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コンビニで買える乗り物酔い医薬部外品「トラベルミン®サポート」が新発売

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エーザイ株式会社(本社:東京都文京区小石川)は乗り物酔いによる吐き気・嘔吐・頭痛の予防及び緩和の効能効果で、第2類医薬品として発売している“トラベルミン®”シリーズから、初めての医薬部外品としてコンビニエンスストアなどでお買い求め頂ける、口中清涼剤「トラベルミン®サポート」を4月8日(月)より全国で順次発売しました。


トラベルミンサポート


「トラベルミン®サポート」は、乗り物酔い、悪心・嘔吐、気分不快等の症状に服用できる、植物由来成分カンゾウエキス主配合の医薬部外品です。
5歳以上の子供から服用しやすいドロップタイプで、スーッとするサイダー風味です。
1粒ずつの個包装で使いやすく、持ち運びにも便利な製品です。



乗り物酔いの予防薬として、1952年に発売された「トラベルミン®」は、年月を経て改良が加えられ、酔ってからでも効くドロップタイプの「トラベルミン®チュロップ」(第2類医薬品)や眠気の比較的少ない成分配合の「トラベルミン®R」(第2類医薬品)などが発売され、薬局・薬店・ドラッグストアで気軽に購入できる製品として親しまれています。

「トラベルミン」は処方箋医薬品としても販売され、錠剤と注射剤があり、動揺病、メニエル症候群に伴う悪心・嘔吐・めまいの効能効果で発売されています。




今回の医薬部外品の発売について、エーザイ株式会社は、『乗り物酔い薬を買い忘れて、旅行中に入手できずに困ったと言う声が多く聞かれた事から、コンビニエンスストアなどでもお買い求め頂ける医薬部外品として製品化いたしました』と、コメントを発表しています。




【製品概要】
1. 製品名:「トラベルミン®サポート(販売名:デオフレンズ)」(医薬部外品、口中清涼剤)
2. 成分:
○有効成分:カンゾウエキス
○添加物:香料、β香料、β‐シクロデキストリン、銅クロロフィリンNa、精製白糖、マクロゴール6000、水アメ、メントール、ユーカリ油
3. 効能・効果:乗物酔い、悪心・嘔吐、気分不快、二日酔い、口臭、胸つかえ
4. 用法・用量:
 △15才以上1回1~2粒
 △5才~14才未満1回1粒
 △5才未満は服用しないこと
 1日の服用回数は6回までとして下さい。口中に含み噛まずにゆっくり溶かしてください。
5. 希望小売価格(税抜):6粒/450円
6. 製造販売元: 高市製薬株式会社
7. 発売元: エーザイ株式会社






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IL-6抗体「アクテムラ®」がサイトカイン放出症候群と成人スチル病の追加承認を取得

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、中外製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)が効能・効果、及び用法・用量の追加承認申請をしていた、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ®点滴静注用80mg、同200mg、同400mg(トシリズマブ=遺伝子組換え)」について、3月26日に、「腫瘍特異的T細胞輸注療法(CAR-T療法*)に伴うサイトカイン放出症候群」の効能効果の追加承認を了承したのに続き、4月19日には、指定難病「成人スチル病」について追加承認する新効能・新用量医薬品の承認を了承した。

*CAR-T療法は…キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞輸注療法のことで、重度の難治性血液がん患者に対する治療法として開発された。



アクテムラ点滴静注用80mg、同200mg、同400mg
ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体
IL-6阻害薬「アクテムラ®点滴静注用80mg、同200mg、同400mg」
(トシリズマブ=遺伝子組換え)


ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体(bDMARD=生物学的製剤)『アクテムラ®点滴静注用200mg(トシリズマブ=Tocilizumab)』は、2005年6月に「キャッスルマン病」の適応で販売を開始。

その後、2008年6月には「アクテムラ点滴静注用80mg」及び「アクテムラ点滴静注用400mg」が追加され、適応の効能・効果も追加されて来ました。



成人スチル病(Adult Onset Still's Disease)は国の指定難病で、発熱、皮疹、関節炎を主な症状とする全身性の炎症疾患です。
発熱に伴って皮疹や関節痛が見られ、解熱と共に皮疹、関節痛が消失するという症状が特徴的です。診断の決め手となる症状や、検査所見に乏しいため、症状や所見から総合的に診断します。


成人スチル病の皮膚皮疹症状

小児に起こる熱性疾患のスチル病(全身型若年性特発性関節炎=sJIA)という疾患と同様の病像が、成人(16歳以上)に起こったものと考えられていて、治療方針も同じである。

成人スチル病の発症年齢は、国内集計で20歳前後をピークに、年令と共に減少し、6割は16~35歳に分布する傾向にあり、女性が男性の2倍で、国内の患者は約4800人。


本剤は、成人スチル病に対する初の生物学的製剤(=bDMARD)で、これまで類似疾患である全身型若年性特発性関節炎(sJIA=systemic Juvenile Idiopathic Arthritis)に対する医薬品には、2018年5月に薬価収載された、クリオピリン関連周期性症候群治療薬「イラリス皮下注(カナキフマブ=遺伝子組換え)」がある。


イラリス皮下注射150mg

中外製薬株式会社によると、これまで副腎皮質ステロイドを用いた炎症の抑制が標準治療となっているが、ステロイド抵抗性の難治症例に対して保険適用のある薬剤が無かった。また、「アクテムラ®点滴静注用」について、成人スチル病に関する効能・効果を取得している国・地域はない。





キメラ抗原受容体T細胞治療の仕組みと作用機序
キメラ抗原受容体T細胞治療の仕組みと作用機序

サイトカイン放出症候群(CRS)は、CAR-T療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)で発現率が50%以上という高頻度に見られる副作用で、過剰な免疫反応に伴い、細胞から多量のサイトカイン*が放出され、血中のサイトカイン濃度が高度に上昇することが原因で起こる。
症状の多くは、発熱や筋肉痛などの軽度から中等度のインフルエンザ様のものだが、一部の患者では、重度の低血圧、頻脈、呼吸困難などが誘発され、死亡することもある。



この副作用に対し「アクテムラ®点滴静注用」は、サイトカインの1つ、インターロイキン6(IL-6)の働きを抑える作用を持つ。国内で同適応症を効能・効果とする薬剤は他にない。遺伝子治療用製品「キムリア(CAR-T療法)」以外の腫瘍特異的T細胞輸注療法にも用いることができる。

*サイトカインとは…免疫系細胞で生産され免疫反応に影響を及ぼすタンパク質の総称。





【効能・効果(点滴静注用)】
[1]既存治療で効果不十分な下記疾患
  関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎
[2]キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。
★[3]腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群
★[4]成人スチル病

【効能・効果(皮下注キット)】
[1]既存治療で効果不十分な下記疾患
  関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
[2]既存治療で効果不十分な下記疾患
  高安動脈炎、巨細胞性動脈炎

【用法・用量(点滴静注用)】
◆腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群
⇒⇒通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として体重30kg以上は1回8mg/1kgあたり、体重30kg未満は1回12mg/kgを点滴静注する。
◆成人スチル病
⇒⇒本剤の投与にあたっては、学会のガイドライン等の最新の情報を参考に適応患者を選択し、その他の対症療法の実施と共に使用すること。







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HER2低発現の乳がん治療薬「トラスツズマブ デルクステカン」の第3相臨床試験を開始

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2019年3月29日、抗体薬物複合体「DS-8201」を開発中の第一三共株式会社(本社:東京都中央区日本橋)は、がん領域の国際的な事業展開に豊富な経験と経営資源を持つ『アストラゼネカplc(本部:英国ケンブリッジ)』との間で、開発及び販売提携を結んだ。
そして、アストラゼネカPLCは5月8日、共同開発しているHER2に対する抗体薬物複合体(ADC)「DS-8201(トラスツズマブ デルクステカン=trastuzumab deruxtecan)」について、日本を含む国際グローバル第2相臨床試験の結果、臨床的意義のある効果が示されたとして、これまで2020年を予定していた、HER2陽性の再発・転移性乳癌を対象として米国食品医薬品局(FDA)への承認申請目標時期を、2019年6~7月に前倒しすることを発表した。


抗体薬物複合体
*写真はイメージです。
HER2低発現の乳がん治療薬/抗体薬物複合体「DS-8201」は
第3相臨床試験を開始したばかりで製品写真はありません。

「DS-8201(トラスツズマブ デルクステカン)」は、第一三共株式会社が開発・創製した、HER2に対する抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate=ADC)で、日本国内で2017年12月4日に、世界初の子宮癌肉腫を対象に医師主導の治験が開始されました。


その後、HER2陽性の再発・転移性乳癌患者を対象とした、日米共同第1相臨床試験を行い、今回の国際共同グローバル第2相臨床試験に於いても、主要評価項目である、客観的奏効率(腫瘍が完全に消失または30%以上減少)を達成し、安全性上の新たな懸念は認められなかったと公表した。

これらの結果を受けて、アストラゼネカPLCは米国食品医薬品局(FDA)への承認申請を前倒しする事となった。
同時に第3相臨床試験に着手する。



また、第一三共株式会社は2018年9月27日、前治療を有するHER2陽性の進行乳癌患者を対象とした第3相臨床試験を開始し、対象群比較の最初の患者への投与を開始。

更に、これまで有効な治療法が確立されていなかった、HER2低発現乳癌患者を対象とした国際共同第3相臨床試験に於いても、本年1月15日、最初の患者への投与を開始しています。



HER2低発現乳がん治療薬・抗体薬物複合体
HER2低発現乳がん又はホルモン受容体陰性乳がん患者は左図。

◆現在、HER2低発現乳がん患者へは、承認されている抗HER2療法や、分子標的薬、免疫療法薬などが無いため、ホルモン受容体陰性(トリプルネガティブ)乳がんの場合と同様、最初から化学療法(抗がん剤、ホルモン剤、免疫賦活剤)等が行われていますが、いずれの場合も、治療法が極めて限られているため、多くのHER2低発現乳がん患者では、やがて病勢進行に至ります。

◆第3相臨床試験の対象患者には、ホルモン受容体陰性患者、ホルモン受容体陽性患者でCDK4/6阻害薬の投与経験のある患者、CDK4/6阻害薬の投与経験のない患者が含まれる予定。

◆「DS-8201(トラスツズマブ デルクステカン)」による第2相臨床試験は、先行して行われているHER2陽性乳がんに加え、HER2低発現乳がんや、HER2陽性の再発・進行性胃がん、HER2陽性の再発・進行性大腸がん、HER2過剰発現またはHER2変異のある再発・進行性非小細胞肺がんでも進行中です。



トラスツズマブ_デルクステカン作用機序「DS-8201」
抗HER2抗体+トポイソメラーゼ阻害薬(DXd)


「DS-8201(トラスツズマブ デルクステカン)」の、トラスツズマブ(遺伝子組換え)は「商品名:ハーセプチン」の名称で知られる抗悪性腫瘍剤で、抗HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)ヒト化モノクローナル抗体で癌細胞のHER2に結合して殺傷する分子標的薬。

他方、デルクステカンは第一三共が創製した特許新薬で、腫瘍細胞内のシステイン残基によってリンカーを切断させて働く、殺細胞性抗がん剤で、細胞の増殖に必要なDNAトポイソメラーゼ酵素の働きを阻害して癌細胞死へ招く。




米国に於いて、「DS-8201(トラスツズマブ デルクステカン)」は、米国食品医薬品局(FDA)より、HER2陽性の再発・転移性乳がん治療を対象として【画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定】及び【ファストトラック(優先審査品目)指定】を受けています。

