国立健康・栄養研究所(正式名称:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:東京都新宿区戸山=国立感染症研究所内)が、サイト内の「健康食品」の素材情報データベースに、「水素水」を新たに付け加え、人への有効性について、『信頼できるデータがない』と、記述していることが19日までに分かった。
国立健康・栄養研究所は、栄養と健康についての調査研究を行う国立研究開発法人で、「水素水」を巡っては、5月に新聞やWebニュースなど各メディアで、水素水が「効くのか、効かないのか」の論争が白熱したばかり───。
これまで「水素水」には決まった定義が無く、いわば濃度を競ったり、未検証の効能・効果を謳ったりと過熱気味だった為、素材情報データベースでは、水素水を「水素分子(水素ガス)の濃度を高めた水」と定義。
水素水の調整法として、【1】加圧下で水素ガスを水に充填、【2】水の化学反応で水素分子を発生、【3】電気分解で陰極(-)側に発生した水素分子が豊富な水を利用──の3つを挙げた。
このうち(3)の電気分解によって調整された水について、「還元水素水、アルカリイオン水、電解水素水などと呼称される事がある」と指摘している。
また、安全性についても、『信頼できる十分なデータが見当たらない』とした。
「電解水素水」については、日本透析医学会専門医制度委員会が、医療機器の製造承認を取得した、日本トリム株式会社(本社:大阪市北区梅田)の「TRIM ION HYPER」で整水された電解水素水を、大量の水を使用する血液透析液に使用する事で、透析前後の血圧の有意な低下や、血液中の酸化ストレスマーカー、炎症マーカーの有意な低下が(東北大学医学部及び台湾大学医学部との共同研究)観察されています。
2016年4月時点で、15施設242床で電解水透析システムが導入されている。
しかし臨床研究のデータに乏しい市販の「水素水」や「○○水素水」では、カナダでメタボリック症候群のリスクを1つ以上持つ男女20人に、1日1.5~2.0リットルを8週間飲ませた所、65%に当たる13人が体調不良を経験したという実験結果も報告されている。
これについて「水素水」との因果関係は、「possible(あり得る)」と判断されたと報告されている。
国立健康・栄養研究所が今回の発表に至った経緯とは───。
「水素水」に関する様々な噂が飛び交い、混乱している状況があった為、きちんと整理をして情報公開する必要があると判断し研究を進めてきたとの事。
様々な分野の人達が、マウスの実験や培養細胞の実験だけのもの、実験データの情報欠落による『がん抑制効果』との文言の一人歩き、日本一という名の誇張など、エスカレートして来た事への注意喚起の意味合いが大きいと───。
「水素水」の論争に決着がつくのかについては───。
「あくまで現時点までに有効性を示すデータが無いため、『わかりません』と言う事なんです。今でも様々な研究機関が解明を進めていますので、そうしたものも参考にすればいいと思っています」
更に、「水素分子(水素ガス)は腸内細菌によって体内でも産生されており、その産生量は食物繊維などの摂取によって高まるとの報告もある」などの記述も示されている。
また既に、国民生活センターは今年3月11日、水道水に含まれる活性酸素の量を抑制すると謳って「水素水生成器」を販売している2事業者に、“抑制するとどんな効果があるのか”を明確に記載するよう要望している。
体内で活性酸素が過剰発生すると、「動脈硬化や心筋梗塞、がんなどに関わる」と指摘する論文がある。国民生活センターは、水素水生成器による活性酸素の抑制機能は、必ずしも体内の活性酸素の量を減らすといった健康面への効果を示すものでは無いとして、買う際は慎重に判断するよう注意を促した。
つまり体内の過剰な活性酸素を、水素水生成器を通す事で、あたかも動脈硬化や心筋梗塞、がんなどを抑える効果があり、予防に繋がる、と言う勝手な論理を成立させ、言張っているが、活性酸素が過剰発生する事によるリスクと、活性酸素を抑制する事による効果・効能には根拠がないと言う事である。
こういうのを「言葉のトリック」や「ヘリクツ」と言う。
この言葉を信じ、ほんとに病気の人が水素水生成器の水を飲み続け、他の有意義な治療をおろそかにしてしまったら、本末転倒も甚だしい
勿論、電解水素水整水器の中には、胃腸症状の改善に効果のある家庭用管理医療機器として認証されている物もあるので、それらの製品を家庭で使用する際は、宣伝に惑わされず、しっかりとした家庭用医療機器製造販売認証番号を確認しましょう
少なくとも飲料水で健康に気を使うなら、しっかり認可を受けた機器を使う事が大切。
【参考までに、医療機器として製造承認を受けている製品】