アッヴィ合同会社(本社:東京都港区)は7月4日、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られない進行期パーキンソン病の日内変動症状に対する治療薬として、「デュオドーパ®配合経腸用液」の製造販売承認を取得したと発表した。
パーキンソン病が進行すると、wearing-offと呼ばれる「オン」状態と「オフ」状態が交互に出現するようになり、「オフ」状態ではより動きが緩慢になり、より強いこわばりが見られ、動作が困難になります。「デュオドーパ®」の投与によって、この「オフ」時間を減少させる事が期待できます。
「パーキンソン病」は、50歳以降に発症する事が多い、大脳の下にある中脳の黒質(こくしつ)ドーパミン神経細胞が減少して、細胞が約60~80%消失した時点で起こる、進行性・慢性の運動障害疾患で、手足が震える振戦、筋肉がこわばる筋固縮、動作緩慢及び歩きづらい姿勢反射障害を特徴としています。
時々、40歳以下で起こる人もあり、これを若年性パーキンソン病と呼んでいる。
症状は徐々に進行し、悪化し続け、10数年後には寝たきりになる患者もいます。有病率は、人口10万人に対し100人程度です。
何故、ドーパミン神経細胞が減少するのか、原因は現在も不明です。
日本におけるパーキンソン病患者の総数は、16万3,000人(男性6万2,000人、女性10万1,000人)と推定されています。
「デュオドーパ」は、既存治療で十分な効果が得られない、継続した重度の運動合併症を有する進行期パーキンソン病患者を対象に実施した、「デュオドーパ」単独投与の有効性、安全性、及び忍容性を検討する多施設共同、非盲検、単一治療群、ベースライン対照第3相試験(被験N=29)と、これに続き実施した安全性、忍容性および有効性を検討する長期継続投与試験(被験N=30)の結果に基づき承認された。
「デュオドーパ」は、専用の小型携帯型注入ポンプ「CADD - Legacy® 1400ポンプ」を用いて、専用のチューブ「アッヴィ®PEGキット/アッヴィ®Jチューブ」を通し、空腸投与用レボドパ・カルビドパ水和物配合剤を、直接*空腸に16時間持続投与します。
尚、*胃瘻(いろう)造設の前に、「アッヴィ®NJチューブ」を用いて、「デュオドーパ」を経鼻的に空腸投与する事により効果を確認する事が出来ます。
*空腸=十二指腸の下の小腸の一部。
*胃瘻=食物の飲み込みが困難な患者に、腹の外側から胃の内部に、管を通じて栄養や水分を送り込むための導管。
「CADD - Legacy® 1400ポンプ」は、スミスメディカル・ジャパン株式会社(本社:東京都港区)が製造販売承認を取得し、「アッヴィ®PEGキット/アッヴィ®Jチューブ/アッヴィ®NJチューブ」は、アルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪府大阪市)が製造販売承認を取得したものです。
日本での承認を受け、「デュオドーパ®配合経腸用液」は米国を始め、50ヵ国で承認された事になります。
<製品概要>
「デュオドーパ® 配合経腸用液」
【販売名】: デュオドーパ配合経腸用液
【一般名】: レボドパ、カルビドパ水和物
【剤型】: 経腸用液剤
【効能・効果】: レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善
【用法・用量】: 本剤投与前の経口レボドパ量に応じて初回投与量を決定し,朝の投与及び持続投与に分けて胃瘻を通じて空腸に直接投与する.その後は患者の症状により,以下の用量範囲で投与量を調整する.尚、必要に応じて持続投与中に追加投与を行うことができる.
通常、成人には,朝の投与として5~10mL(レボドパ/カルビドパ水和物として100/25~200/50mg)を10~30分かけて投与した後、2~6mL/時間(レボドパ/カルビドパ水和物として40/10~120/30mg/時間)で持続投与する。
尚、1日の最大投与時間は16時間とする。1回あたりの追加投与は0.5~2.0mL(レボドパ/カルビドパ水和物として10/2.5~40/10mg)とする。