また、国内では、HER2過剰発現のガン化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発胃がん治療を対象として厚生労働省より先駆け審査指定を受けています。




 **抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を、適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子(受容体)に結合する抗体医薬を介して、破壊的薬物をがん細胞へ直接届け、がん細胞のDNAそのものを破壊し死滅(アポトーシス)させることで、薬物の全身曝露を抑えつつ、がん細胞の中心DNAへの攻撃力を高めた薬剤です。





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重症アトピー性皮膚炎治療薬「デュピクセント®」が在宅自己注射対象薬剤に追加

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サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区西新宿)グループのサノフィジェンザイム(希少疾患領域、免疫・炎症領域部門)は、昨年4月に薬価収載された、「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」治療薬、ヒトモノクローナル抗体『デュピクセント®皮下注300mgシリンジ(一般名:デュピルマブ=遺伝子組換え)」について、5月1日より処方箋を交付することが出来る“注射薬及び在宅自己注射指導管理料の算定対象となる注射薬”として、追加される官報が4月26日に告示されたと発表しました。

日本では、「デュピクセント®」は、成人の既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎、及び12 歳以上の既存治療によっても症状をコントロールできない、重症または難治の気管支喘息に対する治療薬として承認されています。



デュピクセント皮下注300mgシリンジ
「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎及び気管支喘息」治療薬。【デュピクセント®皮下注300mgシリンジ(dupilumab,遺伝子組換え)】


「デュピクセント®皮下注300mgシリンジ」は、Type2炎症で中心的役割を果たすタンパク質のインターロイキン4(IL-4)とインターロイキン13(IL-13)によるシグナル伝達を阻害するヒトモノクローナル抗体です。
また国内に於いて、アトピー性皮膚炎の適応で承認・販売されている唯一の生物学的製剤です。


デュピクセント皮下注300mgシリンジ作用機序

免疫系の過剰反応の一種である過剰なType2炎症は、アトピー性皮膚炎や喘息をはじめとするアトピー性/アレルギー性疾患に関与していると考えられています。



患者の通院負担の軽減のため、本剤を『在宅自己注射指導管理料の対象薬剤』とするための要望書が、公益社団法人/日本皮膚科学会と、一般社団法人/日本アレルギー学会から厚生労働省に提出されました。



重症アトピー性皮膚炎の症例
成人の重症アトピー性皮膚炎の症例


サノフィジェンザイム・ビジネスユニット/ジェネラルマネジャーのパスカル・リゴディ氏は、次の様に述べた。
『既存の治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎、及び(又は)気管支喘息を罹(も)つ患者にとって、注射を受けるために隔週で通院し、「アトピー性皮膚炎の診断・治療に精通している医師の下で投与…という『警告』が付加されていました」が、この方法以外に、2週間隔で在宅自己注射という選択肢が増えました』

『革新的な医薬品で、痛みや苦しみを和らげると共に、希少疾患を罹つ少数の人々から、慢性疾患を罹つ何百万もの人々まで、寄り添い支え続けると同時に、患者のQOL向上に貢献します』

と、添えた。




【製品概要】
【販売名】:デュピクセント(dupixent)®皮下注300mgシリンジ
【一般名】:デュピルマブ(遺伝子組換え=‎Dupilumab)
【効能又は効果】:
◆アトピー性皮膚炎の場合:通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。
◆気管支喘息の場合:通常、成人及び12歳以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。
【製造販売承認取得日】:2018年1月19日
【薬価収載日】:2018年4月18日
【薬価】: 81,640円





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重症尋常性乾癬治療薬IL-23阻害剤「スキリージ®皮下注」が販売を開始

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アッヴィ合同会社(本社:東京都港区三田3丁目)は5月24日、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬(かんせん)、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に対する治療薬、インターロイキン-23(IL-23)阻害薬「スキリージ®(SKYRIZI®)皮下注75mgシリンジ0.83mL(一般名:リサンキズマブ[Risankizumab/遺伝子組換え])」を、発売したと発表しました。

「スキリージ®皮下注」は0週目、4週目、その後は12週間ごとに皮下投与する薬剤で、日本で承認されている『乾癬』の適応を持つ生物学的製剤のうち、最も投与頻度が少ない薬剤の一つとなります。


尋常性乾癬治療薬スキリージ皮下注75mg
インターロイキン-23(IL-23)阻害薬
尋常性乾癬治療薬「スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL」

乾癬は…、常に新陳代謝を繰り返している皮膚細胞が、異常増殖を引き起こし、代謝スピードが通常約1ヶ月程度なのに対して、乾癬では新陳代謝のスピードが3~10倍(症状により様々)早くなることで、皮膚が定着する前に新たな細胞に押し出され、表皮がポロポロと剥がれ落ちる疾患です。


尋常性乾癬

乾癬は、皮膚が赤くなって盛り上がり、炎症性の赤みを帯びた皮疹や銀白色の細かい皮膚のカサブタに覆われたような鱗屑(りんせつ=銀白色の粉)が特徴で、皮膚細胞の慢性の自己免疫性炎症性疾患ですが、他人に感染することはありません。
また、皮膚が剥がれ落ちる際に血が滲むことがありますが、これらの出血に触っても他人には感染する(伝染る)事はありません。



関節症性乾癬


乾癬性紅皮症
乾癬性紅皮症の症例


有効な治療をしないままで居ると、一部の患者で、関節の腫れや痛み(関節症性乾癬)を引き起こす事もあります。

この為、乾癬治療は、悪化させない様にこの新陳代謝のスピードを遅くする事で、病状を寛解させ、疾患が表面に現れない状態を維持する事にあります。



乾癬には症状によってタイプがあり、“尋常性(じんじょうせい)乾癬、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症(こうひしょう)、膿疱性(のうほうせい)乾癬、滴状乾癬(てきじょうかんせん)”に分類され、中でも最も多いのが【尋常性乾癬】で、尋常性とは「ありふれた」という意味で、90%位がこの症状です。

▲尋常性乾癬=乾癬全体の約90%
▲関節症性乾癬=乾癬全体の約3~15%
▲滴状乾癬=乾癬全体の約4%
▲乾癬性紅皮症=乾癬全体の約1~2%
▲膿疱性乾癬=乾癬全体の約1%(この病態のみ特定疾患指定)
(*併発含む)
日本では約15%の乾癬患者が乾癬性関節炎(関節症性乾癬)を併発します。
世界には乾癬患者が1億2,500万人、日本には乾癬患者会統計で50~60万人、製薬会社統計で約43万人いると推定されています。

〔Kubota K, et al BMJ 2015 Jan BMJ Open 2015〕
〔2019 AbbVie Inc. North Chicago, Illinois, U.S.A. and Japan〕
〔アッヴィ合同会社プレスリリース 2019年5月24日〕






乾癬の重症度別治療方法
乾癬の重症度別治療方法


(1.)これまでの治療(塗り薬や紫外線を用いた治療や飲み薬)では、十分な効果が得られず、皮膚の症状が全身の10%(手のひら約10個分)以上にある人。
(2.)治りにくい皮膚の症状、関節の屈曲症状や膿疱が見られる人。



スキリージ皮下注75mgシリンジの作用機序
スキリージ(リサンキズマブ)皮下注75mgシリンジの作用機序

「スキリージ®皮下注75mgシリンジ0.83mL」は、白血球由来の炎症性サイトカイン、インターロイキン(IL)-23のサブユニットp19に特異的に結合し、IL-23の活性を選択的に阻害するヒト化抗ヒト(免疫グロブリンG1)IL-23p19モノクローナル抗体製剤です。
同様のIL-23p19サブユニットを標的とした製剤には、グセルクマブ(商品名:トレムフィア/2018年5月薬価収載)があり、本剤は2番手となる。


スキリージ皮下注とステラーラ皮下注の効き目比較
スキリージとステラーラの効き目比較。

乾癬治療には、塗り薬や紫外線を用いた治療や飲み薬がありますが、生物学的製剤と言われる注射薬も用いられるようになってきた結果、現在の乾癬治療のゴールは、症状の改善だけに留まらず、乾癬の症状や治療によって制限されない生活を取り戻す事であるとの考え方に変わりつつあります。


尋常性乾癬治療薬の生物学的製剤の値段
乾癬治療薬の生物学的製剤の値段比較
(これらには各投与間隔に幅があったり、投与回数に制限があります)

また新しい薬剤が登場する事で旧薬の薬価は引き下げられています。





【スキリージ®製品概要】
【製品名】:スキリージ®(SKYRIZI®)皮下注75mgシリンジ0.83mL
【一般名】:リサンキズマブ(risankizumab/遺伝子組換え)
【剤 型】:注射剤(プレフィルドシリンジ)
【効能・効果】:既存治療で効果不十分な、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症

【用法・用量・投与方法】:通常、成人にはリサンキズマブ(遺伝子組換え)として、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与する。尚、患者の状態に応じて1回75mgを投与することができる。
また、150mgを投与するためには、75mgシリンジを2本投与すること。

【投与経路】:皮下にのみ投与すること。
【投与時】:投与15~30分前に冷蔵庫から取り出し、直射日光を避け、室温で静置することが望ましい。
皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(皮膚の圧痛、内出血、傷、紅斑、硬結等の部位)、乾癬の部位には注射しないこと。
*投与部位は、腹部、大腿部、上腕部又は臀部が望ましい。
*本剤は、1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
*混濁、変色又は大きな粒子がある場合は、使用しないこと。半透明~白色の製品由来の微粒子を含むことがある。

【製造販売承認日】:2019年3月26日
【薬価基準収載日】:2019年5月22日
【製造販売元】:アッヴィ合同会社
【薬価】:1シリンジ:23万9,374円(スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL)








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FLT3-ITD遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病治療薬「ヴァンフリタ錠」の承認申請を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は5月30日、第一三共株式会社(本社:東京都中央区日本橋)が昨年10月17日に製造販売承認申請していた、FLT3-ITD変異を有する「再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)」治療薬「ヴァンフリタ錠17.7mg、同26.5mg(一般名:キザルチニブ塩酸塩=QUIZARTINIB)」について、急遽、審議に上程された結果、承認申請を了承した。



FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病治療薬ヴァンフリタ錠
*写真はイメージです。
FLT3-ITD遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病治療薬「ヴァンフリタ錠(キザルチニブ塩酸塩)」は、
製造販売承認が了承されましたが、まだ製品写真はありません。


▲「キザルチニブ(FLT3-ITD阻害剤)」に関しては、本年5月15日、米FDA(米国食品医薬品局)諮問委員会に於いて、FLT3-ITD*変異を有する再発または難治性の急性骨髄性白血病に対する適応について、ベネフィット(治療満足度)がリスク(奏効率や副作用など)を上回らないとの否定的見解(反対8、賛成3)が示されていた。

このため、キザルチニブに関して、グローバル第3相臨床試験(欧米、及び日本を除くアジア域)の結果を踏まえた、優先審査が行われており、この審査は2019年8月25日までに終了見込み。

この事から当初、「キザルチニブ」は審議予定品目に無かったが、事務局による検討の結果、審議可能と判断され上程、承認して差し支えない旨の判断がなされた。

*ITDとは…Internal Tandem Duplication(遺伝子内縦列重複)の略


しかし、今回の様なケースは、同じFLT3遺伝子変異を標的にした再発/難治性の急性骨髄性白血病(AML)治療薬として、昨年12月3日に発売された、アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)の「ゾスパタ錠(Xospata/一般名:ギルテリチニブ)」に於いても、日本で承認された時点では、今回同様、米国でも欧州でも承認されていなかった。

