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自家造血幹細胞移植動員促進剤「モゾビル®皮下注」の製造販売を承認

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は11月11日、サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区西新宿)が承認申請していた、「自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員促進」を効能・効果とする新規C-X-Cモチーフ ケモカイン受容体4阻害剤(CXCR4-inhibitor)「モゾビル®皮下注24mg(一般名:プレリキサホル注射液)」について、製造販売承認を了承した。

モゾビル皮下注24mg_Mozobil-Plerixafor
CXCR4阻害剤「モゾビル®皮下注24mg」
(米国販売名:Mozobil®Plerixafor)

「モゾビル®皮下注24mg」は、非ホジキンリンパ腫(NHL)患者と多発性骨髄腫(MM)患者に於ける、造血幹細胞採取や、その後に続く自家造血幹細胞移植に向けて、造血幹細胞の血中動員の目的で「顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)」と併用投与する、CXCR4阻害作用を持つ薬剤である。



そもそも自家造血幹細胞移植とは―――
血液がん
(急性・慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫など)の治療で広く行われている、骨髄移植や自家末梢血幹細胞移植を合わせて指す言葉で、特に難治性の血液疾患に対する根治療法として、有効な内科的治療法です。



自家造血幹細胞移植の流れと経過
自家造血幹細胞移植の流れと経過


この治療法は、あらかじめ患者本人から採取した造血幹細胞(血液の元となる細胞)を、凍結保存して置きます。

その後、大量の抗がん剤を用いた“大量化学療法”や“放射線照射”により、体内の悪性細胞や機能不全の骨髄を徹底的に根絶(移植前処置)した後、保存して置いた正常な造血幹細胞を静脈内投与することにより、骨髄の再構築をはかる治療法(自家移植と言う)です。



自家末梢血幹細胞移植のプロセス
自家末梢血幹細胞移植のプロセス

しかし副作用として、血液を作り出す骨髄の機能が抑制される為、治療後の造血機能及び免疫機能の回復が必要になります。

多発性骨髄腫の原因となる骨髄腫細胞を抗がん剤で死滅させた後、あらかじめ採取しておいた患者自身の造血幹細胞(血液をつくる細胞)を戻す(移植する)ことにより、正常な造血機能を回復させる。




血液疾患別生存率
1988-2011年までの推計値。

急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の生存率は良好で、10年以上再発なしの場合、治癒と見なすとしていますが、骨髄異形成症候群や多発性骨髄腫、及び悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)の患者に対する造血幹細胞移植は、5年の寛解以降でも、再発するケースが目立ち、まだまだ治癒が難しい状況です。


G-CSF製剤フィルグラスチムBS
G-CSF製剤
造血幹細胞の末梢血中への動員薬「フィルグラスチムBS(グランの後発品)」

その主な要因として、これまでは一部の多発性骨髄腫の患者では、G-CSFと化学療法では、正常な機能を有する末梢血幹細胞の採取が不十分な事があり、結果として自家移植を断念せざるを得ない場合がありました。
また、十分量の末梢血幹細胞を収集する為に、1日数時間、連日行う必要があり、患者の負担も大きくなります。




「モゾビル®皮下注」は、造血幹細胞を骨髄から末梢血へ循環させる「動員」を促進させる働きを持ち、造血幹細胞採取の回数の減少と採取率の向上が確認されている。
また本剤の使用によって、目標の細胞数を回収する日数が1日だけで済む患者が増えるとされる。


通常と癌化した造血肝細胞
(A)が正常な造血幹細胞、(B)は癌化した造血幹細胞

造血幹細胞の動員とは
「動員」は、G-CSF製剤を投与する事で骨髄から血液中に、
造血幹細胞が誘導され、血液中に多く流れ出す事を言う。
しかしこれまでは、採取量が不十分で自家移植に適さない症例があった。



【作用機序】
    ◎造血幹細胞採取や、その後に続く自家造血幹細胞移植に向けて、骨髄から末梢血へ造血幹細胞を遊離させる。

【投与とその時期】
    ◎各日の造血幹細胞採取の約11時間前に皮下投与。最大連続投与は4日間。
    ◎「モゾビル®皮下注」投与に先立ち、午前中に毎日4日間、また、造血幹細胞採取(アフェレーシス)に先立ち午前中に毎日、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与。


本薬剤は、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」からの開発要請品目で、希少疾病用医薬品に指定され、再審査期間は10年となっている。
「モゾビル®」はG-CSF製剤と併用して用い、海外では54の国・地域で承認済(2016年7月時点)。








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