ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区代々木)は9月27日、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬「レバチオ®錠20mg」(一般名:シルデナフィルクエン酸塩)の肺動脈性肺高血圧症の効能・効果に、小児に対する用法・用量の追加の一部変更承認、及び「レバチオ®懸濁用ドライシロップ900mg」、「レバチオ®ODフィルム20mg」の製造販売承認を取得したと発表した。
新剤形で承認取得した「レバチオ懸濁用ドライシロップ900mg」
本剤は発売準備中のため、写真は欧州品「Revatio® for oral suspension(経口懸濁液)」
また「レバチオ®ODフィルム20mg」も現在発売準備中。
肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)は、肺動脈圧の上昇を認める病態の総称で、次の5つに分類されます。
(1)肺動脈性肺高血圧症、(2)左心疾患に伴う肺高血圧症、(3)肺疾患や低酸素血症に伴う肺高血圧症、(4)慢性血栓症や塞栓性疾患に伴う肺高血圧症、(5)その他の肺高血圧症。
その中でも、肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)の発症頻度は、100万人に1~2人と稀な疾患ですが、予後は極めて不良で、患者の約半数が3年以内に右心不全で死亡する。
男女比は1:2.6と女性に多く見られ、発症年齢の分布も男女で異なる事が知られています。
また小児の予後は、成人に比較して更に不良で、平均生存期間が10か月であると報告されている(公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター)。
小児肺動脈性肺高血圧の原因、発症機序は不明で、BMPR2、ALK1、Endoglinなどの遺伝子異常が存在するものと、未だ遺伝子異常が明らかでないものがある。遺伝子異常があっても本症が発症するとは限らないが、遺伝子異常により、肺動脈平滑筋の異常増殖が起こる可能性があるとも考えられている。(小児慢性特定疾病情報センター、日本小児循環器学会より)
「レバチオ®錠20mg」は、2008年に成人の『肺動脈性肺高血圧症』を効能・効果として承認されました。しかし、日本小児循環器学会から小児への適応と新用法用量について、早期開発・承認の要望が厚生労働省へ提出されていた。
そのため「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて、高い評価を受けて開発が進み、小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同試験に加え、2012年より国内臨床試験を実施、「レバチオ」の小児患者に対する有効性及び安全性が示された事から、今回、小児に対する用法・用量が承認されました。
本剤は、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬として初めて、小児肺動脈性肺高血圧症の適応を持つ薬剤となります。
◆小児用量の追加によって、「ドライシロップ剤」及び「ODフィルム」の剤形追加が行われ、これらは成人にも使える。
*ホスホジエステラーゼとは…ヌクレオチドや核酸などのリン酸二エステルを加水分解する酵素の総称。
海外では、2011年欧州で小児への適応が承認されています。
【シルデナフィルPAH非臨床に関する概括評価】
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/development/clinical_development/new_medicine_info/documents/apply_document/appli_doc_h20_01_revatio_hirinsho.pdf
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/development/clinical_development/new_medicine_info/documents/apply_document/appli_doc_h20_01_revatio_hirinsho.pdf
【レバチオ(=Revatio®)の概要】
*下線部分が今回追加、又は変更された部分
【一般名】:シルデナフィルクエン酸塩
【販売名】:レバチオ®錠20mg、レバチオ®ODフィルム20mg、レバチオ®懸濁用ドライシロップ900mg
【効能・効果】:肺動脈性肺高血圧症
【今回承認された用法・用量】:
[レバチオ錠・レバチオODフィルム]
成人には通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
1歳以上の小児には、体重20kg超の場合:通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
[レバチオ懸濁用ドライシロップ]
成人には通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
1歳以上の小児には、体重8kg以上20kg以下の場合:通常、シルデナフィルとして1回10mgを1日3回経口投与する。体重20kg超の場合:通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
【用法・用量に関連する使用上の注意】:
◆レバチオODフィルム◆
本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜から吸収される事は無いため、唾液又は水で飲み込むこと。[添付文書の「適応上の注意」の項参照]