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多血性腫瘍などの動脈塞栓療法補綴材「DCビーズ®」が追加承認を取得

エーザイ株式会社(本社:東京都文京区)は9月29日、「多血性腫瘍又は動静脈奇形(AVM)を有する患者に対する動脈塞栓療法」の効果・効能で、中心循環系血管内塞栓促進用補綴材「ディーシー ビーズ®(DC Bead®)」についての、日本における適応追加承認を取得したと発表した。

尚、今回取得した効果・効能は、肝細胞癌への使用に関して保険適用となる予定で、肝細胞癌以外の使用目的または効果に対する保険適用は、特定保険医療材料としての収載手続き後となる。


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ディーシービーズ

中心循環系血管内塞栓促進用補綴材「ディーシー ビーズ®(DC Bead®)」

「DCビーズ®」は、架橋化ポリビニルアルコール高分子からなる親水性の球状微粒子で、粒子サイズの異なる3種の製品(100~300µm粒、300~500µm粒、500~700µm粒)がある。

2009年7月、英国のBiocompatibles UK Limitedから国内使用権を獲得し、2013年4月に「肝細胞癌患者に対する肝動脈塞栓療法」を使用目的又は効果として、製造販売承認を取得し、エーザイ株式会社が2014年2月より発売していた。

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外国製DCビーズ

「ディーシー ビーズ®(DC Bead®)」はその名の通り、非常に微小な球状粒子で、
「血管塞栓用ビーズ」と「抗がん剤溶出性ビーズ」の2種類がある。
青色が「抗がん剤溶出性ビーズ」で、抗がん剤を染み込ませると赤色に変化。



通常、大腿部の付け根の動脈からガイドカテーテルを挿入し、肝動脈から腫瘍に通じる血管内に、内径0.46mmほどのマイクロカテーテルを挿入‥‥その後‥‥。

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肝臓癌へのディービーズ1


カテーテルから抗がん剤の染み込んだ「ディーシー ビーズ®(DC Bead®)」を送り込む。
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肝臓癌へのディービーズ2


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肝臓癌へのディービーズ3


「ディーシー ビーズ®(DC Bead®)」がぎゅうぎゅうとなり血液の流れを止めると、染み込んでいた抗がん剤が放出される。



栄養路を絶たれた腫瘍の縮小・壊死効果や、動静脈奇形に伴う症状の改善が期待されている。



厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において、「DCビーズ®」が「多血性腫瘍および動静脈奇形の適応」について、早期導入すべき医療機器として推奨されていた。

これを受けてエーザイ株式会社は、適応拡大のため、多血性腫瘍および動静脈奇形(中枢・心・肺を除く)を対象として、「DCビーズ®」を用いた血管塞栓療法の有効性と安全性を確認する臨床試験を実施した。
その結果、中心循環系血管内塞栓促進用補綴材としての性能、安全性を示唆する結果を得た為、2014年9月に、使用目的又は効果の追加申請を行なっていた──。



多血性腫瘍は、腫瘍組織(がん細胞)に発達した血管網を介して栄養供給を受けている腫瘍(がん細胞)の総称で、一般的に『肝細胞癌』、一部の『転移性肝癌』、『腎細胞癌』、『骨軟部腫瘍』、『子宮筋腫』などが知られています。


また一方の動静脈奇形は、動静脈が毛細血管を介さずに異常連結したことにより血液循環動態に異常をきたし、種々の機能障害、器質障害、発育障害等を引き起こす先天性の血管奇形です。



腫瘍組織(がん細胞/悪性腫瘍)への栄養補給を絶つためには、標的となる血管の血管径、腫瘍の大きさ、及び塞栓範囲を考慮し、適切な粒子サイズを選択する必要があるため、現在、3タイプの粒子サイズが用意されている。
国内臨床試験において確認された主な有害事象は、塞栓術後症候群、リンパ球減少、便秘などとなっている。

これらの高度医療機器が、保険適用になる事で、より金銭的負担の少ない治療法での塞栓法治療が、多くの人に寄与する事を望みたい。




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児童虐待、サインを見逃さないで

ブログ記事内に神奈川県の相談件数でデータ不足がありましたので、修正しました。神奈川県は第2位となります。

記事引用元 : 日本経済新聞  http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07HAG_Y5A001C1CC0000/

全国の児童相談所が昨年2014年度に対応した児童虐待の件数は、前年度比20.5%増の8万8931件(速報値)にのぼり、過去最多を更新した事が10月8日、厚生労働省の集計で分かった。
1990年度の集計開始以来、24年連続の増加で、初めて8万件を突破した。
平成25年度は7万3802件で、平成26年度は8万8931件と、1万5000件以上の大幅増加となっている。

都道府県別では、大阪が1万3738件で最多。神奈川、東京、埼玉、千葉と続き、上位5都府県で全体の半数超を占めた。



そこで発表された数値をもとに、平成26年度中に、全国207か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数を、多い順に都道府県別に表示してみると‥‥。

都道府県順位には、政令指定都市相談数と児童相談所設置市(中核市)相談数と都道府県相談数を合算した相談件数が、各都道府県の相談総件数となります。




児童相談所での児童虐待相談対応件数(件/都道府県別順位)
  1. 大阪府(13738)=内訳『(大阪府7874)+(大阪市4554)+(堺市1310)』
  2. 神奈川県(10190)=内訳『神奈川県(3290)+(横浜市3617)+(川崎市1639)+(相模原市951)+(横須賀市693)』
  3. 東京都(7814)
  4. 埼玉県(6893)=内訳『(埼玉県5600)+(さいたま市1293)』
  5. 千葉県(5959)=内訳『(千葉県5173)+(千葉市786)』
  6. 愛知県(5157)=内訳『(愛知県3188)+(名古屋市1969)』
  7. 広島県(3015)=内訳『(広島県1850)+(広島市1165)』
  8. 北海道(3014)=内訳『(北海道1855)+(札幌市1159)』
  9. 兵庫県(2679)=内訳『(兵庫県1868)+(神戸市811)』
  10. 静岡県(2132)=内訳『(静岡県1184)+(静岡市511)+(浜松市437)』
  11. 京都府(2049)=内訳『(京都府1098)+(京都市951)』
  12. 福岡県(1952)=内訳『(福岡県951)+(福岡市547)+(北九州市454)』
  13. 長野県(1638)
  14. 奈良県(1567)
  15. 宮城県(1367)=内訳『(宮城県802)+(仙台市565)』
  16. 茨城県(1258)
  17. 新潟県(1227)=内訳『(新潟県814)+(新潟市413)』
  18. 三重県(1112)
  19. 滋賀県(1004)
  20. 岐阜県(996)
  21. 大分県(970)
  22. 熊本県(931)=内訳『(熊本県446)+(熊本市485)』
  23. 栃木県(931)
  24. 群馬県(920)
  25. 和歌山県(887)
  26. 青森県(834)
  27. 石川県(737)=内訳『(石川県420)+(金沢市317)』

下位10県。
  1. 山形県(343)
  2. 富山県(309)
  3. 長崎県(301)
  4. 秋田県(285)
  5. 山口県(270)
  6. 鹿児島県(247)
  7. 高知県(235)
  8. 佐賀県(190)
  9. 島根県(178)
  10. 鳥取県(82)



厚生労働省は件数増加の要因として‥‥

▽2013年に被害児童の兄弟についても虐待の対応をするよう各自治体に通知した。
▽子供の前で配偶者に暴力を加えたり大声で怒鳴ったりする「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」による心理的虐待の通告が警察から増えた。
などを挙げている。

確かに、児童虐待発生時や認知時の報道が、敏感になっている事や、おかしいと感じた周囲の人々からの通報が増えているのも、件数が急激に伸びている要因かもしれない。


しかし虐待によって死亡した児童36人のうち、実母が加害者だったのが16人と最も多いのは何故なのか?
しかも死亡事例で最も多いのが0歳児で、最多の61.1%を占めた。
子供の泣き声に、母親や父親が慣れていなくて、カッとしてしまう傾向が、年々増えている。


あなたのまわりに「虐待を受けたと思われる子ども」がいたら、速やかに最寄の児童相談所、市町村、福祉事務所へ連絡(通告)して下さい。

虐待を疑わせるサイン

•子どもが繰り返し叩かれ、罵られ、怖がっている。
•暗くなっても家に入れない子どもがいる。
•叩くような物音や、子どもの叫び声、泣き声がする。
•不自然なあざや切り傷、やけどなどがある。
•衣服や身体が不潔である。
•基本的な生活習慣が身についていない。
•親の養育態度が過度に厳しい。
•子どもがケガをしたり病気になったりしても、医者に診せようとしない。
•親が小さな子どもを置いたまま、しょっちゅう外出している。

 通告は子どもを守るためのものです。 虐待を発見(疑われる場合も)したら、勇気をもって連絡してください。
連絡(通告)が間違いであっても責任は問われず、秘密も守られます。




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前立腺がん・閉経前乳がん治療薬「リュープリン®」製造販売承認取得

武田薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市)は9月28日、前立腺がん及び閉経前乳がん治療剤として、「リュープリン®」(一般名:リュープロレリン酢酸塩)の24週間持続製剤である「リュープリン®PRO注射用キット22.5mg」について、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表しました。


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リュープリン

「リュープリンSR注射用キット11.25mg」
(現在発売されている最大量は3ヵ月用まで)

「リュープリン®」は、武田薬品が創製したLH-RHアゴニスト(黄体形成ホルモン放出ホルモン誘導体)注射用製剤で、脳下垂体に持続的に作用し、脳下垂体の反応性を低下させる事で性ホルモンの産生を抑制します。


  ▼ LHは、黄体形成ホルモン。
  ▼ RHは、性腺刺激ホルモン放出ホルモン。
  ▼ アゴニストとは、生理作用活性薬剤の事。


◎前立腺がんの増進には、男性ホルモン(テストステロン)が関わっている。その為、前立腺がんの治療では、男性ホルモンの精巣からの分泌をブロックする必要がある。

◎同様に閉経前乳がんの場合であれば、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の取り込みを阻害するように働く必要がある。



本剤は、このようにホルモン系に指令を出す、脳下垂体・視床下部に作用して、ホルモン分泌指令をストップさせる事で、癌の増殖を抑制する方法です。
 但し、ホルモン依存性乳がんかどうかは、細胞診が必要となります。


「リュープリン®」は前立腺がんや閉経前乳がんなどの、ホルモン依存性疾患の治療剤として、米国、欧州、アジア等(Lupron Depot®)で使用され、日本では4週間持続製剤(3.75mg)、及び12週間持続製剤(11.25mg)が発売されています。



