん剤と同じ副作用が現れる。

しかし心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は本来、心臓から分泌されるホルモンであり、心不全の治療という、全く異なる治療に使われて来た───。
それが、副作用も少なく、癌の転移抑制にも有効となれば、世界初の薬剤という事になる。



ANPが癌の新生血管阻害
ANPが癌の新生血管を阻害する。



臨床研究は、ANPの効果を詳しく調べるのが目的で、肺がんの手術を受ける患者500人を、手術の直前からANPを3日間点滴する群と、点滴しない群に分けて、手術後に肺がんが転移した割合などを比べる。
ANPは、癌を抑える薬として未承認だが、臨床研究は医療費の一部に公的医療保険が使える、「先進医療B」の審査期間を短縮する国家戦略特区の特例が適用される、全国初の事例となる。



これまで2月の段階では、参加する施設は9施設だったが、1医療施設が追加され、臨床研究に参加するのは以下の10施設となった。

北海道大学病院▽山形大学医学部附属病院▽山形県立中央病院▽東京大学医学部附属病院▽大阪大学医学部附属病院▽神戸大学医学部附属病院▽国立病院機構刀根山病院(大阪府豊中市)▽大阪府立成人病センター▽大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター。
(新規)国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)。



主任研究者を務める国立循環器病研究センターの野尻崇・ペプチド創薬研究室長は「ANPが、癌の転移を抑制するという新しいアイデアを活用した初めての臨床研究になる」と話す。



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急性薬物中毒の4割、「医師が薬出し過ぎ」の真実

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医療経済研究機構(東京都港区)が6月10日発表した、「急性薬物中毒に関する向精神薬処方の研究」で、精神科医の薬の過剰処方に問題があるという内容が指摘された。

抗不安薬や睡眠薬を過剰服用して意識障害などが表れる急性薬物中毒を起こした患者の約4割が、添付文書で定められた規定量を超える処方をされていたとする調査結果を、医療経済研究機構がまとめた。
同機構の研究グループは「処方のあり方を見直す必要がある」としている。

研究グループは、健康保険組合の加入者172万人分の診療報酬明細書のデータを分析。2012年10月~2013年11月の間に、自殺などを目的に多量の抗不安薬や睡眠薬を服用し、急性薬物中毒を起こした210人について、その3か月前までさかのぼって薬の処方状況を調べた。対象者は、うつ病や統合失調症など、精神疾患の患者が多数を占めた。
添付文書で定められた規定量を超えて処方されていたのは82人で、39%に上った。処方した医師は、精神科医が89%を占めた。    
■引用元 2015年06月10日:読売新聞


公に発表されたのはこれだけの記事である。


急性薬物中毒患者

しかしこれだけでは急性薬物中毒の全体像や、男女別人数、年齢偏差、精神疾患の病態度合い、通院日数など詳細が全く分からない。


ただ単に数字だけを捉える事の危険さは、あたかも精神疾患の患者が、医師から大量の薬を処方され、それによって薬物中毒になったように読めてしまう……。


そこでこの数字に隠された真実を紐解いて見よう───。



医療経済研究機構が出した『過量(過剰)服薬の発生前における向精神薬処方に関する研究について』を見ると。


*健康保険組合加入者172万人のレセプトデータベースを用いて、症例対照研究の手法により分析した。
 平成24(2012)年10月から平成25(2013)年11月までに受診した過剰服薬患者351名を症例群、また過剰服薬患者群と性別・年齢が近似する、うつ病患者1,755名を過剰服薬のハイリスク対照 群とし、両群について、6か月(180日)前における向精神薬の処方状況を比較した。


薬物過剰服薬180日前
過剰服薬の発生前180日の処方による治療中。


  1)上図のように、過剰服薬患者351人のうち、62%に抗不安薬・睡眠薬、44%に抗うつ薬、31%に抗精神病薬、20%に気分安定薬が、中毒事案発生180日前以内に処方されていた。

  2)直近の処方時期は、過剰服薬の発生から90日以前を超えることは少なく、93~96%は90日以内であることが示された。

  3)患者が治療継続をしないまま、過去に処方された薬剤を服薬せずに蓄え残して置き、過剰摂取
している場合は、医師や薬剤師が過剰服薬の発生予防に寄与することは困難だ。
しかし大部分の患者は、少なくとも過剰服薬による薬物中毒の発生90日前までは治療継続している事から、服薬の状況の確認など医師や薬剤師による関与の機会はあると考えられる。


薬物過剰服薬90日前
過剰服薬の発生前90日の処方割合。


この資料を読み解くと、6ヶ月前の診察で処方される薬剤は19~62%の範囲で、全種類の薬剤を同時処方されるには至っていないようだ。

尚、2015年(平成27年3月)から法律が改正され、精神科で処方出来る薬剤の数に制限が設けられ、同じ効能の薬剤を複数処方する事が出来なくなった。又、同時に何種類もの抗精神病薬の処方も禁止されているので、これは法律改正前(2012年から2013年)の集計データである事を念頭に入れておく必要がある。


また最も問題なのは、定められた規定量を超えて処方する精神科医が89%を占めた事だ。


過剰処方精神科医の増加
過剰処方精神科医の増加。


抗不安薬・睡眠薬についての90日以内の処方状況は、過剰服薬患者群(351人)では、23%に高用量処方、5%にバルビツール酸系睡眠薬処方、3%に重複処方(2種類以上)が認められた。

一方、うつ病患者群(1,755人)では、7%に高用量処方、1%にバルビツール酸系睡眠薬処方、1%に重複処方が認められた。

研究法の限界から、因果関係は明らかではないが、過剰服薬をする可能性には、高用量処方、バルビツール酸系睡眠薬の処方 、重複処方が関連していることが確認された。


高用量処方、バルビツール酸系睡眠薬重複高用量処方、バルビツール酸系睡眠薬重複高用量処方、バルビツール酸系睡眠薬重複のある患者大部分は、 精神科医師による診療を受けている事が示された(66.7%が2種類以上をされている、図表4)。

精神科医師は、薬物療法によるベネフィットと過剰服薬のリスクを勘案し、注意深い処方の見直 しが求められると言わざるを得ない。


危険なビル中の精神科クリニック
年々増加しているビル中の精神科クリニック。
勿論、ビルの中にある為、急患対応はしていない。
更に抗不安剤などの筋注や、虚脱時の点滴用ベッドすら無いクリニックが多い。
処方薬を次々に追加し、満足な血液検査もしないまま、薬漬けの傾向に……


ここで最も重要な事は、自殺などを目的に急性薬物中毒になる人も、精神疾患の患者であると言う事だ。
そしてそうした患者を救う事が、精神科医に課せられた最も重要な仕事だと言う事。

その時だけの処方で、あとは他人まかせであってはならない。
薬の処方によって、症状の軽くなる人と、薬によって心の苦痛から逃れようとする人の心理は、紙一重。



また患者さんご自身も、症状を悪化させない為に、精神科(メンタルクリニック)を選ぶ際には、最初は必ず入院設備のある病院を選んで下さい。
病院の選択肢は患者自身に任されていますが、処方薬は必ず、肝臓で解毒されて体外に排出されるので、血液検査を実施している病院を選ぶ事も重要です。



安易に、ビル中の開業医を選ばず、まず初めは臆せず「入院応需」の病院選択をお勧めします。



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聖マリアンナ医大精神科医、新たに指導医3人処分へ

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今年4月20日に、聖マリアンナ医科大病院(私立・神奈川県川崎市宮前区)の神経精神科の医師が、「精神保健指定医」の資格を不正取得したとして、厚生労働省は「医道審議会」医師分科会精神保健指定医資格審査部会の答申を受けて、医師11人とその指導医9人の計20人に対し、資格を取り消す処分を決定した───。

聖マリアンナ医科大病院指導医師資格不正取得
2015年4月20日、聖マリアンナ医科大病院で精神保健指定医資格を不正取得が発覚。
医師11人とその指導医9人の計20人の資格取り消し処分!


