道端アンジェリカ「肌が汚い」という中傷に持病公表。
モデルの道端アンジェリカ(31)が、「肌が汚い」という中傷にコメント。乾癬(かんせん)という皮膚の病気を患っていることを明かした。
アンジェリカは13日にインスタグラムで、自身に対する「スーパーフードを食べてるのに肌が汚い」というネット上の心ない声に言及。乾癬を患っていることを告白した。
アンジェリカは、乾癬はストレスで悪化することもあり、完全に治っておらず、テレビ出演時はメイクで隠していると明かした。
「肌が汚いといわれてもしょうがないんでしょうが、乾癬が悪化しないように日々人一倍努力しているので、悔しくて書かせてもらいました!!(笑)そして、同じ皮膚の病気で悩む人たちに一緒に頑張って付き合っていこうと言いたくて」と公表に至った理由を説明している。[2017年5月14日付/日刊スポーツWebより]
乾癬とは、皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に銀白色の鱗屑(皮膚の垢)となり、その一部が白い粉のようにポロポロと剥がれ落ちる病気です。周囲の人に伝染する病気ではありません。(皮膚が剥がれたあと血が滲む事がありますが、その血液や患部に触っても伝染する事はありません)
乾癬には症状によってタイプがあり、“尋常性(じんじょうせい)乾癬、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性(のうほうせい)乾癬、滴状乾癬”に分類され、中でも最も多いのが【尋常性乾癬】で、尋常性とは「ありふれた」という意味で、90%位がこの症状です。
また、膿疱性乾癬(汎発型)は稀に重症化をたどる症例があり、医療費助成対象疾病の指定難病となっています。
乾癬の患者は国内に43万人、世界での罹患者は1億2500万人いると推定されています。(Kubota K, et al BMJ 2015 Jan BMJ Open 2015)
乾癬は、皮膚症状を含む全身性の慢性炎症性疾患で、免疫調節不全により引き起こされます。(Lowes MA, et al. Annu Rev Immunol. 2014)
乾癬が起こる仕組みは…、人の皮膚は常に新陳代謝を繰り返していて、そのスピードは通常約1ヶ月程度で、皮膚細胞が生まれ変わりますが、乾癬では新陳代謝のスピードが3~10倍(症状により様々)早くなり、皮膚が定着する前に新たな細胞に押し出され、ポロポロと剥がれ落ちます。
※乾癬の発症メカニズムは、次の「オテズラ®錠」の項で触れています。
治療は、この新陳代謝のスピードを遅くする事で、病状を寛解させ、疾患が表面に現れない状態を維持する事にあります。
これまでの尋常性乾癬に対する治療は、通常、外用薬(塗り薬)のステロイド剤塗布、紫外線療法(ナローバンドUVB)、ビタミンD3外用薬の3つが基本となります。(ビタミンD3は紫外線治療で効果が見られない場合に追加)
紫外線療法(ナローバンドUVB)は、360°全身用を推奨(軟膏の事前塗布は必要ありません)。
また紫外線治療は軽い日焼けの状態になるので、治療間隔は、概ね10日ごとが標準となります。
しかし、症状の軽度、中程度に関わりなく、さすがに毎日の軟膏の塗布や通院が欠かせないと言うのは、QOLの低下につながり、もっと簡便な治療薬の登場が待ち望まれていました。
【新薬】
セルジーン株式会社(本社:東京都千代田区)は、乾癬治療薬の経口ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤「オテズラ®錠10mg、同20mg、同30mg」(一般名:アプレミラスト)について、3月1日より販売を開始したと発表しました。本剤は、従来の乾癬治療薬とは異なる作用機序で、日本では乾癬の経口剤として約25年ぶりの新薬となる。
乾癬の患者の免疫細胞や表皮組織では、PDE4(Phosphodiesterase 4)の発現が亢進しており、細胞内のサイクリックAMP(cAMP)が減少している事が知られています。
「オテズラ®錠」は、これら細胞内のPDE4を阻害する事により、サイクリックAMP(cAMP)を上昇させ、炎症性及び抗炎症性メディエーター(仲介)のネットワークを調節する事で、乾癬の症状を改善すると考えられています。
本剤は、乾癬の治療薬として米国、欧州を始め世界37カ国で承認されています(2016年12月現在)。
【製品概要】
