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抗PD-L1モノクローナル抗体「テセントリク」が初のトリプルネガティブ乳がんへの追加承認を取得

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中外製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)は9月20日、改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「テセントリク®(TECENTRIQ®)(一般名:アテゾリズマブ=Atezolizumab/遺伝子組換え)」に関し、「PD-L1陽性(発現)のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」への適応拡大の承認を取得、及び承認に伴う「840mg製剤」の剤形追加についても、同日、厚生労働省より承認を取得したと発表しました。

テセントリク点滴静注840mg
免疫チェックポイント阻害薬
840mg製剤のみ追加承認
改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「テセントリク®(TECENTRIQ®)」
新適応「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」


また、大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区神田錦町)は、「テセントリク®」の乳癌への適応拡大を受けた形で、9月20日、既に2010年9月に発売している抗悪性腫瘍剤「アブラキサン®(Abraxane®)点滴静注用100mg(一般名:パクリタキセル注射剤(Paclitaxel/アルブミン懸濁型)」について、乳癌に対する新たな用法・用量として、「アテゾリズマブ(遺伝子組換え)」との併用に於ける毎週投与法の承認を取得したと発表しました。
アブラキサン点滴静注用100mg
抗悪性腫瘍剤「アブラキサン®(Abraxane®)点滴静注用100mg」
「テセントリク®」との併用療法で乳癌の効能効果を追加。



トリプルネガティブ乳癌logo
日本人女性に於ける乳がんの年間罹患者数は86,500人(2018年予測値)、また死亡者数は14,800人(2018年予測値)と推計されています。

トリプルネガティブ乳がんは、全乳癌の約15%を占め、他のタイプの乳がんに比べ、50歳未満の女性に多い事が特徴です。
トリプルネガティブ乳がん
〔中外製薬株式会社 ニュースリリース2019年9月20日より〕
〔日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2016年版. 金原出版, p126, 2016.〕
〔日本乳癌学会 編. 乳癌診療ガイドライン ②疫学・診断編 2018年版. 金原出版, p240, 2018.〕
〔MSD株式会社・MSD製薬/乳がんのサブタイプ分類より〕



トリプルネガティブ乳がん(転移性乳がん)は、ホルモン受容体(エストロゲン受容体、及びプロゲステロン受容体)の発現や、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)の過剰発現を伴わない悪性腫瘍と定義され
他のタイプの乳がんに比べ、一般的に腫瘍増殖能が高く、生存期間が短くなると言われ、治療選択肢が極めて限られています。




「テセントリク®」は、腫瘍細胞(Target Cell)に発現するPD-L1(Programmed Death Ligand-1)と呼ばれるタンパク質を標的としたモノクローナル抗体です。
PD-L1は、T細胞の表面上に見られる“PD-1”、“B7.1(T細胞活性化共刺激分子)”の双方と結合し、T細胞の働きを阻害しています。
テセントリク点滴静注840mgの作用機序a

テセントリク点滴静注840mgの作用機序c
「テセントリク」は、この結合を阻害する事により、免疫細胞であるT細胞が活性化され、腫瘍細胞を効率的に検出し攻撃します。


「テセントリク®点滴静注(TECENTRIQ®)」は、2018年4月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として販売を開始した、非小細胞肺がん(NSCLC)の適応を持つ国内初の抗PD-L1抗体です。
2018年12月には「化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の追加適応を取得、更に今年(2019年)8月に「進展型小細胞肺癌」に対する効能・効果、用法・用量の追加について承認を取得している。


今回の追加承認によって、免疫チェックポイント阻害薬として国内で初めて、トリプルネガティブ乳がん(転移性乳がん)に対する治療薬となった。





【追加承認の製品概要 ※下線部が新承認項目
【販売名】テセントリク®点滴静注840mg、テセントリク®点滴静注1200mg
【一般名】:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)
【効能・効果】
<テセントリク点滴静注840mgの場合>
•PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

<テセントリク点滴静注1200 mgの場合>
•切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
•進展型小細胞肺癌

【用法・用量】
 •化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合。
カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。尚、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

 •化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合
通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200 mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

 •進展型小細胞肺癌患者の場合
カルボプラチン及びエトポシドとの併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200 mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

 •PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者の場合
パクリタキセル(アルブミン懸濁型)との併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回840mgを60分かけて2週間間隔で点滴静注する。尚、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。


【薬価】
テセントリク®点滴静注840mg 薬価基準未収載
テセントリク®点滴静注1200mg 625,567円/1バイアル

【承認条件】
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
――以下略――


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【製品名/販売名】アブラキサン®点滴静注用100mg(パクリタキセル注射剤(アルブミン懸濁型))

【効能・効果】
乳癌(テセントリク®/アテゾリズマブ)との併用に限定、胃癌、非小細胞肺癌、治癒切除不能な膵癌

【用法・用量】(下線部が今回承認された内容です)
乳癌にはA法又はE法を、胃癌にはA法又はD法を、非小細胞肺癌にはB法を、治癒切除不能な膵癌にはC法を使用する。

 A法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回260mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

BからD法は省略。

 E法:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100 mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
※アテゾリズマブの効能・効果である「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」に限定した用法用量。







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<耐性ウイルス>抗インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」12歳未満への投与は慎重に

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2018/2019シーズン、最も多く使われたインフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」を服用した患者から、この薬が効きにくい薬剤耐性ウイルスが出ている事を受け、日本感染症学会は17日までに、12歳未満の子供については、投与を慎重にするなどとした提言を新たにまとめた。

ゾフルーザ12歳未満への投与慎重に


学会が新たにまとめた提言によりますと、「ゾフルーザ」について、12歳未満の子どもは耐性ウイルスが大人より多く検出される傾向にあるため「慎重に投与を検討する」としたほか、12歳以上については「データが乏しく、現時点では推奨するかどうかは決められない」としています。
ゾフルーザ12歳未満への投与慎重に0
ゾフルーザ12歳未満への投与慎重に1
ゾフルーザ12歳未満への投与慎重に2

国立感染症研究所は今年3月12日、新しいインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」に耐性を持つウイルスが、治療薬を服用していない患者から検出されたと発表。
「ゾフルーザ」を使った患者の体内で増殖した薬剤耐性変異ウイルスが、他の人に感染した可能性があるとしている。

薬剤耐性変異ウイルスが広がると、「ゾフルーザ」が効かなくなる恐れもある。

国立感染症研究所などが2018年11月~2019年2月に採取された香港A型のウイルスを解析した所、「ゾフルーザ」を使用していない生後8カ月~12歳の小児3人から、治療薬に耐性を持つ変異ウイルスが見つかったと言うもの。

ゾフルーザ12歳未満への投与慎重に3

塩野義製薬が開発した「ゾフルーザ」は、1回の服用で効果が得られるとして、去年、販売が始まると、最も多く使われるようになり、半年間だけでおよそ600万人分が出荷されました。

「ゾフルーザ」について、日本感染症学会は、広く使われてきた「タミフル」とは異なる効果があり、タミフルが効かない場合や、重症化が懸念される患者に使えるため、慎重に使用することで耐性ウイルスを広げないことが重要だとしています。


インフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」については、耐性ウイルスが出やすい事で、処方した医師の中からも懸念が上がっており、既に流行期の兆しが起こり始めた今季の課題となっていました。




★抗生物質製剤の乱用によって、抗菌剤に耐性をもつ感染菌の出現や、抗結核薬に薬剤耐性を持つ多剤耐性結核菌の登場など、薬剤の乱用が、逆に患者の命を奪う可能性が増えています。

医師はもちろん、患者も慎重に薬を選択する時代に入っている事を認識しなくてはなりません。






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抗VEGF治療薬「ルセンティス®硝子体内注射液」の未熟児網膜症への追加承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会は10月25日、ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)が、新効能・新用量の追加承認を申請していた抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)阻害薬「ルセンティス®硝子体内注射液10mg/mL(一般名:ラニビズマブ=遺伝子組換え)」について、『未熟児網膜症』を効能・効果とする新効能・新用量医薬品として、承認を了承しました。
「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」は、日本国内に於いて「未熟児網膜症」に対する初めての治療薬となります。


尚、「ルセンティス®硝子体内注射液」にはバイアル品(+採液針)とキット品(プレフィルドシリンジキット)の2タイプがありますが、今回追加承認されたのはバイアル品のみ。
早ければ約1ヶ月で正式承認される。


ルセンティス硝子体内注射液10mg-mL
未熟児網膜症の新効能・新用量追加承認が了承された
『ルセンティス®(LUCENTIS®)硝子体内注射液10mg/mL』(バイアル品のみ)
抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)治療薬


未熟児網膜症(ROP=Retinopathy of Prematurity)は希少な失明性疾患で、在胎週数・出生体重が少ないほど網膜血管が未熟なため、発症率が高く、重症になりやすい傾向があります。

網膜は眼の内層にあり、光を受けて視覚情報に変換し脳に伝達します。
通常、網膜血管は妊娠3~4ヶ月頃(胎齢14週)に発生を始め、枝分かれして成長し、妊娠後期月頃(胎齢30週)で完成します。


胎児の網膜血管の発達

未熟児網膜症の発症は、出生体重1500g未満でかつ在胎30週未満の未熟児に見られ、早産児への医学的に過度、及び長期にわたる酸素療法を受けた乳児で発症します。

早産児や未熟児、極低出生体重児(1500g未満)や超低出生体重児(1000g未満)の場合、眼の網膜血管は、妊娠中期頃に成長し始めるため、網膜血管の発達が不十分のまま出生する。

早産児の未熟児網膜症

このような場合、周産期医療の進歩に伴う未熟児や超低体重児(1500~1000g未満)の生存率の向上によって、体重が極端に少ない児(こ)が生存できるようになり、母体内で網膜血管が未発達の状態から、網膜血管が異常なパターンで成長を続け、蛇行したりネジレたりし網膜血管が形成されている網膜中央部と網膜血管が形成されていない網膜周辺部との間に、組織の隆起や収縮(萎縮)が生じ、網膜血管に引きずられる形で網膜が剥がれ(=網膜剥離)、未熟児網膜症(ROP)に進行する。