米国や欧州の場合、多国籍での販売が前提となるのに対して、日本の場合は日本国内だけが対象となる事を前提としている事から、遅れるものと推察されます。

また、「ゾスパタ錠(Xospata)」は、FLT3遺伝子とAXL遺伝子の2つの遺伝子変位陽性に対する阻害剤ですが、「ヴァンフリタ錠」は、FLT3遺伝子とITD遺伝子を標的にしている点が異なる。


ヴァンフリタ錠_キザルチニブの作用機序


「ヴァンフリタ錠」は、がんの増殖に関与するとされるFLT3(FMS-Like Tyrosine kinase 3)の働きを阻害し、増殖を抑えると考えられている。
急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄における白血病細胞の異常な増殖の結果、正常な血液細胞の産生が著しく阻害され、治療しないと短期間で致死的になる予後不良な血液疾患。
FLT3-ITD変異は急性骨髄性白血病患者の約25%に認められるとされる。
FLT3-ITD変異(予後不良群)を有する患者は、変異のない患者と比べ、再発率が高く生存期間が短いとされている。


急性骨髄性白血病の予後分類


「ヴァンフリタ錠17.7mg、同26.5mg(一般名:キザルチニブ塩酸塩)」は、国内第2相臨床試験に於いて、有効性および安全性が認められました。
本試験結果の詳細は、2018年10月に開催された第80回日本血液学会(JSH)で発表されました。

尚、海外での承認はない。






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2018世界年間医薬品売上トップ15……国際競争力ランク第30位への不信

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5月28日に発表された「世界競争力ランキング」――。

スイスの名門ビジネススクールIMD(国際経営開発研究所⇒International Institute for Management Development)とやらが毎年発表してるらしいが、日本は屈辱的とも言える第30位ビックリマーク
この順位を見て『なんで?』とか、『えこ贔屓じゃないか!?』と、ブツブツ呟いた人も多いのでは……。


世界競争力ランキング2019

第1位はシンガポール。第2位は香港。第3位はアメリカ。当のスイスは第4位に入れている。

指標としたのは、失業率、GDP、健康・教育への国の支出などのハード・データと、社会的結束や分離の度合い、グローバリゼーション、腐敗などのテーマに関する、経営幹部やマネジャーを対象としたアンケート調査とのこと。



『経営幹部のアンケートかよ?』


そういう目線なら、そりゃ、シンガポールは相続税や贈与税が掛からず、キャピタルゲイン(投資の値上がり利益)も非課税、所得税の最高税率は20%、法人税は17%と、激安税率の国。更に、シンガポールの居住者になっても、年金など国外で発生した所得には、税金が掛からない。

世界には法人税タダの国も意外と多い……。


まぁしかし、負け惜しみかもしれないが、
世界への貢献度から見ると、例えば旅客機のエアバス(Airbus industrie)を製造しているフランスが31位、共同体のオランダが6位と、離れている。
日本国内でも飛んでいる「エンブラエル」はブラジル製だが、59位に甘んじている。

結局、この順位はビジネススクールの発表だから、ビジネスに向いている国、不向きな国というだけの尺度――。世界に対して、企業や国家がどれだけ貢献しているか、世界の平和にどれだけ邪魔になっているか等は一つも考慮されていない!





では、視点を変えて、医療・医薬ではどうか?


2018年世界ベストセラー医薬品TOP15
何と、特許が切れた関節リウマチの治療薬「ヒュミラ」が、今もなおトップを独走ビックリマーク
後発品さえ出ていない。
製法が難しく、Bio後発品の開発・製造に金が掛かるからだとか。





さて、本題に。
まだ記憶に新しいと思うが、日本人が開発し、人類に貢献した薬の最たるものと言われる薬がある。



熱帯アフリカ・中南米の亜熱帯を中心に世界35ヵ国で蔓延していた「オンコセルカ症(河川盲目症)」は、線虫(寄生虫)の感染によって発症する。
毎年1800万人が感染し、77万人が失明するという風土病。
人の体内でおよそ14年あまり潜伏し、成虫になり、死滅する際に、皮膚の皮下組織と目に激しい炎症を起こす。


イベルメクチン

この寄生虫を駆除する特効薬は、イベルメクチン(Ivermectin)と呼ばれ、北里大学特別栄誉教授・大村智氏が1974年に静岡県伊東市のゴルフ場近くで採取した土から発見された。

そして、1987年に「Mectizan tablet」として世界で初めてフランスで承認され、1988年、WHO(世界保健機関)を介して、米メルク社によるアフリカ地域への無償提供が開始された――。


年1回、集団投与が行われ、これが14年間続く。
WHOは2025年までにオンコセルカ症を撲滅出来るとの推測を述べた。これまで年間3億人以上を失明から救っている。



大村智氏は、この功績で2015年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。

イベルメクチン日本

そしてこの一般名:イベルメクチン(Ivermectin)は現在、日本でも『ストロメクトール錠3mg(保険適応外/薬価:678円/1錠)』として販売され、適応は「腸管糞線虫症」と「疥癬(かいせん)」の駆虫剤として使用されている。




昨年統計で第4位に入った「オブジーボ(一般名:ニボルマブ)」も日本人の本庶佑氏(京都大学名誉教授)が発見したもの。
他にも多くの病気の原因を探ることを得意とする日本人が発見した、最新のゲノム医療で、分子標的薬を発見したのも日本人の酒井敏行氏(京都府立医科大学分子標的癌予防医学教室)で、2013年欧米で承認され、遅ればせながら2016年日本で、BRAF遺伝子変異の悪性黒色腫・同小細胞肺癌治療薬「トラメチニブ(販売名:メキニスト錠)」が誕生している。


メキニスト錠

ただ残念な事に、創薬は外国企業に持って行かれることが多い。



しかし、ビジネスだけでは人間も動物も滅んでしまう。

日本人には好奇心や想像力はある。
しかし創薬・研究には莫大な費用が掛かることから、日本企業は消極的だが…、




ではシンガポールや香港は、人類を救ったのか?

潤沢なオイルマネーは、病に苦しむ世界の子供たちを救ったか?










ペタしてねペタしてね


〔参考文献:講談社 世界を救った日本の薬/塚崎朝子・著者〕
〔参考文献:ダイヤモンド社 新薬誕生100万分の1に挑む科学者たち/ロバート・L.シュック/小林力・著者〕

新小児AD/HD治療剤「ビバンセ」が製造販売承認を取得及び「インチュニブ」の成人適応追加

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塩野義製薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区道修町)及び、武田薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市中央区道修町)は、6月18日までに2つの注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療剤について、厚生労働省より、新規治療剤「ビバンセ®(塩野義/武田薬品)」の製造販売承認を取得した事と、既発売治療剤「インチュニブ®(塩野義/シャイアー)」の成人患者に対する適応追加をそれぞれ取得したと発表しました。


ADHD治療剤ビバンセカプセル
小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」治療剤
ドパミン/ノルアドレナリン遊離促進・再取り込み阻害薬
「ビバンセ®(Vyvanse®)カプセル20mg/同30mg」
(一般名:リスデキサンフェタミンメシル酸塩)


注意欠陥/多動性障害(AD/HD=Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)は、多動性・不注意・衝動性の3症状を主な特徴とする行動面の神経発達症候群(発達障害)の1つで、明らかな身体異常所見を示さず、行動の特徴から同定される。

個人間の症状に差違もあり、子ども一人ひとりで症状の程度が異なっており、社会的、認知的、学業面、家庭内、情緒的な発達や適応の側面で様々な問題を生じうる。

注意欠陥/多動性障害の診断は、アメリカ精神医学会作成の「DSM-IV-TR」診断基準を使用し、心理社会的治療・支援と薬物療法により治療可能な脳機能障害である。

〔注意欠陥/多動性障害の病態、解明研究と新規介入法の提案~(国立研究開発法人)精神保健研究所 知的障害研究部 部長:稲垣真澄/合同シンポジウム発表より〕
*DCD…発達性協調運動障害。



発達障害の病態分類
発達障害の病態分類
(国立研究開発法人)精神保健研究所 知的障害研究部
部長:稲垣真澄氏発表資料より


現在、AD/HDの薬物療法としては、中枢神経刺激剤「コンサータ®錠(一般名:メチルフェニデート塩酸塩/2007年12月販売開始)」、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤「ストラテラ®カプセル/同内用液(一般名:アトモキセチン塩酸塩/2009年6月販売開始)」、それに、2017年5月薬価収載された選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬「インチュニブ®徐放錠(一般名:グアンファシン塩酸塩)」が使用されていますが、治療有効性の評価が難しく、治療選択肢の限られている現状があります。



◆今回、新たに新有効成分含有医薬品として製造販売承認を取得したのは、「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」の適応で、ドパミン(ドーパミン)/ノルアドレナリン遊離促進・再取り込み阻害剤「ビバンセ®カプセル20mg・同30mg(一般名:リスデキサンフェタミンメシル酸塩=Lisdexamfetamine dimesylate)」です。



「ビバンセ®カプセル(Vyvanse capsule)」は、既に薬価収載されていますが、覚醒剤の原料になりうる成分が含まれているため、たびたび審議上程が見送られて来ました。

「ビバンセ®カプセル」は、2011年11月18日に塩野義製薬株式会社とShire plc社(本社:アイルランド・ダブリン)の子会社であるShire International GmbH(シャイアー社)との間で締結された、日本国内における共同開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、開発が進められて来ました。
そして、2019年1月8日、武田薬品工業のシャイアー社買収に伴い、卸売販売業者でもあるShire International GmbHを子会社化する事で、厳重な流通管理を義務づける事によって、今回の承認となった。
本剤の国内製造販売承認取得日は2019年3月26日。


「ビバンセ®(Vyvanse)カプセル」は、1日1回投与のドパミン(ドーパミン)/ノルアドレナリン遊離促進・再取り込み阻害薬で、プロドラッグテクノロジー(それ自体は薬理活性が殆ど無いが体内で代謝されて薬効を発揮する機序)を用いることにより、投与後に体内で徐々に活性体に変換され、活性体の急激な血中濃度上昇を抑制すると共に、その血中濃度を持続的に維持することを目的とした製剤です。


【効能・効果】 小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
【用法・用量】 1日1回30mgを朝。1日最高70mg。増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として20mgを超えない。
【薬価】
 ビバンセ®カプセル20mg…1カプセル674.80円
 ビバンセ®カプセル30mg…1カプセル747.70円







成人適応追加ADHD剤インチュニブ錠

★『インチュニブ®錠1mg・同3mg』は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療薬として初めての作用機序である「選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬」で、「1日1回」投与の非中枢刺激薬です。
これまで世界36ヵ国において、AD/HDの小児患者(6~17歳)の治療薬として承認を取得しています。

「インチュニブ®錠」は日本で、世界に先駆けて成人患者(18歳以上)を対象とした臨床試験を実施し、AD/HD評価スケール等で統計的に有意な改善を示した事などから、6月18日、成人患者(18歳以上)に対する適応追加による一部変更が承認されました。

また、「インチュニブ®錠」は、最長1年間の長期投与時の安全性及び有効性も確認されています。




【製品概要】
【製品名】 インチュニブ®錠1mg・同3mg(Intuniv®)
【一般名】 グアンファシン塩酸塩(Guanfacine Hydrochloride)徐放錠
【効能・効果】 注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
(*2019年6月18日より、「小児期における」という文言を削除)