今回新たに製造販売を取得したのは、24週間(6か月)持続製剤で、閉経前乳がん治療剤としては世界初の承認となります。

「リュープリン®PRO注射用キット22.5mg」は、24週に1回投与する製剤です。
尚、既に承認されているリュープロレリン酢酸塩含有製剤は4週毎、12週毎に投与するもので、本剤は、これまでの承認薬と比較して投与間隔が長く、患者の利便性の向上が期待される。



海外では、2015年5月現在、本同剤が承認されている国・地域はなく、但し、米国は日本と有効成分の含有量が異なる24週間持続型製剤(45mg含有)が承認され、またEUは、日本と有効成分含有量は同じで、添加物が異なる24週間持続型製剤が、それぞれ承認されている。





武田薬品では、製剤技術のイノベーションを重ね、米国における最初の承認時(1985年)には1日1回投与であった本剤を、1回の投与で長期間にわたって安定した血中濃度を維持することを可能にしました。現在、日本で販売されているのは、本剤の4週間持続製剤ならびに12週間持続製剤です。

今回、24週間持続製剤である「リュープリン®PRO注射用キット22.5mg」の日本での承認取得は、1回の皮下注射によって長期間に渡り、安定した血中濃度を維持するため、独自のマイクロカプセル製剤技術により徐放性製剤として開発されました。


製品名 : リュープリン® PRO注射用キット22.5mg

一般名 : リュープロレリン酢酸塩

効能・効果 : ○ 前立腺癌 ○ 閉経前乳癌

用法・用量 : 通常、成人には24週に1回リュープロレリン酢酸塩として22.5mgを皮下に投与する。
投与に際しては、注射針を上にしてプランジャーロッドを押して、懸濁用液全量を粉末部に移動させて、泡立てないように注意しながら、十分に懸濁して用いる。

尚、本剤の再審査期間は4年で、この間の投与は全て再審査のための第四相治験データとなる。




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埼玉の高2女子、強歩大会で死亡~救えなかった突然死

AED(自動体外式除細動器)での救命処置が行われたものの、救えなかった女子高校生の命───。

亡くなった女子生徒は、9月中旬にも強歩大会の練習中、校庭で倒れたと言う。この時は意識があり、その後、病院で検査をしたが異常は無かったと言う。

埼玉県では3年前にも、生徒が突然死している。
その埼玉県で再び起きた悲劇‥‥、何故、教訓は生かされなかったのか?


埼玉県さいたま市にある埼玉県立大宮高校で10月16日、毎年恒例の行事「強歩大会」に参加した2年生の女子生徒が、ゴール手前で倒れ、翌日に死亡した。
強歩大会は、体力や精神力の向上を図るために、全学年の生徒およそ1,170人が参加し、学校近くの荒川沿いで行われ、男子は16.5km、女子は13km先のゴールを目指した。

死亡した女子生徒は、ゴールの手前およそ1.6kmの地点で倒れた。
強歩大会は、女子が走る17カ所に観察ポイントを設け、80人以上の職員が配置されたほか、給水ポイントも1カ所設置されていた。

近くにいた他の生徒が異変に気づき、生徒が教諭を呼び、3人の教諭が駆けつけた時には、既に心肺停止状態だったと言う。教諭が119番と自動体外式除細動器(AED)による蘇生措置を続け、到着した救急に引き継いだ───。

しかし女子生徒は、翌日夜に死亡した。

大会は雨天中止の予定だったが、県立大宮高校は当日朝の天気予報を参考に実施を判断。大会開始の時点で、小雨が降っていたが強歩大会は決行された。



悲劇的な出来事は、偶然の産物ではありません。何んらかの連鎖的な出来事の結果です。
強歩大会での死亡事故は何故起こってしまったのか?

現時点で死因は病死と言う以外、詳細は分かっていません。
しかし報道の端々から、幾つかの原因が見えて来ます。





女子生徒は9月中旬にも強歩大会の練習中に倒れ、病院で診察を受けていますが、突然死を匂わせる心臓の異常はなく、低血糖、低血圧や貧血、体内ナトリウム濃度にも異常は無かったようです。
この時、当然、心電図検査も行われたと過程しての事ですが‥‥

心筋梗塞なら、胸の痛みを訴えるはずですが、そんな報道もありません。

突然死の最も大きな原因は、不整脈の、QT延長を伴う心室細動ですが、この時異常が無かったとすれば、何故、競歩の練習中に倒れたり、大会当日にも倒れてしまったのでしょう‥‥?





不整脈や心室頻拍や心室細動には、心臓に負荷がかかっていない場合、心電図に現れない場合があります。
平常時に心電図を取ると、正常な波形を示すため、異常なしと判断されてしまいます。

しかし、運動会やマラソン大会など、10代の児童・生徒にとって心臓に負荷の掛かる行事の場合、症状に現れない、心臓の規則的な収縮に必要なナトリウムやカリウムなどのイオンの流れに異常がある場合(QT延長症候群やブルガダ症候群など)にも、『心室細動』が生じる危険性があります。

運動と言うストレスなどで、脳から分泌される神経伝達物質ホルモン(カテコラミン)によって発症する、心室頻拍もあります。

心室筋に起因する不整脈の一種で、「カテコラミン感受性多型性心室頻拍(CPVT)」と呼ばれる症状で、血圧が下がり、めまいや失神などを起こし、時に心室細動や突然死につながります。





カテコラミン・ホルモンは、運動によって心臓に負荷が掛かった時に放出されるホルモンなので、平常時の心電図検査では異常が出ません。

この不整脈が潜伏しているかを知るには、カテコラミンを点滴しながら心電図を測るしか方法がありませんが、それ以外でも簡単な検査があります。





無論、今回の亡くなった女子生徒が、「カテコラミン感受性多型性心室頻拍(CPVT)」だったかどうかは分かりませんが、もし死因がCPVT心室細動によるものだとすれば、発症時点で血圧はほぼゼロになる為、5~15秒で意識が消失し、3~5分以内にAED(自動体外式除細動器)による救命が実行されなければ、死に至ってしまいます。

また3分以内に心臓マッサージをすれば、蘇生の成功率は上がりますが、低酸素脳症による脳後遺症が起こり、脳死になる可能性が高くなります。

今回、女子生徒と言う事で、周りにいた人達が直ぐさま心臓マッサージが出来たのか‥‥
AEDの使用は何分後だったのか‥‥




もし仮に、この女子生徒がCPVTによる不整脈が起こると分かっていれば、運動を控えるか、或いは心室細動がどこで再発した場合でも、確実に救命がなされるように植込み型除細動器(ICD)を留置する事が、突然死を回避する最も有効な手段となります。



心室頻拍や心室細動は、僅か数秒~数分で突然死する恐ろしい病気です。
脳への血流が途絶える為、救命しても脳死になる可能性が高く、何んの前触れもなく襲って来るので、スポーツ中に失神などで倒れた場合には、運動負荷心電図と言う運動をしてもらって測定する検査が、最も簡単な方法です。


      

PM(ペースメーカー)やICDは、心臓の動きに異常を感知すると、自動的に電気信号や電気ショックを行い、心筋の動きを正常に戻してくれます。
心室細動では数秒で脳に酸素がいかなくなるので、正に秒単位の救命医療機器と言えます。
ICDによって、多くの突然死を未然に防ぐ事が出来ます‥‥。


亡くなられた女子生徒の御冥福を心よりお祈り申し上げます。





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肺動脈性肺高血圧症治療薬「ベンテイビス®吸入液10μg」が登場

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会は8月28日、バイエル薬品株式会社(本社:大阪府大阪市北区)が申請していた、国指定難病「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」治療薬の「ベンテイビス®吸入液10μg」について製造販売を承認した。

これに基づいてバイエル薬品は、9月から発売の準備を始め、10月下旬~11月上旬に掛けて、準備が整い次第、発売を開始すると発表しました。


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ベンテイビス Ventavis

既にアメリカで発売されている「Ventavis(ベンテイビス)」製剤。
容器はガラスアンプルで、吸入には卓上タイプの吸入器が必要。


新たに発売される「ベンテイビス®吸入液10μg(一般名:イロプロスト)」は、肺血管拡張剤のプロスタグランジンI2(PGI2)誘導体製剤の一つで、新たに開発された合成プロスタサイクリン誘導体を有効成分として「肺動脈性肺高血圧症」を効能・効果とする新医薬品である。
  (容器はプラスチックアンプル)




   『肺動脈性肺高血圧症(PAH)』は「難治性呼吸器疾患」に認定されている指定難病で、通常言われる動脈とは異なり、全身から心臓に帰った血液を、心臓の右心室から肺に送る血管の事を「肺動脈」と言います。

心臓から出るので動脈と呼ばれ、肺から心臓に戻るのを静脈(肺静脈)と呼びます。

「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」は、心臓から肺に血液を送る肺動脈の末梢(肺の中の小動脈)の内腔が狭くなって血液が通りにくくなり、肺動脈の血圧が異常に高くなる病気です。


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肺動脈性肺高血圧症PAHの進行度合い

肺動脈性肺高血圧症(PAH)をそのままにすると、血管内腔が狭くなって行く。


残念ながら、何故このような病気が起こるのか、原因は解明されていません。
現在、ゲノム解析が行われており、遺伝子変異が見つかる事が期待されるほか、遺伝性PAHや食欲抑制薬の服用による発症、膠原病なども疑われていますが、特定には至っていません。

そのため有効な治療法は確立されていませんが、対症療法として肺血管拡張療法で一定の効果が期待できるようになりましたが、いまだ予後不良な疾患となっています。

但し、極めて希有な疾患で、発症頻度は人口100万人あたり1~2人とされています。また比較的女性に多いのも特徴です。


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肺動脈性肺高血圧症男女別

日本国内の患者数は2300人程度とされています。
肺血管の内腔が狭窄することで肺血圧が上昇し、心不全を呈す。
初期には息切れ、疲労感などが現れ、進行すると致命的な疾患です。




「ベンテイビス®吸入液10μg」は、プロスタグランジンI2(PGI2)誘導体と同様に血管拡張作用及び血小板凝集抑制作用を示すことで病態を改善します。


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ベンテイビス1

薬液はプラスチックアンプルに入り、
吸入器本体は充電式で持ち歩きが可能。


同様の効能・効果を持つPGI2誘導体の類薬には、エポプロステノールナトリウム(一般名:静注用フローラン)、トレプロスチニル(一般名:トレプロスト注射液)、ベラプロストナトリウム(一般名:ドルナー錠)があり、「ベンテイビス®吸入液」は新たな治療の選択肢となる。

