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日本初のメルケル細胞がん治療薬「バベンチオ点滴静注」が製造販売承認を取得

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メルクセローノ株式会社(本社:東京都目黒区)とファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は9月27日、両社が共同開発を行っている抗PD-L1抗体「バベンチオ®点滴静注200mg(一般名:アベルマブ(Avelumab=遺伝子組換え)」について、根治切除不能なメルケル細胞がんの効能・効果で厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。

「バベンチオ®点滴静注200mg」は、メルケル細胞がん(MCC)に対する、日本で初めて承認された唯一の治療薬で、日本初のヒト型抗PD-L1抗体薬です。



バベンチオ点滴静注200mg
国内初の根治切除不能なメルケル細胞がん治療薬
抗PD-L1抗体「バベンチオ®(Bavencio®)点滴静注200mg」



メルケル細胞がん(MCC=Merkel Cell Carcinoma)は、神経終末部近くのメルケル細胞と言う皮膚最表層に出来る、がん細胞に由来する希少、且つ進行性の疾患です。

メルケル細胞がんのメルケル細胞
皮膚表層付近にあるメルケル細胞

高齢者の頭部や顔面に出来る事が多く、この癌も紫外線との関連が指摘されていますが、2008年、メルケル細胞ポリオーマウイルス(Merkel cell polyomavirus)が同定され、がん抑制遺伝子の働きが阻害される事が原因のひとつと考えられていますが、詳細は分かっていません(国立がん研究センター 希少がんセンター)。

メルケル細胞ポリオーマウイルス55ナノメートル二十面体
関連が疑われるメルケル細胞ポリオーマウイルス
特徴は二十面体である事と大きさが50~60ナノメートル。

第一選択肢の、腫瘍切除術後の放射線療法で、再発を有意に遅らせる事が知られていますが、生存率の改善は確認されていません。

治療選択肢が限られている悪性度の高い皮膚がんの一種であり、日本に於ける患者数は、100人に満たないと推定されています。
非常に進行が早く、予後が不良な癌であり、有効な治療法の開発が待ち望まれていました。(ファイザー株式会社/国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院)


メルケル細胞がん症例写真

メルケル細胞がんと正常なメルケル細胞



「バベンチオ」は、メルケル細胞がん(MCC)に対する日本で初めて承認された唯一の治療薬であり、日本初のヒト型抗PD-L1抗体薬でもあります。
ヒト型抗PD-L1抗体薬は、PD-L1(プログラム細胞死リガンド-1)と呼ばれるタンパク質を特異的に阻害する、ヒト型抗体です。

腫瘍細胞は、T細胞の様な白血球から身を守るためにPD-L1を利用しますが、「バベンチオ」がPD-L1に結合する事によって、この方法が使えなくなり、抗腫瘍反応にさらされる事になります。


「バベンチオ® 点滴静注200mg」の作用機序
バベンチオの作用機序


尚、「バベンチオ」は、薬理作用としてイン・ビトロ(in vitro=試験管内)で抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する事が確認されています。


2014年11月、メルクセローノ株式会社とファイザー株式会社は、「バベンチオ」を共同開発し、製品化する戦略的提携の締結を発表。
本剤は2016年12月に、メルケル細胞がん(MCC)に対して、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を厚生労働省から受けている。




【製品概要】

【製品名】:バベンチオ® 点滴静注200mg
【一般名】:アベルマブ(Avelumab=遺伝子組換え)

【効能又は効果】:根治切除不能なメルケル細胞癌

【用法・用量】:通常、成人にはアベルマブ(遺伝子組換え)として、1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で1時間以上かけて点滴静注する。

【製造販売元】:メルクセローノ株式会社
【販売提携】:ファイザー株式会社



◆「バベンチオ」は、日本に於けるメルケル細胞がん(MCC)治療薬。◆米国に於ける転移性メルケル細胞がん治療薬、及び化学療法歴のある局所進行性・転移性尿路上皮がん治療薬。◆スイスに於ける化学療法歴のある転移性メルケル細胞がん治療薬、◆欧州連合(EU)に加盟する28ヵ国およびノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドに於ける、成人の転移性メルケル細胞がんに対する治療薬として、承認を取得しています。

◆その他の地域の市場に於いては、いかなる適応症に対してもまだ承認されていません。





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