【用法・用量】
18歳未満の患者:(下線部:2019年6月18日より追加)
通常、18歳未満の患者には、体重50kg未満の場合はグアンファシンとして1日1mg、体重50kg以上の場合はグアンファシンとして1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ、下表の維持用量まで増量する。
なお、症状により適宜増減するが、下表の最高用量を超えないこととし、いずれも1日1回経口投与すること。


インチュニブ錠用法用量

18歳以上の患者:
通常、18歳以上の患者には、グアンファシンとして1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ、1日4~6mgの維持用量まで増量する。
なお、症状により適宜増減するが、1日用量は6mgを超えないこととし、いずれも1日1回経口投与すること。


【薬価】
インチュニブ®錠1mg…1mg1錠407.20円
インチュニブ®錠3mg…3mg1錠537.50円



国内では2017年5月に塩野義製薬が販売を開始し、シャイアー・ジャパン社と共に販促プロモーションと製品情報の提供を行っています。




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指定難病・発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ユルトミリス」が製造販売承認を取得

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アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都渋谷区恵比寿)は、国指定難病の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH=Paroximal Nocturnal Hemogrobinuria)治療薬として承認申請していた、抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤「ユルトミリス®点滴静注300mg(一般名:ラブリズマブ/遺伝子組換え)」について、新有効成分含有医薬品・希少疾病用医薬品として製造販売承認を、6月18日付で厚生労働省より取得した事を発表しました。
「ユルトミリス(ULTOMIRIS)®点滴静注300mg」は、8週間隔で投与される最初で唯一の長時間作用型抗補体(C5)抗体です。



ユルトミリス点滴静注(ラブリズマブ)
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬
抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤
「ユルトミリス®(ULTOMIRIS®)点滴静注300mg」



発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、極めて稀(まれ)で深刻な血液疾患で、後天的な遺伝子の突然変異によって、慢性的な血管内溶血(赤血球破壊)を引き起こす造血幹細胞疾患で、国の指定難病です。

発作性夜間ヘモグロビン尿症の患者は、疲労、嚥下困難(えんげこんなん)、息切れ、腹痛、勃起不全、色の濃い尿(ヘモグロビン尿=コーラ色)、貧血など多様な徴候(ちょうこう)や症状を呈します。


PNH溶血性血栓症

PNHが進行すると、免疫系の構成要素である補体系(血清中に存在するタンパク群で活性化すると標的細胞に傷害を与える)の制御不能な活性化により引き起こされる慢性的な溶血(赤血球破壊)による最も深刻な結果として、全身の血管内で固まった血液が体内を循環する血の流れを遅くしたり、或いは止めることで、治療しなければ、重要臓器(脳梗塞や心臓発作など)が損傷され、早期死亡に至ることもあります。

またPNHと認識されないまま、1~5年以上診断が遅れることが多くあります。
PNHは、人種、性別、年齢に関わらず、何の前触れもなく突然発症する可能性があり、平均発症年齢は30代前半です。


ある種の溶血性貧血、骨髄不全、原因不明の静脈、又は動脈血栓を呈する患者は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)発症のリスクが高いことが知られています。
輸血や抗凝固管理などの支持療法では、PNH患者の20~35%が診断後5年から10年で死に至っていました。



◆発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者数は、北米と欧州では約8,000~10,000人、日本国内では、難病情報センターによると、国内の患者数は約430人(1998年)、英国のデータを日本に当てはめると、日本では年間150人が発症し、有病者は約2,000人と推定されます。
厚生労働省指定の特定疾患難病指定患者数では、約500人と推計されています。

〔PNHフロンティア2016/熊本大学,医学部附属病院:川口辰哉客員教授〕
〔PNH Source/大阪大学大学院 医学系研究科〕
〔アレクシオンファーマ合同会社プレスリリース/2019年6月19日/2019年1月9日〕




発作性夜間ヘモグロビン尿症の原因は、X染色体(性染色体)上の造血幹細胞のPIGA遺伝子に後天性の変異が起こる事で発症します。


PIGA遺伝子X染色体Xp22,2


タンパク質のグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー(A)の生合成を支配する遺伝子のPIGA遺伝子(X染色体p22,2)の変異の結果、補体制御因子のCD55、CD59が欠損して、補体の攻撃により赤血球破壊が起こる。

これは補体崩壊促進因子(CD55)や糖タンパク質(CD59)を欠損した赤血球が産生される為です。


PIGA遺伝子のGPI-A欠損

その結果、CD55及びCD59が欠損した赤血球は、血管内溶血を起こしやすくなるため、血栓症につながり、致命的な経過をたどります。

〔Nature Reviews Disease Primers〕




「ユルトミリス®(ラブリズマブ=Ravulizumab)」は、8週間隔で投与される最初で唯一の長時間作用型抗補体(C5)抗体で、成人の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として、2018年12月に米国で承認を取得。

「ユルトミリス®(ULTOMIRIS®)点滴静注300mg」は、免疫系の一部である終末補体カスケード(縦接続)のC5タンパク質の、C5a及びC5bへの開裂を阻害する事で作用する。

ユルトミリス点滴静注の作用機序


終末補体カスケードの制御不能な活性化は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の他にも、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性(antibody-positive)重症筋無力症(MG)抗アクアポリン4自己抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害(AQP4-NMOSD)
など、重度の超希少疾患にも関与しています。


これまで補体阻害剤の治療経験がないPNH患者、及び「*ソリリス点滴静注(エクリズマブ=Eculizumab/2010年6月発売)」による治療で、病状が安定していたPNH患者を対象とした第3相国際共同臨床試験では、全ての評価項目に於いて、8週間隔で静脈内投与された「ユルトミリス®点滴静注」の有効性の比較で、4週間隔投与のソリリスとの差異はなく、また不完全なC5阻害によるブレイクスルー溶血(治療中の溶血発作)が 「ユルトミリス」の投与により消失した事が示されました。

*ソリリス点滴静注300mgは……アレクシオンファーマ合同会社から、「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)における溶血抑制」の効能効果で、2010年6月14日に発売された「ユルトミリス」同様の抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤。
 ▲用法・用量が4週間隔又は2週間隔(体重により変わる)



発作性夜間ヘモグロビン尿症による真皮血管血栓症






【製品概要】
【製品名】:ユルトミリス®(ULTOMIRIS®)点滴静注300mg/1バイアル30mL
【一般名】:ラブリズマブ(遺伝子組換え)Ravulizumab
【効能・効果】:発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
【用法・用量】:通常、成人には、ラブリズマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1回2,400~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週後に1回3,000~3,600mg、以降8週ごとに1回3,000~3,600mgを点滴静注する。






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新・β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗菌薬「ザバクサ®配合点滴静注用」が発売開始

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MSD株式会社(本社:東京都千代田区九段北)は6月25日、尿路・腹腔内感染症治療薬で、新規セフェム系β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤「ザバクサ®配合点滴静注用」(一般名:タゾバクタムナトリウム/セフトロザン硫酸塩)を発売したと発表した。
本剤は、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍(のうよう=ウミ)、胆嚢炎、肝膿瘍を適応症として、2019年1月8日に製造販売承認を取得していました。


ザバクサ配合点滴静注用
β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤
『ザバクサ®配合点滴静注用』
(一般名:タゾバクタムナトリウム/セフトロザン硫酸塩)』
【ZERBAXA◆Tazobactam Sodium/Ceftolozane Sulfate】



尿路感染症(UTI)は、明らかな基礎疾患が認められない単純性(細菌性)尿路感染症と、基礎疾患が認められる複雑性尿路感染症とに分類され、主に膀胱炎と腎盂腎炎がある。
このうち複雑性尿路感染症は、再発や再燃を繰り返し、難治性であることが多い。

尿路感染症


20~50歳の成人では、尿路感染症(UTI)は女性の方が約50倍多く見られ、この年齢層の女性では、殆どの尿路感染症が膀胱炎または腎盂腎炎であり、同じ年齢層の男性では、殆どの尿路感染症が尿道炎または前立腺炎である。

尿路感染症に対する主な防御は、排尿時に膀胱が完全に空になる事である。

腎臓から外尿道口までの尿路は、正常では無菌状態であり、尿路を無菌に保つその他の機構としては、尿の酸性度、膀胱尿管弁、種々の免疫、及び粘膜バリアなどがある。


複雑性尿路感染症は、男女ともあらゆる年齢で発生する可能性があり、
(①)尿路の構造的または機能的異常と尿流の閉塞
(②)コントロール不良の糖尿病・慢性腎臓病・易感染状態など、感染、又は耐性化のリスクを上昇させる合併症
(③)尿路に対する器具操作(尿道カテーテル挿入)、又は手術を最近受けた、などが該当する。

〔MSDマニュアルプロフェッショナル版/03.泌尿器疾患/尿路感染症(UTI)より〕
〔日経メディカル Online/尿路・腹腔内感染症を適応とするβラクタマーゼ阻害薬配合のセフェム系抗菌薬/2019.2.8より〕







腹腔内膿瘍の状態

腹腔内感染症(IAI)は、消化管穿孔などや、手術や事故などの侵襲、或いは他の感染部位からの波及などによって起こる感染症で、消化管内の細菌や、外傷痕からの細菌侵入によって腹腔内の組織に感染し、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍などを発症する感染症です。

尿路感染症(UTI)や腹腔内感染症(IAI)は、血流感染を起こしやすく、しばしば敗血性ショックを起こすなど重症化に至ります。





「ザバクサ®」は、抗菌薬(抗生物質製剤)に対する耐性菌の一種であるESBL産生菌*や緑膿菌による感染症の難治化という課題に対し、既存のβラクタマーゼ阻害薬「タゾバクタム(TAZ)ナトリウム」と、新規セフェム系薬「セフトロザン(CTLZ)硫酸塩」を、力価比1:2の割合で配合した抗生物質です。


抗菌薬耐性緑膿菌類
抗菌薬(抗生物質製剤)耐性緑膿菌類
細菌の形が小さい、或いは丸く穴があるのが耐性菌。


比率の多い「セフトロザン」は、緑膿菌、ESBL産生菌*を含む大腸菌など腸内細菌などに強い抗菌活性を示します。
 *ESBL=Extended Spectrum beta(β) Lactamase(基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)産生菌は薬剤耐性菌の一種。


セフトロザンは、細菌のペニシリン結合タンパク質(PBP)に作用し、細胞壁合成を阻害することで殺菌作用を示す。
また、タゾバクタムはβラクタマーゼを不可逆的に阻害することで、セフトロザンが加水分解されることを防ぐ作用を有す。



β-ラクタマーゼ阻害剤の効果
新規セフェム系β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤
「ザバクサ®配合点滴静注用」の細菌破壊効果


「ザバクサ®」は、レンサ球菌属などのグラム陽性菌、腸内細菌科細菌(大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属など)及び緑膿菌などのグラム陰性菌に対して、幅広い抗菌活性を示すことが確認されている。

複雑性尿路感染症、及び腹腔内感染症においては、ESBL産生菌や緑膿菌による感染の難治化が問題となっており、「ザバクサ®」は国内第Ⅲ相試験において、尿路感染症、及び腹腔内感染症に対し高い有効性を示し、尿路感染症に対する細菌学的効果は75.8%、腹腔内感染症に対する臨床効果は87.0%だった。







【製品概要】

【製品名】:ザバクサ®(Zerbaxa)配合点滴静注用
【一般名】:タゾバクタムナトリウム/セフトロザン硫酸塩
【効能・効果】
<適応菌種>
◎本剤に感性のレンサ球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、緑膿菌
<適応症>
◎膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍

【用法・用量】:●通常、成人には1回1.5g(タゾバクタムとして0.5g/セフトロザンとして1g)を1日3回60分かけて点滴静注する。
尚、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍に対しては、メトロニダゾール注射液と併用すること。

【製造販売承認日】:2019年1月8日
【薬価基準収載日】:2019年2月26日
【発売日】:2019年6月25日
【薬価】:ザバクサ®配合点滴静注用(1.5g)1瓶 6,335円






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国内初/フォン・ヴィレブランド病治療薬「ボニコグ アルファ」の製造販売承認を申請

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武田薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市中央区/グローバル本社:東京都日本橋本町)は7‎月‎22‎日、グループ会社のシャイアー・ジャパン株式会社(本社:東京都千代田区丸の内)が、血小板機能欠乏異常症の一つである遺伝性出血性疾患のフォン・ヴィレブランド病(VWD)治療薬「ヒトフォン・ヴィレブランド因子製剤『ボニコグ アルファ(高純度遺伝子組換え型/米国販売名:VONVENDI)』開発コード:BAX111)」について、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表しました。

フォン・ヴィレブランド病治療薬ボニコグ_アルファ
遺伝性出血性疾患
フォン・ヴィレブランド病(VWD)治療薬
多量体含有遺伝子組換え型フォン・ヴィレブランド因子製剤
「ボニコグ アルファ(米FDA承認名:VONVENDI)」


フォン・ヴィレブランド病※(von Willebrand disease=VWD)は、血友病の次に多い出血性の病気で、止血に必要なタンパク質の1つ、フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor=VWF)の質的異常、又は量的低下や欠損に起因する、常染色体優性の遺伝性出血性疾患です。

フォン・ヴィレブランド因子は、血管内皮で産生分泌され、血管周囲基質の一部となります。

 ※本疾患は、1926年(大正15年/昭和元年)にフィンランドの医師エリック・フォン・ヴィレブランド氏により初めて報告されました。


★フォン・ヴィレブランド因子の働き★
何らかの事象で、血管の壁が破れ出血すると、直ぐにフォン・ヴィレブランド因子が、血小板表面膜上に溢れ出て来たタンパク質(コラーゲン/糖タンパク)と結合し、それによって血小板を血管壁に密着させる橋渡し役をする事で、止血粘着を促進し、出血部位を塞ぎ止血させます。


フォン・ヴィレブランド病と因子

しかし、フォン・ヴィレブランド病(VWD)患者では、このフォン・ヴィレブランド因子(VWF)量の低下や機能の異常により、傷ついた血管壁に血小板が結合できず、血が止まりにくくなります。

フォン・ヴィレブランド病は遺伝性の病気ですが、約30%の患者では兄弟姉妹、両親、祖父母に本疾患や、素因(保因者)者がいない場合があり、こうしたケースは(後天性)突然変異と呼ばれます。
また、症状が軽症であるため未診断の患者が多くいます。


公益財団法人エイズ予防財団が実施した全国調査によると、2018年5月31日時点で、国内のフォン・ヴィレブランド病(VWD)診断患者数は1,325人(男性:589人、女性:736人)※で、年々診断患者数は増加しています。
 ※公益財団法人エイズ予防財団.厚生労働省委託事業 平成30年度血液凝固異常症全国調査


フォン・ヴィレブランド病は、以下の3つの型に分類される。
フォン・ヴィレブランド病の病型分類

◆患者の多数(70%)は、VWF(フォン・ヴィレブランド因子)が量的に低下しているI型で、VWFが完全に欠損している重篤なIII型の患者は、民族差がありますが100万人に0.1~5.3人(5~10%)とされ、VWFが質的異常の場合のII型が25%とされています。

フォン・ヴィレブランド病の症状には、鼻出血、歯肉出血、粘膜出血、消化管出血、月経過多などの様々な出血性事象があり、I型とII型では女性に於いて、流産後の異常出血、分娩後の異常出血、性器出血、黄体出血、月経不正出血がありますが、しばしば何年も適切な診断を受けることなく生活しており、診断が確定しても、利用できる治療選択肢は限られています。

診断は、類似した症状の病気があるため、難しく、子供の頃から、出血が多かったり、止血しにくい、内出血しやすいといった症状があったり、初潮から月経が重かったり、不正出血といった症状がある場合は、まずは婦人科を受診し、婦人科の病気でない場合は血液内科を受診しましょう。

◆確定診断は、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)抗原が低値、及びリストセチン補因子活性異常に基づきます。


治療には,補充療法(ウイルス不活化を行った中間純度・血液凝固第VIII(八)因子濃縮製剤)またはデスモプレシン(血友病A/Type1・Type2Aのvon Willebrand病)投与による出血コントロールがある。

血液凝固第VIII(八)因子の正常な血漿中濃度を維持するためには、VWFも必要であり、VWF濃度は、ストレス、運動、妊娠、炎症、又は感染症に反応して一時的に上昇する事があります。
またType2BやType3には使えません。

〔# KMバイオロジクス株式会社(明治ホールディングス株式会社&Meiji Seika ファルマ株式会社)血友病及び類縁疾患について ⇒フォン・ヴィレブランド病について.より〕
〔# 武田薬品工業株式会社 国内向けニュースリリース2019/7/22〕
〔# MSDマニュアル・プロフェッショナル版/11. 血液学および腫瘍学/血小板減少症と血小板機能異常症/von Willebrand病より〕
〔# バクスアルタ株式会社コミュニケーション部 フォン・ヴィレブランド病成人患者に対する世界で初めての遺伝子組換え型フォン・ヴィレブランド因子製剤であるVONVENDIの承認を米国FDAより取得,より〕




「ボニコグ アルファ(米国販売名:VONVENDI)」は、巨大多量体(ULMs)を含む多量体と呼ばれるタンパク質(フォン・ヴィレブランド因子)を生理学的配分で含有する、革新的な遺伝子組換え型フォン・ヴィレブランド因子製剤です。

血栓(血小板による止血)形成を助ける活性が最も高いフォン・ヴィレブランド因子の形態である大型多量体を含んでいます。

本剤は血液凝固第VIII(八)因子を極く微量しか含まない世界初の薬剤でもあり、必要な場合にのみ血液凝固第VIII(八)因子を投与することができます。
これにより、血液凝固第VIII(八)因子を必要としない患者にも対応した治療が可能となります。





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蚊媒介感染症・黄熱ワクチン1回接種用剤「黄熱ワクチン1人用」が8月19日より接種開始

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サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区西新宿)は7月19日、黄熱ワクチン1回接種用製剤「黄熱ワクチン 1人用」の製造販売承認を2019年5月に取得した事を受け、8月19日より接種が開始されると発表しました。

黄熱ワクチンのスタマリル
*参考写真。
黄熱ワクチン「スタマリル(Stamaril®国内未承認)」



日本に於いて黄熱ワクチンは、1955年より1本のバイアル製剤中に5回分(5名分)の量が含まれる「黄熱ワクチン」が供給されていました。
しかし、製造元であるフランスのサノフィパスツール社(Sanofi Pasteur S.A.)は2016年に、「黄熱ワクチン」の製造を1本のバイアル製剤に1回分(1名分)の量が含まれる製剤に1本化することを決定しました。

その決定に基づき、サノフィ株式会社は、「黄熱ワクチン 1回接種用製剤『黄熱ワクチン 1人用』の日本に於ける承認申請・販売開始手続きを進め、この度「黄熱ワクチン 1人用」の接種開始が可能となったものです。
本製剤の導入により、接種機関・被接種者の煩雑性が改善され、利便性向上が期待されます。





ネッタイシマカ
ネッタイシマカ(Aedes aegypti)

黄熱(=黄熱病)は蚊(ネッタイシマカ)によって媒介される感染症です。

ジカウイルス感染症やデング熱、日本脳炎などの感染症の原因となるウイルスと近縁の“黄熱ウイルス”に感染する事により起こる感染症で、感染すると、発熱、寒気などの症状を引き起こすことがあり、更に一部の患者で重症化し、適切な治療を行わないと死に至る場合があります。


黄熱ウイルス
“黄熱ウイルス(Yellow Fever Virus)”


尚、これまでの5回接種用製剤の製造中止の決定を受け、日本では2018年(平成30年)11月以後、「黄熱ワクチン 1人用」1回接種用製剤の接種が可能になる2019年8月19日までの期間は、一時的に臨床研究法に基づく臨床研究として、サノフィ・パスツール社(本社:フランス)が製造する黄熱ワクチン 「Stamaril®」(スタマリル=日本国内未承認)の予防接種を行っている。

黄熱ワクチンのスタマリル

「Stamaril®」は、世界保健機関(WHO)で認められているワクチンで、1986年以降、70を超える国と地域で使用されており、これまでに4億回接種分を超えるワクチンが出荷されています。

黄熱_アフリカ大陸浸淫地域
北緯15度と南緯15度に挟まれたアフリカの熱帯地方には、この浸淫地帯が広がっている(図1)が、例外はジブチ、ソマリア北部、マダガスカルとヤブカ属ネッタイシマカを駆逐した都市である。

黄熱_中南米浸淫地域
アメリカ大陸の熱帯地方では、北はパナマから南緯15度に至るまで広がっており(図2)雨季に発生が多い。特にアマゾン川流域の熱帯雨林に接した国々で地域流行を起こし、毎年の様に患者発生がある。

アジアと太平洋では、黄熱は存在しないが少なくとも都市部にはネッタイシマカが生息するため伝播状況は整っている。


海外旅行で中南米諸国や中央部アフリカ諸国へ渡航する際、予防接種をしたことのある方もいるでしょう。

黄熱の予防接種証明書を携帯していないと入国できない国や、複数の国を渡航する場合に、予防接種証明書の提示を求められる国があります。
黄熱ワクチンの接種証明書は、指定接種機関のみで発行が可能なため、接種機関は限定されています。





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腎性貧血治療薬のバイオ後発品「ダルベポエチン アルファ注シリンジ」が発売を開始

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協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区大手町)は、新規設立の子会社・協和キリンフロンティア株式会社(本社:東京都千代田区)が2019年8月5日、持続型赤血球造血刺激因子製剤『ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」(遺伝子組換え)』を発売したと発表しました。

本剤は、協和キリン株式会社が製造販売している腎性貧血、及び骨髄異形成症候群に伴う貧血の治療薬「ネスプ®」のオーソライズドジェネリック*です。


*:オーソライズドジェネリック(AG)とは、先発医薬品の特許権を有している会社から、特許実施許諾を受け製造販売される原薬・添加物・製造方法が同じ先発品と同一である後発品を言う。


ダルベポエチン_アルファ注15μgシリンジKKF
ダルベポエチン_アルファ注60μgシリンジKKF
持続型赤血球造血刺激因子製剤
腎性貧血治療薬『ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」』
オーソライズドジェネリック(AG)医薬品


腎性貧血は,慢性腎臓病(CKD=Chronic Kidney Disease)に於ける代表的な合併症の一つで、腎臓でヘモグロビン(赤血球の中に含まれ酸素を運搬する)の低下に見合った十分量のエリスロポエチン(EPO:ホルモンの一種)が産生されない事によって引き起こされる貧血で、貧血の主因が慢性腎臓病(CKD)による腎障害以外に求められないものを言う。

慢性腎臓病(CKD=Chronic Kidney Disease)の患者数は1,330万人、このうち透析患者数は33万人(一般社団法人 全国腎臓病協議会)で、腎性貧血治療薬については、これまで“バイオセイム(後発バイオ医薬品=BS)”の製剤として、エリスロポエチン製剤の「エポエチンアルファBS』(キッセイ薬品=JCR)がありました。