ステージ4やステージ5の重症未熟児網膜症では、網膜剥離が進行し、出生後2~12カ月以内という早期に失明に至る。


未熟児網膜症の進行と治療

◾未熟児網膜症(ROP)に対する現在の標準治療であるレーザーによる光凝固治療は、病態を引き起こす血管内皮増殖因子(VEGF)の増加に対処できず、白内障など将来の合併症のきっかけになる可能性があります。
この方法は、血管が伸びていない部分の網膜にレーザー光線を照てて網膜を焼き、新生血管を促進する因子の放出を抑えるというもので、治療は1度だけでなく繰り返し行うこともあります。(⇒レーザー治療は眼組織に障害を与える)

レーザー治療を行ったにも関わらず、網膜剥離が進んだ場合は、強膜輪状締結術といって眼球にスポンジを巻く手術や、硝子体手術と言う眼球の中身を操作する手術が行われます。
同時に水晶体を取り除く手術が必要になることもあります。


血管の異常な成長は自然に治まることが多いものの、出生体重が1000g未満では、出産後、網膜血管が正常に発達しない場合、網膜血管が網膜を牽引(けんいん)して、黄斑牽引、網膜剥離、又はその他の構造異常を起こし、極度の視力低下や斜視、近視、弱視の発生率が高く、失明に至る恐れがあります。


〔*ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース2018年9月22日〕
〔*未熟児網膜症 - 19.小児科 - MSDマニュアル プロフェッショナル版〕
〔*国立成育医療研究センター 未熟児網膜症〕
〔*Nature 2010/未熟児に関連の視覚障害と2010年度の世界的地域での網膜血管早熟レベルの網膜症の推定〕
〔*ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション/血管の病理学的萎縮を防止することについて〕
〔*米国眼科学会(The American Academy of Ophthalmology// retinopathy of prematurity.)〕
〔*米国眼科研究所(Nei.nih.gov)/未熟児網膜症の真実〕





抗VEGF薬「ルセンティス®硝子体内注射液(LUCENTIS/Ranibizumab)」は、眼科用VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor=血管内皮増殖因子)阻害剤で、2009年1月に中心窩下脈絡膜(ちゅうしんかかみゃくらくまく)新生血管を伴う加齢黄斑変性症で承認を取得後、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫の適応で承認を取得しているヒト化抗VEGFモノクローナル抗体です。
未熟児網膜症へのルセンティス薬投与

未熟児網膜症への抗VEGF薬ルセンティス治療前後

◾第III相臨床試験に於ける治療成功率は、レーザー治療群で66.2%だったのに対し、「ルセンティス」0.2mg投与群では80%に達し、治療成功確率数(オッズ)は「ルセンティス」0.2mg投与群で2倍高いことから、第III相臨床試験のデータは臨床的に意義があるとしている。

海外では、「ルセンティス®(LUCENTIS®)」の未熟児網膜症の適応は、2019年9月に欧州で承認されている。



「ルセンティス(一般名:ラニビズマブ)」は、スイス・バーゼルに本拠地を置くノバルティス社と米国サンフランシスコに本社を置くジェネンテック社が共同開発した治療薬で、世界110以上の国と地域で承認されています。





【製品概要】
【販売名】:ルセンティス®硝子体内注射液10mg/mL(1バイアル)
【一般名】:ラニビズマブ(Ranibizumab/遺伝子組換え)
【含有量】:ラニビズマブ(遺伝子組換え)として0.5mg(1回の投与量0.05mL中)
【効能又は効果】:
1.中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症
2.網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
3.病的近視における脈絡膜新生血管
4.糖尿病黄斑浮腫
5.未熟児網膜症(新効能効果)

【用法及び用量】:詳細不明
【薬価】:15万7,776円(0.5mg/0.05mL⇒1回あたり)







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2019年ノーベル賞受賞を応用した初の腎性貧血治療薬「エベレンゾ錠」が薬価収載

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厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)総会が11月13日開かれ、本年9月20日に製造販売承認を取得した、アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)の「低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHd)阻害薬『エベレンゾ®錠(一般名:ロキサデュスタット/Roxadustat)』」の薬価収載を了承した。
厚生労働省は、11月19日に正式に収載する予定である。


「エベレンゾ®錠(一般名:ロキサデュスタット)」は、透析施行中の腎性貧血を効能・効果として、アステラス製薬株式会社と米国サンフランシスコに本拠を置くFibroGen, Inc.とが共同開発した、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素(PH)阻害薬で、赤血球造血刺激因子製剤(販売名:ネスプ注射液)とは異なる働きで、腎性貧血を改善するファーストインクラス(画期的作用機序)の経口投与治療薬です。



腎性貧血治療薬エベレンゾ錠イメージ
*写真はイメージです。
低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬
透析施行中の腎性貧血治療薬
「エベレンゾ®(Evrenzo®)錠(一般名:ロキサデュスタット)」は
<Hypoxia Inducible Factors-Proline Hydroxylase>
発売準備中のため製品写真はありません。



腎性貧血は、慢性腎臓病(CKD)の初期に見られる一般的な合併症で、慢性腎臓病患者の約20%が腎性貧血を発症します。

全身に酸素を運ぶ役割を担う、骨髄による赤血球の生成を刺激する腎臓の機能低下により、発症しますが、透析患者や保存期患者(透析導入前)のいずれに於いても、高い有病率と死亡リスクの増加が認められ、慢性腎臓病(CKD)の進行と共に、発症率、及び重症度のいずれも増加することが報告されています。

慢性腎臓病(CKD)患者では、酸素を全身に運ぶ赤血球産生を促すホルモンのエリスロポエチン(EPO)が十分に産生されないため、貧血が良く見られます。

透析_慢性腎臓病_血液透析

HIF-PH阻害薬「エベレンゾ®錠(ロキサデュスタット)」は、本来、生体(身体)が低酸素状態に置かれた時に持つ『生理学的反応=低酸素応答*』を誘導します。

低酸素応答は、正常な酸素状態に於いて、生体内で複数の経路を調節することで、赤血球の生成を活性化し、血液の酸素運搬能力を増強し貧血を改善する仕組みです。


*つまり低酸素応答とは…ざっくり言うと…

 海抜0メートルに住む人が高地や険しい山岳地帯に行くと酸素が希薄なため、酸欠状態になりますが、しばらくすると私達の身体は酸素の薄い環境に徐々に適応する様になります。私達は五感で直接捉えられない酸素の量を一体どうやって感知し、周囲の酸素濃度に順応しているのでしょうか?
 この何気ない人間の適応能力に疑問を持ち、「低酸素応答」という人間や動物が持つ仕組みを分子レベルで解き明かしたのが、2019年ノーベル生理学・医学賞を受賞した3人の研究者です。
2019年ノーベル賞

 米ジョンズ・ホプキンズ大学のグレッグ・セメンザ教授が、造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)遺伝子の転写量(増減指令)を制御するDNA配列を発見。この配列に結合するタンパク質も見つけ、低酸素応答誘導因子(HIF=Hypoxia-inducible factor)と名付けました。
 米ハーバード大学のウィリアム・ケーリン博士と英オックスフォード大学のピーター・ラトクリフ博士は、HIFが酸素の有無に応じて低酸素応答遺伝子のスイッチをオン・オフする分子メカニズムを解明した。
 この低酸素応答が働く事で、ガン細胞が、新生血管阻害薬への抵抗性を持つとも考えられ、新たに治療薬開発への道筋を開いたと言える。


高山病

HIF-PH(低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素)阻害薬「エベレンゾ®錠(ロキサデュスタット)」は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に対して効果をもたらします。

エベレンゾ錠の作用機序





【製品概要】
【製品名】:エベレンゾ®(Evrenzo®)錠20mg、同錠50mg、同錠100mg
【一般名】:ロキサデュスタット(Roxadustat)
【効能・効果】:透析施行中の腎性貧血
【用法・用量】
 ●赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合
通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。
 ●赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合
通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。

【承認取得日】:2019年9月20日
【薬価】
 ●20mg1錠387.40円
 ●50mg1錠819.20円
 ●100mg1錠1443.50円(1日薬価:465.80円)






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視神経脊髄炎スペクトラムの適応で抗IL-6抗体「サトラリズマブ」の製造販売承認を申請

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中外製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)は11月8日、スイスRoche社と共同開発した、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系難病の自己免疫疾患である「視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD:neuromyelitis optica spectrum disorder)」を予定適応症として、ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体『サトラリズマブ/Satralizumab(開発コード:SA237)』について、欧州、及び米国に続いて、日本国内での製造販売承認申請を行ったと発表しました。

イメージ
*写真はイメージです。
視神経脊髄炎スペクトラム「サトラリズマブ(Satralizumab)」は
国内製造販売承認申請したばかりで製品写真はありません。


視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD/NMO)は、再発性の視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患で、生涯に渡って、衰弱を引き起こします。

視神経脊髄炎スペクトラムは、多発性硬化症と似た症状を引き起こす病気で、以前は多発性硬化症の一種であると考えられていましたが、視神経脊髄炎スペクトラムでは、眼と脊髄の神経しか侵されないのに対して、多発性硬化症では脳の神経も侵されます。


視神経脊髄炎スペクトラム
視神経脊髄炎スペクトラムのMRI画像

◆主たる症状として、視神経の炎症(視神経炎)が起こるため、片方、又は両方の眼が侵され、眼の痛み、ぼやけ、かすみ、視力低下の発作が起こります。
病気の進行には個人差がありますが、症状を繰り返す経過をたどることが多く、進行するに伴い、痛みを伴う短時間の筋肉の痙攣が頻繁に起こるようになります。

◆時に、脊髄のうち呼吸を制御している部分に炎症が起こり、呼吸困難、視覚障害や失明、運動機能障害が生じ、QOL(生活の質)の低下と共に、生命を脅かすこともあります。
繰り返される四肢の感覚消失と筋力低下、麻痺が次第に蓄積されて行きます。



根本的な治療法はありませんが、コルチコステロイドや免疫抑制剤、補体C5モノクローナル抗体が使用されたり、また血漿交換が有用となる場合もあります。
治療により発作を終息させ、症状をコントロールし、発作の再発を予防することができます。


国内の視神経脊髄炎、又は視神経脊髄炎スペクトラムを含めた患者数は、約4,000人と推定されています。

尚、視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)は以前は、視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)と呼称されていましたが、現在では視神経脊髄炎関連疾患という意味の視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD:neuromyelitis optica spectrum disorder)と呼ばれるようになりました。

〔*日本神経免疫学会 視神経脊髄炎スペクトラム/サトラリズマブ(開発コード:SA237)治験の情報〕
〔*MSDマニュアル-家庭版・視神経脊髄炎 - 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気〕
〔*中外製薬株式会社 プレスリリース2019年11月8日〕
〔*難病情報センター/多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)〕






