第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は3月30日、国内グループ会社の第一三共プロファーマ株式会社が、『中等度から高度の疼痛を伴う各種がんの癌疼痛治療剤「ナルラピドⓇ錠1mg・2mg・4mg(即放性製剤)」及び「ナルサスⓇ錠2mg・6mg・12mg・24mg(1日1回投与型徐放性製剤)」(一般名:ヒドロモルフォン塩酸塩)』について、国内製造販売承認を取得したと発表しました。
【ヒドロモルフォン製剤】である「ナルラピド錠Ⓡ」と「ナルサス錠Ⓡ」は、μオピオイド受容体*作動薬で、「ナルラピド錠Ⓡ」は即放性製剤、「ナルサス錠Ⓡ」は徐放性製剤と言う違いがあります。
【ヒドロモルフォン製剤】は、海外に於いて、80年以上販売されている“アヘン系麻薬性鎮痛剤”で、WHO(世界保健機関)のがん疼痛治療のためのガイドライン等に於いて、疼痛管理の標準薬に位置付けられ、使用されています。
しかし日本国内ではこれまで承認されていませんでした。
がん患者のうち、がん性疼痛のある患者の割合は慢性期で30~50%、進行期で70%以上と推定されています。
がん性疼痛に対する薬物療法の基本とされる、WHO方式がん性疼痛治療法を用いても10~30%の患者で疼痛が消失しないと言われています。
本剤は、厚生労働省が主催する「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に於いて検討され、開発企業の募集が行われた薬剤で、2012年に、第一三共株式会社が開発を実施する事が決定したものです。
また、本剤の開発にあたり、一般社団法人 未承認薬等開発支援センターより助成を受けた薬剤でもあります。
*μ(ミュー)オピオイド受容体とは……
まずは、オピオイド(opioid)とは何かと言うと、中等度から重度の疼痛に対する治療に用いられる薬物(医療用麻薬性鎮痛薬)など、合成ペプチド類の総称を指す言葉です。
海外では古くから“アヘン(opium)”が鎮痛薬として用いられて来ましたが、日本国内でのオピオイド剤は、医療用モルヒネやコデインなどのアヘン剤に類似しているが、アヘンを含まず、アヘンから合成される事も無い薬剤が使われて来ました。
これらのオピオイド剤は、細胞表面オピオイド受容体タンパク質(上の写真矢印)への作用により、モルヒネの様な作用を現す物質の総称で、オピオイド受容体にはμ(ミュー)、δ(デルタ)、κ(カッパ)と言う種類がある。
この中でμオピオイド受容体は、鎮痛作用に最も関与するとされ、オピオイドの中でもモルヒネ(医療用)、オキシコドン、フェンタニルなどは、μ受容体に対して強い作用を現し、脊髄をはじめとして脳、末梢神経などのμ受容体への作用などにより高い鎮痛効果を現します。
疼痛は人にとってストレスの原因であり、これが個々の許容量を超えるとドーパミン(楽観物質)の分泌が減少し、痛みに敏感になります。
オピオイド剤がオピオイド受容体に作用する事で、神経伝達物質のドーパミンの働きが活発化し、セロトニンやγアミノ酪酸(GABA=ギャバ)、プロスタグランジン等の「痛み伝達物質」を抑制する事によって、ドーパミンの効果がよみがえり鎮痛効果を現します。
【製品概要】
【製剤名】:
ナルラピドⓇ錠1mg、2mg、4mg(即放性製剤)
ナルサスⓇ錠2mg・6mg・12mg・24mg(1日1回投与型徐放性製剤)
【一般名】:ヒドロモルフォン塩酸塩(Hydromorphone Hydrochloride)
【効能・効果】:中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
【用法・用量】:通常、成人にはヒドロモルフォンとして1日4~24mgを4~6回に分割経口投与する。尚、症状に応じて適宜増減する。
【使用上の注意】:疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で、突発性の疼痛が発現した場合は、直ちに本剤の臨時追加投与を行い鎮痛を図ること。
定時投与時:(基本)1日用量を4分割して使用する場合には、6時間ごとの定時に経口投与すること。
初回投与:オピオイド鎮痛剤による治療の有無を考慮。
1)オピオイド鎮痛剤を使用していない患者:1回1mg、1日4mgから開始し、鎮痛効果及び副作用の発現状況を観察しながら用量調節を行うこと。
2)オピオイド鎮痛剤を使用している患者:他のオピオイド鎮痛剤から本剤に変更する場合には、前治療薬の投与量等を考慮し、投与量を決めること。本剤の1日用量は、ヒドロモルフォンとして、モルヒネ経口剤1日用量の1/5量を目安とすること。
【その他】:本罪は「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品であり、再審査期間8年。