ネスプ注射液10μgプラシリンジ
[先発品]ネスプ注射液10μgプラシリンジ

今回、先発品の「ネスプ®」と同じダルベポエチン製剤のバイオセイム「ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」」が登場した事で、生涯にわたる全体的な医療費の削減と費用対効果が一層促進されると見られる。


「ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」」は、製造販売元の協和キリンフロンティア株式会社から、協和キリン株式会社が製造を受託。
原薬や添加物も先発品の「ネスプ®」と同様で、協和キリン株式会社の同じ工場で生産される。
但し、適応は腎性貧血のみで、「ネスプ®」の持つ「骨髄異形成症候群に伴う貧血」の適応は現時点では持たない。



腎性貧血と血液透析


現在、腎性貧血の適応で販売されている薬剤は、全て血液透析患者や透析導入前の腎性貧血、更に腹膜透析や保存期慢性腎臓病患者、及び未熟児貧血となっている。

今回発売される製品は、製造を親会社(協和キリン)が請け負い、原薬や添加物など製造過程が同じ、いわゆる“バイオセイム(後発バイオ医薬品=BS)”である。
低薬価のマーケットインパクトが大きい透析市場だけに、中央社会保険医療協議会(中医協)でも薬価をめぐる議論が巻き起こり、最終的に先発品の0.7掛けとする事が決まっていた。(後発品の薬価は通常0.5掛け)


また、協和キリン株式会社からは、製剤単位(IU:国際的に統一された単位)の異なる「エスポー®」も発売されているが、今回の対象には含まれていない。





【製品概要と先発品との比較】

【製品名】:ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」
【一般名】:ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)
【製剤種別】:ダルベポエチン製剤/持続型赤血球造血刺激因子
【効能・効果】:腎性貧血
【承認取得日】:2018年8月15日
【発売日】:2019年8月5日
【製造販売元】:協和キリンフロンティア株式会社
【薬価】:
ダルベポエチン アルファ注5µg/シリンジ「KKF」=876円〔先:1,265円〕
ダルベポエチン アルファ注10µg/シリンジ「KKF」=1,546円〔先:2,307円〕
ダルベポエチン アルファ注15µg/シリンジ「KKF」=2,154円〔先:3,280円〕
ダルベポエチン アルファ注20µg/シリンジ「KKF」=2,727円〔先:4,162円〕
ダルベポエチン アルファ注30µg/シリンジ「KKF」=3,801円〔先:6,015円〕
ダルベポエチン アルファ注40µg/シリンジ「KKF」=4,811円〔先:7,393円〕
ダルベポエチン アルファ注60µg/シリンジ「KKF」=6,706円〔先:10,624円〕
ダルベポエチン アルファ注120µg/シリンジ「KKF」=11,831円〔先:18,744円〕
ダルベポエチン アルファ注180µg/シリンジ「KKF」=16,492円〔先:26,270円〕





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多発性骨髄腫…選択肢

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再発/難治性慢性リンパ性白血病治療薬「ベネクレクスタ錠」の製造販売承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は8月23日、アッヴィ合同会社(本社:東京都港区三田3丁目)が製造販売承認を申請していた、1つ以上の前治療歴がある再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(CLL/小リンパ球性リンパ腫を含む)を効能・効果とする、経口BCL-2阻害薬「ベネクレクスタ錠10mg、同50mg、同100mg(一般名:ベネトクラクス=venetoclax)」について、新有効成分含有医薬品として、承認を了承した。

正式承認は9月下旬以降と見られる。


慢性リンパ性白血病治療薬ベネクレクスタ錠(ベネトクラクス)
再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)治療薬
<経口BCL-2阻害薬>
「ベネクレクスタ錠10mg、同50mg、同100mg」
(一般名:ベネトクラクスvenetoclax)」



慢性リンパ性白血病(CLL=Chronic Lymphocytic Leukemia)は、通常緩やかに進行する慢性の骨髄及び血液がんの一種で、血液細胞の中の成熟したB細胞リンパ球と呼ばれる白血球が癌化して、異常な白血病細胞が増殖する病気です。
日本での発症率は、年間10万人に0.3人です。患者数は慢性リンパ性白血病が約1000人、類似の小リンパ球性リンパ腫が約1600人と推定されています。

国内の診断時年齢中央値は60~70歳以上、全体の4分の3以上の患者が50歳以上の中高年で、若年層や30歳未満の人には殆ど見られず、小児には見られません。

米国や欧州では、最も多く見られる白血病が、慢性リンパ性白血病のため、治療薬の開発や治療のガイドラインの更新が早いのが特徴ですが、日本では希少がんのため、臨床試験の登録患者が少なく、治療薬の承認に時間が掛かっているのが現状です。

[国立がん研究センター がん情報サービス 2018年10月]
[MSDマニュアル-家庭版、慢性リンパ性白血病-原因、症状、診断、および治療についてより]
[米国癌学会 (2015). Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL).]




慢性リンパ性白血病は、完全に治癒する事は難しい疾患ですが、寛解に導く事で、長期生存が可能です。
しかしながら、体力や免疫力の低下による再発の不安を常に抱えている事になります。
また中・高齢者が多い事から、一部(若年者)を除いては症状緩和や病状のコントロールを目的とした治療となります。
慢性リンパ性白血病の病期分類
慢性リンパ性白血病の病期分類

病状の進行がゆっくりのため、病期分類0期、Ⅰ期、Ⅱ期では、慎重な経過観察を行います。
病期Ⅲ、Ⅳ期になると、リンパ節腫脹や肝臓・脾臓(ひぞう)の腫大、貧血や血小板減少などの症状が見られるようになり、治療の開始基準となります。



アッヴィのプレスリリース(2018年12月17日)によると、米国での再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する「ベネトクラクス(ベネクレクスタ錠)」と「リツキシマブ(遺伝子組換え/抗CD20モノクローナル抗体)」併用療法での3年全生存率は、87.9%で、「トレアキシン(ベンダムスチン塩酸塩)」と「リツキシマブ」の79.5%に比べて10%高い結果となった。



「ベネクレクスタ錠(一般名:ベネトクラクス=venetoclax)」は、B細胞リンパ腫2(BCL-2=B-cell lymphoma 2)タンパク質を標的に、選択的に結合及び阻害する初の分子標的薬です。

慢性リンパ性白血病では、BCL-2が過剰発現し、がん細胞のアポトーシスと呼ばれる自然死、又は自己破壊の過程を阻止しています。「ベネクレクスタ錠(ベネトクラクス)」は、失われたがん細胞のアポトーシスの過程を回復させる作用があります。


ベネトクラクス(ベンクレクスタ)作用機序・慢性リンパ性白血病
【用語説明】
◆BIMやBAXはBCL-2族タンパク質であり、通常はBAD、BID、BAXおよびBIMは細胞質に存在しますが、アポトーシス促進タンパク質の活性化によるシグナルを受け取ると、細胞死のためにミトコンドリアへと移動し、そこでシトクロムcの放出を促進。結果として癌細胞をアポトーシスへ導く。



2019年5月時点に於いて、慢性リンパ性白血病に関する効能・効果で、米国や欧州など68ヶ国で承認されている。

また本剤は、2019年5月28日に米国FDAにより、治療歴のない慢性リンパ性白血病に対する化学療法を含まない併用レジメン(オビヌツズマブ=分子標的薬/中外製薬)として、承認されました。




「ベネクレクスタ錠(Veneclexta)」は、以下の重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
◎腫瘍崩壊症候群(TLS)
腫瘍崩壊症候群(TLS)は、がん細胞が短時間に崩壊することにより起こり、TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性があるほか、死に至ることもあります。
担当の医療従事者は、本剤の投与開始前に検査を行い、TLSになるリスクがあるかを調べます。TLSになるリスクを低減させるため、本剤の投与開始前と投与中に他の薬剤を投与します。







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セロイドリポフスチン症2型治療薬「ブリニューラ脳室内注射液」の製造承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会は8月29日、BioMarin Pharmaceutical Japan 株式会社(バイオマリン社/本社:東京都渋谷区代々木)から製造販売承認申請が出されていた、ライソゾーム病の一つに分類される、希少指定難病の「セロイドリポフスチン症2型(CLN2)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・希少疾病用医薬品「ブリニューラ脳室内注射液150mg(セルリポナーゼアルファ=遺伝子組換え)」の承認を了承した。

ブリニューラ脳室内注射液150mg_Brineura
セロイドリポフスチン症2型(CLN2)治療薬
⇒神経性セロイドリポフスチン蓄積症2型とも言う。
「ブリニューラ®(Brineura®)脳室内注射液150mg」
(一般名:セルリポナーゼアルファ)」


セロイドリポフスチン症2型(CLN2=Neuronal Ceroid Lipofuscinosis type 2/または神経セロイドリポフスチン症2型)は、先天性代謝異常のライソゾーム病(Lysosomal disease)の中に分類されるセロイドリポフスチン症(CL=Ceroid Lipofuscinoses)のタイプの1つです。

セロイドリポフスチン症は、変異する遺伝子のタイプによって、CLN1~CLN10までの10型に分類され、セロイドリポフスチン症2型(CLN2)は、第11染色体p15.4遺伝子座(TPP1=Tripeptidyl-peptidase 1/トリペプチジルペプチダーゼ1)に異常が認められる常染色体劣性遺伝形式で遺伝する疾患です。


セロイドリポフスチン症2型のTPP1遺伝子
TPP1遺伝子の異常は1種ではなく……
15個の変形遺伝子、7個の塩基配列の変形突然変異、4個の遺伝子配列の欠失変形、
3個の無意味な変形、1個の遺伝情報を持たない変形配列など多岐に及ぶ。
〔参考元:https://link.springer.com/article/10.1186/s12883-018-1206-1 ⇒© 2019 Springer Nature Switzerland AG〕
〔ニューロン・セロイド・リポフスチン症のタイプ◇http://bisc423ncl.blogspot.com/2012/05/types-of-ncls.html〕
〔https://omim.org/entry/204500◇®1966-2019 Johns Hopkins University〕




リポフスチン顆粒 (青くて黄色の構造)
ライソゾーム内の神経細胞にリポフスチン顆粒が蓄積する。
(近紫外線又は青色光の高エネルギーに曝されると、黄色の自家蛍光を発する。)

◆セロイドリポフスチン症(CL)そのものは、細胞内で老廃物を分解する機能に障害が生じ、細胞内にリポフスチン(Lipofuscin)という不溶性褐色消耗性色素が蓄積する、進行性の遺伝性神経変性疾患で、視力障害、運動失調、痙攣などを呈し、最終的には寝たきりとなる。

米国では、CLN2の発症率は年約10万人に 2人~4人で、日本国内の患者数は、セロイドリポフスチン症全体で、2001年の全国調査で27例との報告があった。



発症年齢、臨床経過により、一般に乳児型、遅発性乳児型、小児型、成人型の4タイプに分けられ、セロイドリポフスチン症2型(CLN2)は幼児期の2~4歳の間で発症します。

CLN2は、他の徴候が現れる前に、子供たちは良く言語発達の緩徐で酷い遅れに悩まされる病態を示す事があります。

また典型的な早期の兆候として、運動失調と失明などの重篤な転帰をたどり、急激に症状が進んで、8~12歳の間で死に至ります。

〔国立研究開発法人 小児慢性特定疾病情報センター〕
〔USA.gov……National Institute of Neurological Disorders and Stroke/Ceroid lipofuscinosis 2 (CLN2 disease)〕
https://www.ninds.nih.gov/About-NINDS/Impact/NINDS-Contributions-Approved-Therapies/Cerliponase-alfa-Brineura%C2%AE-%E2%80%93-Ceroid