サトラリズマブの作用機序
サトラリズマブの作用機序

ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体「サトラリズマブ(Satralizumab)」は、中外製薬が創製した、視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)の病態に深く関わっている炎症性サイトカインの“IL-6(インターロイキン6)”シグナルを阻害することで、視神経脊髄炎スペクトラムの再発を抑制することが期待されています。


◆視神経脊髄炎スペクトラムの患者の、3分の2以上の患者では、病原性の抗体である“アクアポリン-4(AQP4)抗体(AQP4-IgG血清陽性)”が検出されており、アクアポリン4抗体は、*アストロサイト(astrocyte/中枢神経系のグリア細胞の1つ)の足突起に発現している神経を保護する髄鞘(ずいしょう)とは別の細胞を標的として攻撃し、破壊することで、視神経や脊髄、脳に炎症を引き起こすと考えられている。


アストロサイトとAQP4抗体

アストロサイトは中枢神経組織の中にあって、その構造を支える支持組織としての働きや、様々な物質の輸送に関与しており、周辺の脳組織の環境を調節する働きをします。
多発性硬化症(MS)と視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD/NMO)は、治療法が異なるため注意が必要となる。



「サトラリズマブ(Satralizumab)は、中外製薬独自のリサイクリング抗体技術により、4週間隔の皮下投与が可能な薬剤です。
▲投与開始後2週目までは2週間隔投与、以降は4週間隔での皮下投与になります。






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大うつ病障害のうつ病うつ状態治療薬「トリンテリックス錠」の発売を開始

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武田薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市中央区道修町)とルンドベック・ジャパン株式会社(本社:東京都港区虎ノ門五丁目/Lundbeck A/S=デンマークに本社)は11月27日、新規作用機序のうつ病・うつ状態治療剤「トリンテリックス®(Trintellix®)錠10㎎、同20㎎(一般名:ボルチオキセチン臭化水素酸塩=Vortioxetine hydrobromide)」を発売したと発表しました。

本剤は海外のガイドラインで、認知機能障害を伴う“大うつ病障害(MDD)”患者に対して、唯一最高のエビデンスレベル(医学的根拠に基づく医薬)で推奨されており、武田薬品は、国内臨床第3相試験などの結果を基に、2018年9月に製造販売承認申請を行い、2019年9月20日に製造販売承認を取得していました。


トリンテリックス錠10mg-20mg
セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節剤
ボルチオキセチン臭化水素酸塩
うつ病・うつ状態治療剤「トリンテリックス錠10㎎/同20㎎」
大うつ病性障害(MDD=major depressive disorder)


大うつ病性障害は、世界で約1億6,000万人が罹患(りかん)している複雑な精神疾患で、日本では約300万人(人口の約2.5%)が罹患しています**。
大うつ病性障害は、『臨床的うつ病』としても知られており、全世界で主な精神障害の一つとして、疾病負担の要因にもなっています。


大うつ病性障害の患者数
大うつ病性障害の世界主な国別の患者数
(High-income countries=高額所得国)

大うつ病性障害は、精神症状に加え、身体症状、及び認知障害を併発する事があり、その症状には、抑うつ気分(ふさぎ込む)、興味、又は喜びの著しい減退、有意の体重減少、又は体重増加、食欲の変化、不眠や過眠、精神運動焦燥、又は制止、疲労感、又は気力の減退、無価値感や過度の罪責感、思考力や集中力の減退、決断困難、及び反復的な自殺念慮が含まれます。
〔*武田薬品工業株式会社ニュースリリース ‎2019年11月27日より〕
〔** 2019 University of Washington/Global Health Data Exchange〕





◆「トリンテリックス®錠10㎎、同20㎎(Vortioxetine)」は、デンマーク・コペンハーゲンにあるルンドベック社(Lundbeck A/S)の研究者により創製された、大うつ病性障害成人患者の治療剤で、各種セロトニン(=5-ヒドロキシトリプタミン=5-HTと記述する)受容体及びセロトニントランスポーター(輸送体=SERT)に作用する、新規の抗うつ薬である。

ボルチオキセチンの作用機序


「トリンテリックス®(TRINTELLIX®)」の作用機序は、完全には解明されていませんが、セロトニン再取り込み阻害作用、並びにセロトニン受容体調節作用(セロトニン3受容体セロトニン7受容体、及びセロトニン1A受容体アゴニスト作用セロトニン1B受容体部分アゴニスト作用セロトニン1D受容体アンタゴニスト作用)を有する。
**アゴニストは…作動薬作用。
**部分アゴニストは…拮抗薬(妨害薬)作用と作動薬作用の繰り返し。
**アンタゴニストは…拮抗薬(妨害薬)作用。



トリンテリックス錠(ボルチオキセチン)の作用機序
トリンテリックス錠(ボルチオキセチン)の作用機序

セロトニントランスポーター(SERT)阻害作用は、セロトニン再取り込みを阻害し、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用や、ドパミン再取り込み阻害作用と比較してより強力であり、抗うつ、抗不安、うつ病に伴う認知機能障害に対する改善作用を示すと考えられている。




【製品概要】
【製品名】:トリンテリックス®(TRINTELLIX®)錠10㎎、トリンテリックス®錠20㎎
【一般名】:ボルチオキセチン(vortioxetine)臭化水素酸塩(hydrobromide)
【効能・効果】:うつ病・うつ状態
【用法・用量】:通常、成人にはボルチオキセチンとして10㎎を1日1回経口投与する。尚、患者の状態により1日20㎎を超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。

【使用上の注意】:抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与に当たっては、リスクとベネフィット(有用性)を考慮すること。
海外でのプラセボ対照臨床試験に於いて、本剤の18歳未満の有用性が確認されなかったため、18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。
【薬価】
 トリンテリックス錠10㎎/168.90円/1錠
 トリンテリックス錠20㎎/253.40円/1錠

▲臨床上有用な新規作用機序を有する事が評価され、有用性加算を取得し、新薬創出・適応外薬解消等促進加算に該当。
※厚生労働省の中医協総会に於いて、有用性加算(II)適用(A=5%)する事が適当と判断:理由「セロトニン再取り込み阻害作用とセロトニン作動性作用の両方を持つ、新規作用機序医薬品である事。」







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指定難病・低リン血症性くる病/骨軟化症治療薬「クリースビータ」の国内発売開始

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協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区大手町)は12月6日、指定難病のFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症治療薬のヒト型抗線維芽細胞増殖因子23(FGF23=Fibroblast Growth Factor 23)に対するIgG1モノクローナル抗体「クリースビータ®(一般名:ブロスマブ/KRN23)」を発売しました。
「クリースビータ®(Crysvita®)」は、協和キリン株式会社が創製した「低リン血症性くる病・骨軟化症」に対する初の抗体製剤となります。

本剤は、希少疾病用医薬品の指定を受け、2019年1月に承認申請され、2019年9月に国内医薬品製造販売承認を取得しました。


クリースビータ皮下注10mg
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症治療薬
ヒト型抗線維芽細胞増殖因子23モノクローナル抗体
「クリースビータ®(開発コード:KRN23)」
【Crysvita®/Burosumab】


FGF23(繊維芽細胞増殖因子23)関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、指定難病(No,238)の「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」、及び小児慢性特定疾患の「原発性低リン血症性くる病」と「ビタミンD抵抗性骨軟化症」に対応する疾患で、FGF23ホルモンの過剰産生作用による腎近位尿細管リン再吸収障害に起因する、『くる病・骨軟化症』の総称です。

標準とくる病
低リン血症性くる病

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、先天性のX染色体連鎖性低リン血症(XLH)、後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)、表皮母斑症候群(ENS)等が含まれます。

これらの疾患は、FGF23が過剰となることで、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となり、その結果として骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患です。

FGF23(Fibroblast growth factor 23)遺伝子は、第12番染色体の12p13.32にあって、251個のアミノ酸で構成され、リン酸の尿中排泄を促すホルモン(分泌蛋白質)を産生しています。


第12染色体FGF23


本疾患は、体内のリンが尿中に過剰に排泄され、血中リン濃度が低下し、骨の石灰化が障害される事で発症――血液中のリンの値が低いため、骨の石灰化異常が起き、骨の強度が不足し、その結果として骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患です。


X染色体PHEX

原因として考えられるX染色体連鎖性低リン血症性くる病(PHEX遺伝子異常)や、常染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(ADHR/FGF23遺伝子異常)などで、これら関連遺伝子の変異によるFGF23の過剰産生が報告されている。

PHEX遺伝子は、X染色体のp22.12にあって、X染色体連鎖性低リン血症(XLH)はこの遺伝子異常とFGF遺伝子の過剰作用が関連していると考えられています。

この疾患は、先天性のX染色体連鎖性低リン血症(XLH)、後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)、表皮母斑症候群(ENS)等が含まれます。


腫瘍性骨軟化症(TIO)
低リン血症性くる病・骨軟化症は、ビタミンDの欠乏により発生するくる病(ビタミンD欠乏症)とは別の病気であり、この疾患は、天然型ビタミンDにより完治しません。

またFGF23過剰産生は、腎尿細管に於けるリンの再吸収と、血中1,25-水酸化ビタミンD濃度の低下を介する腸管でのリン吸収の抑制もするため、血中リン濃度を更に低下させます。


〔*MSDマニュアル-プロフェッショナル版-19.小児科 低リン血症性くる病より〕
〔*公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター:ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症より〕
〔*国立研究開発法人 国立成育医療研究センター/小児慢性特定疾病情報センターより〕
〔*協和キリン株式会社2019年12月2日ニュースリリースより〕
〔*厚生労働省ファイル:06-政策情報-研究局/ビタミンD 抵抗性くる病/骨軟化症より〕




「クリースビータ®(CRYSVITA®)」は、FGF23(線維芽細胞増殖因子23)を標的とした完全ヒトIgG1モノクローナル抗体で、FGF23に対して直接的に作用し、腎臓に於けるリン排泄と活性型ビタミンD産生を抑制することで、過剰産生された血清リン濃度および活性型ビタミンD濃度を低下させる液性因子です。

本剤は、X染色体連鎖性低リン血症(XLH)及び後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)等の患者に於ける、FGF23の過剰な作用を阻害することで、腎臓に於けるリンの再吸収を促進し、同時に、腸管でのリンの吸収を促進するビタミンDの活性化を亢進させることで血清リン濃度を上昇させ、当該疾患に於ける、くる病あるいは骨軟化症の症状を改善することが明らかとなっています。

