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重症尋常性乾癬治療薬IL-23阻害剤「スキリージ®皮下注」が販売を開始

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アッヴィ合同会社(本社:東京都港区三田3丁目)は5月24日、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬(かんせん)、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に対する治療薬、インターロイキン-23(IL-23)阻害薬「スキリージ®(SKYRIZI®)皮下注75mgシリンジ0.83mL(一般名:リサンキズマブ[Risankizumab/遺伝子組換え])」を、発売したと発表しました。

「スキリージ®皮下注」は0週目、4週目、その後は12週間ごとに皮下投与する薬剤で、日本で承認されている『乾癬』の適応を持つ生物学的製剤のうち、最も投与頻度が少ない薬剤の一つとなります。


尋常性乾癬治療薬スキリージ皮下注75mg
インターロイキン-23(IL-23)阻害薬
尋常性乾癬治療薬「スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL」

乾癬は…、常に新陳代謝を繰り返している皮膚細胞が、異常増殖を引き起こし、代謝スピードが通常約1ヶ月程度なのに対して、乾癬では新陳代謝のスピードが3~10倍(症状により様々)早くなることで、皮膚が定着する前に新たな細胞に押し出され、表皮がポロポロと剥がれ落ちる疾患です。


尋常性乾癬

乾癬は、皮膚が赤くなって盛り上がり、炎症性の赤みを帯びた皮疹や銀白色の細かい皮膚のカサブタに覆われたような鱗屑(りんせつ=銀白色の粉)が特徴で、皮膚細胞の慢性の自己免疫性炎症性疾患ですが、他人に感染することはありません。
また、皮膚が剥がれ落ちる際に血が滲むことがありますが、これらの出血に触っても他人には感染する(伝染る)事はありません。



関節症性乾癬


乾癬性紅皮症
乾癬性紅皮症の症例


有効な治療をしないままで居ると、一部の患者で、関節の腫れや痛み(関節症性乾癬)を引き起こす事もあります。

この為、乾癬治療は、悪化させない様にこの新陳代謝のスピードを遅くする事で、病状を寛解させ、疾患が表面に現れない状態を維持する事にあります。



乾癬には症状によってタイプがあり、“尋常性(じんじょうせい)乾癬、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症(こうひしょう)、膿疱性(のうほうせい)乾癬、滴状乾癬(てきじょうかんせん)”に分類され、中でも最も多いのが【尋常性乾癬】で、尋常性とは「ありふれた」という意味で、90%位がこの症状です。

▲尋常性乾癬=乾癬全体の約90%
▲関節症性乾癬=乾癬全体の約3~15%
▲滴状乾癬=乾癬全体の約4%
▲乾癬性紅皮症=乾癬全体の約1~2%
▲膿疱性乾癬=乾癬全体の約1%(この病態のみ特定疾患指定)
(*併発含む)
日本では約15%の乾癬患者が乾癬性関節炎(関節症性乾癬)を併発します。
世界には乾癬患者が1億2,500万人、日本には乾癬患者会統計で50~60万人、製薬会社統計で約43万人いると推定されています。

〔Kubota K, et al BMJ 2015 Jan BMJ Open 2015〕
〔2019 AbbVie Inc. North Chicago, Illinois, U.S.A. and Japan〕
〔アッヴィ合同会社プレスリリース 2019年5月24日〕






乾癬の重症度別治療方法
乾癬の重症度別治療方法


(1.)これまでの治療(塗り薬や紫外線を用いた治療や飲み薬)では、十分な効果が得られず、皮膚の症状が全身の10%(手のひら約10個分)以上にある人。
(2.)治りにくい皮膚の症状、関節の屈曲症状や膿疱が見られる人。



スキリージ皮下注75mgシリンジの作用機序
スキリージ(リサンキズマブ)皮下注75mgシリンジの作用機序

「スキリージ®皮下注75mgシリンジ0.83mL」は、白血球由来の炎症性サイトカイン、インターロイキン(IL)-23のサブユニットp19に特異的に結合し、IL-23の活性を選択的に阻害するヒト化抗ヒト(免疫グロブリンG1)IL-23p19モノクローナル抗体製剤です。
同様のIL-23p19サブユニットを標的とした製剤には、グセルクマブ(商品名:トレムフィア/2018年5月薬価収載)があり、本剤は2番手となる。


スキリージ皮下注とステラーラ皮下注の効き目比較
スキリージとステラーラの効き目比較。

乾癬治療には、塗り薬や紫外線を用いた治療や飲み薬がありますが、生物学的製剤と言われる注射薬も用いられるようになってきた結果、現在の乾癬治療のゴールは、症状の改善だけに留まらず、乾癬の症状や治療によって制限されない生活を取り戻す事であるとの考え方に変わりつつあります。


尋常性乾癬治療薬の生物学的製剤の値段
乾癬治療薬の生物学的製剤の値段比較
(これらには各投与間隔に幅があったり、投与回数に制限があります)

また新しい薬剤が登場する事で旧薬の薬価は引き下げられています。





【スキリージ®製品概要】
【製品名】:スキリージ®(SKYRIZI®)皮下注75mgシリンジ0.83mL
【一般名】:リサンキズマブ(risankizumab/遺伝子組換え)
【剤 型】:注射剤(プレフィルドシリンジ)
【効能・効果】:既存治療で効果不十分な、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症

【用法・用量・投与方法】:通常、成人にはリサンキズマブ(遺伝子組換え)として、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与する。尚、患者の状態に応じて1回75mgを投与することができる。
また、150mgを投与するためには、75mgシリンジを2本投与すること。

【投与経路】:皮下にのみ投与すること。
【投与時】:投与15~30分前に冷蔵庫から取り出し、直射日光を避け、室温で静置することが望ましい。
皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(皮膚の圧痛、内出血、傷、紅斑、硬結等の部位)、乾癬の部位には注射しないこと。
*投与部位は、腹部、大腿部、上腕部又は臀部が望ましい。
*本剤は、1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
*混濁、変色又は大きな粒子がある場合は、使用しないこと。半透明~白色の製品由来の微粒子を含むことがある。

【製造販売承認日】:2019年3月26日
【薬価基準収載日】:2019年5月22日
【製造販売元】:アッヴィ合同会社
【薬価】:1シリンジ:23万9,374円(スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL)








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