ブリニューラ脳室内注射液・セロイドリポフスチン症2型治療薬
ブリニューラ脳室内注射液の概要

「ブリニューラ®(Brineura®)脳室内注射液150mg(セルリポナーゼアルファ)」は、セロイドリポフスチン症2型(CLN2)に対する治療のために開発された酵素補充療法薬で、CLN2の患者に欠損しているトリペプチジルペプチダーゼという酵素を補充する事で、CLN2患者の特徴であるリポフルスチンの蓄積を減少させます。

「ブリニューラ®(Cerliponase alfa)」は現在の所、CLN2の
遺伝子異常疾患の進行を効果的に減衰させることが臨床的に承認された、唯一の薬剤です。



セロイドリポフスチン症2型治療薬・ブリニューラ脳室内注射液投与法
セロイドリポフスチン症2型治療薬
ブリニューラ脳室内注射液投与方法

【安全情報の表示と使用】
「ブリニューラ®(Brineura® ™)」は、トリペプチジルペプチダーゼ酵素欠失としても知られる、後期乳児神経セロイドリポフスチン症2型(CLN2)の3歳以上の症候性小児患者の歩行能力、又はクロール(運動)能力の低下を遅らせることが承認された、処方薬です。

[Ⅰ]「ブリニューラ®(Brineura® ™)」は、脳への液体の注入(脳室内注射としても知られる)と、感染のリスクを減らすため、滅菌技術の使用によってのみ投与されます。

[Ⅱ]脳室内へのアクセスデバイス、又はポート(開口部)は、最初の注入の少なくとも5~7日前に配置する必要があります。

[Ⅲ]脳室内アクセス装置関連からの感染は、「ブリニューラ®(Brineura® ™)」治療で観察されている事象です。

[Ⅳ]感染症の兆候が発生した場合は、直ぐに医師に連絡し処置を実施すること。

[Ⅴ]患者(小児)の脳室内アクセスデバイスは、時間の経過と共に、交換する必要が生じる場合があります。

[Ⅵ]本剤の使用量は、300mgを1週間置きに脳室内に電解質(Electrolytes/5ml)と共に投与。

セロイドリポフスチン症2型治療薬・ブリニューラ脳室内注射液

[Ⅶ]本剤は、3歳未満の小児患者の安全性と有効性は確立されていません。
https://www.brineura.com/




★本稿について…本疾患及び本治療薬に関する日本国内の文献や参考書籍が非常に希有で詳細に欠けるため、ほとんどの内容を海外のウェブサイトに頼らざるをえない事から、英文翻訳に数多の困難がありました。
本稿の内容の正確な記述はリンク先にあるので、確認したい方はそちらのサイトをご覧下さい。また使用量は米国の例を記載しています。





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乳糖不添加のイナビル吸入懸濁用が薬価収載/18/19シーズンのインフル治療薬の順位は?

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厚生労働省の中央社会保険医療協議会 総会は8月28日、新薬12製品を薬価収載する事を決め、9月4日に収載された。各製品の販売日は各製薬会社の準備が整い次第となる。

 やじる この中には、第一三共株式会社(本社:東京都中央区日本橋)の抗ウイルス剤、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療を効能・効果とする「長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤『イナビルⓇ吸入懸濁用160mgセット(一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)』」が含まれ、発売予定日を10月25日とした。


イナビル吸入懸濁用160mgセット
イナビル吸入懸濁用160mgセットのネブライザー


イナビルは2010年10月より、治療が1回で完結する「イナビル吸入粉末剤20mg」を販売していましたが、製品が吸入粉末のため、深く吸い込むことが困難だった幼児や小児、又は高齢者などには治療の選択が制限される現状がありました。


 やじる 今回新たに発売される新剤形は、これまでと同じ吸入剤ですが、ネブライザーに懸濁した薬液を投入し、霧状にすることで、自発呼吸で薬剤を吸い込めるよう設計されたものです。
イナビル吸入懸濁用160mg使用法

5歳未満の小児や、気管支喘息など、肺機能が著しく低下する呼吸器疾患を合併している患者でも、使いやすくなったほか
これまでの「イナビル吸入粉末剤」では、添加剤として乳糖水和物を含有していたため、乳製品に対し過敏症の既往症がある患者は、慎重投与とされていましたが、今回の「イナビル吸入懸濁用」には添加されておらず、慎重投与扱いにはならないと言うことです。

2タイプの剤形を提供することにより、今までのイナビル吸入粉末剤と共に、幅広いインフルエンザ患者への治療が可能になると思われます。




【10月25日発売予定】
【販売名】:イナビル吸入懸濁用160mgセット(ネブライザ吸入器を添付)
【一般名】:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
【薬効分類】:625(抗ウイルス剤(外用薬))
【効能・効果】:A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療
【薬価/9月30日まで】:160mg1瓶4164.40円(1日薬価4164.40円)
【薬価/10月1日から】:160mg1瓶4241.50円(1日薬価4241.50円)
【薬価収載日】:2019年9月4日
【新発売日】:2019年10月25日
【製造販売元】:第一三共株式会社




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◇日経メディカル Onlineより◇

2018/19シーズンに於いて、医師が主に使用した抗インフルエンザ薬の治療方針調査が明らかになった――。


2018と2019に使用した抗インフルエンザ薬
2018/19シーズンに使用した抗インフルエンザ薬の割合(n=3738)

その結果、第1位は、タミフル(49.4%◇一般名:オセルタミビル)で、第2位はイナビル(22.8%◇一般名:ラニナミビル)、注目された新薬であるゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル)は15.6%で第3位となった。
他にリレンザ(一般名:ザナミビル)は9.1%、ラピアクタ(一般名:ペラミビル)は3.1%であった。

タミフルが増加したのは、10歳代の患者への使用が10年ぶりに再開されたことや、ジェネリックの登場で患者の負担が軽減されたことが背景にあると考えられる。




 やじる また、医師に抗インフルエンザ薬を選択する際に気に掛ける事項を尋ねたところ、「安全性」が45.2%と最多だった。
2018年10月実施の治療方針調査で20%台だった「耐性ウイルスの出現」は今回、40.0%と急増していた。

年明け以降、“ゾフルーザ耐性ウイルス”の検出が相次いだことが「耐性ウイルスの出現」を押し上げたと思われ、現場の医師が敏感に反応した現れとなった。


抗インフルエンザ薬を選択する際に気に掛ける事項
抗インフルエンザ薬を選択する際に気に掛ける事項


抗インフルエンザ薬の選択理由としては、タミフルとリレンザでは「使いやすい」が最も多く、イナビルとラピアクタは「1回の治療で済む」が最も多かった。

昨シーズン、新薬ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル)について、処方した医師1580人のうち、「小児へのゾフルーザ使用は避けるべき」との意見を、6割超が支持していた事も分かった。



今期(2019/2020シーズン)のゾフルーザの治療上の位置付けについては、「積極的に使用する方針だ」は11.7%、「症例を絞って使用する方針だ」は24.6%だったのに対して、「使用するつもりはない」が17.8%、「積極的には使用しない方針だ」は18.8%と、計36.3%対36.6%と拮抗する割合となっている。


●調査概要と回答者プロフィール
調査名:2018/19シーズン・インフルエンザ治療レビュー調査
調査実施期間:2019年07月22日~2019年07月28日
調査対象:日経メディカル Onlineの医師会員
回答者:3738人
[年齢]29歳以下:3.6%、30~39歳:16.1%、40~49歳:23.4%、50~59歳:34.7%、60~69歳:19.4%、70歳以上:2.8%






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NTRK融合遺伝子陽性固形がん治療薬「ロズリートレクカプセル」が発売を開始

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中外製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)は9月4日、がん腫を問わない「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がん」を効能・効果とした、抗悪性腫瘍剤/経口チロシンキナーゼ阻害剤『ロズリートレク®カプセル100mg、同200mg(一般名:エヌトレクチニブ(Entrectinib)/遺伝子組換え)』を、薬価基準収載と同時に発売を開始した。

「ロズリートレク®(ROZLYTREK®)カプセル」は、希少がん(神経膠腫・膠芽腫)などで、がん細胞の増殖が促進されると考えられている、NTRK(NeuroTrophic Receptor tyrosine Kinase)融合遺伝子から作られる融合TRKの働きを阻害し、増殖を抑えるとされる。



NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形癌治療薬ロズリートレクカプセル100mg_200mg
NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん治療薬
抗悪性腫瘍剤/ROS1/TRK阻害剤
「ロズリートレク®カプセル100mg、同200 mg」(一般名:エヌトレクチニブ)


NTRK(神経栄養因子受容体チロシンキナーゼ)融合遺伝子とは、NTRK遺伝子(NTRK1、NTRK2、NTRK3→は、それぞれ→TRKA、→TRKB、→TRKCタンパク質を*コードする)と他の遺伝子(ETV6、LMNA、TPM3など)とが染色体転座の結果、融合してできる異常な遺伝子です。

NTRK融合遺伝子から作られる融合TRKタンパク質

NTRK融合遺伝子の発生は、極めて非常に稀に存在する、成人や小児の様々な固形がんや肉腫等〔乳児型線維肉腫、神経膠腫、神経膠芽腫、びまん性橋グリオーマ、先天性中胚葉性腎腫、悪性黒色腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、子宮肉腫、その他軟部腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、乳腺分泌がん、唾液腺分泌がん、原発不明がん、肺がん、大腸がん、虫垂がん、乳がん、胃がん、卵巣がん、甲状腺がん、胆管がん、膵臓がん、頭頸部がん、等〕で確認されています。

NTRK融合遺伝子から作られる融合TRK(トロポミオシン受容体キナーゼ)により、がん細胞の増殖が促進されると考えられています。

NTRK融合遺伝子と染色体転座


◆ NTRK1/NTRK2/NTRK3遺伝子が、染色体上で遺伝子融合を起こした場合、これらによって*コードされるTRK-A/TRK-B/TRK-Cタンパク質は、リガンド(=特定のタンパク質や受容体などと特異的に結合する物質)である神経栄養因子(神経成長因子、脳由来神経栄養因子及びニューロトロフィン)と結合することで、TRK融合タンパクにより、恒常的にチロシンキナーゼが活性化される。

その結果、癌細胞への生存及び増殖シグナルを発し続けるため、癌細胞の過剰増殖及び生存延長が起こる。

*コードするとは…核酸の塩基配列からタンパク質のアミノ酸配列に変換するためのコード。
〔参考元:U.S. FDA Pediatric oncology subcommittee of the oncologic Drugs advisory committee(米FDA小児腫瘍学小委員会 薬諮問委員会)〕
〔中外製薬株式会社 ニュースリリース:2019年06月18日〕



「ロズリートレク®カプセル」は、このシグナル伝達分子を阻害することによって、細胞増殖抑制作用を示すとされています。

〔臨床成績〕
大人(18歳以上)
◇国際共同第Ⅱ相試験(STARTRK-2試験)
NTRK融合遺伝子陽性患者の奏効率(癌腫別)


ロズリートレクカプセルの患者奏効率

小児(22歳未満/n=5)
◇国際共同第Ⅱ相試験(STARTRK-2試験)、海外第Ⅰ相試験(STARTRK-1試験)及び海外第Ⅰ/Ⅰb 相試験(STARTRK-NG試験)に組み入れられた4歳以上の患者。