〔*協和キリン株式会社 ニュースリリース/Crysvita®(ブロスマブ)が成人・小児X染色体遺伝性低リン血症を適応症とした販売承認を米国で取得より〕
XLHとクリースビータ(Burosumab)の血清作用

本剤は、協和キリン株式会社とUltragenyx Pharmaceutical Inc.(http://www.ultragenyx.com/ ウルトラジェニクス・ファーマシューティカル社/本社:米国カリフォルニア州ノバート)との間で締結した協業、及びライセンス契約に基づき、協和キリン、協和キリンの子会社であるKyowa Kirin International PLC、及びUltragenyx Pharmaceutical Inc.の3社が、共同で「クリースビータ®(CRYSVITA®)」のグローバルな開発および販売に取り組んでいます。



【製品概要】
【製品名】:クリースビータ®(CRYSVITA®)皮下注10mg/ 同20mg/ 同30mg
【一般名】:ブロスマブ(Burosumab/遺伝子組換え)
【効能・効果】:FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
【用法・用量】
◆FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(腫瘍性骨軟化症を除く)
通常、成人には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として4週に1回1mg/kgを皮下投与する。但し、1回の投与量は90mgを超えないこと。血清リン濃度、症状等に応じて適宜減量する。
通常、小児には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として2週に1回0.8mg/kgを皮下投与する。血清リン濃度、症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kgとする。但し、1回投与量は90mgを超えないこと。
◆腫瘍性骨軟化症
通常、成人には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として4週に1回0.3mg/kgを皮下投与する。血清リン濃度、症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kgとする。

【製造販売承認取得日】:2019年9月20日
【薬価基準収載日】:2019年11月19日
【発売日】:2019年12月6日

【薬価】
クリースビータ皮下注10mg:30万4818円
クリースビータ皮下注20mg:60万8282円
クリースビータ皮下注30mg:91万1812円






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抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンが"びまん性大細胞型B細胞リンパ腫"で希少疾病用医薬品に指定

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中外製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)は2019年11月20日、開発中の抗CD79b抗体薬物複合体(ADC)ポラツズマブ ベドチンが、厚生労働省より「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」を予定適応症とする希少疾病用医薬品に指定されたと発表しました。
希少疾病用医薬品の指定は、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)及び再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を対象として実施した、海外第Ib/II相臨床試験(GO29044試験、GO29365試験)等の成績に基づいています。


Polivy-ポラツズマブベドチン
予定適応症「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」
抗CD79b抗体薬物複合体「ポラツズマブ ベドチン」
米FDA承認名「Polivy」(承認日:2019年6月4日)


びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL=Diffuse Large B-cell Lymphoma)は、最も高い頻度で見られる非ホジキンリンパ腫の組織型サブタイプの一つで、月単位で進行する中悪性度の疾患に分類されます。
日本に於ける全ての非ホジキンリンパ腫症例の、約30~40%を占めていると報告されています。

〔★国立がん研究センター がん情報サービス〕
〔★国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer):WHO(世界保健機関)Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 2017 Revised 4th Edition.〕






びまん性大細胞型B細胞リンパ腫写真
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の肥大化したB細胞。
中心核が黒くハッキリ見えるのが特徴。


未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する標準治療(1次治療)は、リツキシマブ(商品名:リツキサン=CD20陽性標的)と化学療法の併用とされていますが、約33~40%の患者で、奏効を示さず、再発が認められるか、もしくは難治性に移行し、十分な治療効果が得られていません。

リツキシマブについて…
リツキシマブはB細胞のCD20抗原を標的
悪性リンパ腫において、
Bリンパ球表面に発現するCD20抗原に結合し
殺細胞傷害性によって効果を発現する。


再発又は難治性患者への2次治療以降は、自家造血幹細胞移植(ASCT)以外には*救援化学療法の選択となり、治療法が極めて限られています。
その為、自家造血幹細胞移植(ASCT)に適さない――、或いはASCT治療から1年以内に再発した場合の、再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の予後は不良で、平均余命は4.4~6.3カ月とされています。

更に、年齢や合併症等で自家造血幹細胞移植(ASCT)の適応とならない患者では、標準治療は確立されていません。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、60歳代を中心とした中高年齢層で多く発生し、診断時年齢の中央値は64歳と報告されています。


*救援化学療法とは:主に造血器腫瘍に於いて、治療の効果が得られない場合(治療抵抗性/薬剤抵抗性)、或いは再発・再燃した場合に用いる治療を、救援化学療法もしくは救援療法と呼びます。
がんの種類によって治療内容が異なり、その多くは複数の薬(抗がん剤など)を組み合わせた治療となります。

〔★一般社団法人 日本血液学会/造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版第Ⅱ章・リンパ腫 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫〕

尚、CAR-T細胞医療(=キメラ抗原受容体T細胞医療)の「キムリア」は、B細胞性リンパ腫のCD19抗原陽性を標的にした1回完結の治療法です。(薬価3411万3655円)




「ポラツズマブ ベドチン(polatuzumab vedotin)」は、“ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体”と“チューブリン重合阻害剤”をリンカーで結合させた、ファーストインクラス(画期的医薬品)の抗CD79b抗体薬物複合体(ADC=antibody-drug conjugate:)です。

抗CD79b抗体薬物複合体「ポラツズマブ ベドチン」の機序

B細胞表面上に見られるCD79bと言う特定タンパクは、多くのB細胞で特異的に発現しており、「ポラツズマブ ベドチン」は正常細胞への影響を抑えつつ、化学療法薬に付着し、CD79bと結合、シグナル送達システムを利用してB細胞内で殺細胞性化学療法薬を放出して、B細胞を破壊すると考えられている。

本剤は、米シアトル・ジェネティクス社の抗体薬物複合体技術を使用して、米ロシュ社が開発したもので、日本以外で早期試験が行われ、加速承認・希少疾病薬として指定していた。
米国では、びまん性大細胞性リンパ腫(DCBLC)の新規患者に1万8000人以上が毎年診断されているという。(B細胞性限定では不明)







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多発性骨髄腫・・・家族の選択2

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新規不眠症治療薬「デエビゴ™錠」の製造販売承認を取得

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エーザイ株式会社(本社:東京都文京区小石川)は1月23日、自社創製のオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ™(DAYVIGO™)錠2.5mg、同錠5mgおよび同錠10mg(一般名:レンボレキサント)」について、厚生労働省より不眠症の効能・効果適応で製造販売承認を取得したと発表しました。

不眠症治療薬デエビゴ錠
オレキシン受容体拮抗薬
不眠症治療薬「デエビゴ™錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg」
(一般名:レンボレキサント)



不眠症は、睡眠障害の不規則睡眠・覚醒リズム障害(ISWRD)、過眠障害、呼吸関連睡眠障害などの疾患に分類される不眠障害(=不眠症)の中でもっとも一般的な疾患です。

2007年、2011年の米国睡眠疫学報告での不眠症の定義と流行、病因と結果において、全世界で成人の約30%の人が、不眠症の症状を有しているとされています。
日本国内の疫学調査では、成人の21.4%が不眠症による睡眠障害を訴えています。

〔エーザイ株式会社・ルネスタトピックス 不眠症の疫学〕

不眠症の一般的な定義
  ◇夜なかなか寝入ることが出来ず普段より入眠に2時間以上掛かる。(入眠障害)
  ◇寝入っても夜中に途中で目が覚める。(中間覚醒)
  ◇朝早く目が覚めぐっすり眠った感じが得られない。(熟眠障害)
  ◇または朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう。(早朝覚醒)

⇒⇒ザックリ言うと不眠症は、『睡眠をとる十分な機会があるにも関わらず、入眠困難、睡眠維持困難のいずれか、又はその両方に苦しむ事が特徴で、疲労、集中困難、易刺激性を引き起こし、日中の過度の眠気の状態を引き起こします』

〔MSDマニュアル家庭版--09. 脳、脊髄、末梢神経の病気/睡眠障害・不眠症と日中の過度の眠気より〕
〔日本睡眠学会 I.睡眠異常/A.不眠症の定義より〕




オレキシンA神経細胞シナプス間隙
オレキシンA(B)神経細胞
(3V=シナプス間隙)
シナプス間隙

オレキシン(=1998年発見の食欲や睡眠に関連する神経伝達物質/Orexin)は、覚醒、食欲を調節する神経ペプチド(複数のアミノ酸の化合物)です。
脳内のオレキシンが不足すると傾眠(ナルコレプシー)が引き起こされます。

人間の脳には、オレキシンを産生する神経細胞が10,000~20,000個しかありません。
このオレキシンには、オレキシンA(Orexin A)オレキシンB(Orexin B)の2種類があり、シナプス前駆体タンパク質の切断によって生成されます。
オレキシン細胞とオレキシン受容体

従ってオレキシンAオレキシンBは、単一の前駆体タンパク質(=プレプロオレキシン)を約50%ずつ持つ同一性配列を持っています。
オレキシンAは33アミノ酸残基で、2つの鎖内ジスルフィド結合(架橋)をしており、オレキシンBは、直鎖の28アミノ酸残基ペプチドです。

これらの神経ペプチドは、視床下部の外側や後部の非常に小さな細胞集団によって産生され脳全体に投射を送ります。



オレキシンA神経細胞
オレキシン1R神経細胞

オレキシンペプチドは、オレキシン1受容体(OX1R)及びオレキシン2受容体(OX2R)に結合し、オレキシンAはOX1受容体とOX2受容体の両方にほぼ等しい親和性で結合し、オレキシンBは主にOX2受容体に結合するが、親和性は少ない。
OX1受容体は、オレキシンAに対する親和性の方がオレキシンBに対する親和性より50倍ほど高い。

〔筑波大学大学院人間総合科学研究科・感性認知脳科学専攻(基礎医学系)・オレキシンの生理機能の解明より〕




「デエビゴ™(レンボレキサント/Lemborexant)」は、脳内で覚醒に関与するオレキシン受容体(OX-receptor)の2種のサブタイプ、オレキシン1(OX1)受容体及びオレキシン2(OX2)受容体に対し、オレキシンと競合的に結合する阻害剤です。