その後も厚生労働省は、全国の医療機関の精神保健指定医の申請内容について、可能な範囲で調査を実施して来た……


そして又しても、聖マリアンナ医科大病院について、医師が重い精神障害がある患者の強制的な入院が必要かどうかなどを判定する、「精神保健指定医」の資格を不正に取得していたとして、新たに3人の医師について資格を取り消す処分が妥当だという結論をまとめた。
3人については19日付で指導医の指定が取り消される。


聖マリアンナ
更に追加発覚した精神保健指定医の資格を不正取得に加担した
指導医3人がいる聖マリアンナ医科大病院。

聖マリアンナ医科大病院指導医師資格不正取得


3人は聖マリアンナ医科大病院に勤務する指導医で、長田賢一准教授と宮本聖也准教授と丸田智子講師。
【氏名公表は2015年06月17日22時07分の毎日新聞電子版に掲載を転載】

これで聖マリアンナ医科大病院の精神保健指定医の資格取り消しは、4月の20人と合わせて23人となった───。


聖マリアンナ医科大病院指導医師資格不正取得
厚生労働省医道審議会の発表。



精神保健指定医になるためには、8人の患者の診療リポートをまとめ、指定医の資格を持つ医師(上級医)が指導役として署名をし、厚生労働省に提出するが、4月の段階では11人の医師が指定を取得するため、自分が診察していない患者のレポートを提出するなどして国の審査を受けていた。
その後、大学や厚生労働省が調査を行ったところ、先の9人の指導医以外に、新たに3人の医師が不正を行った医師の指導に当たっていた事が分かったと言う。

厚生労働省は、病院が組織として、不正に関与した確証は得られなかったとしているが、他にも不正取得がないか調査を続けるとしている。



全国で臨床精神科医が不足している現状は分かるが、
自ら患者の状態や病態を知ろうとしないで、精神疾患の患者の心の奥底にある
深遠難解な心的苦痛や苦悩を洞察する力が培われるとは思えない・・・。

こうした精神科医が蔓延する事で、
入院設備の無い精神科クリニックが増えているのかもしれない。

優秀な医者は、1日して成らず。
自分で診察し、経験を積み重ねるしか、
閉ざされた心の根底を見極める精神科医は育たない!



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PGSを妊娠率向上のため、神戸の医院が559人に実施

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26日に千葉市で開かれた日本遺伝カウンセリング学会で、不妊治療を専門に行っている兵庫県神戸市の「大谷レディスクリニック」が、体外受精させた受精卵の段階で、染色体に異常がないかを調べる「着床前スクリーニング(PGS)」を実施していたことが明らかになった。

体外受精卵の不良選別

*「着床前スクリーニング(PGS)」は、日本では「スクリーニング=screening」で「選別」や「ふるい分け」と使われているが、アメリカでは「着床前遺伝子診断(PGD=Preimplantation Genetic Diagnosis」と呼称する。




体外受精卵の優劣選別

発表によると「大谷レディスクリニック」では、2011年から2014年7月までのおよそ3年半で、559人の女性に、体外受精でできた受精卵のすべての染色体をあらかじめ調べ、異常が無いものだけを子宮に戻す「着床前スクリーニング」を行ったということです。



日本産科婦人科学会の指針では、不妊治療の際に、「着床前スクリーニング=着床前遺伝子診断」は、流産経験者が流産を繰り返さないようになどの目的で、体外受精卵を調べ、異常のない受精卵だけを子宮に戻す不妊治療の一つだが、倫理的な問題や病気や性別が事前に分かってしまうなど、「命の選別」につながるなどの批判もあり、実施を認めていません。


体外受精卵の優劣選別

「大谷レディスクリニック」によると、「着床前スクリーニング=着床前遺伝子診断」を行って妊娠したのは246回で、このうち9.8%に当たる24回が、その後、流産したという。
検査を受けた女性たちは、いずれも体外受精をしても妊娠しなかったり、流産を繰り返したりした人たちで、平均年齢は40.4歳だったという事です。

クリニックの大谷徹郎院長は、「流産を減らせる有効な治療だと考えている。精神的にも肉体的にも辛い思いをしている患者のために行った」と話す一方、「流産率を下げるのには有効な手段だが、全ての人が出産できるわけではない」としている。




 ■ 発表が行われた日本遺伝カウンセリング学会の齋藤加代子理事長は、
「認められていない着床前スクリーニングを勝手に行うのは問題だ」とした上で、「患者のためなら何をやっても良いとすれば、倫理的に大きな問題が起こりえる。この技術は命の選別につながるおそれもあり、議論はまだ尽くされていない。今後、関連学会で有効性や生命倫理について議論を重ねる必要がある」と、話しています。


仕切り点線
仕切り点線

国内での着床前受精卵診断

2013年、新型出生前診断で妊娠した胎児の染色体を調べ、ダウン症、重い心疾患のエドワーズ症候群、呼吸不全バトー症候群の三種類に限り診断する事が始まったが、その後、中絶が増え、騒ぎになったものの、その後パッタリ話題からは遠ざかった。


受精卵の中の染色体

染色体検査結果の優劣染色体
「着床前スクリーニング(PGS)」では特定の染色体から、受精卵の全染色体を検査する。

この検査では親の染色体(遺伝子座)をノーマルな染色体としてマーキング(±0)し、その染色体情報が、子供である受精卵に正常にコピーされたかを判定する。
より正常であれば、流産したり着床しなかったりが起こりにくい、と考えられての事。


「着床前スクリーニング(PGS)」分析結果の簡略図。
第11番染色体と第22番染色体に異常があると判断された場合・・・。
着床前遺伝子診断_分析結果
プラス(+)側になると、染色体情報が重複されてコピーされ、マイナス(-)側になると、染色体情報が欠損していると判断される。

上図では、第11番染色体と第22番染色体に極端な遺伝情報の重複コピーと欠損が見られる。
但し、男女のそれぞれ2対=計4対の染色体が、受精の段階で合体し、減数して2対になるので、マーキング(±0)には幅があって当然となる。


女性の年齢が若いほど、この幅の誤差は小さく、高齢妊娠になると幅が大きくなるため、子宮に着床しにくくなる。
本来はこうした重複コピーや欠損のある受精卵は、流産の割合が高いが、医療の進歩で妊娠が継続できるようになったり、早産の救命率も上がっている。

しかしそれに追いついていないのが、女性の妊娠年齢の高齢化で、どんなに受精卵を選別したとしても、妊娠できない女性は確実に増えている・・・。





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防腐剤を含まない緑内障治療剤「コソプトミニ配合点眼液」が発売

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参天製薬株式会社(大阪市北区)は6月24日、緑内障・高眼圧症治療剤「コソプトミニ配合点眼液」(一般名:ドルゾラミド塩酸塩/チモロールマレイン酸塩)を発売したと発表しました。


コソプトミニ配合点眼液


緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害されて、視野狭窄・視野欠損が進行する疾患で、眼疾患による視覚障害(視力低下、特に失明)の最も主な原因となっています。

緑内障の症状には、急激に眼圧が上昇し眼の痛みや頭痛、吐き気など激しい症状を起こす、急性緑内障と、ほとんど自覚症状が無いまま病気が進行してしまう、慢性緑内障があります。



緑内障の視野欠損
左は正常の場合、右は進行した緑内障患者の視野欠損のイメージです。
又それぞれの写真左下の図は、よく眼科でボタンを押して実施する視野検査の結果。
黒い部分が検査で見えない部分で、実際の視野と共通しています。

ここまで進行すると自動車の運転は危険になります。
しかし殆どの人が気づかないのは、両眼で見ているので、欠損部分を補うからです。



眼のなかには血液の代わりとなって栄養などを運ぶ「房水(ぼうすい)」が流れています。
房水と眼圧


房水の流れ
「房水」は【毛様体】という組織で作られ、【虹彩】の裏を通過して【前房】に至り、
【線維柱帯】を経て【シュレム管】から排出され、眼外の血管へ流れていくという
定まった経路で循環しています。