海外では、2015年6月現在、70以上の国・地域で承認されている。

本剤の薬理作用は、バイエルヘルスケア社が開発した合成プロスタサイクリン誘導体が、プロスタサイクリン受容体に結合し、血管拡張作用、及び血小板凝集抑制作用を有する。
また本剤の形態が、携帯型ネブライザー(吸入器)を用いる事で、患者ご自身で吸入することが可能となり、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の病態を改善します。


尚、「ベンテイビス®吸入液10μg」の再審査期間は8年となっている。







日本初の新・経口抗凝固剤「イグザレルト®錠」が適応追加承認を取得

バイエル薬品株式会社(本社:大阪府大阪市)は9月24日、経口抗凝固剤(選択的直接作用型第Ⅹa 因子阻害剤)「イグザレルト®錠(一般名:リバーロキサバン)」について、エコノミークラス症候群(急性肺動脈血栓塞栓症)に起因する、深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)の治療および再発抑制に対する適応追加承認を取得した。


深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)は総称して『静脈血栓塞栓症(VTE)』と呼ばれ、一般に「エコノミークラス症候群」として知られる。

年間の死亡者数は欧州で50万人以上、米国で約30万人───。
これまで日本においては患者数が少ないと言われていたが、LCC便の登場や座席の狭小、頻繁に利用するビジネス客の増加で、中長距離便の利用客増に伴い増加傾向にある事が近年の研究で明らかになっている。




今回、深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)について適応追加承認を取得した「イグザレルト®錠10mg/15mg」は、2012年4月に「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症」の発症抑制で既に承認、販売されている薬剤です。

しかしこれまで、エコノミークラス症候群のような「静脈血栓塞栓症(VTE)」の治療には、急性期において、抗凝固剤の「ワルファリン」と抗血栓薬「へパリン」の2種が併用され、しかも個々人に必要な投与量をそれぞれ細かく用量調整したり、効果が現れるのに1週間ほどかかり、食事制限の必要があるなど、非常に煩雑でした。

勿論、国内にも新規経口抗凝固薬と呼ばれる「エドキサバン」と言う薬剤があるものの、急性期では「ヘパリン」等の治療を行った上で、切り替える必要があった。



「イグザレルト®錠(一般名:リバーロキサバン)」の効能・効果追加承認に関しては、海外第Ⅲ相臨床試験、及び日本国内の肺血栓塞栓症(PE)患者と深部静脈血栓症(DVT)患者のそれぞれを対象とした2つの第Ⅲ相臨床試験のデータに基づき承認された。


その結果、日本人において血栓(血の塊まり)の退縮効果がある事。血が固まりにくくなる事で起こる重大な出血事象を、46%有意に減少させる事。
従来の2剤投与が、初期治療1日目から本剤のみの経口投与可能な、「シングル・ドラッグ・アプローチ」の有用性が示された事。

これらによって、患者の入院期間が短縮される事も示された。



深部静脈血栓症(DVT)は超音波(エコー)検査で発見出来ますが、
急に立ち上がったり歩いたりする事で、血栓(血の塊まり)が肺に到達・・・。
肺血栓塞栓症(PE)を引き起こし、呼吸困難などの症状が現れます。

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肺静脈血栓塞栓症の症例


しかしエコノミークラス症候群は、予防出来る疾患あり、長時間足を曲げた姿勢で過ごす場合は、足先を動かしたり、長時間ドライブなどでは一定時間置きに休憩を取り、足伸ばしをするのが良いでしょう。

しかし同じような病態の下肢静脈瘤では、全く症状が違います。
もしあなたの足に次のような症状があった場合、静脈瘤の疑いがあります。

足の表面にあるたくさんの静脈(表在静脈)が拡張し、蛇行屈曲して浮き出た状態で、一晩寝ると朝には消失している事がほとんどです。

下肢静脈瘤は残念ながら完治する事はありません。

急性肺動脈血栓塞栓症やDVT、PEと違い、直接、生命に危険が及ぶ事はありませんが、翌朝もむくみが取れない、血管が青く表層に現れたままなどの場合は、一度内科医の診察を受ける事をお勧めします。
深部静脈血栓症が潜んでいるかもしれませんから・・・。







抗悪性腫瘍剤「ヨンデリス®点滴静注用」が悪性軟部腫瘍で製造販売承認取得

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区)は9月28日、新規抗悪性腫瘍剤「ヨンデリス®点滴静注用0.25mg/1mg」(一般名:トラベクテジン)について、「悪性軟部腫瘍」の効能・効果で、厚生労働省の独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)より、製造販売承認を取得した。
但し、10月31日現在、薬価収載はまだされていない為、今月下旬以降になると見られる。


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ヨンデリス点滴静注用

「ヨンデリス点滴静注用0.25mg/同 1mg」
悪性軟部腫瘍を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。
【希少疾病用医薬品】


悪性軟部腫瘍(サルコーマ=sarcoma)は、臓器や骨組織以外の脂肪,筋肉,血管、神経、線維組織、リンパ管などに生じる腫瘍の中で、腫瘍が発生した部位だけでなく、肺、骨、リンパ節などに転移をおこす可能性を持った腫瘍を、悪性軟部腫瘍と言う。



悪性軟部腫瘍の発症頻度は、人口10万人当たり2人に発生すると言われ、国内の推定患者数約5,000人と言われる希少疾病です。

また種類も多く、中でも比較的多くみられる腫瘍が、悪性線維性組織球腫(--きゅうしゅ)です。その他、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫(かつまく--)、平滑筋肉腫、悪性神経鞘腫(--しょうしゅ)、線維肉腫など、色々な腫瘍があります。

多くの悪性軟部腫瘍の初期症状は、腫瘤(しゅりゅう=コブ)の形成で発病するので、皮下組織に出来た場合は、容易に発見できます。



しかし、大腿(太もも)や臀部(おしり)のように、脂肪や筋肉がたくさん集まっている部位で、深い場所に発症すると、腫瘤(=コブ)が余程大きくならなければ見つからない事もあります。
また殆どの場合、痛みを伴うことはありません。
深部の場合、X線検査では分からない事も多く、CTやMRI検査が必要となる。




ここ数年の研究で、悪性軟部腫瘍の一部において、腫瘍特異的な染色体転座と、それに由来する融合遺伝子が存在することが分かっています。
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染色体転座簡略図

染色体転座の模式図。
染色体転座とは、異なる染色体上に存在する2つの遺伝子が切断され、他の染色体と融合したものです。
この染色体転座により、新たに発生した融合遺伝子は、腫瘍を発生させる原因となっている可能性が高いとされています。

悪性軟部腫瘍の治療は、化学療法(抗がん剤)や放射線療法が効くこともありますが、増大を止める事が出来ない場合が多く、腫瘍を手術で確実に切除する事が基本になります。
しかし腫瘍が大きく、切除が不可能な場合には、腕や脚(あし)などを切断する事が必要になる場合もあります。

治療成績は、腫瘍の種類によって差異がありますが、悪性軟部腫瘍全体としては、手術後の5年生存率は64%。治療を開始した時点で転移が無い場合には、5年生存率は75%と言う難治性悪性腫瘍である。

腫瘍の増殖や肥大は、この正常ではない染色体転座したDNAから、腫瘍発生の異常シグナルが出続ける為、手術しても再発したり、転移したりを繰り返します。

新規抗悪性腫瘍剤「ヨンデリス点滴静注用」は、このDNA染色体に結合し、細胞分裂、遺伝子転写、DNA修復機構を妨げる事で、効果を示す抗悪性腫瘍剤です。



「ヨンデリス®点滴静注用」の新有効成分は、
カリブ海に生息するホヤの一種から
スペインのファーママー社(PharmaMar)が創製した薬剤。
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エクテインアシジア・トゥルビナータ

ホヤの一種、エクテインアシジア・トゥルビナータから分離抽出。

新たに承認された「ヨンデリス点滴静注用」は、カリブ海に生息するホヤの一種『エクテインアシジア・トゥルビナータ(Ecteinascidia turbinata)』から単離された天然物で、現在は合成方法が確立されている。



ちなみにこちらは、三陸産のホヤ。勿論食用!
海から収穫すると、口のような物が閉じる。

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三陸産天然ホヤ



そう言えば、2015年のノーベル医学生理学賞を受賞した大村智氏が、土中微生物から、寄生虫に効果のある抗生物質「エバーメクチン」を発見した事は、いまだに賞賛が鳴り止まない功績であるが、微生物や放線菌(ストレプトマイシンなど=結核)、胞子菌類(ペニシリンなど=感染症)からは過去にも、様々な抗生物質が誕生している。


今回の「ヨンデリス点滴静注用」が、まさかのホヤから単離生成された薬剤だとは、何んと凄い事だろうかImage may be NSFW.
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ビックリマーク


ホヤは日本、韓国、フランスやチリなどで食材として用いられているそうだが、もしかしたら海洋生物には、我々の知らない驚異の「力」を秘めたものが、まだまだ無数にいるかもしれない────。




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若い女性の「梅毒」急増、妊娠中では胎児に多臓器疾患!

性感染症の「梅毒」に感染した患者の報告が、今年は10月の時点で、既に昨年1年間の患者数を超え、現在の調査方法になった1999年以降で最多となった事が、国立感染症研究所のまとめで分かった───。


2014年12月29日~2015年10月25日までで「梅毒」患者は2,037人を数え、特に若い女性での増加率が高く、20~24歳女性で昨年同時期の2.7倍に上っていると言う。
危惧されるのは、若い女性の患者が増えている事で、妊娠中に感染すると、胎盤を通じて胎児に伝播される「梅毒トレポネーマ」により引き起こされる「先天梅毒」に胎児が感染する事。

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梅毒トレポネーマ

梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌に感染して発症する。
長さは6~20マイクロメートル(µm)


「先天梅毒」は、妊娠前期では皮膚病変,リンパ節腫脹,肝脾腫,発育不全,血液の混入した鼻汁,口周囲の割れ目,髄膜炎,脈絡膜炎,水頭症,痙攣,精神遅滞,骨軟骨炎,偽性麻痺。
妊娠後期に感染すると、ゴム腫性潰瘍,骨膜病変,麻痺,癆(ろう=脊髄梅毒症),視神経萎縮,間質性角膜炎,感音性難聴,歯牙奇形などの重い障害をもたらす多臓器感染症である。


昨年、「先天梅毒」と報告されたのは10例あり、死産や障害が報告された。


国立感染症研究所は、不特定多数の人との性的接触(性交渉)、コンドームの不適切な使用などが感染の危険性を高めるほか、免疫が得られない為に何度も感染する事を警告している。

「梅毒」は一度治癒しても、感染者との性接触で再び感染するため、感染が疑われたら早めに専門医を受診し、必要に応じて性行為のパートナーにも告知・受診を促すことを勧めている。



