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二次性進行型多発性硬化症治療薬・S1P受容体調節薬「メーゼント錠」の承認申請を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は、当初、4月下旬に電子メールでの持ち回り審議を開催し、議決の有無を決定する予定だった承認申請医薬品の審議が、新型コロナウイルス(SARS-CoV2/COVID-19)感染症の感染拡大を受け、持ち回りで行った為、通常より1ヶ月ほど時間が掛かり――

5月21日付けで、ノバルティスファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)が申請していた多発性硬化症の新規治療薬「メーゼント錠(MAYZENT tablet)0.25mg、同錠2mg(一般名:シポニモドフマル酸塩)」について、「二次性進行型多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品として、承認を了承した。

厚生労働省は正式承認日の見通しについて、「新型コロナの影響もあって、6月中とは断定できない。7月になるかもしれない」としている。


多発性硬化症治療薬メーゼント錠(シポニモドフマル酸塩)
二次性進行型多発性硬化症治療薬
スフィンゴシン一リン酸受容体作動薬
「メーゼント錠0.25mg、同錠2mg(一般名:シポニモドフマル酸塩/siponimod)」



多発性硬化症(MS=multiple sclerosis)は、深刻な慢性進行性神経疾患であり、原因は、身体を細菌やウイルスから守る白血球やリンパ球などが、自分の脳や脊髄を攻撃する事で発症する自己免疫疾患ですが、何故、自己免疫攻撃が起こるかは分かっていません。

多発性硬化症の病態生理
大脳、脳幹、小脳、脊髄や視神経などの中枢神経に発症し、炎症や組織の脱落によって、脳、視神経、及び脊髄の正常な機能が障害されます。
厚生労働省指定の特定疾患に指定され、医療費が免除されている、神経難病です。

多発性硬化症の脱髄

多発性硬化症の病態は、脳、視神経、脊髄の神経線維を覆っている髄鞘(ずいしょう=ミエリン)と、その下位の神経線維が、まだら状に損傷または破壊され、感覚の異常や、運動障害が起こります。

世界中で約230万人が罹患している多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)の3種類の病型に分けられます。

多発性硬化症の進行分類

多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)から始まり、再発の有無に関わらず、身体的、及び認知機能的変化により特徴付けられ、神経機能が、時間の経過と共に徐々に悪化します。

〔*MSDマニュアル家庭版/09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 /多発性硬化症と関連疾患 /多発性硬化症(MS)より〕
〔*公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター /多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)より〕



患者の約85%は、最初に再発型の多発性硬化症を示します。
疾患活動性(再発やMRIでの新規活動性の所見)を有する、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)に於いて、身体的障害の進行を抑制したり遅延させる安全で有効な治療法は、未だに確立されておらず、新たな治療法の誕生が強く望まれています。

〔*ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース 2020年4月28日〕




「メーゼント(Mayzent)錠」は、新規有効成分の『シポニモドフマル酸(Siponimod fumaric acid)』が※スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体の特定サブタイプ(S1P-1)、及びS1P-5受容体に選択的に結合する免疫調節薬です。
メーゼント錠の作用機序

S1P1受容体に作用する事により、リンパ球がリンパ節から多発性硬化症患者の中枢神経系(CNS)に移行することを防ぐ事で、その結果、シポニモドフマル酸(SMA)の抗炎症作用が発揮されると考えられています。

また、シポニモドフマル酸がリンパ球の代わりに中枢神経系(CNS)内に移行する事で、中枢神経系内の特定の細胞(オリゴデンドロサイトおよびアストロサイト)上のS1P5受容体と結合し、ミエリン鞘の再形成促進作用と、神経保護作用が非臨床試験で示唆されている。

「メーゼント(Mayzent)錠」は、中枢神経系の防御機能である血液脳関門を通過するよう構築された化学構造の脂溶性薬物です。

〔*ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース 2020年4月28日〕
〔* Novartis Pharmaceuticals Corporation___https://www.mayzenthcp.com/mechanism-of-action〕

※スフィンゴシン1-リン酸(S1P1-5)は、様々な生理機能を制御する生理活性スフィンゴ(細胞膜の脂質二重層を形成する脂質分子)脂質です。










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