緑内障の原因は、角膜や水晶体などに栄養を運ぶ房水(ぼうすい)の量が、何らかの原因で産生と排出が、定まった経路で循環しなくなる事で起こります。


急性緑内障も慢性緑内障も、治療法は進歩し、かなりの患者さんで視野障害の進行を防ぐことが出来るようになってきましたが、治癒させる事は出来ない為、最も多い慢性緑内障では、治療開始が遅れると、薬剤や手術治療を行っても、視野障害が進行しないようにするのが精一杯で、治療を中断すると、症状が進行し失明したり、ほとんど視力がゼロに近い状態になります。

従って、緑内障の視神経障害は、基本的には進行性で非可逆的(元に戻すことが出来ない)であるため、早期発見と長期的な眼圧のコントロールが基本となります。



コソプトミニ配合点眼液1


今回、新たに発売された「コソプトミニ配合点眼液」は、緑内障の薬物治療で、症状によって使われる5種類の緑内障治療薬に含まれる、防腐剤のベンザルコニウム塩化物を全く含まない点眼液です。

慢性疾患の治療は長期に渡り、また複数の薬剤が併用されることから、防腐剤のベンザルコニウム塩化物に過敏症を示す患者がおり、角膜上皮障害を合併することが多くなる。


主な緑内障治療点眼薬
これらの薬剤(点眼液)が緑内障のタイプ、眼圧の高さ、視野異常の進行度などに合わせて処方される。


「コソプトミニ配合点眼液」は、「コソプト配合点眼液」と同じ炭酸脱水酵素阻害剤「トルソプト点眼液 1%」(一般名:ドルゾラミド塩酸塩)と、β遮断剤「チモプトール点眼液 0.5%」(一般名:チモロールマレイン酸塩)を含有する、防腐剤を含まない、1回使い切り無菌ディスポーザブルタイプ容器入りの点眼剤です。

効能・効果
次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合: 緑内障、高眼圧症。

用法・用量
1回1滴、1日2回点眼する。

薬価
0.4mL 1本 64.00円




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C型肝炎1型治療薬「ハーボニー®配合錠」が製造販売承認取得

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ギリアド・サイエンシズ株式会社(本社:東京都千代田区)は7月3日、ジェノタイプ1型C型慢性肝炎治療薬「ハーボニー®配合錠」(一般名:レジパスビル・ソホスブビル配合剤)の製造販売承認を取得したと発表した。

日本で200万人いるとされるC型肝炎患者の7~8割が「1型」タイプとされ、日本は先進国の中で最も肝臓がんの発症率が高い国の一つと言われている。




C型肝炎の原因は、主としてC型肝炎ウイルス(HCV)に感染して起こる病気で、進行するとC型慢性肝炎に移行し、肝硬変や肝臓がんを引き起こす。
200万人と推定されるC型肝炎患者のうち、100万人を超すと言われるC型慢性肝炎患者の70~80%が「ジェノタイプ1型C型肝炎ウイルス」に感染していると言われています。





今回製造販売承認を取得した『ジェノタイプ1型C型慢性肝炎治療薬「ハーボニー®配合錠」』は、米ギリアド・サイエンシズ社の日本法人が、国内第III相臨床試験で、患者157人に使用し、12週間の服用で、患者全員でウイルスが確認されなくなった(肝炎ウイルス消滅)という100%の著効率(SVR12)を達成したと言う事です。



インターフェロンとリバビリン錠
インターフェロンと錠剤

これまでC型肝炎の治療には、インターフェロン(ウイルス抑制タンパク質)や抗ウイルス薬「リバビリン」が使われて来ましたが、「C型肝炎1型」の患者には効き目がないこともあり、新たな治療薬の登場が待たれていました。

「ハーボニー®配合錠」は、NS5A阻害薬「レジパスビル」と核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬「ソホスブビル」の配合剤で、ジェノタイプ1型のC型慢性肝炎患者の多くが、1日1回1錠の経口剤による12週間の投与での治療が可能となります。

肝硬変や肝臓がんに移行する前の、早期の肝炎ウイルス感染時や、C型肝炎と診断された後でも、直ぐに治療を開始すれば、肝炎ウイルスを死滅させ、進行を防ぐ事が可能となります。
検診での血液検査で、肝機能値に異常が現れたら、すぐにウイルス検査をしましょう!

血液検査は非常に簡単です。是非、定期検診をお忘れなく。


厚生労働相の諮問機関は8月にも同新薬の価格を決める見通しで、国の助成があるものの患者負担は月1万~2万円程度になると見られています。




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世界初、低ホスファターゼ症治療薬「ストレンジック」日本で承認

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米国アレクシオン・ファーマスーティカルズ(米コネチカット州)とアレクシオンファーマ合同会社(東京都渋谷区)は7月6日、命を脅かす、極めて稀な代謝性疾患である『低ホスファターゼ症(HPP)』の患者に対する治療薬として、「ストレンジックⓇ(=STRENSIQⓇ)」(一般名:アスホターゼ アルファ=Asfotase Alfa)の使用に関する新薬承認申請(NDA)を、厚生労働省から承認したと発表した。

本剤は低ホスファターゼ症(HPP)の治療薬として、世界に先駆けて日本で初めて承認されました。


アレクシオンファーマは、日本で最初の「ストレンジックⓇ)」の市販品によるHPP患者の治療が、第3四半期(10月から12月)後半までには開始されると見込んでいます。



「低ホスファターゼ症」は、極めて稀な代謝性骨疾患で、組織非特異的アルカリホスファターゼ(ALP)遺伝子の活性低下により、骨の石灰化が障害される常染色体劣性または優性の遺伝性疾患です。
病状は、骨が成長できず、肺が成長しても、肋骨が成長できないので、肺炎や呼吸困難などを起こしやすく、呼吸不全で亡くなったり、人工呼吸器での管理が必要となります。

またカルシウムが骨に沈着できない為、血中、尿中に出てしまい、高カルシウム血症、尿症を引き起こし、進行すると腎不全になり、予後は不良です。



「低ホスファターゼ症」は重症度、発症時期などにより、6つに分類されます。

1.周産期重症型 : 最も重症な病型で、出生時に四肢短縮、頭囲の相対的拡大、狭い胸郭を認める。X線で、全身骨の低石灰化、長管骨の変形、などを認める。

2.周産期軽症型 :骨変形などから胎児期に診断された低ホスファターゼ症症例の中に、良好な骨石灰化を認める予後良好な病型。

3.乳児型 :生後6か月までに発症し、乳児期に死亡する症例もある予後不良な病型。

4.小児型 :小児期に発症するタイプで重症度はさまざまである。乳歯の早期喪失を伴うのが特徴である。

5.成人型 :成人期、主に中年期になってから発症するタイプで、病的骨折、骨痛によって気づく。

6.歯限局型 :骨に病変が限定されるタイプで、乳歯の早期脱落などを認める。




「低ホスファターゼ症」を引き起こす、遺伝子変異の場所は、第1番染色体上にあります。
第1番染色体ALPL
「低ホスファターゼ症(HPP)」の根本的な原因である、骨形成に必要な指令を出すアルカリホスファターゼ(ALP)遺伝子は、第1番染色体のp36.12座に存在する『ALPL』遺伝子の欠損が原因ですが、この遺伝子の塩基対は21,508,981~21,578,411と広範に分布しており、どの部分の塩基対が欠損するかによって、発症病例も異なって来る。


患者数は、海外では10万人に1人くらいと言われていますが、日本での正式な調査はなく、毎年、10人ほど、この病気の子どもが生まれていると思われますが、軽症の場合は、診断されずに過ごされている方も多いと思われています。

