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世界初、心不全治療用の心臓表面再生医療等製品「ハートシート」が発売開始

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女性体温計や血圧計、とろみ・半固形栄養食、医療用器具などを販売するテルモ株式会社(本社:東京都渋谷区)は5月30日、世界初の心不全治療用の再生医療等製品「ハートシート」の販売を開始した。

本製品の製造販売承認申請は、「骨格筋芽細胞シート」の名称で2014年10月31日に行われました。
また、厚生労働省が再生医療の実用化を促進するために制定した「条件及び期限付き承認」という早期承認制度が適用になった初めての製品です。



テルモ製ハートシート
心不全治療用の再生医療等製品「ハートシート」


「ハートシート」は、患者の大腿部(ふともも)から採取した筋肉組織に含まれる、骨格筋芽細胞を培養してシート状に調製し、患者の心臓表面に移植する製品で、虚血性(きょけつせい)心疾患による重症心不全の治療を目的としている。

「ハートシート」は、薬物治療や冠動脈バイパス手術などの標準治療で効果不十分な、虚血性心疾患による重症心不全の治療の新たな選択肢として期待されています。



◎∴虚血性心疾患とは=今年5月12日に44歳の若さで急死された、タレント前田健さんも虚血性心疾患でしたが、突然死を招く危険のある心疾患で、心臓の筋肉(心筋)に血液を送っている太い動脈(冠動脈)の内側が狭くなったり塞がったりする事で、心筋が酸素不足になり、心臓の機能が低下する事で起こる心臓病の事を言います。

冠状動脈性心疾患の原因プラーク
虚血性心疾患

血管閉塞の原因のプラークは、コレステロールや脂質などが蓄積したもの。
この状態を心筋梗塞と言い、それより下の心筋は壊死する。
壊死した心筋は元には戻らず、重症心不全へと至る。


◎∴冠動脈バイパス手術とは=詰まった冠動脈に脚などの血管を迂回路として移植する手術の事。


冠動脈バイパス手術
冠動脈バイパス手術は、例えば崖崩れで塞がった道の横に脇道を作るようなもの。
これによって塞がった場所の後ろに、新たな血流を送る事が出来るようになる。


自分の骨格筋芽細胞を用いた心不全治療(別名:心筋再生医療)は、2007年より細胞シートの開発に着手し、2015年8月26日に、大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科において、世界で初めて移植手術が実施されました。

この治療は人工心臓を装着された、重症心不全(拡張型心筋症)の40代男性患者に行われましたが、その後患者は人工心臓が外せるほどに心機能が回復し、無事退院、現在は健康な人と変わらない生活を送られています。



骨格筋芽細胞シート移植医療のプロセス
骨格筋芽細胞シート移植医療の工程


本製品は、患者の細胞を採取するための「Aキット」と、培養した骨格筋芽細胞と細胞をシート化するための「Bキット」によって構成されており、この度、保険適用診療1例目の患者の細胞採取のため、「Aキット」を医療機関に向けて販売を開始した。テルモでは、今後年間20~30例の治療での使用を見込んでいるとの事。


【ハートシート概要】

「Aキット」
1)医療機関において採取した骨格筋をテルモへ輸送するために用いる組織輸送液が充填された『骨格筋容器』。
2)医療機関において採取した血清をテルモへ輸送するために用いる『血清分離器具類』。

「Bキット」
1)患者自身の骨格筋芽細胞をテルモで培養して増殖させた後に凍結保存した『凍結保存細胞』。
2)医療機関において骨格筋芽細胞シートの調製を行う際に、解凍した細胞の洗浄、骨格筋芽細胞シートの調製、試験検査に用いる『培地類』。
3)骨格筋芽細胞シートの調製、包装及び試験検査に用いる『シート調製器具類』。


【効能、効果又は性能】
<対象とする心不全の状態>
・NYHA心機能分類がⅢ又はⅣ度
・安静時における左室駆出率が35%以下

上記の基準の全てを満たす、薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心疾患による重症心不全の治療。


NYHA心機能分類がⅢ又はⅣ度
*NYHAはNew York Heart Association=ニューヨーク心臓協会の略
*左室駆出率は、心拍ごとに心臓が送り出す血液量(駆出量)を言う。


【診療報酬上の取り扱い施設基準】
(1)植込型補助人工心臓(非拍動流型)の実施施設として届出のある施設である事。
(2)循環器内科の経験を5年以上有する、常勤医師及び心臓血管外科の経験を5年以上有する、常勤医師がそれぞれ1名以上配置され、これらの医師は所定の研修を修了している事。
 など5項目の基準を満たしている医療施設である事。



(参考)ハートシートは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで、大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科:澤芳樹教授が開発を進め、臨床研究が実施されてきました。テルモは、大阪大学との共同研究を進め、先端医療開発特区「スーパー特区」の「細胞シートによる再生医療実現プロジェクト」(研究代表者:東京女子医科大学:岡野光夫教授)に参加しました。



心臓移植しか助かる方法の無かった虚血性心疾患による重症心不全に対して、「ハートシート」は2015年9月18日、世界初となる心不全治療用の再生医療製品として製造販売承認を取得。

もちろん全ての重症心不全の患者に適応される物ではないものの、この培養シート移植が、治験段階を出て、実際の治療に使用されるようになった事で、より多くの患者に希望と福音をもたらしてくれる事でしょう。








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水素水「信頼できるデータが見当たらない」国立健康・栄養研究所が見解

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国立健康・栄養研究所(正式名称:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:東京都新宿区戸山=国立感染症研究所内)が、サイト内の「健康食品」の素材情報データベースに、「水素水」を新たに付け加え、人への有効性について、『信頼できるデータがない』と、記述していることが19日までに分かった。

国立健康・栄養研究所は、栄養と健康についての調査研究を行う国立研究開発法人で、「水素水」を巡っては、5月に新聞やWebニュースなど各メディアで、水素水が「効くのか、効かないのか」の論争が白熱したばかり───。


水素水は信頼できるデータが見当たらない
賛否記事。
効果があると言う記事を良く見ると、
ブドウ糖・アミノ酸・ミネラルに血清まで混ぜた培養液とある。


これまで「水素水」には決まった定義が無く、いわば濃度を競ったり、未検証の効能・効果を謳ったりと過熱気味だった為、素材情報データベースでは、水素水を「水素分子(水素ガス)の濃度を高めた水」と定義。

水素水の調整法として、【1】加圧下で水素ガスを水に充填、【2】水の化学反応で水素分子を発生、【3】電気分解で陰極(-)側に発生した水素分子が豊富な水を利用──の3つを挙げた。
このうち(3)の電気分解によって調整された水について、「還元水素水、アルカリイオン水、電解水素水などと呼称される事がある」と指摘している。
また、安全性についても、『信頼できる十分なデータが見当たらない』とした。



「電解水素水」については、日本透析医学会専門医制度委員会が、医療機器の製造承認を取得した、日本トリム株式会社(本社:大阪市北区梅田)の「TRIM ION HYPER」で整水された電解水素水を、大量の水を使用する血液透析液に使用する事で、透析前後の血圧の有意な低下や、血液中の酸化ストレスマーカー、炎症マーカーの有意な低下が(東北大学医学部及び台湾大学医学部との共同研究)観察されています。

病院用電解水透析システム
家庭用電解水透析システム

2016年4月時点で、15施設242床で電解水透析システムが導入されている。




しかし臨床研究のデータに乏しい市販の「水素水」や「○○水素水」では、カナダでメタボリック症候群のリスクを1つ以上持つ男女20人に、1日1.5~2.0リットルを8週間飲ませた所、65%に当たる13人が体調不良を経験したという実験結果も報告されている。

これについて「水素水」との因果関係は、「possible(あり得る)」と判断されたと報告されている。



国立健康・栄養研究所が今回の発表に至った経緯とは───。

「水素水」に関する様々な噂が飛び交い、混乱している状況があった為、きちんと整理をして情報公開する必要があると判断し研究を進めてきたとの事。
様々な分野の人達が、マウスの実験や培養細胞の実験だけのもの、実験データの情報欠落による『がん抑制効果』との文言の一人歩き、日本一という名の誇張など、エスカレートして来た事への注意喚起の意味合いが大きいと───。


「水素水」の論争に決着がつくのかについては───。

「あくまで現時点までに有効性を示すデータが無いため、『わかりません』と言う事なんです。今でも様々な研究機関が解明を進めていますので、そうしたものも参考にすればいいと思っています」

更に、「水素分子(水素ガス)は腸内細菌によって体内でも産生されており、その産生量は食物繊維などの摂取によって高まるとの報告もある」などの記述も示されている。



氾濫する水素水の広告


また既に、国民生活センターは今年3月11日、水道水に含まれる活性酸素の量を抑制すると謳って「水素水生成器」を販売している2事業者に、“抑制するとどんな効果があるのか”を明確に記載するよう要望している。


