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指定難病・発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ユルトミリス」が製造販売承認を取得

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アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都渋谷区恵比寿)は、国指定難病の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH=Paroximal Nocturnal Hemogrobinuria)治療薬として承認申請していた、抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤「ユルトミリス®点滴静注300mg(一般名:ラブリズマブ/遺伝子組換え)」について、新有効成分含有医薬品・希少疾病用医薬品として製造販売承認を、6月18日付で厚生労働省より取得した事を発表しました。
「ユルトミリス(ULTOMIRIS)®点滴静注300mg」は、8週間隔で投与される最初で唯一の長時間作用型抗補体(C5)抗体です。



ユルトミリス点滴静注(ラブリズマブ)
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬
抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤
「ユルトミリス®(ULTOMIRIS®)点滴静注300mg」



発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、極めて稀(まれ)で深刻な血液疾患で、後天的な遺伝子の突然変異によって、慢性的な血管内溶血(赤血球破壊)を引き起こす造血幹細胞疾患で、国の指定難病です。

発作性夜間ヘモグロビン尿症の患者は、疲労、嚥下困難(えんげこんなん)、息切れ、腹痛、勃起不全、色の濃い尿(ヘモグロビン尿=コーラ色)、貧血など多様な徴候(ちょうこう)や症状を呈します。


PNH溶血性血栓症

PNHが進行すると、免疫系の構成要素である補体系(血清中に存在するタンパク群で活性化すると標的細胞に傷害を与える)の制御不能な活性化により引き起こされる慢性的な溶血(赤血球破壊)による最も深刻な結果として、全身の血管内で固まった血液が体内を循環する血の流れを遅くしたり、或いは止めることで、治療しなければ、重要臓器(脳梗塞や心臓発作など)が損傷され、早期死亡に至ることもあります。

またPNHと認識されないまま、1~5年以上診断が遅れることが多くあります。
PNHは、人種、性別、年齢に関わらず、何の前触れもなく突然発症する可能性があり、平均発症年齢は30代前半です。


ある種の溶血性貧血、骨髄不全、原因不明の静脈、又は動脈血栓を呈する患者は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)発症のリスクが高いことが知られています。
輸血や抗凝固管理などの支持療法では、PNH患者の20~35%が診断後5年から10年で死に至っていました。



◆発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者数は、北米と欧州では約8,000~10,000人、日本国内では、難病情報センターによると、国内の患者数は約430人(1998年)、英国のデータを日本に当てはめると、日本では年間150人が発症し、有病者は約2,000人と推定されます。
厚生労働省指定の特定疾患難病指定患者数では、約500人と推計されています。

〔PNHフロンティア2016/熊本大学,医学部附属病院:川口辰哉客員教授〕
〔PNH Source/大阪大学大学院 医学系研究科〕
〔アレクシオンファーマ合同会社プレスリリース/2019年6月19日/2019年1月9日〕




発作性夜間ヘモグロビン尿症の原因は、X染色体(性染色体)上の造血幹細胞のPIGA遺伝子に後天性の変異が起こる事で発症します。


PIGA遺伝子X染色体Xp22,2


タンパク質のグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー(A)の生合成を支配する遺伝子のPIGA遺伝子(X染色体p22,2)の変異の結果、補体制御因子のCD55、CD59が欠損して、補体の攻撃により赤血球破壊が起こる。

これは補体崩壊促進因子(CD55)や糖タンパク質(CD59)を欠損した赤血球が産生される為です。


PIGA遺伝子のGPI-A欠損

その結果、CD55及びCD59が欠損した赤血球は、血管内溶血を起こしやすくなるため、血栓症につながり、致命的な経過をたどります。

〔Nature Reviews Disease Primers〕




「ユルトミリス®(ラブリズマブ=Ravulizumab)」は、8週間隔で投与される最初で唯一の長時間作用型抗補体(C5)抗体で、成人の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として、2018年12月に米国で承認を取得。

「ユルトミリス®(ULTOMIRIS®)点滴静注300mg」は、免疫系の一部である終末補体カスケード(縦接続)のC5タンパク質の、C5a及びC5bへの開裂を阻害する事で作用する。

ユルトミリス点滴静注の作用機序


終末補体カスケードの制御不能な活性化は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の他にも、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性(antibody-positive)重症筋無力症(MG)抗アクアポリン4自己抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害(AQP4-NMOSD)
など、重度の超希少疾患にも関与しています。


これまで補体阻害剤の治療経験がないPNH患者、及び「*ソリリス点滴静注(エクリズマブ=Eculizumab/2010年6月発売)」による治療で、病状が安定していたPNH患者を対象とした第3相国際共同臨床試験では、全ての評価項目に於いて、8週間隔で静脈内投与された「ユルトミリス®点滴静注」の有効性の比較で、4週間隔投与のソリリスとの差異はなく、また不完全なC5阻害によるブレイクスルー溶血(治療中の溶血発作)が 「ユルトミリス」の投与により消失した事が示されました。

*ソリリス点滴静注300mgは……アレクシオンファーマ合同会社から、「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)における溶血抑制」の効能効果で、2010年6月14日に発売された「ユルトミリス」同様の抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤。
 ▲用法・用量が4週間隔又は2週間隔(体重により変わる)



発作性夜間ヘモグロビン尿症による真皮血管血栓症






【製品概要】
【製品名】:ユルトミリス®(ULTOMIRIS®)点滴静注300mg/1バイアル30mL
【一般名】:ラブリズマブ(遺伝子組換え)Ravulizumab
【効能・効果】:発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
【用法・用量】:通常、成人には、ラブリズマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1回2,400~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週後に1回3,000~3,600mg、以降8週ごとに1回3,000~3,600mgを点滴静注する。






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