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「エビリファイ」自閉症障害に伴う興奮性治療薬で、追加申請

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大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区)は12月7日、同社が2006年より国内で販売している抗精神病薬「エビリファイ」(一般名:アリピプラゾール)の、“小児期の自閉症における自閉性障害に伴う興奮性に対する効能・効果”で、追加申請と小児用として「エビリファイ錠1mg」の国内剤形追加販売承認申請を行ったと発表しました。


国内エビリファイ錠3mg
国内で販売されている抗精神病薬「エビリファイ」。
最も少容量で3mgと小児用には高容量のため適さない。


「エビリファイ」は、大塚製薬が創製し開発した「統合失調症及び双極性障害における躁症状の改善」を効能・効果とする薬剤で、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト作用を有する非定型抗精神病薬です。

本剤はドパミン活性が過剰である場合はその状態を抑制し、逆にドパミン活性が低下している場合にはその活性を増加させるという作用を持っています。



米国エビリファイ錠2mg
米国で販売されている「エビリファイ」。
最も少容量で2mgとなっている。



自閉症は脳の発達・成熟が障害されることにより、心を通わせることが不自由になる、3歳までに発症する神経発達の病気です。小児の0.1~0.2%に見られ、10,000人に対して2~20人の有病率で、日本の患者数は約21,000人と報告されています。

ハッキリした原因は分かっていませんが、遺伝的な要因によって、脳の構造や機能に異常が生じる病気と考えられています。

環境要因も発症に関係しますが、親の育て方が自閉症の発症の直接的な原因ではありません。



自閉症には様々な病態があり、それによってアスペルガー症候群、高機能自閉症、広汎性発達障害などと呼ばれていますが、症状の度合いが違うだけで、「興奮性」があれば、これらは全て『自閉症における自閉性障害』の治療薬対象となるでしょう。

自閉症治療薬登場か
「自閉症障害に伴う興奮性」は、
特に外出時などに、突然泣き叫んだり、大声を上げたりして、
周囲からじろじろ見られる事で、外出を敬遠したり
行動が萎縮したりと、患者にも家族にも負担となっています。


更に厄介なのは、攻撃性や自傷行為などの興奮性、常同行動、強迫行動など様々な行動障害を伴う事です。

中でも中等度から重度の興奮性は、患者の20%程度に見られるとの報告があり、患者本人及び家族に重大な影響をもたらす場合もあります。

『自閉性障害に伴う興奮性』の原因は特定されておらず、日本では1982年に定型抗精神病薬が自閉性障害の異常行動などに対して承認されましたが、副作用が多い事から小児の患者に使用する上で安全性の問題を抱え、より忍容性の高い、非定型抗精神病薬の早期の適応取得が望まれていました。



自閉症児の脳の機能性比較MRI画像。
自閉症児のMRI画像比較
脳の機能的な活動を比較すると、
正常な脳の前頭葉内側(黄色いライン)に活動域が見られるが、
自閉症児では、活動の欠如が見られる。


「エビリファイ」の“自閉性障害に伴う興奮性”に対する効能・効果では、米国で2009年11月に、小児(6~17歳)の患者に対して本剤の承認を取得。

日本では、2011年に日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会、日本小児神経学会の3学会より、『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』に自閉性障害に伴う興奮性に対する開発要望が出され、2012年に大塚製薬は、厚生労働省より開発要請の通知を受けていた。


これを受けて承認申請に関する日本での臨床試験は、自閉性障害と診断され行動障害【=癇癪(かんしゃく)、攻撃性、自傷行為、又はこれらの複合行為】のある“興奮性を伴う自閉性障害”の患者(6~17歳)を対象に実施され、本剤の有効性及び安全性が証明されました。

「エビリファイ錠1mg」は、非定型抗精神病薬であり、これまで使われて来た従来型抗精神病薬と異なっている点が多く、特に錐体外路症状(手が震える、体が硬くなる等)の副作用が少ないという特徴があります。

この薬剤が承認され、未だ治療の課題を抱えた多くの患者や家族の一助になる事を期待します。





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