尚、梅毒は、梅毒血清反応が陰性であっても、梅毒に感染していないとは言い切れません。安易な検査薬ではなく、専門医による梅毒トレポネーマの細菌検査が必要です。トレポネーマが死滅するまで治療が必要になります。




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「磁気で水きれいに」消費者庁、大阪市の販売業者に業務停止命令

発表 : 消費者庁公式プレスリリース
http://www.e-expo.net/pdf/news2015/20151126_caa.pdf

消費者庁は、浄水器及び磁気通水装置等の訪問販売業者である株式会社JSK(大阪市中央区久太郎町一丁目、代表取締役:金井賢治、資本金:300万円、設立:平成27年5月1日)に対し、平成27年11月25日、特定商取引法 第8条第1項の規定に基づき、平成27年11月26日から平成28年2月25日までの3か月間、訪問販売に関する業務の一部(新規勧誘、申込、受付及び契約締結)を停止するよう命じました。



■ 認定した違反行為は以下のとおりです。

(1)株式会社JSKは、本件浄水器関連商品の販売が目的であるにも関わらず、勧誘目的及び商品の種類を明らかにしないまま、「磁気通水装置のメンテナンスに伺います。」等と告げて、過去に消費者が他社から購入した浄水器等の点検を名目に、消費者宅を訪問し、点検中又は点検後に本件浄水器関連商品の勧誘を行っていました。(勧誘目的等不明示)

(2)株式会社JSKは、消費者宅を訪問し、本件浄水器関連商品に係る契約の締結について勧誘をするに際し、「お金がない。半年に1回、フィルターを替えてもらってるから、それで間に合うんじゃないか。」などと、消費者が本件契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、引き続き勧誘を続けていました。

(3)株式会社JSKは、消費者に対し、磁気通水装置に係る契約の締結について勧誘をするに際し、「水の中の不純物を集める。」「水がきれいになります。」「サビが入らないようになります。」など、当該商品にない性能を告げて勧誘していました。(商品の性能に関する不実告知)



消費者庁によると、株式会社JSKは、水道管の外側に取り付ける機器を「磁気通水装置」と呼び、「水の中の不純物をとる」「さびが入らないようになる」など、虚偽の効能を説明して、1台約40万円で販売。
今年5月に会社を設立してから3カ月で、404件計1億3700万円を売り上げていた。株式会社JSKは朝日新聞や日本経済新聞の取材に対し、「回答できる担当者がいない」として違反事実について見解を示していない。


磁気を利用した浄水装置は以前、水道水の化学物質を除去するという触れ込みで販売されていた。
国民生活センターは2008年に「効果はない」と発表しており、今回販売していた製品のメーカーも不純物除去機能については謳っていないと言う。







真菌症治療剤「ジフルカン®カプセル」外陰腟カンジダ症で追加承認取得

ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は、経口の単回治療剤としては日本初となる、「カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎」(外陰腟カンジダ症)の新効能・効果および新用法・用量で、深在性真菌症治療剤「ジフルカン®カプセル50mg/100mg」(一般名:フルコナゾール)について製造販売承認を取得した。

本剤は、この適応症の治療において、内服薬としては日本で初めての製造販売承認となる。


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フコナゾール

「ジフルカン®カプセル50mg/100mg」(一般名:フルコナゾール)

「ジフルカン」は1989年(平成元年)に、カンジダ属およびクリプトコッカス属による深在性真菌症および造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防薬として承認され、発売されて来ました。

そのため長い間、効能・効果及び用法・用量は、『カンジダ属及びクリプトコッカス属による下記感染症』の、
■ 真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎、並びに造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防、に適応されていました。


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カンジタ属真菌

上写真の大きい輪と小さい輪が対になっているのがクリプトコッカス属。
下写真がカンジタ属のカンジダ・アルビカンスで、根が連なり、先端から胞子を放出する。

深在性真菌症は、4大病原真菌と言われるアスペルギルス属、カンジダ属、クリプトコッカス属、ムーコル属を差し、これらの真菌が肺などの呼吸器や消化管など、身体の深部に感染し、菌糸を伸ばす糸状菌である事から治療が困難な病気でした。

これに対して、今回承認された「外陰腟カンジダ症」とは、女性性器の感染症の内、日常的に認められる疾患で、ストレスや免疫力低下、他の抗菌薬治療などにより、しばしば発症します。



カンジダ属カンジダ・アルビカンスは、通常、私たちの消化管から大腸・直腸まで常に存在している常在菌の一種です。
その数は、数百万単位と言われています。
カンジダ・アルビカンスは実は無害な菌で、身体の免疫力と、豊富な腸内桿菌によって均衡が保たれています。

しかし、均衡のとれた腸内桿菌の数が減少すると、免疫力が弱まり、カンジダ・アルビカンスが簡単に増殖を始めます─────。

カンジダ・アルビカンスは酵母の形態から、菌糸状に成長し、胞子(真菌)を放出して全身に侵入し始めます。


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膣内壁

カンジダ・アルビカンスが増殖を始めると、それまで酸性に保たれて、
膣内の雑菌の繁殖を阻止していたバランスが崩れ、膣内に「白体」と言う
寄生真菌が増殖します。

これが外陰部に掻痒感(かゆみ)や灼熱感が強く現れる原因です。
時に粥状(じゅくじょう)、酒粕状の帯下(ベージュ色のおりもの)、外陰部の発赤や腫れ、周辺に紅斑や小膿疱(しょうのうほう)を伴う事もあります。

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外陰部のカンジタ

性行為によって男性にも感染します。
症状は潰瘍状になったり外性器の紅斑や小膿疱など。


国内において、治療が必要な患者数は約310万人と推定されており、そのうち約4割が治療せずに我慢しているとの調査結果があります。



「外陰腟カンジダ症」に対する治療には腟錠/腟坐剤による連日または週1回治療、及びこれらの治療方法と併用する形で、局所塗布剤が推奨されています。

しかし従来の腟錠や塗布剤は、継続しなければ治癒に至らないため、患者にとっては負担の一因になっていました。
またカンジダ属真菌に感染していても症状の無い事もあり、通常は症状がある場合に治療を行うので放置しがちでした。

カンジダ属真菌を放置すると、身体のストレスや睡眠不足、抵抗力の低下などが起こると、外陰膣炎が急激に悪化する事があります。



海外では、外陰腟カンジダ症の治療に対して「ジフルカン®カプセル150mg」単回経口投与の用法・用量が承認されていますが、日本では承認されていませんでした。

「ジフルカン®カプセル150mg」単回経口投与が、カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎(外陰腟カンジダ症)について販売承認された事で、従来の局所投与剤に比べて簡単で、患者の日常生活の質的向上が図られ、処方された薬剤を、指示に従って正しく服用する事の出来る、新たな治療選択肢の一つになると期待されます。


用法・用量

成人(深在性真菌症)
カンジダ症:通常、成人にはフルコナゾールとして50~100mgを1日1回経口投与する。
クリプトコッカス症:通常、成人にはフルコナゾールとして50~200mgを1日1回経口投与する。
造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防:成人には、フルコナゾールとして400mgを1日1回経口投与する。
(新)
カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎:通常、成人にはフルコナゾールとして150mgを1回のみ経口投与する。


小児(深在性真菌症)
カンジダ症:通常、小児にはフルコナゾールとして3mg/体重1kgを1日1回経口投与する。
クリプトコッカス症:通常、小児にはフルコナゾールとして3~6mg/体重1kgを1日1回経口投与する。
造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防:小児には、フルコナゾールとして12mg/体重1kgを1日1回経口投与する。尚、患者の状態に応じて適宜減量する。但し、1日量として400mgを超えないこと。

カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎:小児には投与しない事。


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ところで全く外陰腟カンジダ症について知らない方や、病院に行きたいが、どんな様子で診断されるか・・・? と興味を持たれた方に・・・。

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恋なんて贅沢が私に落ちてくるのだろうか? DVD-BOX(DVD)


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佐々木希・主演のドラマ「恋なんて贅沢が私に落ちてくるのだろうか?」で、ヒロインの佐々木希演じる宝池青子が、仕事のストレスから「膣カンジタ症」になってしまうと言う、何とも斬新な役を演じている。
実に素朴な感じが出てて、知らない人には参考になるかもしれない・・・かもね。
その回は第4話だったと思うが・・・。





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多発性硬化症治療剤「コパキソン®」を発売開始

武田薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)は11月26日、多発性硬化症治療剤「コパキソン®皮下注20mgシリンジ」(一般名:グラチラマー酢酸塩)を、日本国内で発売したと発表した。


本剤は2009年3月、厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定され、2010年5月には厚生労働省から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」として、武田薬品が開発要請を受けた。
その後、2013年3月、武田薬品は本剤の日本における製品化に関するライセンス契約を、グラチラマー酢酸塩を開発したイスラエルのTeva社(Teva Pharmaceutical Industries Ltd.)と締結。
契約に基づき、2015年9月28日に製造販売承認を取得し、11月26日に薬価収載された。



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コパキソン皮下注20mgシリンジ

多発性硬化症治療剤「コパキソン®(®Copaxone)皮下注20mgシリンジ」
(Teva Pharmaceutical Industries Ltd.)