体内で活性酸素が過剰発生すると、「動脈硬化や心筋梗塞、がんなどに関わる」と指摘する論文がある。国民生活センターは、水素水生成器による活性酸素の抑制機能は、必ずしも体内の活性酸素の量を減らすといった健康面への効果を示すものでは無いとして、買う際は慎重に判断するよう注意を促した。

右横矢印つまり体内の過剰な活性酸素を、水素水生成器を通す事で、あたかも動脈硬化や心筋梗塞、がんなどを抑える効果があり、予防に繋がる、と言う勝手な論理を成立させ、言張っているが、活性酸素が過剰発生する事によるリスクと、活性酸素を抑制する事による効果・効能には根拠がないと言う事である。

こういうのを「言葉のトリック」や「ヘリクツ」と言う。

この言葉を信じ、ほんとに病気の人が水素水生成器の水を飲み続け、他の有意義な治療をおろそかにしてしまったら、本末転倒も甚だしいビックリマーク


勿論、電解水素水整水器の中には、胃腸症状の改善に効果のある家庭用管理医療機器として認証されている物もあるので、それらの製品を家庭で使用する際は、宣伝に惑わされず、しっかりとした家庭用医療機器製造販売認証番号を確認しましょうビックリマーク

少なくとも飲料水で健康に気を使うなら、しっかり認可を受けた機器を使う事が大切。

区切り線
区切り線

【参考までに、医療機器として製造承認を受けている製品】

アルカリイオン水生成器_三菱レイヨン・クリンスイ
TRIM ION HYPER--承認番号226AGBZX00012000






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重症気管支喘息治療薬「ヌーカラ皮下注用100mg」が発売開始

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グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都渋谷区、略称:GSK)は6月10日、成人および12歳以上の小児に対し「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治患者に限る)」の効能・効果で、2016年3月28日に承認を取得した、抗インターロイキン-5(IL-5)抗体薬「ヌーカラ®皮下注用100mg」(一般名:メポリズマブ(遺伝子組換え))について、発売を開始したと発表した。


ヌーカラ皮下注用100mg


喘息患者は現在、全世界で約2億4,200万人が罹患(りかん)していると推定されています。日本では、全人口1億2,700万人のうち8%、約1,000万人が喘息に罹患していると推定されている。

喘息患者の多くは、既存の治療薬を適切に使用している場合、症状を十分にコントロールする事が出来ますが、喘息患者のうち5%以下が重症喘息であり、年間1550人程度(2014年)が重症化し、既存の治療法では症状を十分にコントロールする事が出来ずに死亡しています。

2000年には死亡者が4000人を越えていたので、この間、治療薬の進歩で減少傾向にありますが、それでも尚、難治性重症喘息患者では選択肢が狭められています。



喘息重症度別治療薬ステップ
「喘息の症状度別治療ステップ」
☆治療ステップ4の青線部=「抗IgE抗体」は、
2012年11月30日に登場した「ゾレア®(一般名:オマリズマブ(遺伝子組換え)」

ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体ゾレア
ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体「ゾレア®」


この『重症喘息(重症持続型)』は、「“コントロール不良”となる事を予防する為、高用量の吸入ステロイド薬および長期管理薬(および/または全身性ステロイド薬)による治療が必要である喘息、或いはこうした治療にも関わらず“コントロール不良”となる喘息」と定義され、また経口ステロイド薬を長期間使用している患者も、重症喘息患者として分類される。


血液中の好酸球
好酸球は白血球の中の一つで、
アレルギー性疾患では多く集まり特殊なタンパク質を放出する。


「ヌーカラ®」は、重症喘息患者において、好酸球(白血球の一種)の生成促進(産生亢進)が、肺の炎症を引き起こし、気道に影響を与え、呼吸を制限して喘息発作の頻度を増加させるインターロイキン-5(IL-5)と好酸球との結合を阻止する事で、血中、組織、および喀痰(たんを吐く事)に含まれる好酸球数を減少させます。


好酸球IL-5受容体とIL-5結合
好酸球にあるIL-5受容体とIL-5が結合して症状を悪化させる。
IL-5はサイトカイン(低分子タンパク質)の一種。


ヌーカラがIL-5と結合して受容体結合を阻止
「ヌーカラ®」がIL-5と結合、好酸球のIL-5受容体への結合を阻止。

「ヌーカラ®」は、骨髄で作られ肺へ送られる好酸球が、過剰になり、好酸球によって気道炎症が進む事を阻止するモノクローナル抗体製剤です。


製品概要;
製品名: 「ヌーカラ®皮下注用100mg」
一般名: メポリズマブ(遺伝子組換え)
効能・効果: 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
■ モノクローナル抗体薬としては初めて、12歳以上の小児にも使用が可能。
用法・用量: 通常、成人及び12歳以上の小児にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回100mgを4週間ごとに皮下に注射する。
注意事項 ヌーカラの投与は皮下注射とし、静脈内または筋肉内注射は行わないこと。
薬価: 17万5,684円






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難病ALS進行抑制新薬「KP-100IT」が国内第2相試験を開始

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東北大学大学院・医学系研究科神経内科学分野と、大阪大学大学院・医学系研究科神経内科学は5月13日、共同で全身の筋力が低下する難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS=Amyotrophic Lateral Sclerosis)」の新薬の臨床試験を始めると発表した。

東北大学と大阪大学の研究チームが実施する医師主導治験(第2相試験)には、肝細胞増殖因子(HGF)組換えタンパク質と呼ばれる神経栄養因子が使用される。





筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に脳や脊髄の運動神経細胞の変性によって全身の筋肉に痩せと筋力低下が進行し、多くは4~5年で呼吸筋麻痺に至り、人工呼吸器を装着しなければ生きていけなくなる最も過酷な難治性の神経難病です。

症状の進行を遅くする薬剤はあるものの、症状の進行を抑制したり、症状を改善するような治療法が無いため、新しい治療法の開発が切望されています。

ALSの患者は国内で9,200人、世界で35万人以上とされる。


ラジカット点滴静注剤
2014年11月に発売されたALS進行抑制治療薬
「ラジカット®注30mg」と「ラジカット®点滴静注バッグ30mg」
(一般名:エダラボン/田辺三菱製薬)
本剤は、本年6月20日に米国FDAへ承認申請。
(承認されれば米国では約20年ぶりの新しいALS治療薬となる)



筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象とする国内第2相試験は、東北大学病院神経内科・科長の青木正志教授のグループと、大阪大学医学部附属病院神経内科・脳卒中科長の望月秀樹教授のグループが、日本医療研究開発機構(AMED)の難治性疾患実用化研究事業による支援を受け、東北大学病院、及び大阪大学医学部附属病院において行われる。
(現時点で既に投薬が開始されています)


研究チームは、肝細胞を増殖させるHGFというタンパク質に着目。
肝細胞増殖因子(HGF)は、神経細胞を保護する働きがあり、ラットの動物実験では、筋力低下が抑制され、生存期間が約1.6倍延びた。

研究チームは、ALS患者計15人に、脇腹から脊髄腔にHGFを最長5週間投与し、重大な副作用が無い事を確認した。


HGF投与図
脊髄腔内留置カテーテル
NP022(脊髄腔内カテーテルと皮下埋込みポート)を使用し投与。


肝細胞増殖因子(HGF)組換えタンパク質は、日本で発見された神経栄養因子で、もともとは肝細胞の増殖因子として発見された生理活性物質ですが、運動神経細胞の保護効果を示す作用も強く、難治性神経疾患に対する治療薬として、臨床応用が期待されて来ました。


東北大学の青木正志教授らは、慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授、及び整形外科学教室の中村雅也教授、旭川医科大学脳機能医工学研究センターの船越洋准教授らと協同で、組換えHGFタンパク質を医薬品化する創薬研究を行った。

2011年(平成23年)~2014年(平成26年)、世界初の組換えHGFタンパク質の脊髄腔内投与による第I相試験(安全性確認治験)を東北大学病院で実施した。

その結果、安全性と薬物動態を15名の軽症ALS患者で確認した事で、今回、ALSに対するHGFの有効性と安全性を確認する第2相試験を開始した。



新規ALS治療薬KT-100IT
©クリングルファーマ株式会社

期待される新規ALS治験薬「KT-100IT」


本治験で使用する治験薬は、ヒトのHGFを、遺伝子組換え技術により製造・製剤化したもの(開発コード:KP-100IT)で、クリングルファーマ株式会社から提供される。


国内第2相試験は、20歳以上70歳以下で、発症後2年半以内の症状が比較的軽い患者が対象で、東北大学病院、大阪大学医学部附属病院のそれぞれで24人ずつ、合計48人のALS患者が参加。
ALS患者の脊髄腔に、治験薬を2週間に1回の間隔で繰り返し投与する。

治験薬は、被験薬「KP-100IT」又はプラセボ(生理作用のない偽薬)の2種類で、最初の6か月間はそれぞれの参加患者に、どちらかの治験薬を投与。これにより、「KP-100IT」が投与された患者とプラセボが投与された患者の結果を比較し、「KP-100IT」の効果と安全性を評価すると言う。

ALSの運動ニューロンに対するHGF保護効果
HGF組換えタンパク質治験薬「KP-100IT」は、
これまでの病状の進行を遅らせるだけだったALS治療薬と異なり、
進行を停止させたり、又は病状の改善も期待されています。


ALS発症初期に、運動ニューロン(運動神経細胞)を保護出来れば、ALSによる細胞変性を最小限に止める事が可能となる。


東北大学の青木正志教授(神経内科)は「3年後を目標に新薬の実用化を目指したい」としている。
治験期間は2019年8月までを予定している。









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増え続ける「介護殺人」の衝撃!