2010年に小児科医・産科医にアンケート調査を行ったところ、合計24名の患者の存在が確認され、このうち胎児期に発症した例が、15名と過半数を占めたと報告されている。

しかし、これまで有効な治療法も薬もありませんでした。



ストレンジック皮下注

今回世界で初めて日本で承認された「ストレンジックⓇ」は、低ホスファターゼ症の根本的な原因であるアルカリホスファターゼ(ALP)の欠損を解消すべくデザインされた、骨を標的とした画期的新薬の酵素補充療法です。

「ストレンジックⓇ」による治療は、主に骨組織において欠乏したALPの補充、骨石灰化を阻害する無機ピロリン酸を分解し、産生した無機リン酸がカルシウムとともにハイドロキシアパタイトを生成することにより、骨石灰化を促進します。

それにより、重篤な骨格および全身性の重篤な病態と早期死亡を予防することを目標としている。

【用法・用量】
通常、アスホターゼ アルファ(遺伝子組換え)として、1回1mg/kgを週6回、又は1回2mg/kgを週3回皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、適宜減量する。





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小児用補助人工心臓を保険適用 8月から実施

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記事・コピー・子供用補助人工心臓承認

子供用補助人工心臓保険適応承認
子供用補助人工心臓保険適応承認

厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)は22日、ドイツの医療機器メーカー、ベルリンハート(Berlin heart)社が開発した、小児用補助人工心臓「EXCOR(エクスコア)」の保険適用を承認した。
8月1日から実施される。


小児用補助人工心臓「EXCOR(エクスコア)」は、体内に装着したポンプが血液を送り出し、心臓の働きを補助するもので、中央社会保険医療協議会が、重い心臓病の子どもに付けて、心臓の働きを助ける医療機器、補助人工心臓について、「医療上の緊急性や必要性が特に高い」などとして、来月から医療保険を適用することを承認しました。

国内では大人用の補助人工心臓しか承認されておらず、小児用の適用は初めてです。


子供用補助人工心臓保険適応承認

厚生労働省によると、年間25人程度の子供に使われると見込まれ、心臓移植を受けるまでの間、心機能の低下を補う繋ぎとして使われる。

但し保険適用後も心臓の片側を補助するために1カ月間使用した場合、手術費も含め900万円近く医療費がかかる。重い心臓病の場合、左右に1個ずつ計2台のポンプが使われるので、更に医療費がかかる事になる。
しかし、患者の自己負担を軽減する高額療養費制度や、自治体単位の医療費助成制度があるため、実際の患者負担はかなり抑えられる見通しだと言う。




補助人工心臓の使用

「EXCOR(エクスコア)」は、欧米では広く使われているが、日本国内では医療機器の承認に遅れが生じており、国内で海外の医療機器が使えない「デバイスラグ」として問題視されていた。

今年1月、心臓の移植手術を待っていた東海地方の女児が、国内で未承認だった為、「EXCOR」を使えず、大人用補助人工心臓を使用していた際に生じたと見られる血栓で、脳の血管が詰まり、脳死になった。

子供は大人に比べ血流量が少なく、血液を流すポンプの回転数を下げる必要があるが、それは血栓の危険性を高めることになる。簡易型の補助人工心臓は長期使用を前提としておらず、特に血栓ができやすい。

しかし国内では、小さな子供が安全に使える補助人工心臓は承認されていなかった為、女児の両親が改善を求めた結果、厚生労働省の専門部会は6月に異例の迅速審査で国内販売を認めた。




ドイツ製の「EXCOR® Pediatric」は、世界で唯一の小児用体外設置式補助人工心臓システムで、補助人工心臓駆動装置(Ikus)と、血液ポンプと、脱血用及び送血用カニューレ、ドライビングチューブ等で構成されています。



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身長のパラドックス

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英スコットランドのエジンバラ大学遺伝学上級講師、ジム・ウィルソン(Jim Wilson)博士の大規模国際比較研究グループは、両親の遺伝子の遺伝的類似点が似ていない程、生まれる子供の身長、及び知能が高い傾向がある事が、世界的な遺伝情報の選別パターンで見い出されたとの研究が報告され、7月1日、英科学誌「Nature(ネイチャー)」に掲載された。



研究グループは、今回の比較研究のために、世界中の主要都市と郊外に暮らす数千人に関する遺伝子解析(ゲノム解析)、及び健康状態を分析した。その数は世界で、35万人以上に達したと言う。

研究では、2人の親から全く同一の遺伝子コピーを受け継いでいる子供の例を探した。

その結果、両親の遺伝的相違点や多様性の差異が大きい程、子供の身長、認知技能(学ぶ事、覚える事、問題を解決する能力等)、学業成績、肺機能の4つの特徴に関連して、どれも両親の差異が大きい程優れていた───。


これまで両親が互いに近親であると、稀な遺伝性疾患のリスクが高まることは以前から知られており、親戚やいとこなど遺伝子情報が近い者同士では、子供は「進化の合理性(evolutionary fitness)」を減らすために、遺伝的疾患を抱えているのではないか・・・と、「種の起源」の著者で生物学者でもあるチャールズ・ダーウィンも指摘していました。



実際、チャールズ・ダーウィンは彼のいとこと結婚していて、それが彼自身の子供たちにどんな影響を及ぼすのかについて、疑問に思っていたのは有名な事です……。


しかし今回の研究は、近親婚についての遺伝的疾患や優越を調査した訳ではなく、人間の身長や知能が、どのような両親なら高い傾向になるか、と言う遺伝的相違点を探る事が目的でした。

そのために35万人以上の両親とその子供の、全遺伝子のゲノム解析を行った。

その結果、子供が両親から同一の遺伝子をコピーしていない場合、二つの家族(両親)に僅かでも関連はありそうに無く、もし同一の遺伝子コピー数が多いと、二つの家族の先祖に関連があった可能性があると言う事です。





また、両親の遺伝的相違点は、コレステロール値、体重、その他身体的特徴(○脚や腕の長さ等)に関しては、両親の遺伝子情報はあまり重要ではなかった。
それ以外の糖尿病、高血圧と心臓病のような健康問題は、人生後半に一般的に起こる事と、米ニューヨーク州ノースショア-LIJヘルスシステムの医学遺伝学者マーティン・バイラー博士は注意をうながしている。


(病院での問診票に、家族や親類の病歴を記載する欄があるが、若い時は、上記の項目では余り意味がないと言う事かな?)



最後にこの報告にコメントを寄せた、米ニューヨーク州ノースショア-LIJヘルスシステムの医学遺伝学者マーティン・バイラー博士によると、
『世界各地の35万人を超える人の遺伝情報から一貫したパターンを見出した点で「魅力的」なものだ』と述べているが・・・

ジム・ウィルソン博士の研究チームは・・・

『だからと言って、背が高く賢い子が欲しいからと、結婚相手のゲノムを解析し、先祖の遠い人を探すような事には意味がないと強調』

何故なら研究チームの推定によると、例えば、いとこ同士が結婚した場合、子供の身長は本来よりも1.2cm低くなる程度だと言う。
また、現代社会に見られる数多くの疾患については、両親の近縁性による影響はほとんどないと、冷静に述べている。



日本人の身長が、アフリカ人や南米の人々、北欧やロシア人と比べて小さいのは、島国という独特の閉鎖空間によって、昔は背の高い他民族との接触が極端に限られ、他国の植民地にもならなかったせいなのかもしれません。
今は背の高い人が増えているが、これは遺伝的に背が高くなったのではなく、国家間の人的交流と食生活の変化、住環境の変化が、主な要因であろう・・・。

ちなみに、両親や祖父母や曾祖父母が遺伝的に先祖が近いほど、白髪になるのが早いとの噂も・・・。その昔(縄文時代ころ)、隣の集落同士だったとか、或いは山脈の峠を挟んで向こう側同士だったとか・・・。