多発性硬化症(MS=Multiple Sclerosis)は、脳や脊髄に多発性の硬い病巣が見られる病気であり、中枢神経線維を覆っている髄鞘(ずいしょう)が障害を起こす自己免疫疾患で、厚生労働省の特定疾患(=神経難病)に指定されています。

この病変は、大脳、脳幹(のうかん)、小脳、脊髄や視神経などの中枢神経に、規則性もなく再発と寛解(かんかい)を繰り返します。

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中枢神経細胞

病変は大脳、脳幹、小脳、脊髄や視神経などの中枢神経に起こる。

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脳内の神経細胞と脊髄

神経細胞から出た神経線維(軸索)は脊髄を通って全身へ信号を伝える。

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神経細胞から伸びる髄鞘

軸索は髄鞘(オリゴデンドロサイト)と言う節状細胞に覆われている。

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被膜の剥がれた髄鞘が剥き出し

しかし多発性硬化症を発症すると‥‥軸索を包む髄鞘が破壊され、
脱髄と言う状態となり、様々な神経機能が障害を受ける。
例えると、電線の絶縁体のゴム被膜が破れ、漏電している状態となる。


一般的な症状として、視覚および眼球運動異常、感覚異常、筋力低下、痙縮(けいしゅく)、排尿不全、認知機能障害などが見られ、(1)発病初期から慢性進行性の経過をたどる一次進行型、(2)再発・寛解を繰り返す再発寛解型、(3)再発・寛解を経て進行型に転ずる二次進行型があり、患者の8割以上が再発寛解型(2)に分類されます。

多発性硬化症の日本における罹患者(りかんしゃ)数は約18,000人であり、発症する年齢は、若年成人といわれる20~30代が多く、また男性に比べて女性に多く発症し、近年、更に増加傾向にあります。

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多発性硬化症の脳MRI

多発性硬化症の患者のMRI画像。

上部2枚は脳の病巣が消えた跡。
下部2枚は再発し、病巣が増えている画像。
再発と寛解を幾度となく繰り返しながら徐々に増悪する場合が多い。


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多発性硬化症の脊髄MRI

こちらは脊髄の中の軸索のMRI画像。
脊髄に発症し軸索を包む髄鞘が破壊され白くなって見える。


発症のきっかけや原因は不明ですが、何らかのウイルスの感染を契機に、髄鞘に対する異常な免疫反応が起こり、髄鞘を傷つけてしまう自己免疫反応的な原因で、脱髄を起こすと考えられていますが、詳細は分かっていません。

多発性硬化症を診断するための特異的な検査はありませんが、MRIによる脳の撮影や腰椎穿刺(ようついせんし=針を刺す)による脳脊髄液検査が、診断に重要な情報を与えてくれます。



「コパキソン®皮下注20mgシリンジ」は、多発性硬化症の再発を予防する1日1回20mgを皮下投与注射剤です。
効能・効果は多発性硬化症の再発予防で、作用機序は、自己免疫反応を調整することで中枢神経における炎症を抑制し、多発性硬化症の再発を予防します。








発泡酒・第三のビールに忍び寄る遺伝子組換えコーンスターチ。

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第三のビール

第三のビールと呼ばれる新ジャンルのビール


12月9日放送の、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を見て、初めて遺伝子組み換えトウモロコシから製造された原料が、「発泡酒」や「第3のビール」に使用されている事を知った人も多かった事だろう‥‥。


しかも肝心の生産大国アメリカでは、逆に、非遺伝子組み換え食品の市場が伸びていると言う報告にも驚きだ。

非遺伝子組み換えトウモロコシの作付け面積が、4年間で7倍以上に拡大。
スーパーの商品には、NPO団体が作った非遺伝子組み換えのマークが入っている。北米を中心にオーガニックハンバーガーショップを展開している「ベアバーガー」では、遺伝子組み換えのとうもろこしではなく、牧草で育てた牛肉のみを使っている。
遺伝子組み換えトウモロコシの作付面積は今年はじめて減少したと言う。

アメリカ人のソールフード、ハンバーガーでさえ遺伝子組み換えトウモロコシは避けられている。




所が、日本では全く逆の道を走り出していた‥‥。

ビール類のうち「発泡酒」や「第3のビール」にも、遺伝子組み換えトウモロコシ由来の原料(コーンスターチ=液糖)が使われるようになって来た。

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発泡酒のコーンスターチ

発泡酒と第3のビールでは、
現在、原材料表示に、コーンスターチが遺伝子組み換えかを表示する義務はない。

コーンスターチは、とうもろこしのデンプンで、ビールを発酵させる際に使用する。これを分解して作る液糖は、甘味料として「発泡酒や第三のビール」に使われる。材料のとうもろこしは、遺伝子組み換えも使用される。この原料は国の安全審査を通っている。

日本に輸入される“遺伝子組み換え”は、厚生労働省が安全と判断したものだが、利用者の8割が不安に思っていると言う。
ただ消費者団体は遺伝子組み換え作物由来で、表示義務のない商品でも「消費者が選択できる表示ルール」を求めている。



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スナック菓子の非遺伝子組み換え

しかしスナック菓子などでは、
遺伝子組み換えトウモロコシ由来かをしっかり表示。



遺伝子組み換え作物由来の液糖は、既に清涼飲料水に使われ、使用対象がビール類にも拡大した形だ。
製造過程で遺伝子組み換え作物の遺伝子が残らないため、表示義務はない。

現在、日本では加工用のトウモロコシをほぼ全て輸入でまかなっている。そのうち栽培・流通・加工の各段階で、遺伝子組み換え作物が混ざらないように分別管理した「非組み換え」と、ほとんどが遺伝子組み換えトウモロコシからなる「不分別(ふぶんべつ)」の2種類がある。

日本の最大の輸入先である米国では、栽培の約9割が遺伝子組み換えのため、輸入トウモロコシの大半が「不分別」に切り替わり、清涼飲料水や家畜の餌などに使われている。


一方、ビール類は消費者団体が定期的にビール会社に対して「不分別」など遺伝子組み換え品に切り替えていないかを尋ねていた事などから、ビール会社は遺伝子組み換え品に慎重な姿勢を見せて来た。

こうした使用状況に変化がないかを調べるため、10月に国内ビール大手4社にアンケートした。4社は、「アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリービール」。

4社とも、これまでは非遺伝子組み換えトウモロコシ由来のコーンスターチから出来た液糖を使っていたが、「発泡酒」と「新ジャンル/第3のビール」では、不分別(遺伝子組み換え品)に切り替えていた。

その時期について、サントリーは「今年2月製造分から」、アサヒは「3月から」、キリンは「今年に入って順次」。
『サッポロは時期を明らかにしていない。』

理由は、▽「長期的に安定して供給を確保する必要があるため」(サントリー)▽「不分別液糖については清涼飲料や他の食品でも広く使用され、安全上の問題も起きておらず、今後の安定調達も考えた」(アサヒ)--と説明している。

但し「発泡酒」や「第3のビール」以外のビールは、原料にトウモロコシを使わないサントリーを除き、アサヒビール、キリンビール、サッポロビールとも「非遺伝子組み換え品」を使用。


「主婦連合会」の河村真紀子事務局長は「欧州連合(EU)並みの厳しく、シンプルな表示ルールを国は検討してほしい」としている。


【引用元】毎日新聞2015年11月10日: http://mainichi.jp/articles/20151110/ddm/012/040/058000c 


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遺伝子組み換え大豆使用の納豆

納豆では初めてらしい、遺伝子組み換え大豆を使用した納豆。


業界トップクラスのシェアを誇る、日本コーンスターチ(株)は、クラクソングレインと提携し、アメリカの農家から直接的に非遺伝子組み換えとうもろこしを仕入れていると発表。仕入れ価格は何んと4年前より3割安くなったという。


と、言う事は遺伝子組み換えトウモロコシで肥育された牛肉を、肉大好きアメリカ人でも避けていると言う事か・・・ではその余りはどこへ行っているのか?

日本国内では、放牧で肉用牛を肥育している所は、ほんのわずか。大半は輸入トウモロコシなどだが・・・。

医薬品の世界では、遺伝子組み換え医薬品は癌治療などでは既に当たり前のようになっている。
この当たり前が、日々、口にする食品や嗜好品にも確実に忍び寄っている。

あとは、個々がそれらをどう判断するかに掛かって来た──。

食料輸入大国・日本。どうする?





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「エビリファイ」自閉症障害に伴う興奮性治療薬で、追加申請

大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区)は12月7日、同社が2006年より国内で販売している抗精神病薬「エビリファイ」(一般名:アリピプラゾール)の、“小児期の自閉症における自閉性障害に伴う興奮性に対する効能・効果”で、追加申請と小児用として「エビリファイ錠1mg」の国内剤形追加販売承認申請を行ったと発表しました。


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国内エビリファイ錠3mg

国内で販売されている抗精神病薬「エビリファイ」。
最も少容量で3mgと小児用には高容量のため適さない。


「エビリファイ」は、大塚製薬が創製し開発した「統合失調症及び双極性障害における躁症状の改善」を効能・効果とする薬剤で、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト作用を有する非定型抗精神病薬です。

本剤はドパミン活性が過剰である場合はその状態を抑制し、逆にドパミン活性が低下している場合にはその活性を増加させるという作用を持っています。



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米国エビリファイ錠2mg

米国で販売されている「エビリファイ」。
最も少容量で2mgとなっている。



自閉症は脳の発達・成熟が障害されることにより、心を通わせることが不自由になる、3歳までに発症する神経発達の病気です。小児の0.1~0.2%に見られ、10,000人に対して2~20人の有病率で、日本の患者数は約21,000人と報告されています。

ハッキリした原因は分かっていませんが、遺伝的な要因によって、脳の構造や機能に異常が生じる病気と考えられています。

環境要因も発症に関係しますが、親の育て方が自閉症の発症の直接的な原因ではありません。



自閉症には様々な病態があり、それによってアスペルガー症候群、高機能自閉症、広汎性発達障害などと呼ばれていますが、症状の度合いが違うだけで、「興奮性」があれば、これらは全て『自閉症における自閉性障害』の治療薬対象となるでしょう。

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自閉症治療薬登場か

「自閉症障害に伴う興奮性」は、
特に外出時などに、突然泣き叫んだり、大声を上げたりして、
周囲からじろじろ見られる事で、外出を敬遠したり
行動が萎縮したりと、患者にも家族にも負担となっています。


更に厄介なのは、攻撃性や自傷行為などの興奮性、常同行動、強迫行動など様々な行動障害を伴う事です。

中でも中等度から重度の興奮性は、患者の20%程度に見られるとの報告があり、患者本人及び家族に重大な影響をもたらす場合もあります。

『自閉性障害に伴う興奮性』の原因は特定されておらず、日本では1982年に定型抗精神病薬が自閉性障害の異常行動などに対して承認されましたが、副作用が多い事から小児の患者に使用する上で安全性の問題を抱え、より忍容性の高い、非定型抗精神病薬の早期の適応取得が望まれていました。



自閉症児の脳の機能性比較MRI画像。
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自閉症児のMRI画像比較

脳の機能的な活動を比較すると、
正常な脳の前頭葉内側(黄色いライン)に活動域が見られるが、
自閉症児では、活動の欠如が見られる。


「エビリファイ」の“自閉性障害に伴う興奮性”に対する効能・効果では、米国で2009年11月に、小児(6~17歳)の患者に対して本剤の承認を取得。

日本では、2011年に日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会、日本小児神経学会の3学会より、『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』に自閉性障害に伴う興奮性に対する開発要望が出され、2012年に大塚製薬は、厚生労働省より開発要請の通知を受けていた。


これを受けて承認申請に関する日本での臨床試験は、自閉性障害と診断され行動障害【=癇癪(かんしゃく)、攻撃性、自傷行為、又はこれらの複合行為】のある“興奮性を伴う自閉性障害”の患者(6~17歳)を対象に実施され、本剤の有効性及び安全性が証明されました。

「エビリファイ錠1mg」は、非定型抗精神病薬であり、これまで使われて来た従来型抗精神病薬と異なっている点が多く、特に錐体外路症状(手が震える、体が硬くなる等)の副作用が少ないという特徴があります。