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7月3日放送の『NHKスペシャル 私は家族を殺した~“介護殺人”当事者たちの告白~』は、見るものを絶望と悲観へと突き落とす程、ショッキングで暗鬱な内容だった。


『NHKスペシャル』はこれまでも、「無縁社会~“無縁死”3万2千人の衝撃~」や、「終(つい)の住処(すみか)はどこに ~老人漂流社会」、「老人漂流社会 ~“老後破産”の現実~」など、高齢者‥‥とりわけ独居老人や高齢者夫婦だけの人達が、現実に直面している厳しい実態を取り上げて来た。

しかし、『介護殺人~当事者たちの告白』は、これまで日本で殆ど触れられた事のない、衝撃的な現実を、主に過去に親や妻(夫)の介護疲れが原因と見られる未遂を含めた“殺人事件”や“心中”など、いわゆる“介護殺人者”のインタビューで構成されたものだった。



“無縁死”や“老後破産”など、比較的冷静に視られる題材とは全く異なる、強烈なインパクトを視聴者に突き付けた。

この番組を視聴したネットユーザーからは、呆然とするコメントが寄せられたと言う───。

   

介護殺人
介護殺人当事者

介護疲れによって家族の命を奪う「介護殺人」は、去年までの6年間に少なくとも138件発生していると言う。6年は2190日なので、1年では約15.8日に1件の発生となり、約2週間に1件の割合で起きている事になる。




2016年04月29日
■ 午前0時20分頃、大阪府大阪市此花区伝法の路上で、「電柱で首を吊って自殺しようとしている男がいる」と、通行人の男性から110番通報。警察が駆け付けた所、男は「内縁の妻を殺した」と話し、自宅の市営住宅の部屋で70代ぐらいの女性の遺体が発見された。
自称韓国籍の無職・大浦次郎(本名=孫晋慶(しんけい)容疑者(69))を殺人の疑いで緊急逮捕した。
孫晋慶容疑者から事情を聞いた所、「介護に疲れ、おととい首を絞めて殺害した。自分も死のうと思った」と、容疑を認めている。


2016年04月05日
■ 午後3時頃、兵庫県加東市長貞の民家で、認知症を患っていた79歳の妻の首を絞めて殺害したとして、兵庫県警加東署は6日、夫の無職・八尾嘉明容疑者(82)を殺人容疑で逮捕した。
八尾嘉明容疑者は妻と長男(50)の3人暮らしで、長男は留守だった。八尾嘉明容疑者は調べに、「夜に2回ぐらい、トイレで起こされていた」などと供述していると言う。兵庫県警加東署は、介護疲れの可能性も含めて動機を調べている。


2016年04月04日
■ 午前9時頃、宮城県加美町上野目中ノ内の住宅で、車椅子生活の母親を訪問した介護施設の職員が、呼んでも返事が無い事を不審に思い、母親の弟に連絡。弟が4日午前11時頃、自宅の介護用ベッドの脇で、車椅子にもたれ掛かった状態で死亡している、無職・佐藤ふみ子さん(65)を見つけ、110番した。
長女の無職・佐藤由美子容疑者(41)を、同居する母親の佐藤ふみ子さんの遺体を遺棄したとして、死体遺棄容疑で5日、逮捕した。佐藤由美子容疑者は、母親の佐藤ふみ子さんの長女で2人暮らし。佐藤ふみ子さんは左半身が不自由で、車椅子生活をしていた。
佐藤由美子容疑者は、「母親が死亡しているのは分かっていて、出掛けた」と容疑を認めている。


2016年03月20日
■ 午前0時半頃、兵庫県神戸市兵庫区兵庫町のマンションで、川面加寿江(かわずら・かずえ)さん(53)が冷たくなっていると、同居する妹の無職・中原志寿江容疑者(51)が119番通報した。警察が駆け付けた所、川面加寿江さんが自宅のベッドで布団をかぶった状態で、仰向けで死亡していた。
死亡した川面加寿江さんには知的障害があり、調べに対し中原志寿江容疑者らは、「知的障害のある叔母(おば)の食事の食べ方が汚いので、イライラして殴ってしまった」と供述していると言う事です。


2016年03月07日
■ 午前7時25分頃、岐阜県海津市海津町成戸の無職・野村裕さん(57)方から出火、木造平屋建ての母屋と木造2階建ての離れを全焼し、離れの焼け跡から女性の遺体が見つかった。岐阜県警海津署は7日、この家に住む無職・野村裕容疑者(57)を現住建造物等放火の疑いで逮捕した。遺体で見つかったのは野村裕容疑者と同居する妹の野村久美子さん(56)で、野村裕容疑者は野村久美子さんと2人暮らしで、野村久美子さんには知的障害があったと言う事です。

2016年02月26日
■ 午後5時40分頃、神奈川県横須賀市桜が丘の市営団地の住民から、「年配の男性が警察官を呼んでほしいと言っている」と110番通報があった。神奈川県警浦賀署員が駆けつけると、団地の一室でこの部屋に住む女性(68)が倒れており、女性は顔に殴られた痕があった。現場にいた夫(70)が「妻を殴ったかもしれない」と話した為、神奈川県警浦賀署は傷害容疑で夫を逮捕した。妻はその後、死亡が確認された。
夫は妻と2人暮らしで5年ほど前から認知症を患い、最近は症状が悪化していたと言う事です。


2016年02月20日
■ 午前8時過ぎ、鳥取県鳥取市栗谷町の無職・伊藤禅さん(82)が自宅で倒れているのを、訪ねてきた息子が見つけ119番した。駆け付けた消防によって、伊藤禅さんは既に死亡が確認された。
伊藤禅さんの首の絞められたような痕は、紐状の物が使われたと見られ、同居している70代後半の妻も、同じ部屋で手首から血を流しているのが見つかり病院に搬送され、入院した。搬送時、意識はあったと言う。
伊藤禅さんと妻は2人暮らし。付近の住民によると、伊藤禅さんは地域の自治会長を長く務めていた。最近は要介護認定を受け、杖を使って歩いたり、週に3回介護デイサービスを利用していた。


2016年02月5日
■ 午後11時25分頃、埼玉県小川町腰越の住宅で、無職・国崎恭子さん(77)の夫から「妻を殺した」と110番があり、駆け付けた埼玉県警小川署員が、台所で血を流して倒れている妻の国崎恭子さんを発見した。国崎恭子さんはその場で死亡が確認された。夫の國崎誠一容疑者(83)が殺人の疑いで逮捕されました。
國崎誠一容疑者は調べに対して、「認知症の妻の介護に疲れ、無理心中を図った」などと話していたと言う事です。
しかし・・・國崎誠一容疑者は逮捕後には殆ど取り調べに応じず、食事も摂らなかった為、警察は医師と相談した上で2月17日、埼玉県小川町内の病院に入院させていましたが、入院後も食事を殆ど摂ろうとしなかった為、点滴などで栄養補給をしていましたが、2月23日午前10時頃、病院で死亡が確認されました。


2015年12月17日
■ 17日午前0時頃、栃木県那須町高久甲の無職・常松正根容疑者(71)が、介護が必要な妻(69)を殺害したとして殺人容疑で逮捕された。自宅寝室の介護用ベッドで寝ていた妻葉子さんの首をベルトで締め、殺害した疑いがある。約2時間後、ワゴン車の後部座席に遺体を乗せ、「介護疲れで殺した」と栃木県警那須塩原署に自首した。
葉子さんは脳の病気で倒れ、寝たきりの状態になり、数年前から認知症を患い、常松正根容疑者にきつい言葉を浴びせることが増えていたと言う。
調べに「介護の時にきつい言葉を言われた」などと供述している事が分かった。


2015年12月18日
■ 三重県警紀宝署は18日夜、三重県紀宝町浅里の無職・植地紀生容疑者(52)を82歳の母親を殺害したとして、殺人容疑で逮捕したと19日発表した。
発表によると、植地紀生容疑者は18日深夜、自宅離れで母・植地靖子さん(82)の口をタオルで塞ぎ、殺害した疑い。警察の調べに対して植地紀生容疑者は容疑を認め、「電動車椅子の購入を巡って口論になり、殺した」と供述していると言う。植地紀生容疑者は母親と2人暮らし。


