Quantcast
Channel: 好奇心の扉
Viewing all articles
Browse latest Browse all 297

同種造血幹細胞移植のCMウイルス感染症の発症抑制剤「プレバイミス」が発売開始

$
0
0

MSD株式会社(本社:東京都千代田区)は5月28日、同種造血幹細胞移植患者に於けるサイトメガロウイルス(CMV)感染症の発症抑制を効能・効果として、抗サイトメガロウイルス化学療法剤「プレバイミス®錠240mg/プレバイミス®点滴静注240mg(一般名:レテルモビル)」の発売を開始したと発表した。

プレバイミス錠240mgとプレバイミス点滴静注240mg
抗サイトメガロウイルス化学療法剤
「プレバイミス®錠240mg/プレバイミス®点滴静注240mg」
<同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制>


ヒトサイトメガロウイルス(CMV=human Cytomegalovirus)は、通常、乳幼児期にサイトメガロウイルス保有者の唾液等の分泌物を介して、多くの場合、不顕性(ふけんせい)感染(病原菌などに感染したにも係わらず症状が現れない事=無症状感染)し、宿主に生涯潜伏し続ける事が一般的です。

サイトメガロウイルス
(ヒト)サイトメガロウイルス
(ヘルペス属のウイルスの一つで、一度感染すると一生涯潜状ウイルスを持ち続ける)

サイトメガロウイルスは非常に感染しやすく、感染者は尿や唾液中に何カ月にもわたってウイルスを排出する事があります。

ウイルスは、子宮頸管粘液、精液、便、母乳にも排出されるため、性的接触でも非性的接触でも感染します。妊婦が感染すると、妊娠中に胎児が感染する場合や、出産時に新生児に感染する場合があります。
生後1ヵ月の幼児の先天性サイトメガロウイルス感染症のウイルス包含
生後1ヵ月の乳児の先天性サイトメガロウイルス感染症のウイルス包含

日本の成人のサイトメガロウイルス抗体保有率は80~90%と言われていますが、近年は抗体保有率の低下傾向が認められています。



潜伏感染しているサイトメガロウイルス(CMV)が感染症を発症するのは、主に胎児(一部は先天性サイトメガロウイルス感染症児として出生)や、未熟児、免疫抑制剤使用、炎症、同種造血幹細胞移植後、AIDS患者などの他ウイルス感染、先天性免疫不全患者、ストレス等などです。
治療には抗ウイルス薬が用いられます。



日本に於いて、成人同種造血幹細胞移植は、年間約3,300件が実施されている。(2015年に実施された移植の診療科別報告件数:http://www.jdchct.or.jp/data/report/2016/pdf/2/2-2-1.pdf)

【日本造血細胞移植学会 造血幹細胞移植の適応ガイドライン対象疾患

(1)慢性骨髄性白血病
(2)成人急性骨髄性白血病
(3)成人急性リンパ性白血病
(4)小児急性白血病
(5)骨髄異形成症候群(成人)
(6)骨髄異形成症候群(小児)
(7)悪性リンパ腫(成人・小児)
(8)再生不良性貧血(成人)
(9)再生不良性貧血(小児)
(10)成人T細胞性白血病・リンパ腫
(11)多発性骨髄腫
(12)先天性骨髄不全症候群
(13)原発性免疫不全症
(14)先天代謝異常症
(15)自己免疫疾患
(16)固形腫瘍(小児)
◆2007 日本造血細胞移植学会 ガイドライン委員会◆

自家造血幹細胞移植(ASCT)と、同種造血幹細胞移植(HSCT)の違い。
同種造血幹細胞移植とは


特に、同種造血幹細胞移植(HSCT)患者の免疫抑制状態下では、免疫力が著しく低下しているため、再活性化された「サイトメガロウイルス感染症」が高頻度に認められ、症状が重くなり、網膜炎が重篤化し失明したり、死亡したりする事もあり、死亡率をはじめ、移植後の予後に関わっている事が報告されている。(MSD株式会社マニュアル家庭版サイトメガロウイルス(CMV)感染症)


同種造血幹細胞移植でのサイトメガロウイルス感染症



「プレバイミス(Prevymis)」は、世界初のサイトメガロウイルス(CMV)ターミナーゼ阻害剤です。
ヒトには存在しないサイトメガロウイルス(CMV)のDNAターミナーゼ複合体を阻害する事で、ウイルスの増殖を抑制します。
第3相国際共同試験で、プレバイミス群とプラセボ(偽薬)群の対比較に於いて、主要評価項目である移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染が認められた患者の割合を、統計学的に有意に低下させた。


プレバイミスの作用機序_サイトメガロウイルス感染症
「プレバイミス(レテルモビル)」の作用機序

現在のCMV感染症の対策は、CMV感染が確認された時点で抗ウイルス薬の投与を開始する先制治療が中心ですが、本剤はCMVの感染が確認される前に予防的に投与される薬剤となります。これにより患者の移植の成功と予後の改善への大きな貢献が期待されています。

尚、本剤は赤ちゃんの先天性サイトメガロウイルス感染症への適応はありません。




【製品概要】
【製品名】:プレバイミス錠240mg/プレバイミス®点滴静注240mg(PREVYMIS™)
【一般名】:レテルモビル(letermovir)
【効能・効果】:同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制
【用法・用量】
●プレバイミス®錠240mg:通常、成人にはレテルモビルとして480mgを1日1回経口投与する。シクロスポリン(免疫抑制剤)と併用投与する場合にはレテルモビルとして240mgを1日1回経口投与する。

●プレバイミス®点滴静注240mg:通常、成人にはレテルモビルとして480mgを1日1回、約60分かけて点滴静注する。シクロスポリンと併用投与する場合にはレテルモビルとして240mgを1日1回、約60分かけて点滴静注する。

【製造販売承認日】:2018年3月23日
【薬価基準収載日】:2018年5月22日
【発売日】:2018年5月28日
【薬価】
●プレバイミス®錠/1錠 14,379.20円
●プレバイミス®点滴静注/1瓶 17,897円

薬価については、本剤の新規の作用機序と有効性が認められ、画期性加算と市場性加算が適用されました。画期性加算は1992年に薬価算定ルールに導入されたましたが、過去に適用された新医薬品は4製品のみで、今回の本剤への適用は3年ぶり5製品目となります。







ペタしてね月ペタしてね鳥

Viewing all articles
Browse latest Browse all 297

Trending Articles