エーザイ株式会社(本社:東京都文京区小石川)は1月23日、自社創製のオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ™(DAYVIGO™)錠2.5mg、同錠5mgおよび同錠10mg(一般名:レンボレキサント)」について、厚生労働省より不眠症の効能・効果適応で製造販売承認を取得したと発表しました。
不眠症は、睡眠障害の不規則睡眠・覚醒リズム障害(ISWRD)、過眠障害、呼吸関連睡眠障害などの疾患に分類される不眠障害(=不眠症)の中でもっとも一般的な疾患です。
2007年、2011年の米国睡眠疫学報告での不眠症の定義と流行、病因と結果において、全世界で成人の約30%の人が、不眠症の症状を有しているとされています。
日本国内の疫学調査では、成人の21.4%が不眠症による睡眠障害を訴えています。
〔エーザイ株式会社・ルネスタトピックス 不眠症の疫学〕
不眠症の一般的な定義
◇夜なかなか寝入ることが出来ず普段より入眠に2時間以上掛かる。(入眠障害)
◇寝入っても夜中に途中で目が覚める。(中間覚醒)
◇朝早く目が覚めぐっすり眠った感じが得られない。(熟眠障害)
◇または朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう。(早朝覚醒)
⇒⇒ザックリ言うと不眠症は、『睡眠をとる十分な機会があるにも関わらず、入眠困難、睡眠維持困難のいずれか、又はその両方に苦しむ事が特徴で、疲労、集中困難、易刺激性を引き起こし、日中の過度の眠気の状態を引き起こします』
〔MSDマニュアル家庭版--09. 脳、脊髄、末梢神経の病気/睡眠障害・不眠症と日中の過度の眠気より〕
〔日本睡眠学会 I.睡眠異常/A.不眠症の定義より〕
オレキシン(=1998年発見の食欲や睡眠に関連する神経伝達物質/Orexin)は、覚醒、食欲を調節する神経ペプチド(複数のアミノ酸の化合物)です。
脳内のオレキシンが不足すると傾眠(ナルコレプシー)が引き起こされます。
人間の脳には、オレキシンを産生する神経細胞が10,000~20,000個しかありません。
このオレキシンには、オレキシンA(Orexin A)とオレキシンB(Orexin B)の2種類があり、シナプス前駆体タンパク質の切断によって生成されます。
従ってオレキシンAとオレキシンBは、単一の前駆体タンパク質(=プレプロオレキシン)を約50%ずつ持つ同一性配列を持っています。
オレキシンAは33アミノ酸残基で、2つの鎖内ジスルフィド結合(架橋)をしており、オレキシンBは、直鎖の28アミノ酸残基ペプチドです。
これらの神経ペプチドは、視床下部の外側や後部の非常に小さな細胞集団によって産生され脳全体に投射を送ります。
オレキシンペプチドは、オレキシン1受容体(OX1R)及びオレキシン2受容体(OX2R)に結合し、オレキシンAはOX1受容体とOX2受容体の両方にほぼ等しい親和性で結合し、オレキシンBは主にOX2受容体に結合するが、親和性は少ない。
OX1受容体は、オレキシンAに対する親和性の方がオレキシンBに対する親和性より50倍ほど高い。
〔筑波大学大学院人間総合科学研究科・感性認知脳科学専攻(基礎医学系)・オレキシンの生理機能の解明より〕
「デエビゴ™(レンボレキサント/Lemborexant)」は、脳内で覚醒に関与するオレキシン受容体(OX-receptor)の2種のサブタイプ、オレキシン1(OX1)受容体及びオレキシン2(OX2)受容体に対し、オレキシンと競合的に結合する阻害剤です。
覚醒と睡眠リズムの調整を担うオレキシン神経伝達に作用し、過度な覚醒状態を緩和することによって、覚醒中枢と睡眠中枢のバランスを整える非鎮静作用の不眠症治療薬です。
本剤は、オレキシン1受容体、及びオレキシン2受容体双方を阻害しますが、ノンレム睡眠(深い眠り)の抑制にも関与するオレキシン2受容体への親和性がより強く、結合・解離が速いことから、服用後、患者に速やかな入眠と睡眠維持(質の良い脳の睡眠)をもたらすことが期待されます。
【製品概要】
【製品名】:デエビゴ™(DAYVIGO™)錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg
【一般名】:レンボレキサント(Lemborexant)
【効能・効果】:不眠症
【用法・用量】:通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5㎎を就寝直前に経口投与する。尚、症状により適宜増減するが、1日1回10㎎を超えない事とする。
【製造販売承認取得日】:2020年1月23日
【薬価基準収載日】:未収載
【発売日】:未定
本剤と同じオレキシン受容体拮抗薬の薬剤としては、MSD株式会社の「ベルソムラ(一般名:スボレキサント)」がある。
エーザイは「デエビゴ」について、「高齢者にも安全なベスト・イン・クラスの薬剤を目指す」としている。
海外では、2019年12月23日、FDA(米国食品医薬品局)の承認を取得。
「デエビゴ™(DAYVIGO™)」の新有効成分であるレンボレキサント(Lemborexant)は、オレキシン受容体との親和性(Ki値)が、オレキシン1受容体:0.61nM、オレキシン2受容体:0.26nMとなっており、MSDの「ベルソムラ」のオレキシン1受容体:0.55nM、オレキシン2受容体:0.35nMとを比較すると、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させる誘発性のオレキシン1受容体と、睡眠から覚醒状態へ移行させるオレキシン2受容体への親和性が若干違っている。[*数値が小さいほど受容体への選択性が高い]
