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全身型若年性特発性関節炎の新適応で「イラリス皮下注」が効能追加承認を取得

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ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)は7月2日、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)治療薬「イラリス®皮下注用150mg」、及び「イラリス®皮下注射液150mg(一般名:カナキヌマブ[遺伝子組換え])」について、全身型若年性特発性関節炎(SJIA=systemic juvenile idiopathic arthritis)の治療薬として、厚生労働省より、効能追加の承認を取得したと発表しました。
新たに追加承認されたのは、「既存治療で効果不十分な全身型若年性特発性関節炎」です。



イラリス皮下注射150mg
既存治療で効果不十分な全身型若年性特発性関節炎治療薬
「イラリス®皮下注用150mg、イラリス®皮下注射液150mg(カナキヌマブ」
新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。



全身型若年性特発性関節炎(SJIA)は、16歳未満で発症する、原因不明の慢性(6週間以上持続する)関節炎である若年性特発性関節炎(JIA)の中の1つのタイプです。

若年性特発性関節炎には、大きく分けて全身型(SJIA/41.7%)少関節炎(持続型、進展型/20.2%)リウマトイド因子陰性多関節炎、リウマトイド因子陽性多関節炎(2種合わせて31.9%)、乾癬性関節炎、付着部炎関連関節炎、それに未分類関節炎(その他3種合わせて6.3%)と7つのタイプに分類されます。(日本小児リウマチ学会・診断の手引きより)

若年性慢性関節炎の分類別割合

全身型若年性特発性関節炎の症状写真
若年性特発性関節炎の症例写真

全身型若年性特発性関節炎は、発熱(2週間以上)の繰り返し、短時間で消えたり移動したりする赤い発疹、全身の関節の腫れや痛みが主な症状として見られ、治療には炎症を抑える“ステロイド剤の投与”、関節痛の痛みを抑える“非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の使用”、サイトカイン(免疫系細胞で生産され免疫反応に影響を及ぼすタンパク質の総称)抑制の“生物学的製剤の使用”などが行われています。

全身型若年性慢性関節炎の症状


日本国内での全身型若年性特発性関節炎(SJIA)の発症頻度は、小児人口10万人当たり約4人と推定され、全国で約5000人以上の患者がいると推定されており、若年性特発性関節炎(JIA)患者全体の約40%を占める、最も多い病型です。
発症年齢は、おおむね1~5歳の幼児に多く、男女差はありません。


若年性特発性関節炎(JIA)の原因は不明ですが、身体の免疫反応が異常に亢進(活発化)して、炎症が起こると考えられています。またこの疾患は遺伝しません。
(公益財団法人 難病医学研究財団・難病情報センター/ノバルティスファーマ全身型若年性特発性関節炎より)


若年性特発性関節炎の症例写真と治療後
若年性特発性関節炎の治療前の関節滑膜の炎症(左の白い部分)
→骨破壊を防ぐための治療後の写真(右)

重要な事は、骨損傷前→早期の治療開始です。

全身型若年性特発性関節炎の予後は、寛解や悪化を繰り返しますが、最終的には完治する患者(50~70%)の多い疾患で、完治しない場合でも、症状を抑え、ステロイドの減量や中止ができたり、関節炎の進行を抑え、殆どの小児が正常な身体機能に改善します。
(ノバルティスファーマ全身型若年性特発性関節炎より/監修:大阪医科大学小児科 岡本奈美先生)




「イラリス」は、ヒトIL-1βに対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体製剤で、【自己炎症性疾患(autoinflammatory disease)】のうち、遺伝性周期熱症候群である、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS⇒主にNLRP3遺伝子変異)、既存治療で効果不十分な家族性地中海熱(FMF⇒MEFV遺伝子異常)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS⇒主にTNFRSF-1Aの異常)、及び高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)(HIDS[MKD]⇒MVK遺伝子変異)の治療薬として、2011年から順次適応が拡大され、販売されています。

イラリス皮下注用の作用機序

「イラリス」は、炎症性サイトカインの一つであるヒトインターロイキン(IL)-1βに対する、遺伝子組換えヒト免疫グロブリンG1モノクローナル抗体であり、IL-1βに結合し、その活性を中和する事で炎症を抑えます。


現在、世界約70カ国で承認されており、日本国内では、2011年9月にクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)治療薬として承認を取得。
また2016年12月に、既存治療で効果不十分な家族性地中海熱(FMF)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、高IgD症候群(MKD)について、効能追加承認を取得しました。

今回の効能適応である「全身型若年性特発性関節炎(SJIA)」に対しては、2017年10月に効能追加承認を申請していました。





【製品概要】

【製品名】
  「イラリス®皮下注用150mg」(ILARIS® for 150mg)
  「イラリス®皮下注射液150mg」(ILARIS® solution for 150mg)
【一般名】:カナキヌマブ(Canakinumab=遺伝子組換え)

【効能又は効果(下線部は今回追加承認された効能又は効果)】
  1)以下のクリオピリン関連周期性症候群
   ■家族性寒冷自己炎症症候群
   ■マックル・ウェルズ症候群
   ■新生児期発症多臓器系炎症性疾患
  2)高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)
  3)TNF受容体関連周期性症候群
  4)既存治療で効果不十分な下記疾患
   ■家族性地中海熱
   ■全身型若年性特発性関節炎

【用法及び用量(今回追加承認された分)】
  ●全身型若年性特発性関節炎
通常、カナキヌマブ(遺伝子組換え)として1回4 mg/kgを、4週毎に皮下投与する。1回最高用量は300mgとする。
【効能追加承認日】既存治療で効果不十分な全身型若年性特発性関節炎 2018年7月2日





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