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末梢性神経障害性疼痛治療剤「タリージェ®錠」が国内での製造販売承認を取得

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第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は1月8日、神経疼痛治療剤「タリージェ®錠 2.5mg・5mg・10mg・15mg(一般名:ミロガバリンベシル酸塩)」について、「末梢性神経障害性疼痛(PNP)」を適応として、国内製造販売承認を取得したと発表した。
有効成分のミロガバリンベシル酸塩は、「末梢性/神経障害性疼痛」治療薬に於いて、新有効成分含有医薬品となる。

本剤は、第一三共株式会社が創製したα2δ(アルファ2デルタ)リガンド*であり、日本を含むアジアにおいて実施した『糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)』の患者を対象とした、第Ⅲ相臨床試験、および『帯状疱疹後神経痛(PHN)』の患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験の結果に基づき、2018年2月に製造販売承認申請を行っていました。

 

*リガンド……特定の膜タンパク質(Ca2+)の受容体などと特異的に結合する物質。


末梢性神経障害性疼痛治療剤タリージェ錠
*写真はイメージです。
末梢性神経障害性疼痛治療剤「タリージェ®錠」
(一般名:ミロガバリンベシル酸塩=Mirogabalin besylate)
本剤は現在、発売準備中のため、薬剤の写真はまだありません。


末梢性神経障害性疼痛(PNP=peripheral neuropathic pain)は、様々な原因によって、末梢神経に損傷や機能異常が起こり生じる痛みです。
代表的なものに「糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)」「帯状疱疹後神経痛(PHN)」などがあります。



 

▼糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP=diabetic peripheral neuropathic pain)は、糖尿病の患者で、神経への栄養不足や血管が狭くなる事で血流が低下したりして、高血糖が続き、神経が損傷される事によって引き起こされる末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患です。


シュワン細胞

障害を受けるのは、神経細胞が集まった軸索(じくさく)の周囲を取り囲む、ミエリン鞘(髄鞘)が更にまとまり、神経細胞の集合体となったシュワン細胞です。




糖尿病性末梢神経障害は、四肢の神経障害や知覚麻痺を引き起こす疾患で、最も一般的で、長期化する糖尿病の3大合併症(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害)の一つです。
症状として、激しい痛み、痛覚過敏、しびれ、平衡障害、及び筋肉運動障害、灼熱痛、刺痛などがあり、夜間に痛みが増す事が多く、睡眠障害に至る事もあります。

日本では、1,000万人を超えると推測される糖尿病患者のうち、糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)に罹患している患者の割合は、9~22%と報告されています。

〔国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター〕
〔第一三共株式会社 ニュースリリース2019年1月8日〕



 

▼帯状疱疹後神経痛(PHN=post-herpetic neuralgia)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって、神経を保護しているミエリン鞘(髄鞘)が傷つく事で、神経が露出するために引き起こされる末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患です。

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節内に潜伏感染し、身体のウイルスに対する免疫力が低下する事で発症します。
帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹が治癒した後も、焼けるような痛みや電気が走るような痛みが持続し、稀れに筋力の低下や麻痺を引き起こす難治性疼痛の一つと考えられています。


肋間神経に発症した帯状疱疹
エミリン鞘
患部は治癒しても、神経が損傷を受けると痛みが長く残る。

ミエリン鞘(髄鞘)の損傷修復に時間が掛かる。

日本では、年間に50~60万人が発症している帯状疱疹患者のうち、帯状疱疹後神経痛に罹患している患者の割合は、10~25%と言われています。
傷ついたミエリン鞘(髄鞘)は、時間と共に少しずつ修復されますが、その期間は人によってバラバラで、神経が隠れるまで痛みは続きます。





タリージェ錠・ミロガバリンの作用機序

「タリージェ®錠」の有効成分であるミロガバリンベシル酸塩(Mirogabalin besylate)は、電位依存性カルシウムチャネルのα2δ(アルファ2デルタ)サブユニットに結合する物質で、電位性カルシウムチャネルを介してカルシウムの流入を減少させる事で、痛みに関与する神経伝達物質の過剰な放出を抑制する事により、効果を発揮すると考えられている。
また、「タリージェ®錠」は第Ⅲ相グローバル試験に於いて、「線維筋痛症」患者への有益性に乏しく承認申請が見送られました。


尚、2010年6月に末梢性神経障害性疼痛治療薬として販売を開始した「リリカ(ファイザー)」と、「タリージェ®錠」の作用機序は同じですが、リリカはその後、適応疾病の一部変更・追加が行われ、現在の効能・効果は『神経障害性疼痛』、及び『線維筋痛症に伴う疼痛』となっています。
「リリカ」の適応は変更されましたが、線維筋痛症を含む末梢性神経障害性疼痛の第一選択薬の一つである事に変わりはありません。

今回、「タリージェ®錠」が加わった事で、有効成分の違いから、「リリカ」の副作用などで服用を断念した患者に、末梢性神経障害性疼痛に対する新たな治療の選択肢が増えた事で、少しでも痛みから解放される事を期待します。






【製品概要】

【販売名】:タリージェ®錠 2.5mg・5mg・10mg・15mg
【一般名】:ミロガバリンベシル酸塩(Mirogabalin besylate)
【効能・効果】:末梢性神経障害性疼痛

【用法・用量】:通常、成人には、ミロガバリンとして初期用量1回5mgを1日2回経口投与し、その後1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、1回15mgを1日2回経口投与する。尚、年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減し、1日2回投与する。

【製造販売承認日】:2019年1月8日




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