この薬剤が承認され、未だ治療の課題を抱えた多くの患者や家族の一助になる事を期待します。





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世界初、難治性川崎病治療薬「レミケード®点滴静注用100」が承認取得

田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)は12月21日、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」(一般名:インフリキシマブ)について、既存治療で効果不十分な難治性川崎病の急性期に対する効能・効果の追加に係る製造販売承認を取得した。

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レミケード点滴静注用

抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」


川崎病(Kawasaki disease)は、正式名称を「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」と言い、1967年に日本赤十字社の小児科医・川崎富作博士が世界で初めて報告した事から、博士の名をとって病名が付けられました。

この病気は全身の血管に炎症を起こし、重症の場合は心臓の血管に後遺症の残る事がある。
主に0歳と1歳を中心に4歳以下の乳幼児が罹かりやすく、女の子より男の子にやや多く見られます。


原因はまだ良く分かっていませんが、何らかの病原菌の感染に対し起こった免疫反応によって、全身の血管に炎症が起こるのではないかと考えられています。
この川崎病の患者数が近年急増傾向にあり、2000年に約8,300人だった患者数が、2005年には10,000人を超え、2010年に12,800人、2012年には14,000人となっています。




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目印
病態は大きく分けて6つあり、

 (1)高熱が通常は5日以上続き、解熱薬があまり効かない。
 (2)両側の白目が充血して真っ赤になる。目やにはでない。
 (3)口唇が赤くなり、舌の表面にイチゴのような赤いブツブツが出来る。
 (4)手足や躯に、大小さまざまな形の発疹ができ、かゆみを伴う事もある。
 (5)手足が硬く腫れ、手のひらや足の裏が指先まで赤くなる。熱が下がる頃、指先の皮膚が剥ける。
 (6)首のリンパ節が腫れて痛くなる。

これらの内、5つの症状があれば川崎病と診断されますが、症状が出揃わない場合もあります。



川崎病で最も怖いのは、心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている冠動脈に炎症が起こり、冠動脈瘤と言うコブが出来る事で、乳幼児でも心筋梗塞を起こす恐れがあります。
冠動脈に後遺症を来すと、冠動脈拡張や動脈瘤などの合併症や後遺症を引き起こす場合もあります。

近年の治療の進歩によって、冠動脈瘤を起こす例は減っていますが、急性期の炎症が強かったり、10日以上発熱が続いたりすると、免疫グロブリン(血液製剤)が効きにくい事があるため、症状が無くなったあとに冠動脈瘤が生じる事もあります。


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冠状動脈瘤

冠動脈は、心臓壁に冠状に分布する心筋に酸素および栄養を送る動脈で、
この冠動脈に瘤(りゅう=コブ)が生じるのを冠動脈瘤と呼ぶ。
これによって血流が悪化し、急性心筋梗塞を起こす場合もある。

このように川崎病の急性期では、既存治療で効果不十分な場合、後遺症が残る事から、新たな治療薬の開発が望まれていました。



今回新たに追加承認された「レミケード®点滴静注用100」は、世界初の抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤で、1991年より欧米において臨床試験が開始され、1998年にクローン病治療薬として発売。
以来、すでに米国、欧州など100か国以上でクローン病、関節リウマチ、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎、乾癬、強直性脊椎炎および潰瘍性大腸炎などの治療薬として使用されている。



本剤は2012年に、厚生労働省の希少疾病用医薬品に指定され、国内臨床試験を実施。有効性ならびに安全性が認められた。
尚、本剤の効能・効果は、既存治療に効果不十分な「難治性川崎病」に限るとされ、通常、体重1kgあたり5mgを単回点滴静注する、となっている。





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難病ミトコンドリア病に治療効果がある物質「MA-5」本年秋に臨床治験開始

有効な治療法の無い、国指定難病「ミトコンドリア病」の治療に効果がある新規化合物「MA-5(Mitochonic Acid-5)」による、医師主導による臨床試験(治験)を本年秋にも、東北大学病院臨床研究推進センターなど国内の4つの病院で、10人の患者を対象に半年間行う事を発表した。


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JASN論文サイト

米国腎臓学会学術誌
「Journal of the American Society of Nephrology」電子版に発表


「ミトコンドリア病」は、細胞の中で主にエネルギーを産み出し、細胞活動を支えているミトコンドリアに障害を起こす遺伝性の希少疾患で、国内の平成24年度の患者数は、医療受給者証保持者数から1,087人と報告され、国内の総患者数は5000~1万人と見られる。



「ミトコンドリア病」の原因は、細胞の中の核にDNAがあり、そのDNAが遺伝子というそれぞれ特定の情報を担っていますが、DNAにはもう一つ、ミトコンドリアの中にも別のDNAが存在する。


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ミトコンドリアDNAと核DNA

DNAには2種類あり、
核DNAはアデニン(A)チミン(T)グアニン(G)シトシン(C)の4塩基から成る。
ミトコンドリアDNAは1万6569塩基とコンパクトな環状のDNAである。


殆どの病気は、核DNAの遺伝子の異常で起こるが、ミトコンドリア病は核DNAとミトコンドリアDNAでも異常を起こし、これが神経・筋、循環器、代謝系、腎泌尿器系、血液系、視覚系、内分泌系、消化器系でエネルギー(ATP)産生の低下が起こり、全身に幼少期から非常に重篤な障害を引き起こします。



ミトコンドリアは、卵子と精子が受精し、受精卵が出来た時、その受精卵の中のミトコンドリアが、全て母親の卵子由来であり、父親からのミトコンドリアは伝わりません。
つまりミトコンドリアDNAは他の核DNAと異なり、母系遺伝と言う事になり、母親のミトコンドリアDNAに異常がある場合、それは子供にも伝わります。


但し、ミトコンドリア病が全て母系遺伝ではなく、ミトコンドリアDNAは変異が起きやすく、突然変異で発症する場合もあり、また核DNAにある遺伝子の変化でも起きる事から、優性遺伝や劣性遺伝の場合もあります。

現在の所、厳密に効果があると確定された治療薬はありません。




新規化合物「MA-5」は、東北大学大学院医学系研究科病態液性制御学分野および東北大学大学院医工学研究科分子病態医工学分野と、岡山理科大学、自治医科大学(前:神奈川県立こども医療センター)、筑波大学の共同研究グループが、尿毒症患者の血中の腎不全物質を解析する過程で、ある種の内因性インドール化合物群にATP(アデノシン三リン酸)産生亢進作用があることを見い出した。
  【注釈】ATP=細胞の活動に使用されるエネルギーの大部分を占める3つのリン酸基と、アデニンとリボース(アデノシン)が結合したもの。

それが新規化合物「MA-5」で、MA-5はミトコンドリア病患者由来の培養細胞の細胞死を抑制し、ミトコンドリア病態マウスモデルの心臓・腎臓の呼吸を改善、生存率を上昇させたと言う。


既存のミトコンドリア病治療薬の作用機序が、抗酸化効果であるのに対して、MA-5はミトコンドリア内に存在する“ミトフィリン”という膜タンパク質に結合してATPを増やすという、全く新しいメカニズムである事が明らかになった。

今回の成果から、MA-5は現在治療法のないミトコンドリア病の新しい治療薬となる可能性が示唆された。
更に、ミトコンドリアの機能異常で起こる、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病などの神経変性疾患や糖尿病、老化現象などの疾患などにも、ミトコンドリア異常が係わっている事から、MA-5はこれら種々の疾患に対しても治療薬となる可能性がある。





現在「MA-5」は日本医療研究開発機構(AMED)の支援により安全性試験が行われており、安全性が確認され次第、早ければ今秋にも10人のミトコンドリア病患者での臨床治験に入る予定です。

ミトコンドリア病に関する治療薬の研究は、米オレゴン健康科学大学が多能性幹細胞による有害なミトコンドリアの「修正」に成功したり、熊本大学大学院が発症の原因を押さえる薬剤の開発に成功しているものの、それらは実際の患者での臨床治験には未だに至っていません。


「MA-5」は既に国内、国際出願(特願2013-209539、PCT出願JP2013/006916)とも完了しており、世界初で尚且つ日本発の新薬として、画期的な薬剤となる可能性を秘めています。

是非とも、病気の進行抑制や、発症抑制に効果が上がる事を期待しています。





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医療の信頼を傷つける化血研に、厳しい御沙汰

厚生労働省は1月8日、化学及血清療法研究所(化血研、本社:熊本市北区)に110日間(1月18日から5月6日まで)の業務停止命令を出した。



年明けまで厳しい行政処分が延びたのは、血液製剤の中で在庫不足が見込まれる3種類の製剤について、厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会」が6日、約8000本の出荷を認める案を了承し、この分は化血研への指示事項として、記録を保存することや出荷後の副作用の情報収集を徹底する事などを徹底するよう盛り込まれ、この結論を得て、1月8日、業務停止命令を発動した。


●出荷対象血液製剤本数(出荷を認める本数7973本)
 ▽献血グロブリン注射用(乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン)2573本
 ▽乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子2800本(コンファクトF 1000単位)
 ▽乾燥濃縮人血液凝固第IX因子2600本。(ノバクトM)

上記のいずれの製剤も、在庫の本数が限られており、献血グロブリン注射用は1月下旬、コンファクトFとノバクトMは3月下旬には在庫がなくなる恐れがあった為の処置。




化血研の血液製剤を巡っては、約40年にわたり、承認されていない方法で製造。
厚生労働省の立ち入り検査などで、承認書に記載の無い抗凝固剤の添加といった、不正製造の実態が明らかになったほか、虚偽の製造記録を作成するなど、国の査察に対する隠ぺい工作が常態化していた事も判明している。

厚生労働大臣の塩崎恭久氏は1月4日の閣議後の記者会見で、この問題について、「組織的な欺罔(ぎもう)あるいは隠蔽をかなりの長期にわたって続けており、医薬品の製造許可を取り消すに値する事態だと認識している」と見解を述べていた───。


今回の処分により、化血研は処分期間中、同社が製造販売する医薬品の製造・販売を停止する。


但し、患者に与える影響を鑑み、代替製品のない血液製剤8製品とその他ワクチンや抗毒素製剤など19製品は処分の対象外(業務停止除外品目)として製造・販売を継続する。

処分の対象外となる医薬品は以下の通り。

●血液製剤
・乾燥濃縮人活性化プロテインC
・乾燥スルホ化人免疫グロブリン
・乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子
・乾燥濃縮人血液凝固第IX因子
・生体組織接着剤
・ヒスタミン加人免疫グロブリン(乾燥)


