悪性腫瘍(がん)化したT細胞が、主に皮膚で増殖・進行し、多発や再発を繰り返しながら数年から数十年の経過で徐々に進行して行き、稀に予後不良に至る希少疾病の皮膚リンパ腫、「皮膚T細胞性リンパ腫」(CTCL=Cutaneous T-Cell Lymphoma)を効能・効果として、抗悪性腫瘍剤「タルグレチン®カプセル75mg」(一般名:ベキサロテン)について、株式会社ミノファーゲン製薬(本社:東京都港区)は1月22日、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。
「皮膚T細胞リンパ腫」は、皮膚に出来る血液の癌の一つで、普段、外敵から身体を守っている免疫細胞の一種「T細胞」が、皮膚で活性化しながら増殖する悪性のリンパ腫です。
皮膚病変を生じるT細胞リンパ腫には、大きく二つあり、菌状息肉症(きんじょうそくにくしょう)とセザリー症候群と言い、「皮膚T細胞リンパ腫」はこの二つの総称を指します。
また、菌状息肉症とセザリー症候群以外の皮膚悪性リンパ腫としては、「成人T細胞白血病・リンパ腫」でも皮膚病変が現れる事が多く、その他のT細胞リンパ腫(難治性末梢性T細胞リンパ腫など)やB細胞リンパ腫(CD19抗原陽性など)、更には、様々な種類の良性、又は悪性のリンパ腫も皮膚病変を生じます。
厚生労働省統計情報部が集計した平成23年患者調査によれば、皮膚T細胞性リンパ腫の患者数は国内で1,000人と推定される希少疾病です。
「皮膚T細胞性リンパ腫」と言う。
「タルグレチン®」は、レチノイドの一種であるベキサロテンを有効成分とする抗悪性腫瘍剤で、レチノイドX受容体(RXR)に対して選択的に結合し、アポトーシス誘導及び細胞周期停止作用により、腫瘍増殖を抑制すると推測されている。
本剤は、2011年3月に日本、2012年3月にアジア・オセアニアなどにおける独占的開発権、並びに商業化権に関するライセンス契約をエーザイ株式会社(本社:東京都文京区)と締結し、2011年より日本国内で、皮膚T細胞性リンパ腫患者を対象とした臨床試験を開始した。
2013年には厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受け、国内で行われた第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(B-1101試験)と、海外臨床試験の成績に基づき、2015年3月、「皮膚T細胞性リンパ腫」の効能効果で承認申請を行っていた。
■ 効能・効果
皮膚T細胞性リンパ腫
■ 製品名
タルグレチン®カプセル75mg
■ 一般名・有効成分
ベキサロテン
■ 用法・用量
通常、成人にはベキサロテンとして1日1回300mg/m2(体表面積)を食後経口投与する。
尚、患者の状態により適宜減量する。
「タルグレチン®」は治療薬の選択肢として、欧州と米国では多少異なり、1999年に米国で承認された際は、「少なくとも一つ以上の全身療法に対して治療抵抗性を示した皮膚T細胞性リンパ腫」とのガイドラインが付加され、欧州では2001年に、「少なくとも一つ以上の全身療法に対して治療抵抗性を示した進行期皮膚T細胞性リンパ腫」の治療薬として承認されている。
日本国内では、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験おいて、病期ⅡB以上、又は病期IB~ⅡAで標準的初回治療(ステロイド外用を除く)に治療抵抗性を示した患者様(16例)を対象に実施された。
その結果、病変部位/紅斑/腫瘤等の体表面積に占める割合(%)に基づく有効性評価で、13例中8例(61.5%)に50%以上の改善効果が認められたとの事である。