★生物学的精神医学会の科学雑誌「Biological Psychiatry(生物学的精神医学)journal」2011年版によると、『不眠症について、女性は男性に比べて約1.4倍罹患率が高い』との報告もある。
不眠症は、睡眠障害の不規則睡眠・覚醒リズム障害(ISWRD)、過眠障害、呼吸関連睡眠障害などの疾患に分類される不眠障害(=不眠症)の中でもっとも一般的な疾患です。
2007年、2011年の米国睡眠疫学報告での不眠症の定義と流行、病因と結果において、全世界で成人の約30%の人が、不眠症の症状を有しているとされています。
日本国内の疫学調査では、成人の21.4%が不眠症による睡眠障害を訴えています。
〔エーザイ株式会社・ルネスタトピックス 不眠症の疫学〕
不眠症の一般的な定義
◇夜なかなか寝入ることが出来ず普段より入眠に2時間以上掛かる。(入眠障害)
◇寝入っても夜中に途中で目が覚める。(中間覚醒)
◇朝早く目が覚めぐっすり眠った感じが得られない。(熟眠障害)
◇または朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう。(早朝覚醒)
⇒⇒ザックリ言うと不眠症は、『睡眠をとる十分な機会があるにも関わらず、入眠困難、睡眠維持困難のいずれか、又はその両方に苦しむ事が特徴で、疲労、集中困難、易刺激性を引き起こし、日中の過度の眠気の状態を引き起こします』
〔MSDマニュアル家庭版--09. 脳、脊髄、末梢神経の病気/睡眠障害・不眠症と日中の過度の眠気より〕
〔日本睡眠学会 I.睡眠異常/A.不眠症の定義より〕
オレキシン(=1998年発見の食欲や睡眠に関連する神経伝達物質/Orexin)は、覚醒、食欲を調節する神経ペプチド(複数のアミノ酸の化合物)です。
脳内のオレキシンが不足すると傾眠(ナルコレプシー)が引き起こされます。
人間の脳には、オレキシンを産生する神経細胞が10,000~20,000個しかありません。
このオレキシンには、オレキシンA(Orexin A)とオレキシンB(Orexin B)の2種類があり、シナプス前駆体タンパク質の切断によって生成されます。
従ってオレキシンAとオレキシンBは、単一の前駆体タンパク質(=プレプロオレキシン)を約50%ずつ持つ同一性配列を持っています。
オレキシンAは33アミノ酸残基で、2つの鎖内ジスルフィド結合(架橋)をしており、オレキシンBは、直鎖の28アミノ酸残基ペプチドです。
これらの神経ペプチドは、視床下部の外側や後部の非常に小さな細胞集団によって産生され脳全体に投射を送ります。
オレキシンペプチドは、オレキシン1受容体(OX1R)及びオレキシン2受容体(OX2R)に結合し、オレキシンAはOX1受容体とOX2受容体の両方にほぼ等しい親和性で結合し、オレキシンBは主にOX2受容体に結合するが、親和性は少ない。
OX1受容体は、オレキシンAに対する親和性の方がオレキシンBに対する親和性より50倍ほど高い。
〔筑波大学大学院人間総合科学研究科・感性認知脳科学専攻(基礎医学系)・オレキシンの生理機能の解明より〕
「デエビゴ™(レンボレキサント/Lemborexant)」は、脳内で覚醒に関与するオレキシン受容体(OX-receptor)の2種のサブタイプ、オレキシン1(OX1)受容体及びオレキシン2(OX2)受容体に対し、オレキシンと競合的に結合する阻害剤です。
覚醒と睡眠リズムの調整を担うオレキシン神経伝達に作用し、過度な覚醒状態を緩和することによって、覚醒中枢と睡眠中枢のバランスを整える非鎮静作用の不眠症治療薬です。
本剤は、オレキシン1受容体、及びオレキシン2受容体双方を阻害しますが、ノンレム睡眠(深い眠り)の抑制にも関与するオレキシン2受容体への親和性がより強く、結合・解離が速いことから、服用後、患者に速やかな入眠と睡眠維持(質の良い脳の睡眠)をもたらすことが期待されます。
【製品概要】
【製品名】:デエビゴ™(DAYVIGO™)錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg
【一般名】:レンボレキサント(Lemborexant)
【効能・効果】:不眠症
【用法・用量】:通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5㎎を就寝直前に経口投与する。尚、症状により適宜増減するが、1日1回10㎎を超えない事とする。
【製造販売承認取得日】:2020年1月23日
【薬価基準収載日】:未収載
【発売日】:未定
本剤と同じオレキシン受容体拮抗薬の薬剤としては、MSD株式会社の「ベルソムラ(一般名:スボレキサント)」がある。
エーザイは「デエビゴ」について、「高齢者にも安全なベスト・イン・クラスの薬剤を目指す」としている。
海外では、2019年12月23日、FDA(米国食品医薬品局)の承認を取得。
「デエビゴ™(DAYVIGO™)」の新有効成分であるレンボレキサント(Lemborexant)は、オレキシン受容体との親和性(Ki値)が、オレキシン1受容体:0.61nM、オレキシン2受容体:0.26nMとなっており、MSDの「ベルソムラ」のオレキシン1受容体:0.55nM、オレキシン2受容体:0.35nMとを比較すると、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させる誘発性のオレキシン1受容体と、睡眠から覚醒状態へ移行させるオレキシン2受容体への親和性が若干違っている。[*数値が小さいほど受容体への選択性が高い]
★生物学的精神医学会の科学雑誌「Biological Psychiatry(生物学的精神医学)journal」2011年版によると、『不眠症について、女性は男性に比べて約1.4倍罹患率が高い』との報告もある。