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トラクリア錠、全身性強皮症の手指潰瘍発症抑制で適応了承

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皮膚表面の内側にある真皮や靱帯・腱・骨・軟骨などを構成するコラーゲン(蛋白質)に、全身的に炎症や障害が生じる様々な疾患の総称を、膠原病と言います。

真皮層の中のコラーゲン繊維
真皮層の中のコラーゲンの構成。
このコラーゲンの事を膠原繊維と言う。
膠原病の由来はこの繊維組織から。

全身性強皮症(systemic sclerosis, scleroderma, SSc)は、膠原病の類縁疾患であり、他にも結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、多発筋炎、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性肉芽腫性多発血管炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、若年性特発性関節炎、成人発症スティル病、ベーチェット病、抗リン脂質抗体症候群など多くの疾患が、膠原病に含まれます。


全身性強皮症は、自己免疫疾患に関係していると考えられていますが、本当の原因は不明です。


全身性強皮症
皮膚症状は、ソーセージ様手指の腫れが特徴です。

その症状は、皮膚が硬く弾力が無くなり、つまみ上げられなくなる状態──「皮膚硬化」を主症状とし、消化管や肺などの「内臓臓器障害」が引き起こされ、肺線維症、肺高血圧症、消化管障害、心筋障害、腎機能障害や腎不全に進展する事もあります。


現在まで有効な治療法は無く、皮膚や内臓の症状進行状況に対する対症療法が主で、血管拡張薬や免疫抑制剤、シクロホスファミド(抗悪性腫瘍剤)、副腎皮質ステロイド薬と、肺血管拡張薬(オプスミット®錠10㎎=2015年6月9日発売新薬)で治療に当たります。



漸進性強皮症の指潰瘍
潰瘍は指の先端や指の関節に多発する。

全身性強皮症を発症した患者には、特に冬季に指先や指関節に潰瘍ができることが多く、入院治療を必要とする場合もある。患者数は約2万8000人で、そのうち皮膚潰瘍を合併する患者数は約5600人と推計されている。


厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は7月31日、肺動脈性肺高血圧症の治療薬『トラクリア®錠62.5mg(一般名ボセンタン水和物)』について、「全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制」の適応を追加することを了承した。
現在、国内でこの適応がある既存の承認薬は無いという。


トラクリア錠

 ■ 製造販売:アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社。
 ■ 効能・効果:肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスII,IIIおよびIV)
WHO機能分類はNYHA(New York Heart Association)心機能分類を肺高血圧症に準用したものである。
 ■ 効果追加:全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制


「トラクリア®錠62.5mg」は、血管収縮作用のあるペプチドホルモン「エンドセリン」の受容体を阻害することで、血流を改善して皮膚潰瘍の新たな発現を抑制する。
今後、全身性強皮症に伴う指先の潰瘍の発症抑制も効能・効果に加えられる見通しで、再審査期間は10年。





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下垂体性巨人症治療薬「パシレオチド」、国内での製造販売を申請

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ノバルティス・ファーマ株式会社(日本法人:東京都港区)は7月31日、先端巨大症および下垂体性巨人症の治療薬として、ソマトスタチンアナログ(Somatostatin analogues:SSA)製剤である「パシレオチドパモ酸塩(開発コード:SOM230、以下パシレオチド)」について、国内における製造販売承認申請を行ったと発表した。

パシレオチド_パモ酸塩



“先端巨大症”は、脳下垂体に発生する非がん性(良性)腫瘍により、成長ホルモン及びインスリン様成長因子-1(IGF-1)が過剰に分泌され、手足や内臓の肥大、顔貌の変化といった、先端巨大症状を伴う身体的変化がみられる希少な内分泌疾患です。



“下垂体性巨人症”は、骨端軟骨線閉鎖前の成長ホルモン過剰分泌により、著しい身長増加が認められる、こちらも稀な内分泌疾患です。


これら2つの疾患は、いずれも下垂体前葉から慢性的に成長ホルモンが過剰に分泌されるという点で同質の疾患であり、診断基準も共通している。

  [*脳下垂体と下垂体は同じ部位の事ですが、内部が3つに分かれていて別種のホルモンを分泌するので、ホルモン分泌に関しては下垂体と呼ぶ事が多い。]



下垂体ホルモン
下垂体の前葉からは、成長ホルモンをはじめ、性腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、乳汁分泌ホルモンなど色々なホルモンが分泌されています。
また下垂体の後葉からは、抗利尿ホルモン、子宮収縮ホルモンが分泌され、下垂体の中葉からはメラニン色素細胞の拡大・増殖に関与する中葉ホルモンが分泌されています。


“下垂体性巨人症”及び“先端巨大症”は、どちらも成長ホルモンの過剰分泌が長期にわたると、糖尿病、高血圧、心疾患、関節炎、大腸がんなど、死亡リスクの上昇につながる重篤な転帰に至る可能性もある事から、両疾患ともに国内では「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症」として難病指定されている。





治療の第一選択は、脳を直接開かない「経蝶形骨洞的(けいちょうけいこつどうてき)下垂体腫瘍摘出術」と言う、安全に行える手術により腫瘍を摘出します。
しかしこの手術が適応とならない患者や、手術後も成長ホルモンやインスリン様成長因子-1(IGF-1)のコントロールが不良な場合には、薬物療法や必要に応じて放射線療法が行われます。

しかし近年の調査で、患者の45%が既存の治療によって適切な成長ホルモン値や正常なIGF-1値を達成出来ていないことが判明しており、このような患者に対して、成長ホルモン分泌を更に抑制する治療薬の登場が待たれていました。




新たに承認申請を行った「パシレオチド」は、成長ホルモンを過剰分泌する先端巨大症など、下垂体に出来る固形腫瘍で発現が亢進している、ソマトスタチン受容体に結合、活性化する事により、ホルモン分泌を抑制する。



これまでもソマトスタチン受容体の活性化を抑える、同様の作用を有するソマトスタチンアナログ(Somatostatin analogues:SSA)製剤はありましたが、既存SSAの薬物治療でコントロール不良な、先端巨大症や下垂体性巨人症の患者に対し、国内外の臨床試験で、「パシレオチド」は既存SSA製剤と比較し、臨床症状の改善傾向などを示したと言う。

本剤は既に、2014年11月にEU(欧州連合)で、手術で効果が不十分、又は手術が困難で、尚且つ、既存のSSA製剤では適切に管理できない先端巨大症の患者に対する治療薬として承認されたほか、2014年12月には米国において、手術で効果が不十分、又は手術が困難な先端巨大症の患者に対する治療薬として承認を取得している。




国内での患者数は、先端巨大症が約11,000名、下垂体性巨人症が約400名で、年間発症数はそれぞれ約700名および約20名と推定されています。
発症患者数の割合は、欧米と同程度と推定され、男女差は無い。
また40歳以降に身長が伸びた場合は、この疾患を疑ってみて下さい。


子供の場合、クラスや学年に目立った高身長の子が、100人のうち2~3人いますが、殆どは病気ではなく体質的なものや遺伝的なものです。


また下垂体性の高身長を危惧するのは、両親が小さいのに子供だけ大きいような場合や、極端な高身長(2メートルを超えそう)の場合は、内分泌科専門医に相談してみて下さい。



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国内初のCLE/SLE治療薬「プラケニル®」が製造販売承認を取得

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サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区)は7月3日、「皮膚エリテマトーデス(CLE)と全身性エリテマトーデス(SLE)」の効能・効果で、免疫調節薬ヒドロキシクロロキン硫酸塩「商品名:プラケニル®錠200mg」の製造販売承認を、厚生労働省から取得したと発表した。

ヒドロキシクロロキン硫酸塩製剤プラケニル
国内初の免疫調節薬「ヒドロキシクロロキン硫酸塩(商品名プラケニル錠200mg)」が
製造販売承認を取得。

「プラケニル®錠200mg」は、厚生労働省の『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』において、諸外国では標準的な治療薬である事などから、医療上の必要性が高い薬剤と評価され、2010年12月、厚生労働省よりサノフィ(株)が開発要請を受けていた。

