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遺伝性高アンモニア血症治療剤「カーバグル®分散錠」が薬価収載

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株式会社ポーラファルマ(本社:東京都品川区西五反田 /ポーラ・オルビスグループ)は11月18日、新規作用機序のカルバモイルリン酸合成酵素Ⅰ活性化作用を有する、有効成分カルグルミン酸薬剤を含有する高アンモニア血症治療剤「カーバグル®分散錠200mg」について、薬価に収載されたと発表しました。


本剤は、フランス・パリに本社を置くオーファンヨーロッパ(Orphan Europe)社により開発され、「N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症による高アンモニア血症」の治療薬として欧州で2003年に、米国で2010年に承認された。
また、「イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症による高アンモニア血症」の治療薬としては、欧州で2011年に承認されている。



カーバグル分散錠200mg
高アンモニア血症治療剤「カーバグル®分散錠200mg」

国内では、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て開発要請され、希少疾病用医薬品に指定。

株式会社ポーラファルマが、2014年に本剤の日本国内開発に着手し、2016年9月28日に、N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症、並びにイソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症による「高アンモニア血症(hyperammonemia)」に対して、血中アンモニア濃度を下げる医療用医薬品として製造販売承認を取得した。



高アンモニア血症は、体内で有毒なアンモニアが分解されないまま血中濃度が高くなる事で、神経障害や意識障害を起こす、先天性尿素サイクル異常症の一群の一つで、尿素合成経路の代謝系に遺伝的な異常がある事で発症します。


N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症
アンモニアは肝臓に於いて、尿素サイクルを経て無害な尿素に代謝される。
尿素サイクルの最初の反応をつかさどる、カルバミルリン酸合成酵素1 (CPS1)であるが、
N-アセチルグルタミン酸(NAG)は、CPS1を活性化させる機能を持っている。

しかし、N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症では、
N-アセチルグルタミン酸の合成低下を起こし、高アンモニア血症となる。


重症例では、出生後、哺乳の開始と共に、活気不良・哺乳不良・嘔吐などの症状が出現し、治療をしなければ次第に昏睡状態となる。

軽症例では、乳幼児期以降に繰り返す嘔吐、食欲不振、成長障害、発達遅延などの形で明らかとなり、急激に悪化して異常行動や意識障害を呈したり、成人期になって症状が出てくる場合もあります。

重症・軽症を問わず、血中アンモニア濃度を速やかに低下させる事が治療上極めて重要な疾患ですが、しかし既存の治療法では、血中アンモニア値のコントロールが必ずしも十分では無い場合があるのが現状です。





先天性尿素サイクル異常症の種類と関連遺伝子
尿素サイクル異常症の関連遺伝子

原発性(先天性)の尿素サイクル異常症(UCD=Urea cycle disorder)には、カルバミルリン酸合成酵素欠損症(CPS-D)、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(OTC-D)、アルギニノコハク酸合成酵素欠損症(シトルリン血症Ⅰ型)、アルギニノコハク酸分解酵素欠損症(アルギニノコハク酸尿症)、アルギナーゼ欠損症(アルギニン血症)、および、N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症(NAGS-D)などがあり、OTC-DはX染色体関連遺伝であるほかは、すべて常染色体劣性遺伝である。



「カーバグルⓇ分散錠」の有効成分であるカルグルミン酸は、尿素サイクルを活性化する事により尿素生成を復活させる、N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症、及び二次的NAGS欠損症の発症機序に特化した、高アンモニア血症治療薬です。

本剤の開発に於いては、未承認薬等開発支援センターより助成を受けています。

尚、国内での高アンモニア血症全体の発症頻度は、8,000~44,000人に1人とされていますが、長期生存が難しい例も多く確定患者数は発表されていません。

但し、本剤の適応となる患者数は、メチルマロン酸血症が62人、プロピオン酸血症が30人、イソ吉草酸血症が3人で、N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症は報告されていない。



【カーバグル®分散錠200mgの概要】

【販売名】:カーバグル®分散錠200mg(英名:CARBAGLU® dispersible tablets)
【効能・効果】:下記疾患による高アンモニア血症
    ・N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症
    ・イソ吉草酸血症
    ・メチルマロン酸血症
    ・プロピオン酸血症

【成分・含量】:本剤は1錠中にカルグルミン酸を200mg含有する
【剤形】:錠剤(分散錠)
【用法・用量】:通常、1日に体重kgあたり100 mg~250 mgより開始し、1日2~4回に分けて、服用時、水に分散して経口投与する。その後は患者の状態に応じて適宜増減する。

【承認取得日】:2016年9月28日
【薬価基準収載日】:2016年11月18日
【販売開始予定日】:2017年1月上旬

対象疾患に対して治療手段を提供する初めての医薬品である。







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