覚醒と睡眠リズムの調整を担うオレキシン神経伝達に作用し、過度な覚醒状態を緩和することによって、覚醒中枢と睡眠中枢のバランスを整える非鎮静作用の不眠症治療薬です。

本剤は、オレキシン1受容体、及びオレキシン2受容体双方を阻害しますが、ノンレム睡眠(深い眠り)の抑制にも関与するオレキシン2受容体への親和性がより強く、結合・解離が速いことから、服用後、患者に速やかな入眠と睡眠維持(質の良い脳の睡眠)をもたらすことが期待されます。




【製品概要】
【製品名】:デエビゴ™(DAYVIGO™)錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg
【一般名】:レンボレキサント(Lemborexant)
【効能・効果】:不眠症
【用法・用量】:通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5㎎を就寝直前に経口投与する。尚、症状により適宜増減するが、1日1回10㎎を超えない事とする。
【製造販売承認取得日】:2020年1月23日
【薬価基準収載日】:未収載
【発売日】:未定




本剤と同じオレキシン受容体拮抗薬の薬剤としては、MSD株式会社の「ベルソムラ(一般名:スボレキサント)」がある。
エーザイは「デエビゴ」について、「高齢者にも安全なベスト・イン・クラスの薬剤を目指す」としている。
海外では、2019年12月23日、FDA(米国食品医薬品局)の承認を取得。

「デエビゴ™(DAYVIGO™)」の新有効成分であるレンボレキサント(Lemborexant)は、オレキシン受容体との親和性(Ki値)が、オレキシン1受容体:0.61nM、オレキシン2受容体:0.26nMとなっており、MSDの「ベルソムラ」のオレキシン1受容体:0.55nM、オレキシン2受容体:0.35nMとを比較すると、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させる誘発性のオレキシン1受容体と、睡眠から覚醒状態へ移行させるオレキシン2受容体への親和性が若干違っている。[*数値が小さいほど受容体への選択性が高い]
オレキシン受容体拮抗薬


★生物学的精神医学会の科学雑誌「Biological Psychiatry(生物学的精神医学)journal」2011年版によると、
『不眠症について、女性は男性に比べて約1.4倍罹患率が高い』との報告もある。








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ALK阻害薬「アレセンサ®」がALK陽性未分化大細胞リンパ腫の適応追加承認を取得

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中外製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)は、抗悪性腫瘍剤/ALKチロシンキナーゼ阻害剤「アレセンサ®(ALECENSA®)カプセル150mg(一般名:アレクチニブ塩酸塩)」について、『再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫(ALCL)」に対する適応拡大の追加承認を2020年2月21日、厚生労働省より取得したと発表しました。
ALK阻害剤がALK陽性未分化大細胞リンパ腫に対して薬事承認されるのは、本剤が世界で初めてとなります。


「アレセンサ®カプセル」は2014年7月、20mgと40mgがALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の治療薬として承認され、発売を開始。
その後、服薬の負担(錠数が多い)と利便性から150mgカプセルが追加され、2016年5月、20mgと40mgが販売中止となった。


アレセンサカプセル150mg
抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤
「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」
<ALK融合遺伝子陽性のT細胞リンパ腫へ効能適応拡大承認>



ALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫(ALK陽性ALCL=Anaplastic Large-Cell Lymphoma)は、若年期に発症年齢のピークを示す、悪性リンパ腫の中の末梢性T細胞リンパ腫の4つの亜型の1つで、リンパ球の中のT細胞から発生する非ホジキンリンパ腫です。

ALK融合遺伝子陽性未分化大細胞リンパ腫分類

日本の患者数は約90人/年と推計される極めて稀な希少疾患で、月単位で病勢進行が観られる「中悪性度」に分類され、国際共同研究で、ALK陽性ALCLの化学療法による5年治療成功生存割合は60%と報告されており、40%が再発・難治例であると推定されています。

ALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫

再発・難治性に対しての治療法は未確立であり、造血細胞移植を含む様々な治療が選択されるものの、化学療法抵抗難治症例の場合、予後不良となるケースが多く、新たな治療選択肢が待たれていた。

ALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫(ALCL)の国内に於ける発症頻度は、悪性リンパ腫の1.5~2.0%、そしてその約半数がALK陽性と報告されています。

〔*厚生労働省研究事業(ALCL)/厚生科研費 研究課題/再発又は難治性のALK陽性ALCLに対するアレクチニブ塩酸塩の開発より〕
〔*中外製薬ニュースリリース/アレセンサ、再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に対する適応追加の承認を取得〕



▼ALK融合遺伝子陽性未分化大細胞リンパ腫は……
ヒトの2番染色体の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の末端部まで、5番染色体にあるヌクレオフォスミン(NPM=タンパク質)が飛ばされ転座を起こし融合する事で出来る異常な融合タンパク質で、この融合タンパク質によって造られる多形性悪性リンパ腫です。(t2-p23;t5-q35)
ALK融合遺伝子から作られるALK融合タンパク質は、細胞内に於いてタンパク質を構成するアミノ酸の一つ、チロシンにリン酸を付加するチロシンキナーゼ活性を持ち、このチロシンキナーゼの恒常的な活性化により、細胞増殖のシグナル伝達に関与するタンパク質にリン酸が付加(リン酸化)され、細胞増殖が異常に亢進、癌化が起こります。

ALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫アレセンサ作用機序

「アレセンサ®」は、T細胞に由来する癌化の原因遺伝子であるALK融合タンパク質のチロシンキナーゼ活性を阻害する第2世代型のALK阻害剤です。

非小細胞肺癌では、同じALK融合遺伝子陽性でも、ALKと融合する遺伝子がEML4遺伝子の転座でしたが、「アレセンサ®」は別々の遺伝子から離れ融合したALK融合遺伝子に対しても、新たな承認適応となった。

*共同プレスリリース/国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED), 国立病院機構名古屋医療センター, 国立病院機構九州がんセンター, 聖マリアンナ医科大学〕




【製品概要】:※下線太字部分が追加
【販売名】:アレセンサ®(ALECENSA®)カプセル150mg
【一般名】:アレクチニブ塩酸塩(Alectinib Hydrochloride)
【効能又は効果】:
◎ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫

【用法及び用量】:
◇ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
通常、成人にはアレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与する。
再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫
通常、アレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与する。但し、体重35kg未満の場合の1回投与量は150mgとする。

【薬価】:6737.10円/1カプセル






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間もなく電池切れのため入院します

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心臓ペースメーカー電池切れ



さすがに、赤信号点滅してます・・・とは言わないものの今月一杯が限度です・・・。

一昨日のペースメーカークリニックで、初見の医師に電池赤だから…
来週1人キャンセルがでたからどう?

どうと言われても、ペースメーカーの電池1ヶ月もたいから、と言われれば
拒む理由も無く「はい」と承諾した訳で。

来週ペースメーカー本体交換の為入院します。
なんか最近は電池の性能が良くなって、
でも電池容量がチッと大きいから今のよりちょっと大きいらしいと言う事でした。

ペタ返しは極力したいと思いますが、途切れた場合はご勘弁下さい。



ただいま赤ランプ点滅中!
ピコン‥‥ピコン‥‥






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サードライン以降の転移性乳がん治療薬/抗体薬物複合体「エンハーツ」の承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は2月26日、第一三共株式会社(本社:東京都中央区日本橋)が製造販売の承認申請をしていた、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ®(ENHERTU®)点滴静注用100mg(一般名:トラスツズマブ デルクステカン=trastuzumab deruxtecan=DS-8201)」について、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品として、承認申請を了承した。

本剤は、※条件付き早期承認制度適用医薬品で、早ければ、新年度初め頃にも正式承認される見通し。


エンハーツ点滴静注用100mg
化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん(標準的治療が困難のみ)治療薬
『エンハーツ®点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン/遺伝子組換え)』
(2019年12月 米国FDAで承認済)



「エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)」は、第一三共株式会社とアストラゼネカ(本社:英国・ケンブリッジ)が共同開発した、抗体薬物複合体(ADC=Antibody-drug conjugate)で、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、癌細胞表面に発現している標的因子(HER2)に抗体が結合すると、リンカーが切断されて、薬物を癌細胞へ直接送達することで、薬物の全身曝露を抑えつつ癌細胞への攻撃力を高めています。

エンハーツ抗体薬物複合体



「エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)」の、トラスツズマブ(遺伝子組換え)は「商品名:ハーセプチン」の名称で知られる抗悪性腫瘍剤で、抗HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)ヒト化モノクローナル抗体で、癌細胞表面に発現しているHER2に結合して殺傷する分子標的薬です。

HER2陽性乳がんと陰性乳がん


他方、デルクステカン(トポイソメラーゼI阻害剤)は第一三共株式会社が創製した特許新薬で、癌細胞内のシステイン残基によってリンカーを切断させ、癌細胞の増殖に必要なDNAトポイソメラーゼ酵素の働きを、癌細胞の中から殺細胞性抗がん剤で阻害して癌細胞死へ導く。

エンハーツ点滴静注用の作用機序
「エンハーツ®(ENHERTU®)」の作用機序。


◆HER2陽性の再発・転移性乳がんでは、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)などの抗HER2療法が標準治療で、病勢進行した患者に対しては別の抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ エムタンシン*(商品名:カドサイラ)が使われる。
*エムタンシンは…微小管阻害薬(タキサン系):パクリタキセル,ドセタキセルなど。

「エンハーツ®」は、トラスツズマブ エムタンシン投与でも治療困難なサードライン以降の治療に用いる。




尚、本剤は、アメリカ国内での第Ⅲ相臨床試験に於いて、「転移性の乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能又は転移性乳がん」を適応としてFDA(米国食品医薬品局)より、2019年12月23日までに製造販売承認を取得している。

この為、日本国内での販売後の第Ⅲ/Ⅳ相試験データの蓄積によって、再審査期間8年のうちに効能・効果が追加される可能性に期待が掛かる。

※条件付き早期承認制度は――、
重篤な疾患であって有効な治療方法が乏しく、患者数が少ない疾患等の理由でフェーズ3試験(第Ⅲ相臨床)などの検証的臨床試験を行うことが難しい医薬品について、発売後(=第Ⅳ相)に有用性を評価することを条件に承認する制度のこと。
重篤な疾患に対する有用な医薬品をいち早く承認することが目的。

厚生労働省によると、「エンハーツ®」の条件は米国と同様の内容になる見込みで、米国では、HER2陽性の再発・転移性乳がんを対象としたフェーズ3試験での臨床的有用性の検証が必要とされた。







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世界初、中枢神経系原発リンパ腫治療薬「ベレキシブル錠」の国内製造販売の申請を了承

