厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は2月26日、第一三共株式会社(本社:東京都中央区日本橋)が製造販売の承認申請をしていた、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ®(ENHERTU®)点滴静注用100mg(一般名:トラスツズマブ デルクステカン=trastuzumab deruxtecan=DS-8201)」について、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品として、承認申請を了承した。
本剤は、※条件付き早期承認制度適用医薬品で、早ければ、新年度初め頃にも正式承認される見通し。
化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん(標準的治療が困難のみ)治療薬
『エンハーツ®点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン/遺伝子組換え)』
(2019年12月 米国FDAで承認済)
「エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)」は、第一三共株式会社とアストラゼネカ(本社:英国・ケンブリッジ)が共同開発した、抗体薬物複合体(ADC=Antibody-drug conjugate)で、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、癌細胞表面に発現している標的因子(HER2)に抗体が結合すると、リンカーが切断されて、薬物を癌細胞へ直接送達することで、薬物の全身曝露を抑えつつ癌細胞への攻撃力を高めています。
「エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)」の、トラスツズマブ(遺伝子組換え)は「商品名:ハーセプチン」の名称で知られる抗悪性腫瘍剤で、抗HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)ヒト化モノクローナル抗体で、癌細胞表面に発現しているHER2に結合して殺傷する分子標的薬です。
他方、デルクステカン(トポイソメラーゼI阻害剤)は第一三共株式会社が創製した特許新薬で、癌細胞内のシステイン残基によってリンカーを切断させ、癌細胞の増殖に必要なDNAトポイソメラーゼ酵素の働きを、癌細胞の中から殺細胞性抗がん剤で阻害して癌細胞死へ導く。
◆HER2陽性の再発・転移性乳がんでは、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)などの抗HER2療法が標準治療で、病勢進行した患者に対しては別の抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ エムタンシン*(商品名:カドサイラ)が使われる。
*エムタンシンは…微小管阻害薬(タキサン系):パクリタキセル,ドセタキセルなど。
「エンハーツ®」は、トラスツズマブ エムタンシン投与でも治療困難なサードライン以降の治療に用いる。
尚、本剤は、アメリカ国内での第Ⅲ相臨床試験に於いて、「転移性の乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能又は転移性乳がん」を適応としてFDA(米国食品医薬品局)より、2019年12月23日までに製造販売承認を取得している。
この為、日本国内での販売後の第Ⅲ/Ⅳ相試験データの蓄積によって、再審査期間8年のうちに効能・効果が追加される可能性に期待が掛かる。
※条件付き早期承認制度は――、
重篤な疾患であって有効な治療方法が乏しく、患者数が少ない疾患等の理由でフェーズ3試験(第Ⅲ相臨床)などの検証的臨床試験を行うことが難しい医薬品について、発売後(=第Ⅳ相)に有用性を評価することを条件に承認する制度のこと。
重篤な疾患に対する有用な医薬品をいち早く承認することが目的。
厚生労働省によると、「エンハーツ®」の条件は米国と同様の内容になる見込みで、米国では、HER2陽性の再発・転移性乳がんを対象としたフェーズ3試験での臨床的有用性の検証が必要とされた。
本剤は、※条件付き早期承認制度適用医薬品で、早ければ、新年度初め頃にも正式承認される見通し。
化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん(標準的治療が困難のみ)治療薬
『エンハーツ®点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン/遺伝子組換え)』
(2019年12月 米国FDAで承認済)
「エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)」は、第一三共株式会社とアストラゼネカ(本社:英国・ケンブリッジ)が共同開発した、抗体薬物複合体(ADC=Antibody-drug conjugate)で、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、癌細胞表面に発現している標的因子(HER2)に抗体が結合すると、リンカーが切断されて、薬物を癌細胞へ直接送達することで、薬物の全身曝露を抑えつつ癌細胞への攻撃力を高めています。
「エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)」の、トラスツズマブ(遺伝子組換え)は「商品名:ハーセプチン」の名称で知られる抗悪性腫瘍剤で、抗HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)ヒト化モノクローナル抗体で、癌細胞表面に発現しているHER2に結合して殺傷する分子標的薬です。
他方、デルクステカン(トポイソメラーゼI阻害剤)は第一三共株式会社が創製した特許新薬で、癌細胞内のシステイン残基によってリンカーを切断させ、癌細胞の増殖に必要なDNAトポイソメラーゼ酵素の働きを、癌細胞の中から殺細胞性抗がん剤で阻害して癌細胞死へ導く。
◆HER2陽性の再発・転移性乳がんでは、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)などの抗HER2療法が標準治療で、病勢進行した患者に対しては別の抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ エムタンシン*(商品名:カドサイラ)が使われる。
*エムタンシンは…微小管阻害薬(タキサン系):パクリタキセル,ドセタキセルなど。
「エンハーツ®」は、トラスツズマブ エムタンシン投与でも治療困難なサードライン以降の治療に用いる。
尚、本剤は、アメリカ国内での第Ⅲ相臨床試験に於いて、「転移性の乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能又は転移性乳がん」を適応としてFDA(米国食品医薬品局)より、2019年12月23日までに製造販売承認を取得している。
この為、日本国内での販売後の第Ⅲ/Ⅳ相試験データの蓄積によって、再審査期間8年のうちに効能・効果が追加される可能性に期待が掛かる。
※条件付き早期承認制度は――、
重篤な疾患であって有効な治療方法が乏しく、患者数が少ない疾患等の理由でフェーズ3試験(第Ⅲ相臨床)などの検証的臨床試験を行うことが難しい医薬品について、発売後(=第Ⅳ相)に有用性を評価することを条件に承認する制度のこと。
重篤な疾患に対する有用な医薬品をいち早く承認することが目的。
厚生労働省によると、「エンハーツ®」の条件は米国と同様の内容になる見込みで、米国では、HER2陽性の再発・転移性乳がんを対象としたフェーズ3試験での臨床的有用性の検証が必要とされた。