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2019年ノーベル賞受賞を応用した初の腎性貧血治療薬「エベレンゾ錠」が薬価収載

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厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)総会が11月13日開かれ、本年9月20日に製造販売承認を取得した、アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)の「低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHd)阻害薬『エベレンゾ®錠(一般名:ロキサデュスタット/Roxadustat)』」の薬価収載を了承した。
厚生労働省は、11月19日に正式に収載する予定である。


「エベレンゾ®錠(一般名:ロキサデュスタット)」は、透析施行中の腎性貧血を効能・効果として、アステラス製薬株式会社と米国サンフランシスコに本拠を置くFibroGen, Inc.とが共同開発した、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素(PH)阻害薬で、赤血球造血刺激因子製剤(販売名:ネスプ注射液)とは異なる働きで、腎性貧血を改善するファーストインクラス(画期的作用機序)の経口投与治療薬です。



腎性貧血治療薬エベレンゾ錠イメージ
*写真はイメージです。
低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬
透析施行中の腎性貧血治療薬
「エベレンゾ®(Evrenzo®)錠(一般名:ロキサデュスタット)」は
<Hypoxia Inducible Factors-Proline Hydroxylase>
発売準備中のため製品写真はありません。



腎性貧血は、慢性腎臓病(CKD)の初期に見られる一般的な合併症で、慢性腎臓病患者の約20%が腎性貧血を発症します。

全身に酸素を運ぶ役割を担う、骨髄による赤血球の生成を刺激する腎臓の機能低下により、発症しますが、透析患者や保存期患者(透析導入前)のいずれに於いても、高い有病率と死亡リスクの増加が認められ、慢性腎臓病(CKD)の進行と共に、発症率、及び重症度のいずれも増加することが報告されています。

慢性腎臓病(CKD)患者では、酸素を全身に運ぶ赤血球産生を促すホルモンのエリスロポエチン(EPO)が十分に産生されないため、貧血が良く見られます。

透析_慢性腎臓病_血液透析

HIF-PH阻害薬「エベレンゾ®錠(ロキサデュスタット)」は、本来、生体(身体)が低酸素状態に置かれた時に持つ『生理学的反応=低酸素応答*』を誘導します。

低酸素応答は、正常な酸素状態に於いて、生体内で複数の経路を調節することで、赤血球の生成を活性化し、血液の酸素運搬能力を増強し貧血を改善する仕組みです。


*つまり低酸素応答とは…ざっくり言うと…

 海抜0メートルに住む人が高地や険しい山岳地帯に行くと酸素が希薄なため、酸欠状態になりますが、しばらくすると私達の身体は酸素の薄い環境に徐々に適応する様になります。私達は五感で直接捉えられない酸素の量を一体どうやって感知し、周囲の酸素濃度に順応しているのでしょうか?
 この何気ない人間の適応能力に疑問を持ち、「低酸素応答」という人間や動物が持つ仕組みを分子レベルで解き明かしたのが、2019年ノーベル生理学・医学賞を受賞した3人の研究者です。
2019年ノーベル賞

 米ジョンズ・ホプキンズ大学のグレッグ・セメンザ教授が、造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)遺伝子の転写量(増減指令)を制御するDNA配列を発見。この配列に結合するタンパク質も見つけ、低酸素応答誘導因子(HIF=Hypoxia-inducible factor)と名付けました。
 米ハーバード大学のウィリアム・ケーリン博士と英オックスフォード大学のピーター・ラトクリフ博士は、HIFが酸素の有無に応じて低酸素応答遺伝子のスイッチをオン・オフする分子メカニズムを解明した。
 この低酸素応答が働く事で、ガン細胞が、新生血管阻害薬への抵抗性を持つとも考えられ、新たに治療薬開発への道筋を開いたと言える。


高山病

HIF-PH(低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素)阻害薬「エベレンゾ®錠(ロキサデュスタット)」は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に対して効果をもたらします。

エベレンゾ錠の作用機序





【製品概要】
【製品名】:エベレンゾ®(Evrenzo®)錠20mg、同錠50mg、同錠100mg
【一般名】:ロキサデュスタット(Roxadustat)
【効能・効果】:透析施行中の腎性貧血
【用法・用量】
 ●赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合
通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。
 ●赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合
通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。

【承認取得日】:2019年9月20日
【薬価】
 ●20mg1錠387.40円
 ●50mg1錠819.20円
 ●100mg1錠1443.50円(1日薬価:465.80円)






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