2015年12月3日
■ 午前1時半頃、神奈川県平塚市の住宅で、83歳の母親の全身を鉄の杖で十数回殴り重傷を負わせたとして、娘の本田美智容疑者(44)が逮捕された事件で、母親が5日、入院先の病院で死亡した。警察によると、逮捕された本田美智容疑者は、3日、神奈川県平塚市の自宅で、介護を巡って口論になった母親の本田菊子(83)さんを鉄製の杖で十数回殴って重傷を負わせた疑いが持たれている。
本田美智容疑者は調べに対し、「母が失禁したのに認めなかったので、カッとなって叩いた」と容疑を認めていると言う。


2015年11月28日
■ 午前8時15分頃、愛知県みよし市明知町団子山の市営住宅で、無職・佐々野丈市(じょういち)さん(73)方で、次男(41)から「父が起きてこないので寝室を見に行くと、布団をかぶったまま口から血を流している」と119番があった。愛知県警豊田署員が駆けつけると、佐々野丈市さんは現場で死亡が確認され、妻の佐々野夏子容疑者(72)が「手で首を絞めた」などと話したため、愛知県警豊田署は殺人容疑で逮捕した。
次男によると、佐々野丈市さんが認知症だったと話していると言う事で、警察では詳しい動機などについて調べています。


2015年10月20日
■ 宮城県七ヶ浜町東宮浜の民家を訪れた、近くに住む家族の長女から「家に誰もいない」と、警察に通報があった。この住宅には87歳の母親の佐藤かの(87)さんと長男・佐藤長一さん(57)、それに50代の次女が住んでいましたが、警察が調べた所、庭で土が盛り上がった場所から遺体の一部が見つかり、翌日の21日、警察が現場を掘り起こして調べた結果、女性の遺体が見つかった。
近隣住民によると、佐藤かのさんは要介護度4で寝たきりに近く、自力で歩くのは難しい状態で、次女は周囲に「介護に疲れた」などと漏らしていた。


2015年8月7日
■ 午前8時25分ごろ、北海道小樽市入船3の無職・山根久子さん(87)方で、同居している長男の資材卸売会社社長・山根敏嗣さん(67)から「自宅で母親が倒れている。妻が刺したようだ」と119番があった。久子さんは1階寝室で倒れており、病院に搬送されたが、死亡が確認された。
小樽署などによると、殺害された山根久子さんは寝たきりで介護が必要だったという。久子さんは長男の山根敏嗣さんとその妻の3人暮らしだった。


2015年7月28日
■ 山梨県上野原市大野の住宅で、自宅1階寝室で寝ていた妻の松土通江さん(88)の首を絞めて殺害したとして、夫で無職の松土賢一容疑者(93)が逮捕された。夫婦は長男の夫婦と4人暮らしで、松土通江さんが布団の上で倒れているのを長男の妻が見つけたと言う事で、松土通江さんの死因は窒息死だった。
夫婦は近くの介護施設でデイサービスを利用していて、施設の職員によりますと、松土通江さんは腰を痛めていましたが、外に出た方が体に良いと、交流や入浴のために週に3日、施設を利用していた。松土賢一容疑者は「自分も死のうと思った」などと話しているとの事。


.....................................................

実はこれはウェブニュースで報道されたほんの一部。
ウェブニュースや新聞報道に載らない、老々心中、親子心中、頼まれ殺人、傷害致死や入水自殺なども、原因が介護によるものが、多々起こっている。

介護殺人心中

更に、身体的障害や知的障害の子供を、母親が将来を悲観し殺害するケースも‥‥、いつまでも自身が面倒を見れないと言う介護予期不安から、理性を失い、犯行に及ぶ。



「死んでくれたら楽になると思い、枕に母の顔を押しつけた事があった」

「絶望し、親子心中や自殺を考えた」

「母親と口論になって、思わず『一緒に住みたくない、死んでほしい、殺したい』と怒鳴った」

「我慢の毎日」

「牢獄にいるよう」

「介護をするためだけに自分がいる」



介護殺人当事者
介護殺人当事者


介護をしている相手に対して、「一緒に死にたい」、「手にかけてしまいたい」と思った事がある人が4人に1人に上っている事が分かった。

事件は起きていなくても、追い詰められた状態で介護をしている人が少なくない実態が明らかになった‥‥。


国立長寿医療研究センターの荒井由美子研究部長は、

介護殺人予防

「国は在宅で介護をしている人の負担を把握する事は謳っているが、現場には十分に浸透していないと思う。在宅での介護を進めるのであれば、家族の心身の健康状態を守る事が必要で、そうしないと共倒れになってしまう──。介護者の負担を把握し、それを減らすという視点で、これから益々対策を取っていく必要がある」と指摘している。
介護殺人予防



$好奇心の扉-アニメ線6


やや話は逸れるかもしれないが、
年老いて、足腰が弱り、動く事もままならず、更に認知症を患うかもしれないと言うのは、認知症を除けば、脳の病気や骨折なども含め、誰にでも必ず訪れる、絶対に回避出来ない宿命でもある。


それはまるで、災害列島日本の、人間と自然との戦いの歴史にも似ている。
地震や自然災害は、必ず、いつかは襲ってくる。

私たちはその「もしも」の瞬間に備えて、知識を集め、協力し合い、いつ訪れるか分からない瞬間のために、可能な限りの準備をしておく必要がある。


災害はいつか必ず襲い掛かる。

その脅威から逃れる術は少ないかもしれないが、それでも最小限の被害にとどめるため、準備を怠ってはならない。
それは日本人が、日本列島に住み始めた時から今日まで、「備えを」「準備を怠るな」と代々語り継がれてきた事でもある。



その教えは、何も災害だけではない。

今生きている全ての人には、両親がいて、祖父母がいて、曾祖父母がいて‥‥
世代が引き継がれる毎に、いつの時代にも介護される人と、介護する人がいて、看取る人と看取られる人がいた───。


その姿や、その光景を、例え知らなくても、介護の立場になる時が必ず訪れる。

人が自分自身の将来のために、健康に気を使い、健康診断(がん検診など)を受けるのと同じように、私たちは介護という日のために、準備と心構えを常に持ち、慌てる事なく対処できるよう、努力をしていなければならない。




東日本大震災でも、先日の熊本地震でも、「まさか」が起こり、住む家を失い、家族を亡くした人が大勢いる。

しかし準備していた人たちは、先人の教訓の通り、既に高台に移り住んでいた人もいた。
又、柔らかい火山灰で出来た地面を地盤補強工事し、家屋が倒壊しなかった家もあった。



健康診断や各種検査が、自身の心と身体のための準備なら、それと同じように「介護の来る日」の準備も怠ってはならないのではないか───。

各々が、やがて訪れる「その日」のために、家族で話し合い、心の準備をしておく事で、もっと違った考えや、余裕が生まれれば、悲惨な結末を回避できるのではないだろうか───。



NHKスペシャル介護殺人

『NHKスペシャル 私は家族を殺した~“介護殺人”当事者たちの告白~』では、解決策の提起は行われていない───。

そして7月13日(水)午前0時10分から再放送される。




長々と読了頂き、ありがとうございました。




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進行期パーキンソン病治療薬「デュオドーパ経腸液」が製造販売承認を取得

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アッヴィ合同会社(本社:東京都港区)は7月4日、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られない進行期パーキンソン病の日内変動症状に対する治療薬として、「デュオドーパ®配合経腸用液」の製造販売承認を取得したと発表した。

パーキンソン病が進行すると、wearing-offと呼ばれる「オン」状態と「オフ」状態が交互に出現するようになり、「オフ」状態ではより動きが緩慢になり、より強いこわばりが見られ、動作が困難になります。「デュオドーパ®」の投与によって、この「オフ」時間を減少させる事が期待できます。



デュオドーパDuodopa-20mg
「デュオドーパ®配合経腸用液」
米国食品医薬品局(FDA)承認名「Duopa/Duodopa」は、
カルビドパ/ レボドパのゲル処方剤を直接小腸に注入する。


「パーキンソン病」は、50歳以降に発症する事が多い、大脳の下にある中脳の黒質(こくしつ)ドーパミン神経細胞が減少して、細胞が約60~80%消失した時点で起こる、進行性・慢性の運動障害疾患で、手足が震える振戦、筋肉がこわばる筋固縮、動作緩慢及び歩きづらい姿勢反射障害を特徴としています。
時々、40歳以下で起こる人もあり、これを若年性パーキンソン病と呼んでいる。



;>パーキンソン病が起こる仕組み

パーキンソン病の進行経過


症状は徐々に進行し、悪化し続け、10数年後には寝たきりになる患者もいます。有病率は、人口10万人に対し100人程度です。
何故、ドーパミン神経細胞が減少するのか、原因は現在も不明です。