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小野薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)が、再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)の適応で、2019年8月28日に国内製造販売承認申請していた『ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤「ベレキシブル錠80mg(一般名:チラブルチニブ塩酸塩=ONO-4059)」』について、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会が2月26日、「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫(primary central nervous system lymphoma=PCNSL)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・希少疾病用医薬品として承認申請を了承した。

本剤は海外に於いて2019年11月現在、承認されている国・地域はない。


ベレキシブル錠(チラブルチニブ)
*写真はイメージです。
再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫治療薬
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤「ベレキシブル®錠80mg」
(一般名:チラブルチニブ塩酸塩/tirabrutinib)は
現在、発売準備中のため、薬剤の写真はありません。




中枢神経系原発(悪性)リンパ腫(PCNSL)とは…
中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)は、初発診断時に病変が脳、脊髄、髄膜(脳の外側を覆う膜)、又は眼(=眼球リンパ腫)の中枢神経系リンパ組織外に病巣を認めない、脳脊髄(眼を含む)に限局した悪性リンパ腫を指します。
他の臓器リンパ腫由来(転位してきた場合)の二次性中枢神経系リンパ腫は含みません。

〔日本脳腫瘍学会/中枢神経系原発悪性リンパ腫エビデンスガイドライン
 〔https://www.jsn-o.com/guideline2016/CQ/general3.html



血管中心性リンパ腫と中枢神経系原発リンパ腫の違い
*血管中心性リンパ腫は原発が脳以外のリンパ節に起因する場合が殆ど。

日本国内に於ける中枢神経系原発リンパ腫の年間発症数は約980人と推定され、発症率は原発性脳腫瘍の3%と比較的希有で、男性にやや多く、好発年齢は50~80歳で、中央値は60歳台で、罹患率が近年上昇しています。


中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)患者が呈する徴候や症状は、脳の病変部位により異なり、局所神経障害(麻痺、失語)、神経精神症状、頭蓋内圧上昇に関連する症状、発作、眼症状、頭痛、運動困難、脳ニューロパチー、神経根障害などがあります。



中枢神経系原発悪性リンパ腫部位

治療の主体は、放射線治療と化学療法になります。
現在、未治療の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)患者には高用量メトトレキサート療法を基盤とする薬物療法、及びその後の全脳放射線療法が行われており、一部の患者集団で長期寛解するものの、多くの患者は再発に至ります。
また、初回治療が奏功しない難治性患者も存在します。


再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)患者に対しては、標準治療が確立されておらず、治療選択肢は限定的で、予後不良であり、新たな治療薬の登場が望まれています。

〔脳腫瘍診療ガイドライン 2019年版〕
〔小野薬品工業株式会社プレスリリース2019年12月9日及び2019年8月28日〕
〔東京大学医科学研究所附属病院 脳腫瘍外科/中枢神経系原発悪性リンパ腫〕





「ベレキシブル錠80mg(一般名:チラブルチニブ塩酸塩/tirabrutinib)」は、小野薬品工業が創製した選択性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤で、国内に於いて、B細胞腫瘍患者および自己免疫疾患患者を対象に開発が進められて来ました。
B細胞受容体(BCR)シグナル伝達は、B細胞系リンパ球細胞の生存、活性化、増殖、成熟、及び分化に関する中心的役割を担っており、特にB細胞性非ホジキンリンパ腫、及び慢性リンパ性白血病(CLL)では、B細胞受容体シグナル伝達経路が恒常的に活性化している事が知られている。

ベレキシブル錠(チラブルチニブ)の作用機序

「ベレキシブル錠80mg(一般名:チラブルチニブ塩酸塩/tirabrutinib)」は、B細胞受容体の下流に位置するメディエーター(仲介者)のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を阻害する事で治療効果が期待される。

本剤は通常、成人には1日1回480mgを空腹時に経口投与して用いる。




小野薬品工業は2014年12月、米国Gilead Sciences, Inc.(ギリアド・サイエンシズ・インク)に、日本、韓国、台湾、中国およびASEAN諸国以外の全世界におけるチラブルチニブの開発・販売権を供与するライセンス(導出)契約を締結しました。

また、既存の治療法では治癒が望めない難治性疾患、原発性マクログロブリン血症(WM)及びリンパ形質細胞リンパ腫(LPL)について2019年11月27日、
未治療並びに再発又は難治性の「原発性マクログロブリン血症」及び「リンパ形質細胞リンパ腫」に対する効能又は効果に係るチラブルチニブの国内製造販売承認申請を行っている。










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アビガン第3相臨床試験に向け「デンカ」が原料の国内生産を再開

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富士フィルム富山化学(富山第一工場:富山県富山市下奥井)は日本政府の要請を受け、3月31日、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の患者を対象に、抗インフルエンザ薬アビガン錠(一般名:ファビピラビル)の増産を開始すると共に、国内第3相臨床試験を開始した。

「アビガン」増産を受けて、化学メーカーの「デンカ」は4月2日、原料となる有機化合物「マロン酸ジエチル」の生産を再開すると発表しました。

 

 

「アビガン錠」は富士フイルム富山化学が開発した薬剤で、新型コロナウイルスの治療薬として国の承認を受けるため、現在、第3相臨床試験が進められています。

 


デンカは「アビガン錠」の原料となる有機化合物「マロン酸ジエチル」を製造する国内で唯一のメーカーですが、3年前の4月に生産設備を休止していました。
デンカによりますと、「アビガン錠」の国内での一貫した供給体制を作るため、国産の原料を使いたいと言う日本政府の要請を受けて、生産を再開する事にしたと言う事です。

 


デンカは来月(5月)から新潟県糸魚川市にある青海(おうみ)工場で生産し、「富士フイルム富山化学」に供給すると言う事です。
デンカは「新型コロナウイルス感染症への対策を社会的責務と捉え、迅速に生産体制を構築し、確実な供給を図ってまいります」とコメントしています。


「マロン酸ジエチル」は、合成香料・農薬・医薬品などの原料として使用される有機化合物で、デンカは国内唯一の「マロン酸ジエチル」メーカーであり、またその原料となる『モノクロル酢酸』も国内で唯一、関連会社のデナックが生産しています。
グループ内で、原料から最終製品に至る一貫生産体制の下、2017年まで「マロン酸ジエチル」の生産を行ってきた。


「アビガン錠」は、富士フイルム富山化学が開発した、新型コロナウイルス感染症(covid‐19)への治療効果が期待される抗インフルエンザ薬です。
COVID‐19は現在、治療法が確立されていない疾患であり、急速かつ世界的な拡大を受けて世界保健機関(WHO)がパンデミック(世界的な大流行)を表明するなど、有効な治療法の早期発見と開発が急務となっています。

「アビガン錠」は、新型インフルエンザ治療薬として承認を取得していますが、薬価が設定されていない緊急用の為、使用には政府の許可や病院内での審査を経て使用が許可される薬剤です。

 

 


ファビピラビルの機序は、ウイルスのRNAの複製に必要なRNAポリメラーゼ(酵素)の働きを選択的に阻害して、ウイルスの増殖を抑えることで作用を発揮します。この為、RNAウイルスである新型コロナウイルス(COVID‐19)に対しても効果が期待されています。

富士フィルム富山化学は、アビガン錠(一般名:ファビピラビル)の国内第3相臨床試験を約100例登録する計画で、2020年6月末の試験の終了を目標に据えています。


「アビガン錠」は、富士フイルム富山化学が開発した、新型コロナウイルス感染症(covid‐19)への治療効果が期待される抗インフルエンザ薬です。

 

 

 

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子宮頸管熟化不全治療薬「プロウペス®腟用剤」の発売を開始

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フェリング・ファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門2丁目)は4月2日、子宮頸管熟化剤「プロウペス®腟用剤10mg(一般名:ジノプロストン)」を日本国内で発売しました。
「プロウペス®(PROPESS® vaginal)腟用剤10mg」は、2020年1月23日、妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全に於ける熟化の促進を適応として厚生労働省が、日本国内でおよそ20年以上ぶりに承認した治療薬です。


プロウペス腟用剤10mg
妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進治療薬
子宮頸管熟化剤「プロウペス腟用剤10mg」
(PROPESS® vaginal inserts)



世界では出産の約10%に於いて、分娩誘発が必要となっていますが、分娩誘発は母・子のいずれかにリスクがある場合に必要となる可能性があります。

「プロウペス®腟用剤」は、妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全の妊産婦に対して使用される、陣痛促進の前段階に用いる薬剤で、子宮頸管熟化は、分娩の誘発に先立ち、出産に向けて子宮頸部の準備を整えるために実施します。

〔*世界保健機関「誘発分娩に対するWHO勧告」〕
WHO Recommendations◇ https://www.who.int/reproductivehealth/publications/maternal_perinatal_health/9789241501156/en/
〔*米国産科婦人科学会(ACOG)「よくある質問:分娩と産後ケア」〕
◇https://www.acog.org/Patients/FAQs/Labor-Induction?IsMobileSet=false



今回の承認により、分娩誘発を必要とする日本の女性にとって、既存の器械的熟化に取って代わる選択肢が増えることになります。



子宮頸管熟化剤プロウペス

「プロウペス®腟用剤」は、陣痛促進の前段階に用いるもので、有効成分のジノプロストン(Dinoprostone/10mg)を含む腟内留置用製剤で、正期産の女性(妊娠満37週以上)に於ける子宮頸管熟化の促進に使用します。

▲使用は、本剤1個を後腟円蓋に挿入し、最長12時間腟内に留置する。
プロウペス腟用剤使用法
プロウペス腟用剤使用法1

▲投与中には、分娩監視装置を用いて母体及び胎児の状態を連続的にモニタリングする必要があり、必要に応じてネットを引き抜き、投与を中止することが出来る。

▲有効成分のジノプロストンの作用によって、子宮頸部として知られる産道の一部を軟化させて開き、分娩のプロセスを開始させます。
プロウペス腟用剤使用法2

「プロウペス®腟用剤」の作用機序では、プロスタグランジンE2(PGE2=陣痛を促進し分娩を誘発する活性物質)によるコラゲナーゼ活性の上昇が考えられている。


「プロウペス®(PROPESS®)腟用剤10mg」は、英国・スコットランドで開発され、欧米など71カ国以上で販売され、子宮頸管熟化不全に対する処置として、経腟投与製剤は標準的に選択されています。






