大阪府和泉市の産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック2」で、無痛分娩をした女性が死亡した事件で、老木レディスクリニックのホームページ(HP)に記載された麻酔科医2人が、無痛分娩に関与していなかった事が、捜査関係者への取材で分かった。
無痛分娩の麻酔は、業務上過失致死容疑で書類送検された、院長・老木正彰容疑者(59)が1人で実施していたと言う。大阪府警和泉署は、妊婦を集めるための虚偽記載と見ている。
捜査関係者によると、老木レディスクリニック2(老木レディスクリニック1とは別住所)はHPで、スタッフとして老木正彰容疑者の親族と、男性医師の計2人の麻酔科医を紹介。
無痛分娩について、「複数名の麻酔科のスタッフが体制を整えている」とし、麻酔科医が関与するかのように記載していた。
所が、老木正彰容疑者は大阪府警和泉署の調べに対し、「無痛分娩の麻酔は1人でやっていた」と説明。2人の麻酔科医は時折、帝王切開にたずさわっていただけだった。
名前が掲載された男性医師は、読売新聞の取材に、「行くのは1~2か月に1回程度で、無痛分娩に関わった事は無い」と証言した。
【以上ここまで読売新聞YOMIURI ONLINE:2017年10月07日 08時48分発表より引用
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171007-OYT1T50017.html】
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171007-OYT1T50017.html】
この医療過誤事件は、大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック2」で今年1月10日、麻酔で出産の痛みを和らげる『無痛分娩』をした長村千恵さん(当時31)が、容体急変し呼吸困難となり、1月20日に死亡した医療事故事案。
担当した院長の老木(おいき)正彰容疑者(59)が、大阪府警和泉署の調べに、「人工呼吸をしようとしたが、パニックになり出来なかった」と、供述している事が、捜査関係者への取材で分かった。
大阪府警和泉署は、救命に必要な適切な処置を怠ったとして、今月6日に老木正彰容疑者を業務上過失致死容疑で書類送検した。老木正彰容疑者は容疑を認めている。
無痛分娩を巡り、医師が書類送検されるのは極めて異例。
捜査関係者によると、処分保留や不起訴相当ではなく、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたと見られる。
長村千恵さんの父・安東雄志さん(68)は10月6日、大阪府大阪市内で記者会見し、「娘の死を無駄にせず、二度とこうした事故が起こらないようにして欲しい」と訴えた。
同席した代理人弁護士は、今後、「老木レディスクリニック2」に対し損害賠償請求訴訟を起こす事も検討しているとした。
【以上ここまで産経新聞DIGITAL/産経WEST:2017.10.6 19:52配信より抜粋引用
http://www.sankei.com/west/news/171006/wst1710060072-n1.html】
http://www.sankei.com/west/news/171006/wst1710060072-n1.html】
医療事故・医療過誤は偶然に起こるものではありません。
何らかの複合的出来事の結果です。
(設備の不備、医師の技量不足、対処方法の未熟、専門外の医療行為、過信、営利優先による人員不足など)
他の分野……例えば航空機事故の場合、原因には必ず複合的要素が絡んでいます。その原因と対応策を見つけ、パイロット・整備士・管制官・CAなどが一斉に再教育を受けます。
全ての関係者が、真実に向き合い、新しい事案に対処する方法を共有して、現在の安全運航が支えられています。
しかし残念ながら、医療分野では、医療事故の原因が分かっても、その情報を他の医療機関、特に個人クリニックでは共有する事なく、営利優先のため自分の技量を磨く事がおろそかになっています。
その原因は、『示談』と言う仕組みです。刑事責任を問われないため、情報が詳細に公表される事はありません。
医療も人の命をあずかる仕事である以上、過誤の原因を知り、全ての医師が情報を共有し、十分安全対策を講じ、経験を積み上げて行く事に努力を惜しまないでもらいたい。
次の災禍を無くすには、常に【何故だ?何故事故は起きた?】と、問い続ける事だと、信じてやみません。医療過誤の犠牲者は常に患者です。医師が裁かれる事は殆どありません───。
一体、どれだけの患者を医療ミスで死なせれば、医者は利己主義や慢心から目覚めるのでしょう───。