日本におけるパーキンソン病患者の総数は、16万3,000人(男性6万2,000人、女性10万1,000人)と推定されています。



パーキンソン病治療薬デュオドーパ
「デュオドーパ」専用の小型携帯型注入ポンプ「CADD - Legacy® 1400ポンプ」


「デュオドーパ」は、既存治療で十分な効果が得られない、継続した重度の運動合併症を有する進行期パーキンソン病患者を対象に実施した、「デュオドーパ」単独投与の有効性、安全性、及び忍容性を検討する多施設共同、非盲検、単一治療群、ベースライン対照第3相試験(被験N=29)と、これに続き実施した安全性、忍容性および有効性を検討する長期継続投与試験(被験N=30)の結果に基づき承認された。



進行期パーキンソン病治療薬デュオドーパ

「デュオドーパ」は、専用の小型携帯型注入ポンプ「CADD - Legacy® 1400ポンプ」を用いて、専用のチューブ「アッヴィ®PEGキット/アッヴィ®Jチューブ」を通し、空腸投与用レボドパ・カルビドパ水和物配合剤を、直接*空腸に16時間持続投与します。

尚、*胃瘻(いろう)造設の前に、「アッヴィ®NJチューブ」を用いて、「デュオドーパ」を経鼻的に空腸投与する事により効果を確認する事が出来ます。


  *空腸=十二指腸の下の小腸の一部。
  *胃瘻=食物の飲み込みが困難な患者に、腹の外側から胃の内部に、管を通じて栄養や水分を送り込むための導管。


「CADD - Legacy® 1400ポンプ」は、スミスメディカル・ジャパン株式会社(本社:東京都港区)が製造販売承認を取得し、「アッヴィ®PEGキット/アッヴィ®Jチューブ/アッヴィ®NJチューブ」は、アルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪府大阪市)が製造販売承認を取得したものです。

日本での承認を受け、「デュオドーパ®配合経腸用液」は米国を始め、50ヵ国で承認された事になります。



Duodopaデュオドーパset一式
在宅及び外出時の携帯キット。
「デュオドーパ®配合経腸用液」注入セット



<製品概要>
「デュオドーパ® 配合経腸用液」


【販売名】: デュオドーパ配合経腸用液

【一般名】: レボドパ、カルビドパ水和物

【剤型】: 経腸用液剤

【効能・効果】: レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善

【用法・用量】: 本剤投与前の経口レボドパ量に応じて初回投与量を決定し,朝の投与及び持続投与に分けて胃瘻を通じて空腸に直接投与する.その後は患者の症状により,以下の用量範囲で投与量を調整する.尚、必要に応じて持続投与中に追加投与を行うことができる.

 通常、成人には,朝の投与として5~10mL(レボドパ/カルビドパ水和物として100/25~200/50mg)を10~30分かけて投与した後、2~6mL/時間(レボドパ/カルビドパ水和物として40/10~120/30mg/時間)で持続投与する。
尚、1日の最大投与時間は16時間とする。1回あたりの追加投与は0.5~2.0mL(レボドパ/カルビドパ水和物として10/2.5~40/10mg)とする。







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不妊治療の黄体補充製剤「ワンクリノン®腟用ゲル」が製造販売承認を取得

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メルクセローノ株式会社(本社:東京都目黒区)は7月4日、「生殖補助医療における黄体補充」を効果・効能とした「ワンクリノン®腟用ゲル90mg」(一般名:プロゲステロン)の日本国内における製造販売承認を取得したと発表した。


ワンクリノン腟用ゲル90mg crinone
「ワンクリノン®腟用ゲル90mg」
英米名「Crinone®」



生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)は、不妊症のカップル(男女共に)が自然な性交によらず精子と卵子を受精させて、妊娠に導く医療技術の事を指します。

  ◆女性側の原因としては、排卵の障害、卵管閉塞、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、クラミジアなどの性感染症、子宮内膜癒着症、子宮頸管粘液分泌不全、頸管粘液中の精子に対する抗体、体重の急激な減少やストレスなどがあります。

  ◆男性側の原因としては、精索静脈瘤、後天的な造精機能障害(高熱後遺症など)、精子を射出する事が出来ない射出射精障害、特発性造精機能障害(無精子症)、精管狭窄などがあります。



不妊治療 女性の原因と男性の原因一覧
不妊 女性の原因と男性の原因一覧


器質的(生まれつきの先天性)原因を除くと、卵胞の成熟と、精子の産生が機能していれば、生殖補助医療によって妊娠を成立させる事が可能です。

この際、包括的な不妊治療領域のサポート医療が必要となります。



ワンクリノン®は、「Crinone®」のブランド名で1995年に英国で承認を受けて以降、現在では世界96か国で承認され、78か国で販売されている黄体補充製剤です。

数年前までは、膣内注入アプリケーターは指で絞り出す方式でしたが、昨年以降、注入用プランジャー式(押し出し式)に変わりました。
先端部もねじって折るタイプだったものが、キャップタイプに変更されています。


アメリカ食品医薬品局(FDA)で承認された「Crinone®」、
日本承認名「ワンクリノン®腟用ゲル90mg」の使用手順。

密封された包装紙からアプリケーターとプランジャー(注入器)を取り出す。
ワンクリノン膣用ゲル使用手順


まだキャップを取り外さない。
ワンクリノン膣用ゲル使用手順


プランジャーをアプリケーターの開いた端に挿入し、
カチッと音がするまで押し込む。

ワンクリノン膣用ゲル使用手順


アプリケーターの準備が完了しました。
ワンクリノン膣用ゲル使用手順


キャップを取り外す。
ワンクリノン膣用ゲル使用手順


あなたが快適な姿勢になり、挿入する準備をします。
ワンクリノン膣用ゲル使用手順
アプリケーターの丸い先端を膣に挿入した後、プランジャーを押して
膣へジェルを注入して下さい。

その際、少しジェルがアプリケーター内に残っても構いません。
使用後は、家庭ゴミとして捨てて下さい。




メルクセローノ株式会社は、プロゲステロン(黄体ホルモン)を含む不妊治療薬ポートフォリオ(リスク分散)によって、現在までに推定200万人以上の新生児の誕生をサポートしている。

特に、不妊治療に必要な次の3種類のホルモンについて、遺伝子組換え製剤を含む不妊治療薬の包括的なポートフォリオ(リスク分散/適材適所)を提供しています。

  ■ 遺伝子組換え型ヒト卵胞刺激ホルモン(r-hFSH)
  ■ 遺伝子組換え型ヒト黄体形成ホルモン(r-hLH)
  ■ 遺伝子組換え型ヒト絨毛性ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)(r-hCG)


今回の承認により、不妊治療のリーディング企業として製品ラインナップを強化。同社は、国内における不妊治療領域のリーディング・カンパニーとしてのポジショニングを確立し、継続的な成長を目指して行くとしている。


メルクセローノ株式会社のレオ・リー代表取締役社長は、
「本製品の提供が国内において不妊に悩む女性やカップルへの力強いサポートとなることを期待しています。これからも私たちは不妊治療を希望するカップルの方々の赤ちゃんを授かるという夢の実現に貢献してまいります。」
と述べている。







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男性型脱毛症治療薬「ザガーロ®カプセル0.1mg/0.5mg」が発売開始

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アグラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都渋谷区)は6月13日、男性における男性型脱毛症治療薬の「ザガーロ®カプセル0.1mg」と「ザガーロ®カプセル0.5mg」(一般名:デュタステリド)の発売を開始したと発表した。
「ザガーロ®カプセル」は、男性型脱毛症(AGA=AndroGenetic Alopecia)治療では初の5α還元酵素1型/2型阻害薬となる。

同剤は2015年9月に、「男性における男性型脱毛症」の効能・効果で承認を取得していましたが、委託生産先の供給体制が整わず、発売を延期していた。



ザガーロカプセル0.1mg_0.5mg


男性型脱毛症は、思春期以降に始まり徐々に進行する、男性において最もよく見られる脱毛の病型で、前頭部と頭頂部の毛髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には額(ひたい)の生え際が後退し、頭頂部の毛髪が無くなる事が特徴。

男性型脱毛症のハミルトン・ノーウッド分類
アメリカの皮膚科医ハミルトン氏と、後にノーウッド医師が改良した
男性型脱毛症(AGA)の「ハミルトン・ノーウッド分類」。


生命に影響を及ぼす疾患ではありませんが、外見上の印象を大きく左右する為、薄毛に悩む男性の心理的ストレスは強く、多く患者が治療を望んでいます。

日本における男性型脱毛症の治療には、5α還元酵素阻害薬による内服治療及び外用育毛剤が診療ガイドラインにより推奨されています。この他には、自毛植毛術やかつら等が用いられている。



ザガーロの作用機序
「ザガーロカプセル」の作用機序。

男性型脱毛症には、男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)が関与していますが、「ザガーロカプセル」は1型及び2型の5α還元酵素を阻害する事で、ジヒドロテストステロンの生成を抑制する事で、臨床試験において、発毛の評価指標として設定した毛髪数の増加、育毛の評価指標として設定した硬毛数及び毛髪の太さの増加など、男性型脱毛症に対する効果が確認されている。