▲世界保健機関(WHO)「妊娠および出産における合併症管理:助産師と医師のための指針-第2版」
https://www.who.int/maternal_child_adolescent/documents/managing-complicationspregnancy-childbirth/en/

分娩は、母体や生まれてくる子供にとって、より安全と考えられる状況で産科医によって開始、又は誘発されます。

分娩誘発を行う理由には、妊娠高血圧腎症(血圧の突然の著しい上昇と腎機能障害)、胎児発育不全、妊娠末期に於ける原因不明の出血、過期妊娠(最も一般的な理由)があり得ます。
分娩誘発の成否は、誘発前の子宮頸部の状態と関連しています。
子宮頸部の長さ、位置、軟化の状況を調べて不全と判断された場合、子宮頸管熟化が開始されます。



子宮頸管熟化剤プロウペス装着図




【製品概要】
【販売名】:プロウペス®腟用剤10mg(PROPESS® vaginal inserts)
【一般名】:ジノプロストン(Dinoprostone)
【効能又は効果】:妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進(熟化作用)。

【使用量および回数】:使用時間等は、妊婦個々の症状などに合わせて医師が決め、医療機関で使用されます。
通常、本剤1個を腟奥に挿入し、最長12時間留置します(上図参照)。
尚、使い終わりなどには、医師や助産師などが取り出し用紐を引っ張って、薬を取り出します。

【使用できない妊婦】
○次の人は、この薬を使用することはできません。
・すでに分娩開始している人
・子宮筋層が切開される手術(帝王切開、筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅ つ)など)をした人、または過去に子宮破裂があった人
・胎児機能不全のある人
・前置胎盤(ぜんちたいばん)(胎盤が子宮口の一部または全体をおおっている状態) のある人
・常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)(胎児娩出前に胎盤が先に剥離し ている状態)のある人
・児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう)(胎児の頭と骨盤の大きさが不釣り合いの状態)または胎位異常のある人
・医学的適応での帝王切開の人
・過去にプロウペス腟用剤10mgに含まれる成分で過敏症のあった人
・次の薬などを使用している人 オキシトシン、ジノプロスト(PGF2α)、ジノプロストン(PGE2)、吸湿性頸管拡張材、メトロイリンテル、プラステロン硫酸エステルナトリウム








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世界初の外用JAK阻害剤/アトピー性皮膚炎治療薬「コレクチム®軟膏」6月25日発売予定

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日本たばこ産業株式会社(JT=本社:東京都港区虎ノ門)及び鳥居薬品株式会社(本社:東京都中央区日本橋本町)は、2020年1月23日、日本たばこ産業が日本国内における製造販売承認を取得した、世界初となる外皮用JAK阻害剤のアトピー性皮膚炎治療薬「コレクチム®軟膏0.5%(一般名:デルゴシチニブ)」について、4月22日付で薬価基準に収載された事と、6月24日より鳥居薬品が販売を開始することを発表しました。

コレクチム軟膏0.5%
外用アトピー性皮膚炎治療薬
JAK阻害剤「コレクチム®軟膏0.5%(一般名:デルゴシチニブ)」



<アトピー性皮膚炎について>
アトピー性皮膚炎は、痒みを伴い慢性的に経過する皮膚炎(湿疹)です。
その根本には皮膚の生理学的異常(皮膚の乾燥とバリアー機能異常)があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって発症すると考えられています。

アトピー性皮膚炎は、湿疹性疾患の中でも最も頻度の高い疾患であり、治療では、皮膚バリア機能の改善や、保持のための保湿外用薬を継続的に使用し、皮膚の炎症に対してはステロイド外用薬、タクロリムス外用薬(免疫抑制外用薬)などの抗炎症外用薬の使用が推奨されている。
これらの治療で効果不十分な場合に、免疫抑制剤(経口シクロスポリン)の間欠投与が行われます。


アトピー性皮膚炎の症例
成人の重症アトピー性皮膚炎の症例



「コレクチム®軟膏0.5%」は、外用のヤヌスキナーゼ(JAK=Janus kinase)阻害薬で、アトピー性皮膚疾患に用いるものとしては世界初のJAK阻害薬として承認されました。

細胞内の免疫活性化シグナル伝達に重要な役割を担うヤヌスキナーゼ(JAK)の働きを阻害し、免疫反応の過剰な活性化を抑制することで、アトピー性皮膚炎(自己免疫・アレルギー性疾患)を改善する、非ステロイド性の世界初の外用JAK阻害剤です。


デルゴシチニブのコレクチム軟膏0.5%の作用機序



「コレクチム®軟膏0.5%(一般名:デルゴシチニブ)」は,ヤヌスキナーゼファミリー(JAK1,JAK2,JAK3及びTyk2)の全てのキナーゼ活性を阻害する事により、種々のサイトカイン・シグナル伝達(各臓器細胞が産生する情報を伝達する生理活性物質)を阻害する。
デルゴシチニブはヤヌスキナーゼファミリーの全てのキナーゼ活性を阻害



この作用機序に基づき、サイトカイン(=インターロイキン)により誘発される過剰な免疫細胞、及び炎症細胞の活性化を抑止して、皮膚の炎症を抑制すると共に、サイトカインにより誘発される掻破行動(そう痒)を抑制すると考えられています。



国内で実施した、16歳以上のアトピー性皮膚炎患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験において、有効性の主要評価項目である、投与開始日を基準とした最終評価時の『*mEASI』スコアの変化率について、プラセボ(偽薬)に対する「コレクチム®軟膏0.5%」の優越性が確認されると共に、長期投与時における安全性についても確認されました。
 * 国内外のアトピー性皮膚炎の重症度評価として周知されているEASI(Eczema Area and Severity Index)スコアから、頭頸部スコアを除いた mEASI(modified EASI)スコア

▼重症度のアトピー性皮膚炎に用いられる主な薬剤。
◇デュピルマブ(デュピクセント皮下注/ヒトモノクローナル抗体)
◇タクロリムス(プロトピック軟膏/免疫調整外用薬)
◇ベンダザック(ジルダザック軟膏/非ステロイド消炎鎮痛)
◇スプロフェン(スルプロチン軟膏ほか/非ステロイド消炎鎮痛)など
◇◇抗アレルギー薬






【製品概要】
【製品名】:コレクチム®軟膏0.5%(CORECTIM® Ointment 0.5%)
【一般名】:デルゴシチニブ(Delgocitinib)
【薬効分類名】:外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤

【効能又は効果】:アトピー性皮膚炎
【用法及び用量】:通常、成人には、1日2回、適量を患部に塗布する。尚、1回あたりの塗布量は5gまでとする。(包装:5g/10チューブ)
【薬効分類】:269(その他の外皮用薬)、投与患者数581,000人
△尚、本剤は現在、2歳以上16歳未満の小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内第III相臨床試験を実施しています。

【薬価】:139.70円(0.5%1g)
【製造販売承認日】:2020年1月23日
【薬価収載日】:2020年4月22日
【発売日】:2020年6月24日
【製造販売元】:日本たばこ産業株式会社
【販売元】:鳥居薬品株式会社

本剤は2016年10月に、日本たばこ産業株式会社と鳥居薬品株式会社が共同開発を開始した製品です。










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国内の製薬企業各社続々 アビガン増産にオールジャパン体制

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全国の新型コロナウイルスの入院患者数が、この1週間ほどで1,300人程度減少していることが分かった。
新型コロナ入院患者減少

厚生労働省が、新型コロナに関して全国の病院の使用状況を調査した所、5月21日時点の全国の入院患者数は2,058人で、1週間ほど前(13日時点 3,423人)に比べ、1,300人程減少していることが分かった。
新型コロナ入院患者減少1
新型コロナ入院患者減少2

また、全国の重症者数は184人、宿泊療養者数は289人、自宅療養者数は257人で、いずれも1週間ほど前よりも減少傾向にあると言う。

厚生労働省は、使われていない病床数がかなりあるので、現状は逼迫(ひっぱく)していないとしながらも、感染の第2波、第3波に向けてどのくらいの病床数が必要か、都道府県と共に検討していきたいとしている。
新型コロナ入院患者減少3
2020年5月24日(日)午前1:16配信より



◆アビガンの受託生産に乗り出す企業続々 増産目指し原薬製造や製造工程で協力◆
~アビガン増産にオールジャパン体制~



国内の製薬企業各社が、新型コロナウイルス感染症向けに増産体制が敷かれている抗インフルエンザ薬・アビガン(一般名:ファビピラビル)の受託生産に相次いで乗り出した。


抗インフルエンザ薬・アビガン(一般名:ファビピラビル)をめぐっては、日本政府が緊急経済対策の1つとして、備蓄量を200万人分まで拡大することを決定。
2020年度末(2021年3月末日)までに備蓄量の用意を目指すことに伴い、製造販売元の富士フイルム富山化学が生産体制を拡大し、増産を開始している。

アビガンの第3相臨床試験は今も継続中で、アビガン単剤での効果と、更に複数の既存薬との併用投与の有効性や、適切な投与量の試験が引き続き行われている。



ところが…⇒先頃(5月20日配信/産経新聞Web等)、「中間解析で有効性が示されず」と言う、先走った報道があり、臨床研究を進めている藤田医科大学は同日、研究の中間解析に関する一部報道について『安全性を担保するために行われるもので、有効性の判定が主目的ではない』との見解を発表した。

確かにこの報道は、憤慨に値する医薬に対する軽率な報道であった。



アビガン増産体制オールジャパン


アビガンの受託生産(増産参加)を開始したのは、5月19日に、三谷産業株式会社(石川県金沢市)の子会社で、医薬品原薬の開発・製造を手がけるアクティブファーマ株式会社(本社:東京都千代田区神田神保町/事業所:富山県富山市八尾町)が、原薬製造を7月に開始すると発表。
ニプロファーマ株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)も9月からの生産を予定していると発表した。
いずれも数量や生産体制は非開示。


富士フイルム富山化学では、グループ会社の富士フイルム和光純薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)で、医薬品中間体の生産設備を増強するほか、原薬や原料の製造、製剤の工程に、国内外15社程度が協力し、アビガン(一般名:ファビピラビル)の増産を推進するとしていた。

アクティブファーマ(株)やニプロファーマ(株)のほか、既に、医薬品開発支援機関(CRO)のシミックホールディングス株式会社や日医工株式会社(本社:富山県富山市)などが、受託生産を開始すると明らかにしている。