*【全身性エリテマトーデスの病状や本薬剤の申請時の内容は、過去記事:
http://ameblo.jp/aki-prism/entry-11919344164.htmlに記載しています。】


本剤の開発は1950年代に開始されたものの、日本では現在の医薬品としての許認可に係る規制要件に適合した臨床試験データが、これまで存在していなかった。
その為、開発要請を受けたサノフィ(株)は、世界で初めて、現在の薬剤規制条件下で、承認申請のための臨床試験を日本で実施。

これまでは本剤について公表された論文のデータのみで、諸外国では承認されていたものを、臨床試験による新しい医学的証拠を加え、2014年8月に製造販売承認の申請を行っていた。



皮膚エリテマトーデス

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫疾患の膠原病に属する炎症疾患で、全身の多臓器が侵され、関節症状、皮疹や紅斑、中枢神経病変、腎障害、心肺病変、血液異常などが現れ、男女比は1対10で、20~30代の女性に多く発病します。

皮膚エリテマトーデス(CLE)は、全身性エリテマトーデスと多少異なり、肩や上背、頸、顔、上肢伸側といった日光曝露を受けやすい部分に、環状連圏状紅斑と丘疹鱗屑状皮疹が多発する疾患です。
初期症状が尋常性乾癬と似ているため、血液検査などが必要となります。

最も特徴的な症状としては、顔の両頬にできる赤い発疹で、蝶が羽を広げた形に似ている事から、蝶型紅斑と呼ばれています。


蝶型紅斑
皮膚エリテマトーデスの典型症状「蝶型紅斑」

額やアゴなどにも出来るので、ひどいニキビと間違われる事もあります。
皮膚エリテマトーデスの特徴は、発疹が丸い環状に連なる「環状連圏状紅斑」と、やや発疹が盛り上がり白い粉のような状態になる「丘疹鱗屑状皮疹」が特徴です。



リツキマブの治療前と後
「プラケニル®」はこれまでの抗悪性腫瘍剤「リツキシマブ」などと違い
主に抗炎症作用、免疫調節作用有する薬剤である。
写真は米国での治療前と治療後の症例写真。

「プラケニル®」は1955年に米国で承認され、現在、アジア諸国をはじめ全世界70ヵ国以上において、『マラリア、全身性エリテマトーデス、円板状皮膚エリテマトーデス、または亜急性皮膚エリテマトーデス、光線過敏症(日光過敏症)、関節リウマチ』などの適応症で承認されている。

今回、日本で初めて承認された本剤の効能・効果は、「皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス」で、通常、ヒドロキシクロロキン硫酸塩として200mg又は400mgを1日1回食後に経口投与するとなっている。




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多発性骨髄腫、初のHDAC治療薬「ファリーダック®」製造販売承認を取得

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ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区)は7月3日、再発又は難治性の多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)の治療薬として、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤「ファリーダック®カプセル10mg、同カプセル15mg」(一般名:パノビノスタット乳酸塩、開発コード:LBH589)の製造販売承認を取得。
9月4日から発売を開始しました。


ファリーダックカプセル
ファリーダック®カプセル10mg、同カプセル15mg



多発性骨髄腫は、治癒が困難な難治性の造血器腫瘍で、骨髄の中にある、ウイルスなどが体内に侵入して来た時に攻撃する、免疫グロブリンと呼ばれる蛋白を造る「形質細胞」というリンパ球が、癌化(腫瘍化)した病気です。

多発性骨髄腫
正常な形質細胞は抗体を作り異物から身体を守るが、
形質細胞が癌化すると、健康な血液の産生を妨げ増殖し、免疫力を低下させる。


異常な抗体(M蛋白)が、異物が無いのにどんどん増殖し、骨の痛み、病的骨折・圧迫骨折、倦怠感、貧血、出血傾向、感染症に対する抵抗力の低下が起こり、腎臓の機能低下、過粘稠症候群、アミロイドーシス、ウイルスなどの感染による体力の低下などが起こります。

主な治療法は、化学療法(薬物療法)と放射線療法があり、抗がん剤で効果が現れる疾患ですが、残念ながら確実に治癒を期待できる治療法は確立されていません。


「多発性骨髄腫」は血液の悪性腫瘍(がん)の一種ですが、同種の白血病との違いは、多発性骨髄腫が形質細胞が癌化するのに対し、白血病は血液を作っている骨髄で、異常な癌化した白血球が無限に増えて血液中に放出され、血液が正常に機能しなくなる病気で、治療法の進歩が進み、急性骨髄性白血病の場合、化学療法で20~50%、移植で40~70%の治癒が期待できます。
急性リンパ性白血病の場合、化学療法で15~35%、移植による治癒率は45~55%です。



正常細胞と多発性骨髄腫細胞
左が通常の骨髄細胞、右が多発性骨髄腫の骨髄細胞。


一方で多発性骨髄腫は、日本における推定総患者数は約14,000人、人口10万人当たりの推計年齢調整罹患率は約2人、年間死亡数は4,066人と報告されています。
近年、本疾患の総患者数、推計罹患数および死亡者数は、徐々に増加する傾向がみられています。
治療には、造血幹細胞移植や薬物療法(抗がん剤療法)による治療が行われますが、ほとんどの患者で再発又は病勢の進行が見られ、治療を繰り返すごとに薬剤への反応性が低下し、難治性の病態に移行していきます。



今回承認され、販売を開始した「ファリーダック®カプセル」は、多発性骨髄腫治療薬としては初めての『ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤』です。


DNAとヒストン
DNAには様々な情報が刻まれています。
そしてDNAは裸のままでいるのではなく、ヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付いた状態で存在し、DNAの情報を読み取るにはDNAをヒストンから、一旦、剥がすと、転写(遺伝情報を読み取る事)が可能になります。

その後再びDNAとヒストンが結合しますが、この時関与する酵素をHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)と言います。
このHDACが働くと、DNAの中に元々存在する「がん抑制遺伝子」の情報を読み出せなくなり、がん細胞の増殖が促進します。
そこで、HDACの作用を阻害することで、DNAの中にある「がん抑制遺伝子」を転写し、働きを促す事によって、抗腫瘍効果を得ようと言うのがHDAC阻害剤です。


HDAC阻害剤
DNAとヒストンが結合するのを阻害する事で、
がん細胞をアポトーシス(死滅)させる。


多発性骨髄腫細胞では、HDAC活性の異常な上昇が認められており、その活性化が癌を促進するプロセスにつながると報告されています。

「ファリーダック®カプセル」はクラスI、クラスIIおよびクラスIV(4)のHDACを阻害し、がん抑制遺伝子の転写促進、腫瘍細胞のアポトーシスや細胞周期停止の誘導などにより抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。

また、プロテアソーム阻害という異なる作用機序をもつ既存治療薬の「ボルテゾミブ」と併用する事で、骨髄腫細胞の増殖阻害及び腫瘍細胞のアポトーシスの強い相乗効果が期待できます。


【*アポトーシスとは・・・葉が落葉したり、人の胎児にある水かきが次第に消えて行く事や、オタマジャクシがカエルへと変化する時の尾の消失など、細胞にあらかじめプログラムされた、不要になった細胞を排除する為の、細胞が計画的に死滅するメカニズムの事。



製品名:
 ファリーダック®カプセル10mg(FARYDAK® Capsules 10mg)
 ファリーダック®カプセル15mg(FARYDAK® Capsules 15mg)

一般名:
 パノビノスタット乳酸塩(Panobinostat Lactate)

効能又は効果:
 再発又は難治性の多発性骨髄腫

用法及び用量:
 ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用において、通常、成人にはパノビノスタットとして1日1回20mgを週3回、2週間(1、3、5、8、10及び12日目)経口投与した後、9日間休薬(13~21日目)する。
 この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。





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抗悪性腫瘍剤「ギリアデル®」悪性神経膠腫の承認条件を解除