尚、「ザガーロカプセル」の有効成分であるデュタステリドは、前立腺肥大症を効能・効果とする承認を2009年7月に取得。同年9月より「アボルブカプセル®0.5mg」として販売している。

本剤を服用する場合には、一般に50歳を過ぎたら、健康診断などで前立腺癌の指標であるPSA検査を定期的に受けることが推奨されています。




「ザガーロ®カプセル」製品概要

【製品名】:「ザガーロ®カプセル0.1mg」「ザガーロ®カプセル0.5mg」
【一般名】: 一般名 デュタステリド
【発売日】: 2016年6月13日
【効能・効果】: 男性における男性型脱毛症
【用法・用量】: 男性成人には、通常、デュタステリドとして0.1mgを1日1回1カプセル経口投与する。なお、必要に応じて0.5mgを1日1回1カプセル経口投与する。
【注意事項】: カプセルを開けて中の薬剤に触れると、皮膚から有効成分が吸収される為、妊娠している女性では、男子胎児の生殖器官等の発達に影響を及ぼす恐れがあります。
子供にも服用させない事。
又、ザガーロ服用中は、最後に服用した日から6ヵ月間は献血をしない。



*個人輸入される外国製品は、日本の法律に基づく品質や有効性、安全性の確認が行われていません。それらによる健康被害については救済対象となりません。







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高コレステロール血症治療薬「プラルエント」が製造販売承認を取得

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サノフィ株式会社(本社:フランス・パリ)及び米ニューヨーク州タリータウンの米Regeneron(リジェネロン)社の7月5日発表及び配信によると、サノフィ株式会社と米Regeneron社(本社:アイルランド共和国リムリック市)は共同で、高コレステロール血症治療剤「プラルエント®皮下注75mgペン、同皮下注150mgペン、同皮下注75mgシリンジ、同皮下注150mgシリンジ」(一般名:アリロクマブ(遺伝子組換え))について、7月4日に厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。


プラルエント-praluent-皮下注75mgと150mgペン
「プラルエント®皮下注75mgペン、同皮下注150mgペン」

プラルエント_praluent皮下注シリンジ75mgと150mg
「プラルエント®皮下注75mgシリンジ、同皮下注150mgシリンジ」



「プラルエント」は、PCSK9(前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)を標的とする、完全ヒト型モノクローナル抗体です。

今回承認された「プラルエント」の効能・効果は、「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症で、但し、心血管有害事故の発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る」と、なっている。
「プラルエント」は、いずれの規格(75mg、150mg)も、ペンとシリンジで提供する。



高コレステロール血症の血管内

高コレステロール血症は、日本における深刻な問題の一つで、既存の脂質低下療法では、LDLコレステロールの管理目標値に到達出来ない患者が多数います。

二十歳以降の、高コレステロール血症(又は脂質異常症)の患者は、188万人以上と推定されており、治療しないまま放置すると、血液中のコレステロール(=肝臓で生合成される脂肪に似た物質)濃度が増加し過ぎた病的状態になり、動脈硬化症や虚血性心疾患に成り易いとされている。



高コレステロール血症になる高脂肪食メニュー
高コレステロール血症に陥り易い高脂肪食メニュー

血管の内側に中性脂肪やコレステロール(脂質の一種)が沈着して血管が狭くなり、更に運動不足などが重なると、動脈硬化を起こす要因にもなっています。


「プラルエント」は、血液中の過剰になったLDLコレステロールによって発症する高コレステロール血症(脂質異常症)の患者にとって、重要な治療選択肢となります。

高コレステロール血症管理目標値2012版
日本動脈硬化学会の高コレステロール血症(脂質異常症)管理目標値



国際協同第3相臨床試験「ODYSSEY」プログラムでは、「プラルエント」はプラセボ(偽薬)に比べて強力で、一貫したLDLコレステロール低下効果を示す事が明らかにされた。
これを受けて、国内第3相試験「ODYSSEY JAPAN」では、原発性高コレステロール血症の日本人患者を対象に、「プラルエント(開始用量75mg、効果不十分な場合は150mgに増量)」を2週毎に投与した時の有効性と安全性について、プラセボ(偽薬)との比較で評価した。

その結果、「ODYSSEY JAPAN」では、「プラルエント」の投与群が、投与開始後24週でのLDLコレステロールを63%低下させた。しかしプラセボ(偽薬)群では2%上昇しました。




日本における第2相および第3相臨床試験では、「プラルエント」投与者における副作用発現割合は、17.1%(193例中33例)でした。
主な副作用として、注射部位反応が22例(11.4%)に認められました。

「プラルエント®皮下注75mgペン、同皮下注150mgペン、同皮下注75mgシリンジ、同皮下注150mgシリンジ」は、米国、EU(英国含む)、カナダ及びメキシコで承認されています。 また「プラルエント」の投与で、LDLコレステロールが低下した場合の心血管疾患の罹患率と死亡率に及ぼす影響は、明らかにされていません。



高コレステロール血症管理カテゴリー

「プラルエント®皮下注」の使用適応患者の病状は、
以下に記述する【効能又は効果に関連する使用上の注意】の要否を判断によって
適応(カテゴリー3以上)を十分考慮する事が明記されています。



【作用機序】
■「プラルエント」が、PCSK9(前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)の、LDL受容体への結合を阻害する事で、LDLコレステロール(いわゆる「悪玉」コレステロール)の除去に関与するLDL受容体数を増やし、その結果、LDLコレステロール値が低下します。

プラルエントがPCSK9のLDLR結合を阻止
「プラルエント」がPCSK9のLDL受容体との結合を阻止。
LDL-C(LDLコレステロール)、LDLR(LDL受容体-receptor)



【効能又は効果】
■ 家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。
  (但し、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る)


【効能又は効果に関連する使用上の注意】

(1) 適用の前に十分な診察及び検査を実施し、家族性高コレステロール血症又は高コレステロール血症である事を確認した上で、本剤の適用を考慮する事。

(2) 家族性高コレステロール血症以外の患者では、冠動脈疾患、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病等の罹患又は既往歴等から、心血管イベントの発現リスクが高い事を確認し、本剤投与の要否を判断する事。[要:【臨床成績】参照]

(3) 家族性高コレステロール血症のうち、ホモ接合体については、有効性及び安全性が確立していないので、本剤による治療の適否を特に慎重に判断し、本剤に対する反応が認められない場合には投与を中止する事。[要:【臨床成績】参照]


【用法及び用量】
■ 通常、成人にはアリロクマブ(遺伝子組換え)として75mgを2週に1回皮下投与する。
 効果不十分な場合には、1回150mgに増量できる。

【用法及び用量に関連する使用上の注意】

(1) HMG-CoA還元酵素阻害剤と併用する事。[日本人における本剤だけの単独投与での有効性及び安全性は確立していない。]

(2) アフェレーシスと併用する場合には、アフェレーシス施行後に本剤を投与する事。







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懈怠!群馬大病院手術死、手術件数増で診療科が破綻…事故調報告書

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群馬大学病院がとりあえず謝罪
群馬大学病院患者連続手術死

群馬大学附属病院で、同じ40歳代の男性医師が行った腹腔鏡手術などを受けた患者18人が相次いで死亡した問題で、群馬大学の平塚浩士学長は2日、東京都内で記者会見し、執刀した旧第二外科助教授の須納瀬(すのせ)豊・元医師(昨年3月退職)を懲戒解雇相当、元上司の旧第二外科・竹吉泉教授を退職金の7割が支給される諭旨解雇、病院の前院長と元院長を減給相当とする懲戒処分にしたと発表した。


会見で群馬大学の平塚浩士学長は 沈鬱な表情で、
「大学の名誉と信頼を失墜させた―――」
と、処分理由を述べた。



この発表に先立ち、群馬大学病院医療事故調査委員会は7月30日、2009年以降に発生した18例の医療事故について、検証結果や再発防止に向けた提言を記した報告書を公表した。

31日報告--群馬大学病院患者連続手術死事件1

その報告書では‥‥、
【手術件数の拡大で外科医への負担が高まる中、指導医不在や医師不足、執刀医の孤立化、単独での主治医制、カルテの記載不足、不十分なカンファレンス(手術検討会議又は協議)、状況改善を図るべき教授の管理不足――、などの要因が重なり、旧第二外科の肝胆膵グループで死亡例が続発したにも関わらず、何らの抜本的な対策を打つ事が出来なかった事】を厳しく指摘した。