今回、モルヒネ製剤とは異なる医療用麻薬製剤が承認された事で、強オピオイド薬の選択肢が増え、患者のQOLが向上される事が期待される。
▼プレスリリース: http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006615.html
【ヒドロモルフォン製剤】である「ナルラピド錠Ⓡ」と「ナルサス錠Ⓡ」は、μオピオイド受容体*作動薬で、「ナルラピド錠Ⓡ」は即放性製剤、「ナルサス錠Ⓡ」は徐放性製剤と言う違いがあります。
【ヒドロモルフォン製剤】は、海外に於いて、80年以上販売されている“アヘン系麻薬性鎮痛剤”で、WHO(世界保健機関)のがん疼痛治療のためのガイドライン等に於いて、疼痛管理の標準薬に位置付けられ、使用されています。
しかし日本国内ではこれまで承認されていませんでした。
がん患者のうち、がん性疼痛のある患者の割合は慢性期で30~50%、進行期で70%以上と推定されています。
がん性疼痛に対する薬物療法の基本とされる、WHO方式がん性疼痛治療法を用いても10~30%の患者で疼痛が消失しないと言われています。
本剤は、厚生労働省が主催する「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に於いて検討され、開発企業の募集が行われた薬剤で、2012年に、第一三共株式会社が開発を実施する事が決定したものです。
また、本剤の開発にあたり、一般社団法人 未承認薬等開発支援センターより助成を受けた薬剤でもあります。
*μ(ミュー)オピオイド受容体とは……
まずは、オピオイド(opioid)とは何かと言うと、中等度から重度の疼痛に対する治療に用いられる薬物(医療用麻薬性鎮痛薬)など、合成ペプチド類の総称を指す言葉です。
海外では古くから“アヘン(opium)”が鎮痛薬として用いられて来ましたが、日本国内でのオピオイド剤は、医療用モルヒネやコデインなどのアヘン剤に類似しているが、アヘンを含まず、アヘンから合成される事も無い薬剤が使われて来ました。
これらのオピオイド剤は、細胞表面オピオイド受容体タンパク質(上の写真矢印)への作用により、モルヒネの様な作用を現す物質の総称で、オピオイド受容体にはμ(ミュー)、δ(デルタ)、κ(カッパ)と言う種類がある。
この中でμオピオイド受容体は、鎮痛作用に最も関与するとされ、オピオイドの中でもモルヒネ(医療用)、オキシコドン、フェンタニルなどは、μ受容体に対して強い作用を現し、脊髄をはじめとして脳、末梢神経などのμ受容体への作用などにより高い鎮痛効果を現します。
疼痛は人にとってストレスの原因であり、これが個々の許容量を超えるとドーパミン(楽観物質)の分泌が減少し、痛みに敏感になります。
オピオイド剤がオピオイド受容体に作用する事で、神経伝達物質のドーパミンの働きが活発化し、セロトニンやγアミノ酪酸(GABA=ギャバ)、プロスタグランジン等の「痛み伝達物質」を抑制する事によって、ドーパミンの効果がよみがえり鎮痛効果を現します。
【製品概要】
【製剤名】:
ナルラピドⓇ錠1mg、2mg、4mg(即放性製剤)
ナルサスⓇ錠2mg・6mg・12mg・24mg(1日1回投与型徐放性製剤)
【一般名】:ヒドロモルフォン塩酸塩(Hydromorphone Hydrochloride)
【効能・効果】:中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
【用法・用量】:通常、成人にはヒドロモルフォンとして1日4~24mgを4~6回に分割経口投与する。尚、症状に応じて適宜増減する。
【使用上の注意】:疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で、突発性の疼痛が発現した場合は、直ちに本剤の臨時追加投与を行い鎮痛を図ること。
定時投与時:(基本)1日用量を4分割して使用する場合には、6時間ごとの定時に経口投与すること。
初回投与:オピオイド鎮痛剤による治療の有無を考慮。
1)オピオイド鎮痛剤を使用していない患者:1回1mg、1日4mgから開始し、鎮痛効果及び副作用の発現状況を観察しながら用量調節を行うこと。
2)オピオイド鎮痛剤を使用している患者:他のオピオイド鎮痛剤から本剤に変更する場合には、前治療薬の投与量等を考慮し、投与量を決めること。本剤の1日用量は、ヒドロモルフォンとして、モルヒネ経口剤1日用量の1/5量を目安とすること。
【その他】:本罪は「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品であり、再審査期間8年。
今回、モルヒネ製剤とは異なる医療用麻薬製剤が承認された事で、強オピオイド薬の選択肢が増え、患者のQOLが向上される事が期待される。