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国指定難病・ファブリー病治療剤「ガラフォルド®」が国内製造販売承認を取得

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アミカス・セラピューティクス株式会社(本社:東京都千代田区大手町)は3月23日、ファブリー病経口治療剤「ガラフォルド®カプセル123mg(一般名:ミガーラスタット塩酸塩)」ついて、日本国内での製造販売承認を取得したと発表しました。
「ガラフォルド®カプセル123mg」は、ファブリー病に対する初めての経口治療剤となります。


ファブリー病治療薬ガラフォルドカプセル_ミガーラスタット
ファブリー病治療剤「ガラフォルド®(Galafold)カプセル123mg」
(一般名:ミガーラスタット塩酸塩=migalastat)


ファブリー病(Fabry disease=FD)は、国が難病(特定疾患)と指定している「ライソゾーム病(約31種類)」に分類される疾患の1つで――、
X染色体に存在するGLA(α-ガラクトシダーゼA)遺伝子の変異が原因で、正常なGLAタンパク質が体内で作れなくなり、本来GLAが細胞内のリソソームで分解するはずの糖脂質が、分解されずに体内に蓄積する病気です。

X染色体GLA遺伝子突然変異
X染色体GLA遺伝子の突然変異


細胞内のリソソーム(lysosome)にグロボトリアオシルセラミド(GL-3又はGb3)等の*糖脂質が蓄積し、腎障害、心筋症、脳血管疾患などの様々な症状が起こる先天代謝異常症です。(▲厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 ライソゾーム病調査研究班/▲国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)

 *糖脂質とは‥‥脂肪酸などの脂質分子が糖と結合した化合物。細胞膜に多数存在する。

ファブリー病でαGALの不足で細胞にGL-3の有害な蓄積
ファブリー病ではαGALの不足で細胞に有害な糖脂質(GL-3)が蓄積する。


ファブリー病は、幼児期以降や学童期に生じる鋭い手足の痛み(四肢末端痛)、汗をかかない(低汗症や無汗症)、お尻や陰部の赤紫色の発疹(被角血管腫)、頻回の腹痛や下痢(虚血性腸炎)といった症状があります。

ファブリー病の症状と病状の進行
ファブリー病の症状と病状の進行

特に手足の痛みは、ストレス、高温や疲労で引き起こされ、痛みによって運動が出来なかったり、不登校になったりする事もあります。

これらの症状を放置したままだと、青年期(成人期)や中年期になって、眼の角膜混濁(渦巻状)、腎症状(初期に蛋白尿、腎不全)、循環器症状(心臓の肥大、不整脈、弁膜症、虚血性心疾患)、脳血管症状(脳梗塞、脳出血、頭痛)が出現し、年齢と共に症状が重症化していきます。
この他、難聴、耳鳴り、下肢リンパ浮腫や精神症状を認めるようになる。


ファブリー病の主な外見症状


ファブリー病は、X染色体劣性遺伝形式であり、患者の殆んどは男性ですが、ヘテロ接合体である女性では、X染色体の不活性化の偏りにより女性でも発症することがあります。

ファブリー病の発症頻度は、4万~11.7万人に1人とも言われていますが、実際の患者数は、従来の推測よりも多いのではないかと考えられ、推定国内患者数は、315人~760人と報告されている。

ファブリー病(ライソゾーム病)の診断には、臨床症状、臨床検査に基づいて行われますが、確定診断は、「白血球又は培養線維芽細胞中のα-ガラクトシダーゼ(α-galactosidase A; α-Gal A)の活性低下と、遺伝子解析によってα-ガラクトシダーゼの遺伝子変異の有無」を調べ、診断します。


正常な腎細胞とファブリー病の腎生検電顕画像

 *糸球体とは‥‥腎臓内に存在し、血液内の有形成分とタンパク質をろ過し、尿を生成する器官。


「ガラフォルド®カプセル123mg」は、α-ガラクトシダーゼ(α-GAL-A=加水分解酵素の一種)の基質であるスフィンゴ糖脂質(GSL=グリコスフィンゴリピド)の末端ガラクトースの類似体です。
変異型α-GAL-Aに結合することで、標的細胞内の糖脂質輸送を正常化する事により、本来の酵素の働きを活性化するように作用する、薬理学的シャペロン(正しく機能させるタンパク質=chaperone)となります。





【ガラフォルド®の製品概要】
製品名:ガラフォルド®(Galafold)カプセル123mg
一般名:ミガーラスタット塩酸塩(migalastat)
効能・効果:ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病
用法・用量:通常、16歳以上の患者にはミガーラスタットとして1回123mgを隔日経口投与する。なお、食事の前後2時間を避けて投与すること。

承認取得日:平成30年3月23日
承認条件:RMP、市販直後全例調査

国内では、これまでファブリー病の治療薬として、「ファブラザイム点滴静注用」や「リプレガル点滴静注用」が発売されていますが、「ガラフォルド®カプセル123mg」は経口投与による初めての治療剤であり、既存の酵素補充療法(ERT)製剤とは作用機序が異なり、本剤に反応性のある遺伝子変異を伴うファブリー病患者が対象で、そうした患者の新しい治療の選択肢の一つとなります。





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