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人免疫グロブリン「ピリヴィジェン」慢性炎症性脱髄性多発根神経炎治療薬の承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会は2月21日、CSLベーリング株式会社(本社:東京都江東区東雲1丁目)から製造販売承認申請が出されていた、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の筋力低下の改善」及び「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品、pH4処理酸性人免疫グロブリン製剤『ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL、同10g/100mL、同20g/200mL』の承認を了承した。

また同時に効能・効果の追加承認申請をしていた、「無・底ガンマグロブリン血症」の適応で販売している、pH4処理酸性人免疫グロブリン製剤『ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL、同2g/10mL、同4g/20mL』について、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」の効能・効果を追加する承認申請も了承された。


「ハイゼントラ20%皮下注」は、慢性炎症性脱髄性(だつずいせい)多発根神経炎(たはつこんしんけいえん)の治療薬としては、世界初の皮下注用液剤であり、既に、米国や欧州で承認されています。



ピリヴィジェン10%点滴静注_privigen
国内初の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)治療薬
pH4処理酸性人免疫グロブリン製剤「ピリヴィジェン®10%点滴静注」
(privigen®)


ハイゼントラ20%皮下注
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の効能効果追加、
pH4処理酸性人免疫グロブリン製剤「ハイゼントラ®20%皮下注」
(Hizentra®)



慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy=CIDP)は、指定難病対象疾病であり、末梢神経(脳および脊髄以外の神経)に障害を生じる稀有な自己免疫性疾患です。


▼ 尚、本疾患名の呼称に関してWikipediaや難病医学研究財団/難病情報センターなどに於いて【慢性炎症性脱髄性多発神経炎】との名称で「多発『根』神経炎」の文字が抜けて表記されていますが、本記事では“厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会”で審議された議事次第に記載された審議品目の効能効果に準拠し、表記しています。
https://nk.jiho.jp/sites/default/files/nk/document/2019/02/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%83%A8%E4%BC%9A.pdf



慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の脱髄


慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)では、電気信号を末梢神経に伝える運動神経軸索を保護しているミエリン鞘(髄鞘)が損傷し、その結果、2カ月以上にわたり、四肢のしびれ感やピリピリ感、筋力低下、疲労、左右対称性に腕が上がらなくなる、握力(あくりょく)が低下して物をうまく掴めなくなる、などの症状が発現します。

 *又、左右対称性ではなく左右非対称性の場合は多巣性運動ニューロパチー(MMN)と呼ばれ、同一の運動神経疾患とされています。

CIDPの原因は現在も尚、不明ですが、自己の末梢神経に対する免疫異常がその原因ではないかと考えられています。*病原微生物などの異物(抗原)に対して起こる体内の抗原/抗体反応が、抗原が無いのに過剰発現し、末梢神経へ伝わる運動神経を損傷させ、電気信号量が減衰してゆくと考えられている。


慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の軸索

CIDPの症状は、著しい活動の制限や生活の質(QOL)の低下に繋がるような、時間の経過に伴って表れ症状悪化を示す場合もあります。
CIDPは年齢を問わず幅広い年齢層に於いて発症する可能性があり、患者は女性よりも男性に多く見られます。

治療しないと、CIDP患者のおよそ30%が車椅子に頼る生活になります。米国では、CIDPの発症率は年約10万人に 2人であり、患者数は4万人と推定されています。国内の患者数は、約4600人と推定されています。

〔CSLベーリング株式会社:米国版プレスリリース2018年3月16日付より翻訳〕
〔公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター/慢性炎症性脱髄性多発神経炎&多巣性運動ニューロパチーより〕
〔◆同じようにミエリン鞘が損傷を受ける疾患に、末梢性神経障害性疼痛(PNP)がありますが、これは痛覚神経であり、CIDPは運動神経の損傷です〕





免疫グロブリンの種類
免疫グロブリンの種類
5種類ある免疫グロブリンの中で、IgGは全体の70~75%を占める抗体。


抗体と二量体免疫グロブリンIgG
病原微生物などの異物(抗原)が侵入すると、
免疫グロブリンGが二量体結合して抗体を作り出す。

「ピリヴィジェン®10%点滴静注」の最大の特徴は、通常、IgG(免疫グロブリンG)は溶液中では2分子が結合して二量体を形成していますが、タンパク質を構成するアミノ酸の一つの「プロリン(proline)」によって、IgG同士の結合を遮断して、二量体を減少させ、IgG分子一つで安定化させた製剤です。
また、プロリンは、天然に存在するアミノ酸でもあります。


免疫グロブリン二量体IgG
プロリンによって過剰な二量体IgG抗体反応を減少させる。




【製品概要】

【販売名】:ピリヴィジェン®10%点滴静注5g/50mL、同10g/100mL、同20g/200mL(Privigen® 10% Intravenous drip)
【一般名】:pH4処理酸性人免疫グロブリン(点滴静注=pH-4 Treated Acidic Normal Human Immunoglobulin)
【効能又は効果】
①慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善
②慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)

【用法及び用量】
①▲慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善
通常、成人には1日に人免疫グロブリンG(IgG)として400mg(4mL)/体重1kgを5日間連日点滴静注する。

②▲慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)
通常、成人には人免疫グロブリンGとして「1000mg(10mL)/体重1kgを1日」又は「500mg(5mL)/体重1kgを2日間連日」を3週間隔で点滴静注する。

【申請区分】:新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

 

◆ピリヴィジェン®(Privigen®(人免疫グロブリン)は、世界初の、そして唯一承認された室温で保存可能なready-to-use(すぐに使える、使用準備済)のプロリン(proline)安定化10%IVIg(静注用免疫グロブリン)液剤です。


◆「ピリヴィジェン®(Privigen®)」は、欧州では現在、原発性及び続発性免疫不全症候群患者の補充療法、また慢性免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)や慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)などの神経疾患、ギラン・バレー症候群(=急性炎症性脱髄性多発根神経炎)、川崎病の患者の免疫調節療法に使用されていますが、日本国内では承認されていません。


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【製品概要】

【販売名】:ハイゼントラ®20%皮下注1g/5mL、同2g/10mL、同4g/20mL(Hizentra® 20% S.C. Injection)
【一般名】:pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射=pH-4 Treated Acidic Normal Human Immunoglobulin)
【効能又は効果】
①無又は低ガンマグロブリン血症
②慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)

【用法及び用量】:通常、人免疫グロブリンGとして50~200mg(0.25~1mL)/体重1kgを週1回皮下投与する。尚、患者の状態に応じて、1週あたりの投与量及び投与回数は 適宜増減する。
【有効成分】:人免疫グロブリンG(IgG/ヒト血液由来成分)


★免疫グロブリンIgGを含む、『免疫グロブリンの種類と血中濃度割合』については、“女性乳房の生理”https://ameblo.jp/aki-prism/entry-12410521621.html で記載しているので参考に。




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