問題点の一つは、旧第二外科の肝胆膵グループが負っていた過大な業務量だった。

当時の群馬大学病院は、手術件数の拡大を方針として掲げており、実際、2012年時点で年間手術件数が8000件以上と、20年前に比べて2倍に増加していた。

この手術件数について報告書は、「病院の規模に比して許容量の限界に近い手術数だった」と、指摘している。



31日報告--群馬大学病院患者連続手術死事件2

18例の死亡事例が相次いだ2009年度以降、旧第二外科の元医師を指導する上級医が不在となり、肝胆膵グループには元医師を含めて1~2人しか医師がいない状態が続いた。
この為、元医師が概ね単独で診断から治療、手術の適応、患者のリスク評価を行い、多忙を極め、準備が不十分だった可能性が高い。


31日報告--群馬大学病院患者連続手術死事件3

これが患者への説明時間不足や、手術記録の簡略化、死亡事例の検討時間の不足、手術適応のボーダーラインにある事例の適応判断の甘さ、と言った一連の問題を生む要因となったと考えられている。

更に、インシデント(不測の事態)や、重大な術後合併症が起こった時の報告制度、倫理審査の仕組みが活用されなかった。
その結果、病院も異常事態の把握が遅れた、としている。


群馬大学病院患者連続手術死事件1




所で、この医療事故では、一つ、殆ど報道されていない事がある。


それは何故、須納瀬豊・元医師がサポート医師が居ない群馬大学附属病院の旧第二外科で執刀し続けたのか?である。

もし、報告書や群馬大学病院の言う通りだとしたら、他の医師が辞めたり異動したのと同様、多忙のため満足な手術もカルテ記載もカンファレンスも、患者への説明なども出来ない事を理由に、辞めれば良かったのではないか―――?




厚生労働省が把握している、2009年以降に須納瀬豊・元医師が執刀した手術で累積死亡率を割り出す「ラーニングカーブ」を分析すると、当初の累積死亡率が高く、経験を経るにつれて徐々に漸減している事が分かる。

具体的には、開腹肝切除術で言うと、全109例の内、28例目までの死亡率が17.9%と高い。
その後、約100例を超えてから累積死亡率が10%を下回っている。
腹腔鏡下肝切除術においても、2010年12月の導入初期から14例目までの累積死亡率が28.6%と高く、徐々に漸減して103例目の累積死亡率が7.8%となった。


群馬大学病院のバックアップが殆ど得られない、集団から孤立させられた状況に陥りながらも、病院側の手術実績増の方針のもと、須納瀬豊・元医師は懸命だったと思われる―――。

―――しかし、こうした「ラーニングカーブ現象」は、実臨床において許されるものではない。


例えそれが、外科医療の空白を生む結果になったとしても―――


群馬大学病院患者連続手術死事件3

本来であれば、何らかの指導や管理体制を敷いて、死亡事例を回避するべきだが、当時の教授によって十分な対策が講じられる事はなく、特に2009年度は術後死亡が8例(膵臓手術を含む)と連発している。

この初時点で、外科部門の技術的支援や、同僚医師の評価の充実など、適切な診療科運営が実行させていれば、その後の死亡事故は回避出来た。


群馬大学病院患者連続手術死事件2


会見で群馬大学の平塚浩士学長は 沈鬱な表情で、
「大学の名誉と信頼を失墜させた―――」
と、処分理由を述べた。
と謝罪しているが‥‥、
まるで執刀医に全ての問題があると、強者の論理を振り回すかのような口調で、本来、何が連鎖的悲劇を生んだのか‥‥と言う根本原因には言及していない。

こんな【白い巨塔】のような権力構造が、未だに蔓延っている事に、驚いてしまう。



この杜撰な管理体制の手抜きを放置した群馬大学附属病院には、病院としての組織や体系に適正の欠如が見られ、早期に是正する自浄的な取り組みが必要だった――、と報告書は指摘している。



その後、記者会見した患者遺族は、
「教授の処分が軽い。もっと重い処分をして欲しかった」
と、不満を述べた。
執刀医については、大学の処分としては最も重いものだったが、遺族は、
「医療行為を続けられるのは納得いかない」とし、
『医師免許取り消しの行政処分』を望んだ―――。



*懈怠(かいたい)とは‥‥責任を怠り、努力を怠る事。怠慢とも言う。
  *執刀医・上司実名について‥‥読売新聞Yomiuri online発表
       https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160803-OYTET50007/




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抗菌剤「グレースビット」の重大副作用に精神症状追記を指示

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独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)は8月4日、第一三共株式会社の抗菌剤「シタフロキサシン水和物」(商品名・グレースビット錠50mg、同細粒10%)の使用上の注意について、厚生労働省が、「重大な副作用」の項目に『幻覚や譫妄(せん妄)などの精神症状と血小板減少』を追記するよう指示を出したと発表した。


グレースビット錠と細粒

「グレースビット」は合成抗菌剤で、細菌のDNAに作用して増殖を防ぐ薬剤です。

膀胱炎、尿道炎、中耳炎、皮膚感染症、急性気管支炎、肺炎、リンパ管・リンパ節炎、敗血症、扁桃炎、咽頭炎等の治療に使われます。
他に、マイコプラズマ肺炎やクラジミア肺炎などクラミジア菌種の細菌感染症の治療にも使われる。



医薬品医療機器総合機構によると、国内で症例が集積した事などを踏まえ、改訂する事が適切と判断。
使用上の注意の「重大な副作用」の項目に『錯乱、せん妄、幻覚等の精神症状が現れる事があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う』などと追記するよう求めている。


国内の副作用症例の集積状況については、過去3年で精神症状関連の症例が1例、血小板減少関連の症例が2例あった。
精神症状関連の症例は、薬と副作用の因果関係が否定出来なかったと言う。





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鉄キレート剤「エクジェイド」の新剤形を承認申請

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ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区西麻布)は7月28日、輸血による慢性鉄過剰症の治療薬として、鉄キレート剤「エクジェイド®懸濁用錠」(一般名:デフェラシロクス)の新剤形の製造販売承認申請を行ったと発表した。

鉄キレート剤エクジェイド懸濁錠
経口鉄キレート剤「エクジェイド®懸濁用錠125mg、同500mg」

慢性鉄過剰症(輸血後鉄過剰症=Post-transfusion iron overload)は、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などの難治性貧血や、サラセミア(遺伝性のヘモグロビン産生低下症)、鎌状赤血球症などの遺伝性貧血では、支持療法として長期間赤血球輸血を繰り返し必要とする患者がおり、輸血の回数が増える事で体内に過剰な鉄が蓄積され、慢性の鉄過剰症を発症します。


生体内の鉄代謝の動態機構
鉄は生体に最も多く存在する金属元素で、赤血球のヘモグロビン合成、各種細胞内の酸化還元反応、細胞の増殖・アポトーシス(細胞の自己壊死)などに関与する必須の元素である。

しかし、鉄が過剰に存在すると、細胞に有害な活性酸素を産生させる細胞毒として働き、下垂体・甲状腺・心臓・肝臓・膵臓・生殖器の機能不全、線維化、発がんまで引き起こす。

その為、体内に過剰に鉄が存在するのを防ぐために、生体内では巧妙な半閉鎖的回路が形成され、食物から吸収される鉄は1日1~2 mg程度と少なく、大部分の鉄は老廃した赤血球がマクロファージ(細菌などの異物を食作用で除去する細胞)など網内系で処理され、再び利用される。


しかし生体には、鉄を効率的に体外へ排泄する機能がなく、適切な除鉄治療を行わないと、心不全や肝障害といった不可逆的な臓器障害や、糖尿病といった重篤な合併症を引き起こすリスクがある。

その為、輸血による慢性鉄過剰症は、進行性の重篤な疾患であり、患者の生活の質(QOL)や予後を改善する為には、継続的な鉄キレート療法により、体内から過剰な鉄を除去する事が必要不可欠となる。



エクジェイド・ノバルティスファーマ
「エクジェイド(Exjade®)」は、輸血による慢性鉄過剰症の治療薬として、世界100カ国以上で承認されている経口投与可能な鉄キレート剤で、日本では2008年4月に「輸血による慢性鉄過剰症(注射用キレート剤治療が不適当な場合)」を効能又は効果として、製造販売承認を取得した。


これまでのエクジェイド懸濁錠の飲み方
これまでのエクジェイド懸濁錠の飲み方

しかし「エクジェイド」は、懸濁の手間や、空腹時投与と言った使い勝手の悪さ、コップ等に溶かした懸濁液の食味の悪さなどが、鉄キレート療法を継続する際の障害となっていた事から、患者の服薬アドヒアランス(患者が指示された薬を適切に服用しない事)を高める事を目的として、新剤形(顆粒剤)の開発を行ったとしている。







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全身麻酔鎮痛薬「アルチバ®」小児維持で追加承認取得

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は8月4日、ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区西神田)が、2015年9月29日に適応追加申請していた、全身麻酔用鎮痛剤「アルチバ®」(一般名:レミフェンタニル塩酸塩)について、「小児の全身麻酔の維持における鎮痛」の効能・効果で追加承認し、発表した。


