旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区神田神保町)は2月5日、既存治療で効果不十分な関節リウマチ治療薬「ケブザラ皮下注150mgシリンジ、同皮下注200mgシリンジ(一般名:サリルマブ=遺伝子組換え)」の発売を開始しました。
本剤は既に、2017年9月27日に製造販売承認を取得し、2017年11月22日に保険適応で薬価収載されている。
〔インターロイキン6(IL-6)受容体ヒト型モノクローナル抗体製剤〕
関節リウマチ治療薬「ケブザラ皮下注150mgシリンジ、同皮下注200mgシリンジ」
(英名:Kevzara/一般名:Sarilumab)
関節リウマチは、身体の多くの関節に痛みや腫れを伴う自己免疫の異常による慢性の全身性炎症疾患で、日本には70~80万人程度の関節リウマチ患者がいると言われています。
病態は、関節内に存在する関節腔の内面を覆っている、「滑膜細胞(上図のオレンジ色)」と言う組織が異常増殖することによって、関節内に炎症を生じ、関節が変形したり、関節が破壊されて様々な機能障害を引き起こします。
「滑膜」のあるどの関節でも発症する可能性があり、罹患早期から関節破壊が進行し、長期罹患によって、関節の変形と機能障害が起こります。
遺伝的要因や細菌・ウイルスの感染などが考えられていますが、原因は良く分かっていません。
現在は、メトトレキサート(従来型疾患修飾性抗リウマチ薬=DMARD)やオレンシア(生物学的製剤)での早期の寛解導入を目指す治療が行われていますが、既存の治療では、十分な効果が得られないケースもあり、新たな治療選択肢が必要とされています。
「ケブザラ皮下注」はインターロイキン6*受容体(IL-6R)に対するヒト型モノクローナル抗体で、関節滑膜での炎症に重要な役割を果たしていると考えられているインターロイキン6(IL-6)の作用を抑制する薬剤です。
「ケブザラ皮下注」は、製造元のサノフィ株式会社(本社:東京都新宿区)と米リジェネロン社(Regeneron社:ニューヨーク州)が共同で開発を行い、米国、カナダ、欧州では2017年に承認されています。
*インターロイキン6はリンパ球から分泌される、感染や疾患に対する身体の自然な反応を改善できるサイトカイン(=免疫作用・抗腫瘍作用・抗ウイルス作用や細胞増殖の調節をするタンパク質の総称)と言う物質のこと。
【製品概要】
【製品名】:「ケブザラ(Kevzara)皮下注150mgシリンジ、同200mgシリンジ」
【一般名】:サリルマブ(Sarilumab=遺伝子組換え)
【効能・効果】:既存治療で効果不十分な関節リウマチ
【用法・用量】:通常、成人にはサリルマブ(遺伝子組換え)として1回200mgを2週間隔で皮下投与する。尚、患者の状態により1回150mgに減量すること。
【製造販売元】:サノフィ株式会社
【発売元】:旭化成ファーマ株式会社
【発売日】:2018年2月5日
【薬価】:
150mg /1シリンジ1.14mL 45,467円
200mg /1シリンジ1.14mL 60,329円
尚、IL-6を標的とする抗リウマチ薬(bDMARD)は、アクテムラ皮下注に続く2剤目となりますが、アクテムラ皮下注は162mgのみであるのに対し、「ケブザラ皮下注」は150mgと200mgでの新容量であり、アクテムラが使えない患者の新たな治療選択肢になると期待される。