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抵抗性慢性骨髄性白血病治療薬「ポナチニブ」国内での販売承認を申請

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大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区)は1月8日、2つの稀な血液と骨髄の疾患である、既存のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)と、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)に対する新規経口治療薬「ポナチニブ」(海外製品名:Iclusig®、アイクルシグ)」について、日本国内で初の製造販売承認申請を行ったとを発表した。

「ポナチニブ」Iclusigアイクルシグ
[ポナチニブ]ponatinib
Iclusig®(FDA=米国食品医薬品局,2012年12月14日承認)


日本では、TKI抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病は、10万人に1人程度の割合で、全ての年齢層で発症。
患者数は約1万1,000人と推定されている。



チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)治療の進歩により、死亡率は低下しているが、高齢者の人口増加に伴い、罹患者数は増加傾向にある。

慢性骨髄性白血病は、(1)病気発症時からの慢性期(5~6年間)では、初期症状は殆ど見られないが、白血球数、芽球の比率が高くなり、病気の進行と共に全身倦怠感、体重減少、皮膚のかゆみ、肝臓あるいは脾臓の腫大による腹部膨満感を自覚する事があります。

(2)移行期(6~9か月間)になると骨痛、肝臓あるいは脾臓の増悪、(3)更には急性転化期(3~6か月間)になると動悸・息切れ・全身のだるさなどの貧血症状、皮下出血・鼻血・歯肉出血などの出血症状、発熱などの感染症状のほか、関節痛、骨痛など段階的に増悪して行き、治療抵抗性となる。

既存の3種類のチロシンキナーゼ阻害薬
既存のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療効果。
「イマチニブ」による治療開始後8年間の生存率は93%だが、副作用が強い。


治療には第一選択薬としてチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が使用されるが、病気が進行してくると病因である、BCR-ABL遺伝子の増幅や過剰発現、遺伝子の突然変異など様々な原因によりTKI治療に抵抗性を示すようになり、既存のTKIを使用しても十分な治療効果が得られない場合が出てくる。


チロシンキナーゼ阻害薬の副作用
しかし3剤とも副作用がひどくて、薬を飲み続けられない「不耐容」が生じる。
治療抵抗性によって薬剤を変えても、約8%の患者で最終的に投与が中止される場合も。



一方、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)は、染色体転座によって発症する極めて予後不良な白血病で、小児および高齢者で見られ、初期治療後に再発、或いは治療抵抗性を呈する。

フィラデルフィア染色体転座
第9番染色体の下と、第22番染色体のBCRより下が、入れ替わる事で、
発病するが、なぜ染色体転座が起こるのかは分かっていない。



これまで既存の「イマチニブ」や「ニロチニブ」「ダサチニブ」、更に2014年に承認された「ボスチニブ」などが効果を発揮するのは、BCR-ABL融合遺伝子によって変異した『T315』と言うタンパク質のアミノ酸配列の時で、薬剤服用を続けると、これが『T315i』に変異し、既存のTKI薬がタンパク質に結合出来なくなり、効果を発揮しなくなる。

チロシンキナーゼ阻害薬の作用機序
既存のチロシンキナーゼ阻害薬の作用機序。



「ポナチニブ」は、米アリアド・ファーマシューティカルズ・インク(本社:米国マサチューセッツ州)が開発・創製した、既存のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病治療薬で、染色体が入れ替わる事で発現する変異型「BCR-ABL」遺伝子に結合し、効果を発揮する。

ポナチニブ作用機序
「ポナチニブ」の作用機序。



国内では、アリアド社が有効性と安全性、忍容性についてフェーズ1/2試験を多施設共同試験として実施。大塚製薬は、この試験結果と海外の試験結果を併せて申請したと言う。
尚、日本では2015年9月に「オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)」としての指定を受けているほか、日本を含む、インドネシア、マレーシア、中国(香港含む)、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、タイ、ベトナムにおいて、「ポナチニブ」の共同開発・商業化の権利を、大塚製薬が2014年12月に取得している。





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