●ワクチン製剤など
・インフルエンザHAワクチン
・沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(セービン株)混合ワクチン
・組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)
・乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン
・乾燥組織培養不活化A型肝炎ワクチン
・乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン
・乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(H5N1株)
・乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)
・沈降インフルエンザワクチン(H5N1株)
・乾燥細胞培養痘そうワクチン
・沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン
・乾燥はぶ抗毒素
・乾燥まむし抗毒素
・乾燥ガスえそウマ抗毒素
・乾燥ジフテリアウマ抗毒素
・乾燥ボツリヌスウマ抗毒素
・乾燥ボツリヌスウマ抗毒素(E型)
・ペントスタチン
・メカセルミン(遺伝子組換え)


その他、除外品目以外の業務停止対象品目について厚生労働省は、業務停止期間中に医療機関から供給要請があった場合は、事前に厚生労働省の了解を得た上で出荷し、緊急の場合は必要量を出荷した後に、速やかに報告するよう求めている。


また、厚生労働省は1月8日、化血研が熊本県公安委員会へ届出をせずに、二種病原体等であるボツリヌス毒素を事業所外に運搬していた問題についても、再発防止を徹底するよう求める行政指導を行った。





今回の血液製剤の不正製造によって、これらの製剤が献血から作られている事を考えると、非常に悪質で欺瞞としか言いようがないが、これがある種、独占企業だったと言う事から、40年以上に渡って不正が続けられてきた。


しかし、この不正製造が明るみになるきっかけが、厚生労働省への内部告発だった───。

昨年5月、匿名の投書が厚生労働省に届いた。

化血研の職員を名乗り、国に承認された方法とは異なって、添加物を無断で加えていた事など法令違反をしている事が書かれており、「心が痛む」と綴られていた。


この情報をもとに、厚生労働省は抜き打ちで調査を実施。40年以上に渡って欺き続けて来た不正が明らかになっていった・・・。


今回の厳しい御沙汰は、過去、前例が無い程、重いお裁きとなった。

この人物には、自分の処遇が窮地に立たされようとも、人命を預かる化学者としての誇りと、製造者としての不条理に直面し、やりきれない思いを抱えていたのかも。
病の人の血なり汗となる、命の血液製剤を作る者として、企業ぐるみの不正体質を看過できなかった・・・。


こういう人物が、40年と言う時間の果てに、ようやく現れてくれた事に、奇跡を感じてしまうのだ。




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妊娠初期の低fT4値がADHDリスク上昇に関与の可能性

オランダ・ロッテルダムのエラスムス医療センターのティアゴ・モデスト氏らの研究グループは、2001年12月から2014年1月1日まで登録した妊婦のうち、母親の甲状腺ホルモン値が記録されていて、2006年1月31日までに子供を出産し、その後、8歳時点でADHD(注意欠如多動性障害)の検査を受けた母子3873組について、母親の甲状腺ホルモン値とADHDの発症の関係の大規模な出産群追跡調査を分析した。


その結果、妊娠初期の低サイロキシン血症(甲状腺機能低下症)が、8歳時点の小児のADHD発症リスクを上昇させる事が示されたとする分析結果を、Journal American Medical Association.(JAMA Pediatrics)に発表した。(発表誌:2015年9月)

  【原題:Maternal Mild Thyroid Hormone Insufficiency in Early Pregnancy and Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Symptoms in Children


ADHD(注意欠如多動性障害)の発症原因については、これまで大掛かりなコンホート(一群)での研究報告がなく、▲「砂糖を摂り過ぎた事がADHDと関係しているの?」▲「ファストフードの摂り過ぎがADHDと関係している…」▲「妊娠中の無理が子供をADHDにしてしまった……?」など、実に好き勝手な憶測が、原因として一人歩きしていました。


日本国内のADHDの患者数は、正確な数が把握出来ていません。
これはADHDの正確な診断を受けた児童がいない為で、軽度の場合、本人も家族も性格の問題だ、などと勝手な判断をして、小児科を受診していないケースもあるからです。


国立保健医療科学院の統計発表から(年間)
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ADHD児童推定患者数

国立保健医療科学院が、日本小児科学会研修指定病院からの報告を受けて、診断が確定された患者数は年間、児童1000人当たり1.2人でした。


ADHDの根本原因が不明のまま、子供が産まれたあと、ADHD症状の不注意や多動性が発現するのは‥‥と言う事に注目が集まり、脳の神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンの働きが不足している事が分かり、思考を司る前頭葉までドーパミンが届きにくい為、あたかもそれが原因で注意欠陥、多動性、衝動性という3つの症状が現れると考えられるようになりました。


それでも、これから妊娠・出産を控えている女性にとっては、どう対応すればADHDを回避出来るのか、と言う最大の疑問は消えていません。

欲しい情報は、信頼出来る研究機関が、信頼出来るデータに基づき、ADHDの子供を予防出来るのか‥‥それとも予防出来ない、運まかせなのか? と言う不安への答えでしょう。



ティアゴ・モデスト氏らの研究グループは、受精卵から次第に胎児に成長し、脳が発達する段階で、胎児は母体(母親)の甲状腺ホルモンを使って成長をする事に着目。特に甲状腺ホルモンのfT4(free T4、遊離サイロキシン)を調べた。


甲状腺ホルモンの検査項目
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甲状腺ホルモンの検査項目
妊娠中の甲状腺ホルモン値(TSH値、fT4値、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb))は、平均妊娠週数13.6週(レンジは6.6-17.9)の時点で測定された。



妊娠期間中、甲状腺刺激ホルモン(TSH)値は変化しないままに、fT4(遊離サイロキシン)の値が軽度に低下するのを、低サイロキシン血症(甲状腺機能低下症)と呼び、CLIA法でfT4が低値(0.85ng/dL未満)の場合に該当。
分析では、甲状腺刺激ホルモン(TSH)は妊婦の正常域にある場合とした。

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FT4低値参考図

甲状腺機能低下症の数値(参考例)


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FT4の分析数値法

甲状腺ホルモンの検査数値には2種類の検査法があるため、
RIA法では0.7ng/dLでも正常範囲に入っており、
どの検査法で検査したかによって、甲状腺機能の低下に
気づかない場合があり注意が必要です。


母親3873人の妊娠中の平均年齢は30.0歳。76.0%に喫煙歴が無く、妊娠早期の低サイロキシン血症は127人に認められた。(fT4が0.85ng/dL未満)

その結果、妊娠初期の低サイロキシン血症と、出生児が8歳時点のADHD診断基準・コナースコアの高値には、人種や母親の年齢、学歴、喫煙歴、世帯収入などで統計調整後も、有意な関係がある事が判明。

低サイロキシン血症の妊婦から生まれた子供は、それ以外の子供よりもコナースコアが7%(95%信頼区間0.3-15)高かった。
また甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)陽性の女性を分析から除外したり、小児の自閉症状やIQで調整しても、結果は殆ど変わらなかった。


ティアゴ・モデスト氏らは今回の結果について、妊娠中の甲状腺ホルモンレベルが子供の神経発達に影響することを示唆するものとした上で、「その機序を明らかにするために、ニューロイメージングや動物実験などを行う必要がある」と提言している。



ここでは甲状腺機能低下症の原因や病態特性については省略しますが、妊娠に関与する可能性が示唆された以上、甲状腺ホルモンの検査を受け、ご自分の甲状腺ホルモン値(TSH値、fT4値、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb))を把握しておく事が重要です。

最も特徴的な症状としては、足首付近のむくみです。

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甲状腺機能低下症の足のむくみ

足のむくみ(参考画像)

むくみが大きくても、妊娠を希望していなかったり、妊娠していない場合は経過観察となる場合が多く心配はいりません。

しかし妊娠を希望していたり、妊娠初期で甲状腺機能低下症の兆候が現れた場合は、甲状腺の専門診療科を受診して、適切な診断をしてもらいましょう。

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代表的な甲状腺機能低下症治療薬「チラーヂンS錠50μg」

甲状腺ホルモンのfT4値を正常値の範囲内に補充する事で、むくみなどの様々な症状が改善されます。
また胎児の成長に不可欠な甲状腺ホルモンを補充する事で、将来的に子供の知能に影響を与えるリスクを減少できるならば、医師と十分相談してみてもいいかもしれません。

甲状腺ホルモン剤は、適切な服用であれば胎児への悪影響を心配する必要は無いと言われている薬剤です。

ティアゴ・モデスト氏らの大規模追跡調査は、オランダ人を対象としているので、これが直ぐ日本人女性にも当てはまると言うものではありません。
しかし、ADHDの発症原因の解明と同時に、そもそも何故ADHDの子供が産まれるのか‥‥と言う、根本的な疑問は解き明かされていません。

是非、日本でも甲状腺機能低下がADHD患者誕生と関連があるのか、確かめる価値はあると思うのです。





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甲状腺髄様がん治療薬「カプレルサ錠」の発売を開始

ジェンザイム・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区西新宿)は12月24日、甲状腺がんの中で、発症頻度が低い希少がんの「甲状腺髄様がん」の治療薬として、抗悪性腫瘍薬「カプレルサ錠100mg(一般名:バンデタニブ)」を発売したと発表した。
適応は「根治切除不能な甲状腺髄様がん」で、1日1回300mgを経口投与する。



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バンデタニブ(カプレルサ錠100mg)

抗悪性腫瘍薬「カプレルサ錠100mg(一般名:バンデタニブ)」

甲状腺髄様がんは、甲状腺がんの内の1~2%程度の頻度で発症し、治療の第一選択肢は手術だが、進行した場合の治療の選択肢が限られ、悪性度の高い癌である。



日本での甲状腺がんの全体の総患者数は1万3000~2万9000人と推定され、甲状腺がんの病態は、全体の約92~85%を占める乳頭がん、次いで約3~10%の濾胞(ろほう)がん、1~2%程度の髄様がん、1%前後の未分化がんと、大きく4つに分類されます。

甲状腺がんは女性に起こりやすく、男女比は人口10万人に対して3.4:10.8で、死亡リスクは、0.8:1.7となっています。

甲状腺がんの内、最も多い乳頭がんは非常にゆっくりと進行し、早期の発見では治療経過が良好で死亡率は低いが、術後10~20年経過して再発する事もあり、長期経過観察が必要。濾胞がんも進行はゆっくりです。

未分化がんは症状の進行が速く、肺や肝臓への転移を起こしやすい、悪性度の高いがんで、高齢者に多く発症します。



甲状腺髄様がんは、乳頭がんや濾胞がんと異なり、カルシトニンというホルモンを分泌するC細胞に発症し、乳頭がんや濾胞がんはヨードを取り込む性質がある為、アイソトープ療法が可能ですが、髄様がんではこの性質が無く、放射性ヨード(ヨウ素)によるアイソトープ療法が出来ません。