【製剤名】:オテズラ®錠10mg、同20mg、同30mg
【一般名】:アプレミラスト
【効能・効果】:局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬
【用法・用量】:通常、成人にはアプレミラストとして以下のとおり経口投与し、6日目以降はアプレミラストとして1回30mgを1日2回、朝夕に経口投与する。
薬価/1錠
▽10㎎錠=324.20円
▽20㎎錠=648.40円
▽30㎎錠=972.60円。
中央社会保険医療協議会の資料によると、1日薬価は1945.20円とされている。
◆また、有効成分のアプレミラストは、承認審査において提出された非臨床試験及び臨床試験で、催奇形性は認められていないものの、非臨床試験において、胚・胎児毒性を有する事が示されており、妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌となっている。
【新薬】
マルホ株式会社(本社:大阪府大阪市北区)は3月30日、外用頭部乾癬治療剤「コムクロ®シャンプー0.05%」(有効成分:クロベタゾールプロピオン酸エステル)について、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。
本剤は、Galderma Pharma S.A.(本社:スイス・ローザンヌ)が開発したシャンプー様外用液剤で、2004年に米国で成人の頭部尋常性乾癬の治療薬として承認されて以降、世界62の国又は地域において「Clobex® Shampoo(米国など)」や「Etrivex® Shampoo(英国など)」の名称で販売されている。(2016年11月現在)
マルホ株式会社は、Galderma S.A.と日本国内における開発・販売に関するライセンス契約を締結し、日本人向けとして開発を進めていました。
尋常性乾癬の好発部位として、頭や髪の生え際、腰臀部、手足の外側など、刺激を受けやすい部位に最初にできる傾向があります。
本剤は、尋常性乾癬の治療薬では初めての、薬剤塗布15分後に洗い流すというShort Contact Therapy(短時間接触療法)を実現したシャンプー様外用液剤であり、頭部の尋常性乾癬に対する治療選択肢の拡大と、コンプライアンスの向上が期待されます。
【製品概要】
【製剤名】:コムクロ®シャンプー0.05%
【一般名】:クロベタゾールプロピオン酸エステル(ストロンゲストクラスのステロイド剤)
【剤形・含量】:1g中に日局クロベタゾールプロピオン酸エステル0.5mgを含有する外用液剤
【効能・効果】:頭部の尋常性乾癬
【用法・用量】:通常、1日1回、乾燥した頭部に患部を中心に適量を塗布し、約15分後に水又は湯で泡立てて洗い流す。
【承認条件】:
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施する事。
本剤は、「頭部の尋常性乾癬」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間4年。
尚、同成分で他社からローション剤などの剤形の製品が出ていますが、「コムクロ®シャンプー0.05%」はシャンプーのように用いる事が出来る。
実は、私も尋常性乾癬の治療を続けています。
私が初めて尋常性乾癬を発症したのは、遡る事、26年前。
その頃はまだ全身用キャビン型紫外線治療器は無く、部分照射しか出来ませんでした。
ステロイド軟膏もさほど効果の無いものでした。
その為、次第に症状が悪化し、最初は背中だけだったのが、
肘、膝、両脚、太ももの側面、脇腹、頭髪の生え際など
患部が拡大して行きました。
その後、大学病院の皮膚科にようやく「UV-7001K」が導入され、飲み薬なしで症状が軽快してゆきました。
今でも合剤軟膏と紫外線照射を定期的に続け、寛解状態になりました。
全身用キャビン型紫外線治療器は、顔面にも防護メガネ着用で照射可能なので、
眉毛や、口元、こめ髪なども症状が和らぎます。
道端アンジェリカさんは、女性でモデルと言う事で、随分、辛い思いをされた事と思います。
「乾癬」と言う病気が、あまり知られていない事も問題ですし、「乾癬=感染」と同発音である事も大きな問題です。
しかし今後も、新薬が登場する予定なので、日々、根気よく、また忍耐強く治療を続けてほしいと思いますし、周囲の方には、この病気への理解をお願いしたいと思います。