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日本胃癌学会「高頻度MSI進行/再発胃癌」へのキイトルーダ療法に関する速報版公開

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日本胃癌学会は2019年3月18日、抗悪性腫瘍剤/ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「キイトルーダ®点滴静注(一般名:ペムブロリズマブ)」が、昨年12月、【がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)】に適応拡大の承認を取得したことを受け、これにより「進行・再発胃癌」及び「胃食道接合部癌」も適応症となった為、「キイトルーダ®(ペムブロリズマブ)」の進行・再発胃癌に対する単剤療法に関する胃癌治療ガイドライン速報版をホームページ上に公開した。


キイトルーダ点滴静注20mg、同点滴静注100mg
抗悪性腫瘍剤/ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体
【進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌】
(癌種を問わず/標準的な治療が困難な場合に限る)
『キイトルーダ®点滴静注20mg、同点滴静注100mg』

ホームページ上に公開・掲載されたのは、MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性=MicroSatellite Instability-High)を有する進行・再発胃癌、胃食道接合部癌治療に対するキイトルーダ®(ペムブロリズマブ)単剤療法に関する、本療法の実施についてのガイドライン委員会のコメントです。





マイクロサテライト不安定性検出キット




▲ 有効性、安全性の根拠

◆米国食品医薬品局(FDA)が2017年5月、切除不能あるいは転移性胃癌/胃食道接合部癌に対するキイトルーダ®(ペムブロリズマブ)を特別措置承認とすると発表している事。

◆5つの臨床試験(KEYNOTE-016,-164,-012(7),-028,-158)(2, 7-10)を統合した結果を踏まえた措置である。

◆日本も参加した国際共同第II相試験の結果(大腸癌以外の固形癌を対象)。

◆臨床試験に於いて、胃癌では13例中6例に奏効を認め(奏効率46.2%)、癌種間で治療効果に大きな差が無かったことから、転移性胃癌/胃食道接合部癌の固形腫瘍患者へのキイトルーダ(ペムブロリズマブ)投与が適当であると判断された。

◆国際共同第3相試験に於いて、腫瘍組織にPD-L1発現陽性の患者で比較した所、キイトルーダ®(ペムブロリズマブ)単剤療法群(196例)と、タキソール(パクリタキセル=微小管阻害薬)単剤療法群(199例)で特段の優越性は示されず、同一程度と判断された。

しかし、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する症例(キイトルーダ群15例、タキソール群10例)を対象とした探索的な奏効率は、全生存期間の中央値で46.7%と16.7%と、キイトルーダ®(ペムブロリズマブ)の良好な治療成績が示された。

◆キイトルーダ®(ペムブロリズマブ)の有害事象について、他癌種にてこれまで報告された以外の新しい情報は認められなかった。




高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)固形癌関連DNA変異


これらを記載した上で、切除不能進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)胃癌患者に対して、2次治療以降におけるキイトルーダ®(ペムブロリズマブ)単剤療法を推奨する(エビデンスレベルB)と明記する一方で、臓器ごとの効果や安全性のデータは、症例数が十分に蓄積されておらず、十分な配慮が必要―――と指摘している。



癌種別のMSI-High固形癌の割合
癌種別の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)固形癌の割合


更に、現時点では高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)胃癌患者に、タキソール(パクリタキセル)とサイラムザ(ラムシルマブ=ヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体)併用療法と、キイトルーダ®(ペムブロリズマブ)のいずれが優先されるかは結論できない―――とも記載され、実際の投与に際しては、患者の全身状態や合併症、年齢などを考え、必要に応じて検査キットによりMSI検査を行い、適切な治療法を選択する事が望まれるとしている。




<MSI-Highの結腸・直腸がんへの追加の承認申請>

尚、本稿の胃癌治療ガイドラインが発表になった直後の3月28日、小野薬品工業株式会社は、抗PD-1抗体「オプジーボ点滴静注(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))」について、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がんの適応を追加する承認申請を行ったと発表しました。

切除不能の結腸・直腸がん患者のうちMSI-Highを持つ割合は約5%ですが、MSI-Highの患者は予後が不良の傾向が見られると言う。
また、標準治療のフッ化ピリミジン系抗がん剤を含む化学療法の有効性が乏しい事が報告されていて、そうした患者への治療選択肢と位置づけるとしている。






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