このように甲状腺髄様がんと甲状腺未分化がんは、他の甲状腺がんに比べ進行・転移が早く、外科的全摘出手術や放射性ヨウ素療法など、根治切除不能で、標準治療が存在しない事から、新たな治療薬の開発・承認が望まれていました。



今回承認された「カプレルサ錠100mg(一般名:バンデタニブ)」は、甲状腺がんの発症と病勢の進行において重要なシグナル伝達経路である、VEGFR-2チロシンキナーゼ(血管内皮増殖因子受容体2)を介した血管新生を抑制するとともに、上皮増殖因子受容体(EGFR)とRearranged during Transfection(RET)の各チロシンキナーゼを標的とする、マルチキナーゼ阻害薬である。

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カプレルサ錠の作用機序

「カプレルサ錠100mg(一般名:バンデタニブ)」の
血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-2)への作用機序

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カプレルサ錠の作用機序

「カプレルサ錠100mg(一般名:バンデタニブ)」の
上皮増殖因子受容体(EGFR)とRETへの作用機序


マルチキナーゼ阻害薬は、がん細胞の血管新生を抑制する事で腫瘍細胞の増殖を抑え、病態進行を遅らせる事が期待される抗悪性腫瘍薬である。

マルチキナーゼ阻害薬に関しては、甲状腺癌治療で既に、分化型甲状腺癌(乳頭がんと濾胞がん)に対し「ソラフェニブ(商品名ネクサバール)」が、また根治切除不能な甲状腺癌に対し「レンバチニブ(商品名レンビマ)」が使用されているが、未分化がんは発症機序が異なるため、効果が無かった。



「カプレルサ錠100mg(一般名:バンデタニブ)」は、これまでの国内第1/2相臨床試験、及び海外での第3相臨床試験の結果、ほとんどの患者において腫瘍の縮小が認められている。

投与は1回300mgを1日1回。薬価は100mg/1錠7836.40円。
適応は「根治切除不能な甲状腺髄様癌」で、尚、投与中に副作用により減量する場合には1回200mg、その後必要であれば100mgに減量する事となっている。
製造販売元はアストラゼネカで、販売はジェンザイムが行う。






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難病・家族性高コレステロール血症治療薬「レパーサ®皮下注」が製造販売承認

アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区)とアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(本社:東京都千代田区)は1月22日、小児慢性特定疾患の難病である家族性高コレステロール血症治療薬「レパーサ®皮下注(一般名:エボロクマブ(遺伝子組換え))」について、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表しました。

「レパーサ」は、ヒトIgG2モノクローナル抗体で、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬として、国内初となる薬剤である。



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レパーサ皮下注

欧州で既に承認されている「®Repatha(レパーサ皮下注)」


「家族性高コレステロール血症」は、生まれつき血液中の悪玉(LDL)コレステロール(-C)が異常に増えてしまう病気で、通常、LDL-Cは肝臓の細胞表面にある、LDL受容体と呼ばれる蛋白によって細胞の中に取り込まれ、壊されますが、家族性高コレステロール血症では、LDL受容体の遺伝子や、これを働かせる遺伝子に異常があり、血液中の悪玉コレステロール(LDL-C)が細胞に取り込まれず、血液の中に溜まってしまう病気です。

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高コレステロール血症_LDLRにPCSK9が結合

家族性高コレステロール血症は、
血中コレステロールを分解するLDLRがPCSK9と結合する事で
LDLRのリソソーム分解を過度に促進してしまう。
その結果、LDL受容体も分解され、肝臓の分解能力が低下する。


家族性高コレステロール血症には、LDLがほとんど代謝されない「ホモ接合体」と、健常人の半分程度代謝される「ヘテロ接合体」があり、「ホモ接合体」は父親・母親の両方にLDL受容体異常の遺伝子がある場合で、「ヘテロ接合体」はどちらか一方のみに異常が認められる場合に呼ばれる。

家族性高コレステロール血症の患者は、日本では約500人に1人の割合で発症すると言われていますが、この病気に関わる新しい遺伝子が見つかって来ており、それより多いと考えられています。



また成人以降の、高コレステロール血症(または高脂血症)の患者は、188万人以上と推定されていますが、この場合は高カロリー食・高脂肪の食事・油っこい料理などが原因で、家族性高コレステロール血症の予備群と成り得ますが、自己改善が可能な為、「レパーサ®皮下注」の投与対象者は心筋梗塞その他、心血管系の病気の発現リスクが高く、他の薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤スタチン)で効果不十分な場合に限るとある。




これまで家族性高コレステロール血症の治療は、血清総コレステロール値(T-CHO)が生まれつき非常に高く、幼い頃から動脈硬化が進行して、小児期に心筋梗塞などの命に関わる病気を発症してしまう事から、HMG-CoA還元酵素阻害剤スタチンなどの脂質低下薬や、脂質異常症治療薬のエゼチミブ、プロブコールなどを使いますが、余り効果がなく、悪玉コレステロールを人工透析のように体外循環を用いて取り除く、「LDLアフェレシス治療」を4歳~5歳から一生続ける必要がありました。

治療の開始が遅れれば遅れるほど動脈硬化は進行し、予後は極めて不良となります。


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LDLアフェレシス治療

LDLアフェレシス治療は、
血液中から専用の装置を用いて悪玉コレステロールを除去する治療法。
重症の家族性高コレステロール血症の患者に行われる。



「レパーサ®皮下注」は、国内初のヒトIgG2モノクローナル抗体で、「悪玉(LDL)」コレステロールと呼ばれる低比重リポタンパクコレステロール(LDL-C)を血中から取り除く、肝臓本来の働きを低下させる、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)と結合して、低比重リポタンパク受容体(LDL-R)の分解が抑制され、肝細胞表面でのLDL-Rの再利用を可能とします。

その結果、血中LDL(悪玉コレステロール)を除去するLDL-R数を増加させ、LDL-C値を低下させる効果がある薬剤です。


効能・効果

■ レパーサ®皮下注の適用。
 家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症、但し、心筋梗塞や心不全など心血管系の病気の発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)で効果不十分な場合に限る。

■ 用法・用量。
 家族性高コレステロール血症へテロ接合体及び高コレステロール血症:
  通常、成人にはエボロクマブ(遺伝子組換え)として140mgを2週間に1回、又は420mgを4週間に1回皮下投与する。

家族性高コレステロール血症ホモ接合体:
  通常、成人にはエボロクマブ(遺伝子組み換え)として420mgを4週間に1回皮下投与する。効果不十分な場合には420mgを2週間に1回皮下投与できる。尚、LDLアフェレーシスの補助として本剤を使用する場合は、開始用量として420mgを2週間に1回皮下投与する事ができる。

■ 用法・用量に関連する使用上の注意。
 HMG-CoA還元酵素阻害剤と併用すること。
[日本人における本剤単独投与での有効性及び安全性は確立していない。]





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注意欠如・多動症治療薬「S-877503」の製造販売承認を申請

塩野義製薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)とシャイアー・ジャパン社(Shire plc=本社:アイルランド、ダブリン/日本支社:東京都新宿区)は1月27日、共同で、小児期における*注意欠如・多動症(ADHD)治療薬「S-877503®」(グアンファシン塩酸塩徐放性製剤)について、日本国内での製造販売承認申請を行ったと発表しました。

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ADHD治療薬Intuniv「S-877503」

注意欠如・多動症(ADHD)治療薬「S-877503®」
(米国における製品名:Intuniv®)
(グアンファシン塩酸塩徐放性製剤)



「S-877503」は、2011年11月に塩野義製薬とシャイアー社との間で締結した、国内における共同開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、小児期のADHD治療薬として共同開発が進められて来た。

欧米ではADHD治療薬として、種々の薬剤や剤型が承認、販売されているものの、日本国内においてADHDに対する適応が承認されている薬剤は2剤(ストラテラとコンサータ)のみに留まり、海外と比較して使用できる治療薬が少ないため、新たな治療薬が望まれて来ました。


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ADHD治療薬ストラテラカプセルとコンサータ錠

これまでADHD治療薬は2剤のみ承認されている。
ストラテラ(2009年6月薬価初収載)と、
コンサータ(2007年12月薬価初収載)



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脳シナプス

脳神経細胞と脳神経細胞との接続部をシナプスと呼ぶ。

新たに製造販売について承認申請が出された「S-877503」は、シナプスに存在する受容体を介してノルアドレナリン作動性神経を活性化する薬剤であり、前頭前皮質における後シナプス性α2A受容体の活性化作用により、ADHD症状を改善すると考えられている。

作用機序は、これまで国内でADHD治療薬として販売されている薬剤と異なる事から、ADHD患者への新たな治療選択肢となる事が期待されている。


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シナプスα2A

シナプス間隔を介して、神経伝達物質を反対側のシナプス受容体に送る。
「S-877503」はこの作動性を活性化する薬剤。



注意欠如・多動症(ADHD)は、頻繁で激しい不注意、多動性および衝動性の3つの主症状によって定義される精神疾患で、これまでは小児期の疾患とされて来ましたが、近年では、症状が成人期になっても持続する場合があることが認められるようになりました。

ADHDは世界保健機関(WHO)においても疾患分類がなされており(IDC-10,2007)、世界での罹患率は5.29~7.1%、小児および18歳未満の青年では5%未満と推定されています。
発症要因は解明されていませんが、遺伝的要因と妊娠期の感染症や環境要因などが重なり発症すると考えられている。


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成人用ADHD治療薬Adderall

シャイアー社の成人用ADHD治療薬「Adderall®」



*注意欠如・多動症の表記について…
 2013年5月28日、日本精神神経学会は米国精神医学会が発行した「精神疾患の診断と統計のためのマニュアル第5版(DSM-5)」に基づき、病名・用語において患者中心の医療が行われる中、児童青年期の疾患においての病名を変えることを提案しました。

 旧病名がある程度普及している場合には、新たに提案された病名の横に併記する事とし、「障害」を「症」に変更する用語翻訳ガイドラインを公表した。

 それにより、「注意欠如・多動性障害(ADHD)」は「注意欠如・多動症」へ。「限局性学習障害」は「限局性学習症」に。自閉症やアスペルガー症候群などを統一した病名の「自閉症スペクトラム障害」は「自閉スペクトラム症」とされた。

 他にも、「パニック障害」は「パニック症」へ。「大うつ病性障害」は「うつ病(DSM-5)」に変更。更に、「性同一性障害」は「性別違和」とする事などが盛り込まれた。

これらに基づき本記事では、プレスリリースの病名をそのまま表記しています。





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