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エーザイ株式会社(本社:東京都文京区小石川)は9月2日、抗悪性腫瘍剤「ギリアデル®脳内留置用剤7.7mg」(一般名:カルムスチン)について、本剤の承認条件となっていた全例調査に関し、厚生労働省から解除の通達を受けた事を発表しました。

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「ギリアデル®脳内留置用剤7.7mg」は2012年9月に、悪性神経膠腫(あくせい・しんけいこうしゅ=glioma=グリオーマ)を効能・効果として承認され、その際の承認条件として「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」と言う条件が付されていた。
今回の承認条件解除は、エーザイ株式会社が厚生労働省に提出した安全性および有効性データ(安全性解析対象症例558例、有効性解析対象症例536例)に基づいて、本承認条件を満たすと判断されたことによるもの。
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悪性神経膠腫(しんけいこうしゅ=glioma=グリオーマ)は、脳に発生する悪性腫瘍(脳腫瘍)で、脳内のグリア細胞(神経細胞を取り囲み支えている細胞)から発生し、原発性脳腫瘍の中では神経膠腫がおよそ30%(転移性脳腫瘍は除く)を占める予後不良の悪性脳腫瘍です。

悪性神経膠腫

多くは脳内・脊髄内に拡がって発育(浸潤)することが特徴で、腫瘍の境界が不鮮明で、周辺部では正常な脳組織と腫瘍細胞が混在し、手術による全摘出が困難であるため、悪性の神経膠腫の5年生存率は、25%以下となっている。


悪性神経膠腫の標準的治療として、通常、外科的手術(開頭手術)が行われ、腫瘍を摘出しますが、浸潤による残存腫瘍が残り、これに対して多くの場合、術後に放射線治療や化学療法が行われます。



しかし、化学療法剤の全身投与では、血液脳関門により、有効成分が腫瘍部位では有効濃度まで十分に到達しないほか、全身的な副作用のため、十分量の化学療法剤を投与できない事が悪性神経膠腫の予後が悪い理由の一つに挙げられていました。


「ギリアデル®脳内留置用剤7.7mg」は、ニトロソウレア系アルキル化剤である『カルムスチン』を生体内分解性ポリマー基剤に含有した、国内で唯一の脳内留置用の徐放性製剤です。

悪性神経膠腫の開頭手術
ギリアデルの脳内留置


「ギリアデル®脳内留置用剤7.7mg」は、開頭手術で腫瘍を摘出したあと、残存腫瘍近辺に本剤を留置することにより、神経膠腫(しんけいこうしゅ)の切除術後から腫瘍細胞に直接、抗悪性腫瘍剤を一定期間にわたり効率よく、高濃度で触れさせられるため、術後療法(放射線療法、化学療法など)開始までの治療空白期を埋める事ができ、残存腫瘍縮小や増殖抑制効果を発揮する事が期待できる。




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注意喚起!蚊媒介の日本脳炎、千葉で25年ぶり患者発生

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千葉県は9月14日、県内で1995年以降25年ぶりに、日本脳炎の患者が発生したと発表。

感染源調査で千葉県内の豚から抗体を検出した長崎県や福岡県も、「蚊の活動時間帯(夕方~夜明け)には、屋外で過ごす事は避ける」などと感染予防を求めている。
蚊が媒介する日本脳炎について、患者が発生したり、飼育している豚からウイルスの抗体が見つかったりした自治体が、注意を呼び掛けている。





日本脳炎は、「日本脳炎ウイルス」に感染した豚を蚊が吸血し、その蚊を介して(刺されて)人に感染する。
日本脳炎ウイルスを抑える薬は無く、対症療法として脳の水を引かせたり、痙攣を抑えたり、脳の酸素消費を抑えたりする薬で治療します。


日本脳炎感染経路
日本脳炎ウイルスの感染経路


日本脳炎ウイルスに感染すると‥‥、
感染後1~2週間の潜伏期を経て、急激な発熱と頭痛を主訴として発症します。
その他、初発症状として全身倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛も存在する。その後、症状は悪化し、項部硬直、羞明、意識障害、興奮、仮面様顔貌、筋硬直、頭部神経麻痺、眼振、四肢振戦、不随意運動、運動失調、病的反射が出現する。知覚障害はまれである。
発熱は発症4~5日に最も高くなり、熱はその後次第に低下する。

根本的な治療法がなく、致死率は約25%、患者の50%は脳に何らかの後遺症を残し、その他は回復する。死亡する場合は、発症後1週間程度で死亡する。
但し、人から人への感染はない。


最も有効な方法は、予防であり、中心は蚊の対策と予防接種で、日本脳炎の不活化ワクチンが予防に有効な事はすでに証明されている。

1991年以前は年間50人を超える患者が出た事があったが、1992年以降は年間10人以下となっていると言う。


コガタアカイエカ
媒介するコガタアカイエカ。


千葉県によると、患者は0歳の男児で、発熱と意識障害、脳神経まひの症状があり、8月21日に千葉県旭市内の医療機関を受診して入院。今月11日に髄液の検査結果から日本脳炎の患者として千葉県銚子市の海匝保健所(かいそうほけんじょ)に届け出があった。男児は入院中だが、命に別条はないと言う。

海匝保健所が、感染源や感染経路を特定する調査を行っているが、今のところ原因の特定には至っていないと言う。



蚊の幼虫・ボウフラの生息場所。
ボウフラ
ボウフラの生息場所
特徴はクネクネしながら泳ぐ。
水の流れがなく滞留して、水溜まりになっている場所に注意。


既に豚から日本脳炎ウイルスの抗体が検出された自治体も、警戒を強めている。

長崎県は今年8月、調査した豚10頭のうち4頭から、日本脳炎ウイルスの抗体を検出したと発表。「日本脳炎が発生しやすい状況にある」として、▽屋外で過ごす時はできるだけ皮膚の露出を避ける▽虫除けスプレーを活用する▽屋外の水たまりを減らし、ボウフラの発生源を作らない──といった予防策を示している。

また同じように豚から抗体を検出した福岡県も、感染予防には「日本脳炎ワクチンの予防接種が有効」と指摘。十分な栄養を取り、過労を避けるなど健康管理に努める事も求めている。



昨年夏、約70年ぶりに国内感染が確認され流行した、同じように蚊を媒介として発症するデング熱‥‥。デング熱も人から人への感染はないが、デング熱は感染しても重症化することは希有なのに対し、日本脳炎は死亡率も高く、後遺症が残る事が多い病気なので、特に注意が必要である。





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国内初のデュピュイトラン拘縮治療剤「ザイヤフレックス」が薬価基準収載

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旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区)は、デュピュイトラン拘縮(こうしゅく)治療剤「ザイヤフレックス注射用」(一般名:コラゲナーゼ(クロストリジウム ヒストリチクム菌由来のコラゲナーゼ))を、9月16日より発売を開始しました。
これは去る8月31日、同剤の薬価基準収載を受けての事です。





耳慣れない病名のデュピュイトラン拘縮とは、1832年、当時謎だったこの病気を初めて詳細に報告した、フランスの外科医ギヨーム・デュピュイトランの名前から名付けられました。

デュピュイトラン拘縮は、初期症状として、初めに手のひらに結節(しこりやくぼみ)が出現。その後、拘縮索が出現し徐々に指が曲がり始め、しこりは手のひらから指にかけて広がり、更に症状が進行すると、拘縮索が指を引っ張ることにより、指が曲がったままになる屈曲拘縮となり、伸ばすことが出来なくなる病気です。


デュピュイトラン拘縮
デュピュイトラン拘縮横


痛みが伴う事は余りありませんが、治療をしないと自然には治らない病気のため、『ドアノブを回す、洗顔をする、握手、車の運転、手を使うスポーツ』などに不便や困難が生じます。