また、中間体の生産に、宇部興産(ケミカル工場:山口県宇部市)、株式会社カネカも国内工場で、薬の一つ手前の原薬生産を7月にも始める計画である。





こうした一連の協力体制の広がりにより、生産を再開した3月上旬時点で、月4万人分強だった生産量は、7月に約2.5倍の約10万人分、9月には約7倍の約30万人分に引き上げられる予定となっている。


メディアの多くが、信憑性の確認を後回しにして、治療薬やワクチンの情報を流す傾向が顕著に見られます。
私たちはそうした憶測の入った情報に振り回されず、製薬企業が公式に発表するプレスリリースであるかを、必ず確認する事が重要です。
医薬品は、人命を左右するものであり、誤報や憶測は許されません。

多くの化学者・医師・分子生物学者・製薬企業・原料メーカーなどの研究者が、今、懸命に新型コロナウイルス感染症を克服すべく戦っています。
軽はずみな報道に左右される事なく、常に信頼できる情報であるかを確認し、検証していただきたいと願っています――。











ペタしてねペタしてね

二次性進行型多発性硬化症治療薬・S1P受容体調節薬「メーゼント錠」の承認申請を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は、当初、4月下旬に電子メールでの持ち回り審議を開催し、議決の有無を決定する予定だった承認申請医薬品の審議が、新型コロナウイルス(SARS-CoV2/COVID-19)感染症の感染拡大を受け、持ち回りで行った為、通常より1ヶ月ほど時間が掛かり――

5月21日付けで、ノバルティスファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)が申請していた多発性硬化症の新規治療薬「メーゼント錠(MAYZENT tablet)0.25mg、同錠2mg(一般名:シポニモドフマル酸塩)」について、「二次性進行型多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品として、承認を了承した。

厚生労働省は正式承認日の見通しについて、「新型コロナの影響もあって、6月中とは断定できない。7月になるかもしれない」としている。


多発性硬化症治療薬メーゼント錠(シポニモドフマル酸塩)
二次性進行型多発性硬化症治療薬
スフィンゴシン一リン酸受容体作動薬
「メーゼント錠0.25mg、同錠2mg(一般名:シポニモドフマル酸塩/siponimod)」



多発性硬化症(MS=multiple sclerosis)は、深刻な慢性進行性神経疾患であり、原因は、身体を細菌やウイルスから守る白血球やリンパ球などが、自分の脳や脊髄を攻撃する事で発症する自己免疫疾患ですが、何故、自己免疫攻撃が起こるかは分かっていません。

多発性硬化症の病態生理
大脳、脳幹、小脳、脊髄や視神経などの中枢神経に発症し、炎症や組織の脱落によって、脳、視神経、及び脊髄の正常な機能が障害されます。
厚生労働省指定の特定疾患に指定され、医療費が免除されている、神経難病です。

多発性硬化症の脱髄

多発性硬化症の病態は、脳、視神経、脊髄の神経線維を覆っている髄鞘(ずいしょう=ミエリン)と、その下位の神経線維が、まだら状に損傷または破壊され、感覚の異常や、運動障害が起こります。

世界中で約230万人が罹患している多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)の3種類の病型に分けられます。

多発性硬化症の進行分類

多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)から始まり、再発の有無に関わらず、身体的、及び認知機能的変化により特徴付けられ、神経機能が、時間の経過と共に徐々に悪化します。

〔*MSDマニュアル家庭版/09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 /多発性硬化症と関連疾患 /多発性硬化症(MS)より〕
〔*公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター /多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)より〕



患者の約85%は、最初に再発型の多発性硬化症を示します。
疾患活動性(再発やMRIでの新規活動性の所見)を有する、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)に於いて、身体的障害の進行を抑制したり遅延させる安全で有効な治療法は、未だに確立されておらず、新たな治療法の誕生が強く望まれています。

〔*ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース 2020年4月28日〕




「メーゼント(Mayzent)錠」は、新規有効成分の『シポニモドフマル酸(Siponimod fumaric acid)』が※スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体の特定サブタイプ(S1P-1)、及びS1P-5受容体に選択的に結合する免疫調節薬です。
メーゼント錠の作用機序

S1P1受容体に作用する事により、リンパ球がリンパ節から多発性硬化症患者の中枢神経系(CNS)に移行することを防ぐ事で、その結果、シポニモドフマル酸(SMA)の抗炎症作用が発揮されると考えられています。

また、シポニモドフマル酸がリンパ球の代わりに中枢神経系(CNS)内に移行する事で、中枢神経系内の特定の細胞(オリゴデンドロサイトおよびアストロサイト)上のS1P5受容体と結合し、ミエリン鞘の再形成促進作用と、神経保護作用が非臨床試験で示唆されている。

「メーゼント(Mayzent)錠」は、中枢神経系の防御機能である血液脳関門を通過するよう構築された化学構造の脂溶性薬物です。

〔*ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース 2020年4月28日〕
〔* Novartis Pharmaceuticals Corporation___https://www.mayzenthcp.com/mechanism-of-action〕

※スフィンゴシン1-リン酸(S1P1-5)は、様々な生理機能を制御する生理活性スフィンゴ(細胞膜の脂質二重層を形成する脂質分子)脂質です。










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米イーライリリー、世界初の新型コロナ・モノクローナル抗体治療薬第1相臨床試験開始

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米イーライリリー社(U.S. Eli Lilly Co.)は6月9日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して設計された、世界初のモノクローナル抗体治療薬「LY-CoV555」について、米国で最初の被験者への投与を実施したと、イーライリリー社日本法人を通じて発表した。

新型コロナウイルス抗体治療薬LY-CoV555

米イーライリリー社の最新プレスリリースによると、6月12日までに米国内の3人の患者への投与を行ったと発表。

この抗体治療薬のヒトでの有効性と安全性については、イーライリリー社と提携する中国・上海のバイオ医薬品メーカー・上海君実生物医薬科技(シャンハイジュンシーバイオ=Shanghai Junshi Biosciences Co.)が、上海に住む健常で、新型コロナウイルスの非感染者を対象にした初期臨床試験を開始している。

今回開始した「J2W-MC-PYAA試験」は、無作為化プラセボ対照二重盲検第1相臨床試験で、「LY-CoV555」を新型コロナウイルス感染症の入院患者に単回投与した時の安全性や忍容性を評価する。
第1相臨床試験は、6月末までに結果が得られる見込みとしており、単回投与での安全性が得られた場合、多施設共同の第2相臨床試験を始めると言う。

結果によって、早ければ今年9月末にも承認を取得し、市場に投入される見込みを示唆した。


新型コロナウイルスCOVID-19の標的タンパク質
モノクローナル抗体「LY-CoV555」が標的とする
新型コロナウイルスのスパイク・タンパク質(S protein)。


モノクローナル抗体治療薬「LY-CoV555」は、新型コロナウイルスの“スパイク・タンパク質(Spike protein)”に結合可能な『IgG1(免疫グロブリンG1)中和モノクローナル抗体で、新型コロナウイルスのヒト細胞への結合と侵入を阻害するよう設計されており、ウイルスを中和(ウイルスに結合して活性を減退または消失させる抗体)し、新型コロナウイルス感染症を治療・予防すると考えられている。

新型コロナウイルス感染症抗体治療薬LY-CoV555作用機序
新型コロナウイルス感染症抗体治療薬LY-CoV555


「LY-CoV555」は米イーライリリー社とカナダのアブセレラ・バイオロジクス社との提携の中で得られた最初の治療薬候補になる。

このIgG1中和モノクローナル抗体は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した、最初の米国患者群のうちの一人から血液検体を採取、その検体から米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のワクチン・リサーチ・センター(Vaccine Research Center:VRC)とカナダのアブセレラ・バイオロジクス社により発見されたもので、そこから僅か3ヶ月の期間で、イーライリリー社の科学者が開発した抗体治療薬である。

新型コロナウイルスCOVID-19


既存薬を転用するドラッグリポジショニングでの治療薬開発が加速する中、米イーライリリー社のダニエル・スコフロンスキー主任科学役員は、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2/COVID-19)を攻撃するよう設計された初めての新薬候補として期待される」と述べている。

免疫グロブリンの種類
免疫グロブリンの種類
5種類ある免疫グロブリンの中で、IgGは全体の70~75%を占める抗体。
ウイルス(抗原)が侵入すると免疫グロブリンGが二量体結合して抗体を作る。


先の、5月7日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として、ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液)」が異例の特例承認されたが、作用はアビガン錠(一般名:ファビピラビル)と同じRNAポリメラーゼ阻害剤である。

RNAポリメラーゼ阻害剤は、DNAを持たないウイルスが、ヒト細胞内に侵入するとRNAからDNAを作成して増殖するのを阻止する薬剤。
ちなみに、同様の作用機序の薬剤としては、C型肝炎ウイルス治療薬「ハーボニー配合錠」があり、C型肝炎ウイルスが増殖するために必要な酵素のRNAポリメラーゼ又はプロテアーゼを阻害することにより、抗ウイルス作用を現す。




ヒト細胞内でウイルスが活性化するので、免疫力が衰えた高齢者や、糖尿病・肝臓病・心疾患などや、他の重い疾患を治療中の患者が罹患すると、急激に症状が悪化、死に至ってしまう。
レムデシビルもアビガン錠も、投与出来ないのが現状だ。

その急速に悪化する恐ろしさを、我々は、志村けんさん、岡江久美子さんの非業の死を目の当たりにして、震撼している。




「LY-CoV555」は、これまでとは異なり、新型コロナウイルスだけを標的にしており、抗体がウイルスを感知すると、ヒト細胞内に侵入する事を阻止し、結合している免疫グロブリンG(IgG1)がウイルスを攻撃し、死滅させる。
また、新型コロナウイルスに素早く反応する事で発症を抑える予防的効果もあり、高齢者や基礎疾患のある人、医療従事者にも投与が可能であると言う。(但しワクチンの様に長期間働かず、薬剤の半減期まで)


米国や欧州での多くの死者は、介護施設や高齢者施設に入居・入院中の高齢者が大勢を占め、日本国内でも院内感染や老人介護施設での集団感染による死亡が後を絶たない事から、高齢者や医療従事者に投与できる治療薬の一刻も早い開発と市場投入が望まれている。(※ワクチンは来年以降の予測から)


▼https://investor.lilly.com/news-releases/news-release-details/lilly-begins-worlds-first-study-potential-covid-19-antibody
▼https://www.nature.com/articles/s41586-020-2180-5&prev=search
▼https://www.yakuji.co.jp/entry79652.html (2020/06/12)










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