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国内初、手術不能又は再発/遺伝性乳がん治療薬「リムパーザ®錠」が適応拡大で承認を取得

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アストラゼネカ株式会社(日本本社:大阪府大阪市北区/本社:英国・ロンドン)は7月2日、世界初であり国内初のポリポリメラーゼ(PARP)阻害剤「リムパーザ®錠100mg/同150mg(一般名:オラパリブ)」について、新たに「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性、且つHER2陰性の手術不能または再発乳がん(遺伝性乳がん)」の効能・効果の適応追加、及び製造販売承認事項の一部変更の承認を取得したと発表しました。

本剤は本年1月19日、世界初及び国内初の「BRCA遺伝子変異の有無を問わない白金系抗悪性腫瘍剤(プラチナ製剤)感受性の再発卵巣癌(遺伝性卵巣がん)における維持療法」を効能・効果として、製造販売承認を取得していました。



リムパーザ錠(オラパリブ)100mgと150mg
経口ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤
「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌」
遺伝性乳がん治療薬『リムパーザ®錠100mg、同錠150mg』




BRCA1遺伝子及びBRCA2遺伝子は通常、乳がんの予防に大きな役割を果たします。

BRCA1/2は、癌に変化しようとするDNA切断や、腫瘍の制御不能な成長を修復するためのタンパク質を生成する遺伝子です。
BRCA1と2遺伝子が正常

このBRCA1/2遺伝子のどちらか、或いは双方が変異や変化を起こすと、“BRCAタンパク”が作られなかったり、正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されない可能性があります。その結果、細胞の腫瘍化、癌化を引き起こす更なる遺伝子変化を起こす可能性が高くなります。

BRCA1と2遺伝子変異がある場合

こうした働きがある事から、BRCA1遺伝子及びBRCA2遺伝子は『腫瘍抑制遺伝子』とも呼ばれています。





「リムパーザ®(LYNPARZA®)」は、BRCA遺伝子変異によって、DNA損傷応答(DDR=DNA Damage Response)経路に異常を起こしたがん細胞に特異的に作用し、がん細胞死を誘導する世界初の経口ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、国内初の遺伝性乳がんの治療薬です。


リムパーザ(オラパリブ)の作用機序
「リムパーザ®(オラパリブ)」はPARPの強力な阻害剤です。

PARPを阻害する事によって、一本鎖切断を担う塩基除去修復が働くのを妨げる(上図①)。

★プレスリリースや「オラパリブ」の医薬記事ではその働きが分かりにくいので、
ざっくり説明すると‥‥
⇒BRCA1/2遺伝子が正常に働く場合は、DNAに損傷が起こると、遺伝子の二重螺旋のうち1本を切断して、BRCA遺伝子が作る修復タンパク質によって、再生成され正常なDNAに修復される。

しかしBRCA1/2遺伝子に異常があると、正常な修復タンパク質が作られないため、細胞が癌化を始めるので、その前に異常なタンパク質の生成を妨害する事で、損傷したDNAが、1本切断から再生不可能な2本切断に誘導する事で、異常なDNAを持った細胞を死滅させようと言うもの――。修復されないDNAの一本鎖切断は、DNA複製の過程で二本鎖切断に至る(上図②)。

相同組み換えが出来ない癌細胞では、二本鎖切断を修復できずに細胞死に至る(上図③)。



「リムパーザ®」は、日本では2018年に卵巣がん(再発/遺伝性)の治療薬として承認されました。
今回は、BRCA1/2遺伝子変異によってDNA損傷が修復されず、細胞の癌化につながるタイプの遺伝性乳がんの治療薬として適応追加したものです。


卵巣がん治療薬_リムパーザ錠作用機序オラパリブ


愛知県がん研究センター中央病院/副院長兼乳腺科部長の岩田広冶氏は次のように述べています。
「リムパーザの臨床導入は、BRCA遺伝子変異に基づく新たなサブタイプの治療概念を定義し、これまでターゲット治療が無かった、トリプルネガティブ乳がんや、ホルモン抵抗性のホルモン受容体陽性乳がんに対して、有益な治療選択枝を獲得しました。リムパーザが、乳がん領域に於ける更なるプレシジョン・メディシン(一人ひとりの患者に適した精密医療)治療の発展に寄与していくことを期待しています」。




【製品概要】
【製品名】:リムパーザ®錠100mg(Lynparza® Tablets 100mg)/リムパーザ®錠150mg(Lynparza® Tablets 150mg)
【一般名】:オラパリブ(Olaparib)
【効能・効果】:白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法
        がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

【用法・用量】:通常、成人にはオラパリブとして300mgを1日2回、経口投与する。尚、患者の状態により適宜減量する。

【製造販売元】:アストラゼネカ株式会社
【共同販売】:MSD株式会社(メルク・アンド・カンパニー米国ニュージャージー州)



【リムパーザ®の処方について】
◆本剤は、コンパニオン診断プログラムである「BRACAnalysis診断システム」による、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異の判定結果に基づき決定されます。
【BRACAnalysis診断システムの製品概要】

【一般名】:生殖細胞系列遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)
【販売名】:BRACAnalysis診断システム
【使用目的・効果】:全血から抽出したゲノムDNA中の生殖細胞系列のBRCA1又はBRCA2遺伝子変異を抽出し、オラパリブの乳癌患者への適応を判定するための補助に用いられる。

【製造販売承認日】:2018年3月29日
【海外特例承認取得者】:ミリアド ジェネティック ラボラトリーズ,インク(アメリカ合衆国)






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