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トラクリア錠、全身性強皮症の手指潰瘍発症抑制で適応了承

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皮膚表面の内側にある真皮や靱帯・腱・骨・軟骨などを構成するコラーゲン(蛋白質)に、全身的に炎症や障害が生じる様々な疾患の総称を、膠原病と言います。

真皮層の中のコラーゲン繊維
真皮層の中のコラーゲンの構成。
このコラーゲンの事を膠原繊維と言う。
膠原病の由来はこの繊維組織から。

全身性強皮症(systemic sclerosis, scleroderma, SSc)は、膠原病の類縁疾患であり、他にも結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、多発筋炎、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性肉芽腫性多発血管炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、若年性特発性関節炎、成人発症スティル病、ベーチェット病、抗リン脂質抗体症候群など多くの疾患が、膠原病に含まれます。


全身性強皮症は、自己免疫疾患に関係していると考えられていますが、本当の原因は不明です。


全身性強皮症
皮膚症状は、ソーセージ様手指の腫れが特徴です。

その症状は、皮膚が硬く弾力が無くなり、つまみ上げられなくなる状態──「皮膚硬化」を主症状とし、消化管や肺などの「内臓臓器障害」が引き起こされ、肺線維症、肺高血圧症、消化管障害、心筋障害、腎機能障害や腎不全に進展する事もあります。


現在まで有効な治療法は無く、皮膚や内臓の症状進行状況に対する対症療法が主で、血管拡張薬や免疫抑制剤、シクロホスファミド(抗悪性腫瘍剤)、副腎皮質ステロイド薬と、肺血管拡張薬(オプスミット®錠10㎎=2015年6月9日発売新薬)で治療に当たります。



漸進性強皮症の指潰瘍
潰瘍は指の先端や指の関節に多発する。

全身性強皮症を発症した患者には、特に冬季に指先や指関節に潰瘍ができることが多く、入院治療を必要とする場合もある。患者数は約2万8000人で、そのうち皮膚潰瘍を合併する患者数は約5600人と推計されている。


厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は7月31日、肺動脈性肺高血圧症の治療薬『トラクリア®錠62.5mg(一般名ボセンタン水和物)』について、「全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制」の適応を追加することを了承した。
現在、国内でこの適応がある既存の承認薬は無いという。


トラクリア錠

 ■ 製造販売:アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社。
 ■ 効能・効果:肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスII,IIIおよびIV)
WHO機能分類はNYHA(New York Heart Association)心機能分類を肺高血圧症に準用したものである。
 ■ 効果追加:全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制


「トラクリア®錠62.5mg」は、血管収縮作用のあるペプチドホルモン「エンドセリン」の受容体を阻害することで、血流を改善して皮膚潰瘍の新たな発現を抑制する。
今後、全身性強皮症に伴う指先の潰瘍の発症抑制も効能・効果に加えられる見通しで、再審査期間は10年。





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