ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区)は昨年12月2日、抗悪性腫瘍剤のブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤「イムブルビカ®カプセル140mg(一般名:イブルチニブ)」について、「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫(rrMCL)」を効能・効果に追加する事について承認を取得したと発表した。
マントル細胞リンパ腫(MCL)は、白血球の一種(リンパ球)であるB細胞に起因する進行性の血液がんです。
国内ではリンパ腫全体の約2.8%を占め、男女比は2対1で男性優位に発症し、発症年齢の中央値は60歳代半ば~70歳で、B細胞性リンパ腫の中では最も予後不良の病型です。
日本に於ける、現在のマントル細胞リンパ腫の患者数は約1,600人と推定され、生存期間の中央値は3~4年で、治癒が難しく、既存の薬物治療後に病勢進行が認められた患者に対する有効な治療法は限られています。
全身にあるリンパ節の、マントルゾーンに存在するB細胞リンパ球(三日月形B細胞)に起因する血液がん。
マントル細胞リンパ腫の起因は、これまでの所、遺伝子/染色体レベルに於いて、第11番染色体q13と第14番染色体q32の染色体転座により、第11番染色体q13に存在する「BCL-1/PRAD-1遺伝子」に脱制御を生じ、その結果、細胞増殖周期を制御するたんぱく質の、サイクリン(cyclin)D1が過剰に発現する。
これによってマントルゾーンのBリンパ球が異常増殖し、これがマントル細胞リンパ腫の原因と考えられています。
マントル細胞リンパ腫の適応では、2010年12月に「トレアキシン®(エーザイ/シンバイオ製薬)」が、低悪性度のB細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の効能・効果で販売されているが、病勢進行後の選択肢が限定されていた。
「イムブルビカ®」は、1日1回経口投与の新しい作用機序を有するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤で、BTKは、B細胞の成熟と生存を制御する細胞内シグナル伝達に関与する重要なタンパク質で、「イムブルビカ®」は、このBTKを標的にする事で腫瘍細胞の生存シグナルを阻害し、増殖を抑制します。
本剤の効能・効果追加により、マントル細胞リンパ腫の患者へ新しい治療選択肢を提供できると期待される。
現在同剤は、再発または難治性のマントル細胞リンパ腫(rrMCL)の治療薬として、米国と欧州を含む世界40か国以上で承認されており、国内では、小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(rrCLL)の成人患者用治療薬として、2016年3月28日に日本で承認を取得している。
【イムブルビカ®の製品概要】
【販売名】:イムブルビカ®カプセル140mg
【一般名】:イブルチニブ
【剤型】:経口カプセル
【効能・効果】:
再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫
【用法・用量】:
1) 再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
通常、成人にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
2) 再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫
通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
【製造販売元】:ヤンセンファーマ株式会社
【薬価】:9,367円/イムブルビカ®カプセル140mg
【製造販売承認取得日】:
2016年3月28日(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病)
2016年12月2日(再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫)
【薬価収載日および発売日】:
2016年5月25日(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病)
2016年12月2日(再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫)