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視神経脊髄炎スペクトラムの適応で抗IL-6抗体「サトラリズマブ」の製造販売承認を申請

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中外製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)は11月8日、スイスRoche社と共同開発した、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系難病の自己免疫疾患である「視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD:neuromyelitis optica spectrum disorder)」を予定適応症として、ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体『サトラリズマブ/Satralizumab(開発コード:SA237)』について、欧州、及び米国に続いて、日本国内での製造販売承認申請を行ったと発表しました。

イメージ
*写真はイメージです。
視神経脊髄炎スペクトラム「サトラリズマブ(Satralizumab)」は
国内製造販売承認申請したばかりで製品写真はありません。


視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD/NMO)は、再発性の視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患で、生涯に渡って、衰弱を引き起こします。

視神経脊髄炎スペクトラムは、多発性硬化症と似た症状を引き起こす病気で、以前は多発性硬化症の一種であると考えられていましたが、視神経脊髄炎スペクトラムでは、眼と脊髄の神経しか侵されないのに対して、多発性硬化症では脳の神経も侵されます。


視神経脊髄炎スペクトラム
視神経脊髄炎スペクトラムのMRI画像

◆主たる症状として、視神経の炎症(視神経炎)が起こるため、片方、又は両方の眼が侵され、眼の痛み、ぼやけ、かすみ、視力低下の発作が起こります。
病気の進行には個人差がありますが、症状を繰り返す経過をたどることが多く、進行するに伴い、痛みを伴う短時間の筋肉の痙攣が頻繁に起こるようになります。

◆時に、脊髄のうち呼吸を制御している部分に炎症が起こり、呼吸困難、視覚障害や失明、運動機能障害が生じ、QOL(生活の質)の低下と共に、生命を脅かすこともあります。
繰り返される四肢の感覚消失と筋力低下、麻痺が次第に蓄積されて行きます。



根本的な治療法はありませんが、コルチコステロイドや免疫抑制剤、補体C5モノクローナル抗体が使用されたり、また血漿交換が有用となる場合もあります。
治療により発作を終息させ、症状をコントロールし、発作の再発を予防することができます。


国内の視神経脊髄炎、又は視神経脊髄炎スペクトラムを含めた患者数は、約4,000人と推定されています。

尚、視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)は以前は、視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)と呼称されていましたが、現在では視神経脊髄炎関連疾患という意味の視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD:neuromyelitis optica spectrum disorder)と呼ばれるようになりました。

〔*日本神経免疫学会 視神経脊髄炎スペクトラム/サトラリズマブ(開発コード:SA237)治験の情報〕
〔*MSDマニュアル-家庭版・視神経脊髄炎 - 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気〕
〔*中外製薬株式会社 プレスリリース2019年11月8日〕
〔*難病情報センター/多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)〕






サトラリズマブの作用機序
サトラリズマブの作用機序

ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体「サトラリズマブ(Satralizumab)」は、中外製薬が創製した、視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)の病態に深く関わっている炎症性サイトカインの“IL-6(インターロイキン6)”シグナルを阻害することで、視神経脊髄炎スペクトラムの再発を抑制することが期待されています。


◆視神経脊髄炎スペクトラムの患者の、3分の2以上の患者では、病原性の抗体である“アクアポリン-4(AQP4)抗体(AQP4-IgG血清陽性)”が検出されており、アクアポリン4抗体は、*アストロサイト(astrocyte/中枢神経系のグリア細胞の1つ)の足突起に発現している神経を保護する髄鞘(ずいしょう)とは別の細胞を標的として攻撃し、破壊することで、視神経や脊髄、脳に炎症を引き起こすと考えられている。


アストロサイトとAQP4抗体

アストロサイトは中枢神経組織の中にあって、その構造を支える支持組織としての働きや、様々な物質の輸送に関与しており、周辺の脳組織の環境を調節する働きをします。
多発性硬化症(MS)と視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD/NMO)は、治療法が異なるため注意が必要となる。



「サトラリズマブ(Satralizumab)は、中外製薬独自のリサイクリング抗体技術により、4週間隔の皮下投与が可能な薬剤です。
▲投与開始後2週目までは2週間隔投与、以降は4週間隔での皮下投与になります。






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