田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)は12月21日、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」(一般名:インフリキシマブ)について、既存治療で効果不十分な難治性川崎病の急性期に対する効能・効果の追加に係る製造販売承認を取得した。
川崎病(Kawasaki disease)は、正式名称を「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」と言い、1967年に日本赤十字社の小児科医・川崎富作博士が世界で初めて報告した事から、博士の名をとって病名が付けられました。
この病気は全身の血管に炎症を起こし、重症の場合は心臓の血管に後遺症の残る事がある。
主に0歳と1歳を中心に4歳以下の乳幼児が罹かりやすく、女の子より男の子にやや多く見られます。
原因はまだ良く分かっていませんが、何らかの病原菌の感染に対し起こった免疫反応によって、全身の血管に炎症が起こるのではないかと考えられています。
この川崎病の患者数が近年急増傾向にあり、2000年に約8,300人だった患者数が、2005年には10,000人を超え、2010年に12,800人、2012年には14,000人となっています。
病態は大きく分けて6つあり、
(1)高熱が通常は5日以上続き、解熱薬があまり効かない。
(2)両側の白目が充血して真っ赤になる。目やにはでない。
(3)口唇が赤くなり、舌の表面にイチゴのような赤いブツブツが出来る。
(4)手足や躯に、大小さまざまな形の発疹ができ、かゆみを伴う事もある。
(5)手足が硬く腫れ、手のひらや足の裏が指先まで赤くなる。熱が下がる頃、指先の皮膚が剥ける。
(6)首のリンパ節が腫れて痛くなる。
これらの内、5つの症状があれば川崎病と診断されますが、症状が出揃わない場合もあります。
川崎病で最も怖いのは、心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている冠動脈に炎症が起こり、冠動脈瘤と言うコブが出来る事で、乳幼児でも心筋梗塞を起こす恐れがあります。
冠動脈に後遺症を来すと、冠動脈拡張や動脈瘤などの合併症や後遺症を引き起こす場合もあります。
近年の治療の進歩によって、冠動脈瘤を起こす例は減っていますが、急性期の炎症が強かったり、10日以上発熱が続いたりすると、免疫グロブリン(血液製剤)が効きにくい事があるため、症状が無くなったあとに冠動脈瘤が生じる事もあります。
このように川崎病の急性期では、既存治療で効果不十分な場合、後遺症が残る事から、新たな治療薬の開発が望まれていました。
今回新たに追加承認された「レミケード®点滴静注用100」は、世界初の抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤で、1991年より欧米において臨床試験が開始され、1998年にクローン病治療薬として発売。
以来、すでに米国、欧州など100か国以上でクローン病、関節リウマチ、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎、乾癬、強直性脊椎炎および潰瘍性大腸炎などの治療薬として使用されている。
本剤は2012年に、厚生労働省の希少疾病用医薬品に指定され、国内臨床試験を実施。有効性ならびに安全性が認められた。
尚、本剤の効能・効果は、既存治療に効果不十分な「難治性川崎病」に限るとされ、通常、体重1kgあたり5mgを単回点滴静注する、となっている。
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世界初、難治性川崎病治療薬「レミケード®点滴静注用100」が承認取得
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