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PGSを妊娠率向上のため、神戸の医院が559人に実施

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26日に千葉市で開かれた日本遺伝カウンセリング学会で、不妊治療を専門に行っている兵庫県神戸市の「大谷レディスクリニック」が、体外受精させた受精卵の段階で、染色体に異常がないかを調べる「着床前スクリーニング(PGS)」を実施していたことが明らかになった。

体外受精卵の不良選別

*「着床前スクリーニング(PGS)」は、日本では「スクリーニング=screening」で「選別」や「ふるい分け」と使われているが、アメリカでは「着床前遺伝子診断(PGD=Preimplantation Genetic Diagnosis」と呼称する。




体外受精卵の優劣選別

発表によると「大谷レディスクリニック」では、2011年から2014年7月までのおよそ3年半で、559人の女性に、体外受精でできた受精卵のすべての染色体をあらかじめ調べ、異常が無いものだけを子宮に戻す「着床前スクリーニング」を行ったということです。



日本産科婦人科学会の指針では、不妊治療の際に、「着床前スクリーニング=着床前遺伝子診断」は、流産経験者が流産を繰り返さないようになどの目的で、体外受精卵を調べ、異常のない受精卵だけを子宮に戻す不妊治療の一つだが、倫理的な問題や病気や性別が事前に分かってしまうなど、「命の選別」につながるなどの批判もあり、実施を認めていません。


体外受精卵の優劣選別

「大谷レディスクリニック」によると、「着床前スクリーニング=着床前遺伝子診断」を行って妊娠したのは246回で、このうち9.8%に当たる24回が、その後、流産したという。
検査を受けた女性たちは、いずれも体外受精をしても妊娠しなかったり、流産を繰り返したりした人たちで、平均年齢は40.4歳だったという事です。

クリニックの大谷徹郎院長は、「流産を減らせる有効な治療だと考えている。精神的にも肉体的にも辛い思いをしている患者のために行った」と話す一方、「流産率を下げるのには有効な手段だが、全ての人が出産できるわけではない」としている。




 ■ 発表が行われた日本遺伝カウンセリング学会の齋藤加代子理事長は、
「認められていない着床前スクリーニングを勝手に行うのは問題だ」とした上で、「患者のためなら何をやっても良いとすれば、倫理的に大きな問題が起こりえる。この技術は命の選別につながるおそれもあり、議論はまだ尽くされていない。今後、関連学会で有効性や生命倫理について議論を重ねる必要がある」と、話しています。


仕切り点線
仕切り点線

国内での着床前受精卵診断

2013年、新型出生前診断で妊娠した胎児の染色体を調べ、ダウン症、重い心疾患のエドワーズ症候群、呼吸不全バトー症候群の三種類に限り診断する事が始まったが、その後、中絶が増え、騒ぎになったものの、その後パッタリ話題からは遠ざかった。


受精卵の中の染色体

染色体検査結果の優劣染色体
「着床前スクリーニング(PGS)」では特定の染色体から、受精卵の全染色体を検査する。

この検査では親の染色体(遺伝子座)をノーマルな染色体としてマーキング(±0)し、その染色体情報が、子供である受精卵に正常にコピーされたかを判定する。
より正常であれば、流産したり着床しなかったりが起こりにくい、と考えられての事。


「着床前スクリーニング(PGS)」分析結果の簡略図。
第11番染色体と第22番染色体に異常があると判断された場合・・・。
着床前遺伝子診断_分析結果
プラス(+)側になると、染色体情報が重複されてコピーされ、マイナス(-)側になると、染色体情報が欠損していると判断される。

上図では、第11番染色体と第22番染色体に極端な遺伝情報の重複コピーと欠損が見られる。
但し、男女のそれぞれ2対=計4対の染色体が、受精の段階で合体し、減数して2対になるので、マーキング(±0)には幅があって当然となる。


女性の年齢が若いほど、この幅の誤差は小さく、高齢妊娠になると幅が大きくなるため、子宮に着床しにくくなる。
本来はこうした重複コピーや欠損のある受精卵は、流産の割合が高いが、医療の進歩で妊娠が継続できるようになったり、早産の救命率も上がっている。

しかしそれに追いついていないのが、女性の妊娠年齢の高齢化で、どんなに受精卵を選別したとしても、妊娠できない女性は確実に増えている・・・。





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