ロズリートレクカプセルの小児患者の治療成績

副作用発現頻度は、100.0%(5/5例)であった。
主な副作用は、白血球数減少100.0%(5/5例)、貧血80.0%(4/5例)、好中球数減少60.0%(3/5例)、体重増加40.0%(2/5例)、傾眠40.0%(2/5例)、食欲亢進40.0%(2/5例)であった。

〔参考元:https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20190904150000_874.html〕
〔米国FDA https://www.fda.gov/media/99239/download



【製品概要】
【販売名】:ロズリートレク®カプセル100mg/同200mg(ROZLYTREK® Capsules)
【一般名】:エヌトレクチニブ(Entrectinib)
【効能又は効果】:NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌
【用法及び用量】:
 ①通常、成人にはエヌトレクチニブとして1日1回600mgを経口投与する。尚、患者の状態により適宜減量する。

 ②通常、小児にはエヌトレクチニブとして1日1回300mg/m2(体表面積)を経口投与する。但し、600mgを超えない事。尚、患者の状態により適宜減量する。
ロズリートレクカプセルの小児患者の投与用量


【用法及び用量に関連する注意】:他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

【薬価】:
  ロズリートレクカプセル100mg/5,214.20円(100mg/1カプセル)
  ロズリートレクカプセル200mg/9,889.90円(200mg/1カプセル)







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妊娠中の抗うつ薬の服用と子供のADHDの関係

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妊娠前や妊娠中に薬を服用していると、生まれる子供(児)にどのような影響があるのか気になる所です。その薬が抗うつ薬や睡眠薬である場合、尚のこと心配は尽きません。

近年、頻繁に耳にする“産後うつ”は、患者である母親が妊娠中に既に罹患している場合があり、抗うつ薬や抗不安薬を妊娠中のため飲めない…断薬と言う選択をする母親が増えています。

しかし実際には、妊娠中の精神疾患(不眠症、抑うつ、心身症/不安・緊張・強迫・恐怖、うつ病、うつ状態、パニック障害、社会不安、双極性)は、希有なことではなく、向精神薬によって治療することが多いのです。

近年では、“産後うつ”“育児不安”などは妊娠初期から現れる妊婦も多く、出産後の“育児放棄”や、緊張や不安を取り除く向精神薬、及び抗うつ薬の使用が増加しています。

ところが向精神薬を服用した場合の子宮内(胎児)曝露(バクロ)の影響についての情報は、新薬ほど限られている現状があります。

抗うつ薬使用についての研究は比較的多いのですが,母体基礎疾患、飲酒・喫煙、麻薬、カフェインなど、出生転帰(妊娠継続中)に影響する可能性のある他の因子を、適切に調整していないものも多く、また最近不安視されている発達障害(高機能自閉症やアスペルガーなど)やADHD(注意欠陥/多動性障害)、知的障害などは、催奇形(先天性心疾患など)と異なり、年月が経たないと分からない病態もあります。



【ネット検索の盲点】

■ 最近までFDA(米国食品医薬品局)は妊娠中の薬物安全性に関する規制情報について、OTC薬及び処方薬の安全性を5つ(A, B, C, D,X)のカテゴリーに分類していました。
薬の安全性のことを調べると、この五段階表示を目にしたことがある人もいると思います。


A…妊婦に対しての研究結果では妊娠3ヵ月時も、その後の妊娠期間にも、胎児への危険が発見されなかったもの。胎児に対して害を与える可能性は殆ど無いもの。
B…動物実験では胎児に対しての影響は発見されなかったが、妊婦における臨床検査は行われていないもの。もしくは動物実験で胎児に影響が発見されたが、ヒト妊婦に対しての臨床検査で危険性が確認されていないもの。
C…動物実験で胎児に対する危険性が発見されたが(催奇形児、未熟児)、妊婦における臨床検査は行われていないもの。もしくは動物実験も妊婦における臨床検査も行われていないもの。《特》
D…人間の胎児に対する危険性がはっきりと確認されているもの。但し、その薬を使わないと命にかかわる場合や深刻な病気に罹患していて、その薬より安全な薬が使えない。《特》
X…動物実験でも妊婦における臨床検査でも胎児に対する異常が発見されている。もしくは妊婦が使った場合、胎児に対する危険性が発見されている。妊婦の服用は絶対しないこと。



しかしFDAは、2014年12月4日、良好に統制された大規模で、尚且つ永年追跡された治療薬の研究で、妊婦と児(こ)を対象に実施されたものは殆ど無く、妊娠中の薬物安全性に関する情報の大半は、動物試験、非対照研究、及び市販後調査から得られたものである。

そのため,FDAの5つの分類システムは混乱を招くもので、利用可能な情報を臨床意思決定に適用することは困難として、妊娠に関するカテゴリーを全ての薬剤の表示から削除することを義務付けた。
https://www.federalregister.gov/documents/2014/12/04/2014-28241/content-and-format-of-labeling-for-human-prescription-drug-and-biological-products-requirements-for

検索すると未だにこの米FDA基準を見かけますが、コホート研究は積み重ねられており、信用すべきではないでしょう。主治医の判断に従うのが妥当と思われます。




【最新の海外論文からピックアップ】

~ノルウェーのコホート(長期間にわたって特定の地域や集団に属する人々を対象)研究で5歳時点のADHD発達を評価~

母体のベンゾジアゼピン使用は児(こ)のADHDに関係しない。
概要はJAMA Network Open誌の「Association of Maternal Use of Benzodiazepines and Z-Hypnotics During PregnancyWith Motor and Communication Skills and Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Symptoms in Preschoolers」2019年4月5日電子版

ノルウェー・オスロ大学のAngela Lupattelli氏らのコホート研究データで。
分析対象者、1999~2008年の妊婦計9万5200人の母親と、産まれた11万4500人の小児が参加、子供が5歳時点までの追跡結果。


抗うつ薬とADHDの関係
《クリックすると拡大します。》
【引用・記事元:日経メディカル/海外論文ピックアップ 母体のベンゾジアゼピン使用は児のADHDに関係しない 2019/5/7より表を作成しました】



尚、読売新聞電子版の2017年7月8日付け「ヨミドクター」に、『妊娠中の抗うつ薬がADHDリスクを高める』との、香港の研究グループの記事が抜粋され掲載されていますが、英語の全文を読む限りに於いて、抗うつ薬のどんな薬剤名か、或いは処方用量などについて一切記載が見当たりませんでした。
抗うつ薬の種類は多岐に渡り、用法用量も妊婦では特別な配慮がなされるべきですが、そうした記載もなく評価及び信頼性に乏しい。



薬剤危険度情報評価基準

▼危険度の評価は、「実践 妊娠と薬 第2版(発行:2010年12月/発行元:株式会社じほう/定価:¥13,000+税)」の時点で得られた妊婦を対象とした疫学調査・症例研究・動物実験等の情報、及び一部最新の文献に基づいています。

▼評価条件の文言は、『虎ノ門病院 「妊娠と薬相談外来」』に記載された条件に、株式会社じほう発行の「治療薬ハンドブック2019(発行:2019年1月19日)」に追加された条件を新たに記載しています。

▼同じ1点であっても、新薬発売直後で催奇形性を示す情報が少ない薬物と、疫学調査で催奇形との関連は認められなかったことが確認されている薬物では、情報の質と量に基づく信頼度に大きな差がある。

▼そこで、情報の質と量をスコア化し、「±」、「+」、「++」、「+++」の4段階で表示している。




危惧されるのは、うつ病や不安症、パニック障害や統合失調症の患者が低年齢下していて、十代から向精神薬を服用している女性が増えている事です。

この人たちが妊娠をむかえるのは20歳代半ばから30歳前後で、例え精神疾患を抱えていても安心して妊娠を継続し、向精神薬についても胎児へのリスクが軽微で服薬を続けられるよう、十分なコホート追跡研究が積み重ねられることを願います。
向精神薬だけでなく、市販薬でもリスクは付きものですが、せめて処方薬に関しては、安全情報の蓄積に惜しまない努力を期待するばかりです。






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デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療用核酸医薬品「ビルトラルセン」を承認申請

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日本新薬株式会社(本社:京都府京都市南区)は9月26日、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP/東京都小平市)と共同で開発中の、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬で核酸医薬品「ビルトラルセン(開発コード:NS-065/NCNP-01)」について、「エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されているデュシェンヌ型筋ジストロフィー」を期待予定適応症として、製造販売承認申請を行ったと発表しました。

DMDイメージ
*写真はイメージです。
本剤は米FDAに対しても同時承認申請されました。
ビルトラルセンは静脈注射で使用される予定です。



◆デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD=Duchenne muscular dystrophy)は、筋肉細胞の骨組みを支えるジストロフィンタンパク質の遺伝子変異が原因で、正常なジストロフィンタンパク質が産生されないことにより、重篤な筋力低下を示す、遺伝性筋疾患で、筋ジストロフィーの中で最も多く見られる最も重症なタイプです。

筋ジストロフィーの病型分類

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、X染色体伴性劣性遺伝で、民族差なく、基本的に男性のみに発病し、新生男児の約3,500人に1人(国内に於いては、4,700人に1人(DMDの場合))が発症し、現在、その進行を遅らせるステロイド剤以外に有力な治療法は存在しません。
〔MSDマニュアル家庭版~/ 23.小児の健康上の問題/筋ジストロフィーと関連疾患より〕

デュシェンヌ型筋ジストロフィー発症前と発症後

患者は2~5歳から軽度の自立障害が起こり、年齢を重ねると共に筋萎縮が進行して、各種運動障害が起き、最終的には心不全(心筋の減少)・呼吸不全等により、多くは20歳までに死に至る、極めて重篤な遺伝性希少疾患です。






「ビルトラルセン(Viltolarsen)」は、日本新薬株式会社と国立精神・神経医療研究センターが共同で見出した、モルフォリノ化合物で合成されたアンチセンス核酸と呼ばれる核酸医薬品です。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の、筋肉中のジストロフィン遺伝子のエクソン53(Exon53)を迂回して、機能のあるジストロフィンタンパク質を産生・調節することで作用します。


正常なジストロフィン遺伝子配列正常なジストロフィン遺伝子配列

「ジストロフィン遺伝子(Dystrophin gene)」は、79個のエクソン(構造)配列なら成り、筋肉で必要な重要なタンパク質を生産していますが、このうちエクソン19、44、45、46、50、51、53または55のエクソンのいずれかが欠損すると、欠損したエクソン番号以降が、mRNAに転写されなくなり、全て無効となって、正常なジストロフィンタンパク質が産生出来なくなり、筋力低下を来たします。

筋肉細胞の骨組みを支えるジストロフィンタンパク質の遺伝子変異





◆「ビルトラルセン(Viltolarsen)」は、アンチセンス核酸と呼ばれる短い合成核酸(核酸と類似した構造)を用いて、遺伝子の転写産物(mRNA=メッセンジャーRNA)のうち、タンパク質に翻訳される領域(エクソン=Exon)の一部を人為的に回避(スキップ)することで、アミノ酸読み取り枠の食い違ったズレを修正、遺伝子型が適合する前後を接合する治療法です。

ビルトラルセンの作用機序エクソン53スキップ

従来の低分子医薬品では難しかった、疾患の進行抑制と病態改善治療が可能になると期待されています

正常なジストロフィンタンパク質に比べると、その一部が短縮しますが、機能を保ったジストロフィンタンパク質が発現し、筋機能の改善が期待できるものです。
この治療の対象となるエクソンは、患者の変異形式に応じて異なり、「ビルトラルセン」は、エクソン53を対象としています。






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