拘縮は、筋肉を動かすための腱(けん又は、すじ)が縮んだままの状態で硬直してしまう事を言う。

治療方法は基本的に、薬物療法や注射は治療効果がなく、手術による治療となる。
しかし病状が進行しない場合は、手術の適応にならない事もあり、又、屈曲拘縮が進行し手術をしても関節可動域が完全に改善しない事もあるため、進行度の診断が重要となります。



国内でのデュピュイトライン拘縮の推定患者数は、手術件数から6000人以上と推測されます。

北欧系白人に多い疾患であるが、発症原因は不明で、40~60歳以上の男性に多く(男女比7:1~15:1)、アルコール飲酒、外傷、家族性、糖尿病などがリスクファクターであると言われています。




「ザイヤフレックス注射用」は、「クロストリジウム ヒストリチクム菌由来」のコラゲナーゼ製剤で、コラゲナーゼはタンパク質であるコラーゲンを加水分解する酵素の一つで、拘縮索に局所投与する事で、沈着コラーゲンを分解し拘縮索を破断して、デュピュイトラン拘縮に対する治療効果を発揮すると期待されている。


商品名 : 「ザイヤフレックス注射用」
効能・効果 : デュピュイトラン拘縮
用法・用量 : 通常、成人には、コラゲナーゼ(クロストリジウム ヒストリチクム)として、0.58mgを中手指関節又は近位指節間関節の拘縮索に注射する。効果が不十分な場合、投与した拘縮索に対する追加投与は1カ月間の間隔をあけ、最大3回までとすること。

薬価収載日 : 2015年8月31日
薬価 : 0.58mg1瓶(溶解液付),193,861円

副作用(国内臨床試験で98.0%で確認)
 注射部位疼痛(76.5%)、注射部位内出血(45.1%)、注射部位腫脹(34.3%)、挫傷(29.4%)などであり、重大な副作用は腱断裂、靭帯損傷、皮膚裂傷、アナフィラキシーが報告されている。


尚、「ザイヤフレックス」は米国オキシリウム社(Auxilium Co, 本社:米国ペンシルバニア州チェスターブルック)が開発したコラゲナーゼ製剤で、米国、欧州、カナダ、オーストラリアなどで既に承認され、販売されている。



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胆道がん治療に「免疫チェックポイント阻害薬」の有効性を示唆

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病気の発見段階で、予後不良となる場合の多い胆道がんは、“肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆嚢がん”の総称で、日本を始めアジアで多いがんですが、近年は欧米でも増加傾向にあります。
しかし、分子標的薬(抗がん剤)を含めて、これまで有効な治療法が確立しておらず、日本国内における5年生存率は20%以下と、膵臓がんに続く予後不良ながんです。


胆道がん
胆管(緑色の部分)は胆汁の通り道で、太さは最大でも約7mmと細い。


「胆管」とは、肝臓で作られた胆汁を流す管であり、その脇道に胆汁をためる胆嚢があります。
それぞれに出来た癌を、「胆管がん・胆嚢がん」と呼び、「胆管がん」は更に、肝臓内の胆管にできる“肝内胆管がん”と、肝臓外の胆管にできる“肝外胆管がん”に分類します。

肝門部胆管がん
肝臓に近い上の方や肝臓内の胆管にがんがある場合(肝門部胆管がん)、
上図のように網掛けの部分を切除します。


胆管は肝臓内では枝葉のように分かれていますが、肝臓外に出る所で1本の“総胆管”になり、肝臓で作られた胆汁は“総胆管”を通って十二指腸に流れ込み、食べ物の消化を助けます。

これまで胆道がんの原因として分かっているのは、膵胆管合流異常と言う、生まれつきの異常と、慢性の炎症が起こる原発性硬化性胆管炎で、約10%と言われています。
また、一部ではアルコールや飲酒が胆管がんの原因ではないか、と言うネット記事が見受けられますが、そのような研究報告や論文は、発表されていません。


しかしこれまで病気の進行を抑制したり、転移を抑制する治療法はなく、放射線治療も転移のない胆管がんなどで行われますが、その効果は限定的でした。また決め手となる抗がん剤もなく、塩酸ゲムシタビン(ジェムザール)やティーエスワンが使われますが、胆道がんを標的にした抗がん剤でないので、効果は限定的でした。






日本やアジアに多い病気と言う事もあり、新薬の開発は遅れており、がん医療の革新的国際プロジェクトがようやく始まったばかりでした。

ICGC

これは大規模な『胆道がんのゲノム(DNA)ならびにトランスクリプトーム(RNA)解読プロジェクト』と言う研究で、国際共同ゲノムプロジェクト「国際がんゲノム(DNA)コンソーシアム(International Cancer Genome Consortium:ICGC」の一環として、国立がん研究センター(東京都中央区)がんゲノミクス研究分野グループが、厚生労働省、及び日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的がん医療実用化研究事業」の支援を受けて行って来たもので、新たな治療標的となりうる新規ゲノム異常や発生部位(肝内および肝外胆管、胆のう)ごとの特徴を明らかにし、8月10付、国際科学誌「Nature Genetics」電子版に発表しました。



  胆道がんにおける大規模ゲノム解読
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/press_release_20150811.pdf



新たな治療法の開発を目指し、世界最大規模となる260例の臨床検体についてゲノム(DNA)ならびにトランスクリプトーム(RNA)の解析を行い、胆道がんにおけるDNA変異の全貌が明らかになった。

胆道がんゲノム

ドライバー遺伝子とは‥‥
がん遺伝子・がん抑制遺伝子といった、がんの発生・進展において直接的に重要な役割を果たす遺伝子。


その結果、解析識別した胆道がんにおけるゲノム(DNA)異常(変異)の中には、少なくとも14個の治療標的(すでに治療薬の臨床開発が進められているもの)となりうる遺伝子が含まれていた事が判明した。

胆道がんゲノム遺伝子


しかもそれらのゲノム異常を少なくとも1つ持つ腫瘍は、全体の約40%を占めている事が分かった。
これらのゲノム異常を標的とした治療薬が、胆道がんに対して有効かどうかは、臨床試験によって検討を重ねる必要があるものの、とりわけ日本人における「胆道がん」治療開発を進めていく上で、重要な情報基盤になると期待される。




その一つが、今年7月3日にブリストル・マイヤーズ株式会社(東京都新宿区)が、厚生労働省より世界で初めて製造販売承認を取得した、「免疫チェックポイント阻害薬」の『ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体イピリムマブ(商品名:ヤーボイ点滴静注液50mg)』で、この薬剤は、根治切除不能な「悪性黒色腫」を適応として、海外第III相試験において、BRAF変異に関わらず、非投与群と比較して統計学的に有意な全生存期間の延長を示した。

ヤーボイ
世界初の免疫チェックポイント阻害薬「ヤーボイ点滴静注液50mg」
(胆道がんの治療薬として治験が始まる可能性がある)


胆道がん治療の新たな革新的医療として、『免疫チェックポイント阻害薬』に注目が集まる中、この「イピリムマブ(ヤーボイ点滴静注液50mg)」は、切除不能又は転移性悪性黒色腫や肺がんに対する有効性が示されており、治験段階で一部の胆道がんにおいても、免疫チェックポイント阻害薬に反応する可能性が示唆されていた。

つまり悪性黒色腫の患者のDNA遺伝子変異と、胆道がんの患者のDNA遺伝子変異に共通する遺伝子変異が見つかったと言う事だ。



『免疫チェックポイント阻害薬』とは、
ウィルスやがん細胞などを攻撃する免疫細胞の一種、T細胞が、がん細胞が自らを守る細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)と言う抑制因子によって、T細胞の働きを抑制するのを阻害する事で、T細胞を活性化しT細胞を増やす事で腫瘍の増殖を抑制する薬剤の事である。


これまで有効的な治療法のなかった胆道がんの治療薬開発に、ゲノム解析が大きな道しるべとなるだろう。
そして既に登場している薬剤の中に、有効な薬剤があるかもしれない。
また今後、更なる胆道がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の開発推進が期待される。




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