アルチバ静注用2mgと5mg
既発売の全身麻酔用鎮痛剤「アルチバ®静注用2mg/5mg」


「アルチバ」は、グラクソ・スミスクライン社により合成された、超短時間作用性のオピオイド鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤)です。
日本国内においては、2006年10月に、成人に対する「全身麻酔の導入及び維持における鎮痛」の効能・効果で承認を取得、2007年1月より「アルチバ®静注用2mg」「アルチバ®静注用5mg」が販売されている。



「アルチバ」の有効成分であるレミフェンタニル塩酸塩は、モルヒネに代表される“μ(ミュー)オピオイド受容体作動薬(鎮痛作用剤)”で、フェンタニルクエン酸塩と比較して鎮痛作用の発現・消失が速やかな『超短時間作用型』のオピオイド(鎮痛剤)であり、非特異的エステラーゼにより速やかに代謝される為、全身麻酔の維持時の調節性に優れている。

尚、「アルチバ」は成人の適応を持ち、その際は全身麻酔の「維持」だけでなく「導入」にも使えるが、今回の承認は小児の「維持」のみとなる。


手術中の痛みは、麻酔しているとは言え、感じたくないもの‥‥



「アルチバ」の小児適応については、日本麻酔科学会が厚生労働省に、小児への適応拡大に関する開発要望書を提出し、その後、「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」で審議。
その結果、2012年4月に厚生労働省より、「全身麻酔の維持における鎮痛(小児)」に対する開発要請を受け、全身麻酔下の“1~15歳の日本人小児患者を対象”とした第Ⅲ相試験を実施。

小児における本剤の有効性及び安全性を評価し、適応追加申請が行われていた。


尚、本剤は添加物としてグリシンを含む為、硬膜外及びくも膜下への投与は行わない事。
再審査期間4年。海外ではこの適応症で、欧米など20以上の国または地域で承認済となっている。

 ※オピオイドとは…中等度から重度の疼痛に対する治療に用いられる薬物。モルヒネやコデインなどのアヘン剤に類似しているが、アヘンは含んでおらず、アヘンから合成される事もない。







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乳児血管腫治療剤「ヘマンジオル®シロップ小児用」の製造販売承認を取得

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マルホ株式会社(本社:大阪府大阪市北区)は7月4日、乳児血管腫治療薬「ヘマンジオル®シロップ小児用0.375%」(一般名:プロプラノロール塩酸塩)の製造販売承認を取得したと発表した。
「ヘマンジオル®シロップ小児用0.375%」は、プロプラノロール塩酸塩を有効成分とする、国内初の乳児血管腫治療薬である。

国内では乳児血管腫(別名:苺状血管腫)を適応とする医療用医薬品が無かった事から、日本小児血液・がん学会より乳児への投与に適したプロプラノロールの早期開発要望書が、厚生労働省に提出されていた。



乳児血管腫治療薬ヘマンジオル・シロップ
乳児血管腫治療薬ヘマンジオル・ピペット
乳児血管腫治療薬「ヘマンジオル®シロップ小児用0.375%」と、
専用ピペット。


乳児血管腫(Infantile Hemangioma)は、出生時には僅かに赤いか無症状で、出生時もしくは生後1~4週で急速に隆起し、増大します。表面はイチゴのように鮮紅色を示す場合が多いのですが、色調には変化が無い事もあります。表面がこぶ状に隆起するものは3割程度で、6割近くは軽度に隆起するだけです。

腫瘍自体は良性血管性で、血管内皮の増殖を特徴とし、発症率の男女差は1:3と女性に多い。



乳児血管腫の自然退縮
乳児血管腫の自然退縮。

症状は、1年以内に急速に増殖しますが(増殖期)、その後90%以上は5~7歳までに、数年かけて自然に消えて行くので、特に合併症の危険が無い大部分は、無治療で経過を見て差し支えありません。

乳児血管腫の原因は、胎児期の発達段階にある血管を構成する細胞が、何らかの要因で残り、出生後、母親から受けていた増殖抑制因子が欠乏する事で、増殖するのではないかと言う考えがありますが、確定されていません。


乳児血管腫の通常症例
乳児血管腫の通常症例。

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本来、自然消滅する良性腫瘍ですが、病変の大きさや発生部位によっては、“うっ血性心不全、気道狭窄、眼瞼眼窩(がんけんがんか=まぶたと目のくぼみ)病変”による視性刺激遮断弱視、斜視、乱視、耳下腺病変に伴う外耳道閉鎖、出血を伴う潰瘍形成等、重要臓器、及び感覚器官に影響を及ぼす事から、症状発現時には早期治療が必要とされています。

特に早急な治療が必要とされるのは、まぶたに発症し、眼を塞いでしまうようになったものや、気道を塞ぐものなどです。


瞼に出来た乳児血管腫
乳児血管腫による気道狭窄
上:瞼に発症した乳児血管腫。
下:気道に発症し、気道狭窄を起こしている乳児血管腫。




これまで、日本国内で乳児血管腫を適応とする医療用医薬品が無かった為、治療は、副腎皮質ステロイド薬の大量投与、効果が不十分な場合には、インターフェロンα(アルファ)の連日皮下注射、ビンクリスチン(抗悪性腫瘍剤)などを用いた治療が試みられています。

これらの治療は効果的ですが、しかし乳幼児では、いずれも重い副作用を生じる可能性があり、単に色調だけを、自然経過よりも早期に淡くしたい場合、色素レーザー治療を行います。
この治療は副作用が少ないのですが、隆起したコブを小さくする効果は期待出来ません。




新たに承認された「ヘマンジオル」の有効成分であるプロプラノロール塩酸塩は、日本薬局方に収載されている非選択的β受容体遮断薬で、錠剤は、1960年代から高血圧、狭心症、不整脈等の治療薬として使用されています。

小児においても不整脈、右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制の適応が承認されている。



ボルドー大学病院
CHU(Centre hospitalier universitaire)- Hôpitaux de Bordeaux

プロプラノロール塩酸塩が乳児血管腫に対して有用であると言うのは、フランスのボルドー大学で、偶然発見されました――。

乳児血管腫(Infantile Hemangioma)を合併する肥大型閉塞性心筋症の乳児患者に使用した事をきっかけに、有効性が発現、2008年に論文報告され広く認知されるようになった。


その後、乳児用シロップ製剤の開発が進み、海外では2014年3月に米国で、2014年4月に欧州で承認・臨床使用されている。




<製品特徴>
【効能・効果】:乳児血管腫
【成分・含量(1mL中)】:プロプラノロールとして3.75mg
【特徴】:バニラいちご味のシロップ剤で、専用ピペットを用いて乳幼児に投与する。

【用法・用量】:通常、プロプラノロールとして1日1mg/体重1kg~3mg/体重1kgを2回に分け、低血糖を起こす恐れがある為、空腹時を避けて経口投与する。
投与は1日1mg/kgから開始し、2日以上の間隔を空けて1mg/体重1kgずつ増量し、1日3mg/kgで維持するが、患者の状態に応じて適宜減量する。

【主な除外基準】:先天性血管腫(要確定診断)、気管支喘息、気管支痙攣、低血糖、コントロール不良の心不全など。
専門医・小児科医など、乳児血管腫の治療経験を持つ医師の指示で投与する事。






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先端巨大症・下垂体性巨人症治療薬「シグニフォーLAR筋注用」が承認取得

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ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)が2015年7月31日、国内製造販売承認を申請をしていた、ソマトスタチンアナログ(SomatoStatin Analogues:SSA)製剤(開発コード:SOM230)の先端巨大症および下垂体性巨人症治療薬「シグニフォー®LAR筋注用キット20mg、及び40mg、及び60mg」(一般名:パシレオチドパモ酸塩)が8月4日、厚生労働省より製造販売承認された。

適応は、外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合の「先端巨大症・下垂体性巨人症」における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善となっている。



Signifor-LAR/シグニフォーLAR
シグニフォーLAR筋注用キット
「シグニフォー®LAR筋注用キット」
(アメリカ・ノバルティス ファーマ製)


先端巨大症は、脳下垂体に発生する非がん性(良性)の腫瘍により、成長ホルモン及びインスリン様成長因子(IGF-1)が過剰に分泌され、手足や内臓の肥大、顔貌の変化といった、先端巨大症状を伴う身体的変化が見られる、希少な内分泌疾患です。

下垂体性巨人症は、骨端軟骨線閉鎖前の成長ホルモン過剰分泌により、著しい身長増加が認められます。



いずれの疾患も、下垂体前葉から慢性的に成長ホルモンが過剰に分泌されるという点で同質の疾患であり、診断基準も共通しています。
日本では先端巨大症、下垂体性巨人症ともに「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症」として難病指定されている。



先端巨大症の症例


下垂体性巨大症の症例
下垂体性巨大症の症例。



国内有病者数は、先端巨大症が約11,000人、下垂体性巨人症が約400人、年間発症者数は各約700人と約20人と推定されています。

成長ホルモンの過剰分泌が長期になると、糖尿病、高血圧、心疾患、関節炎、大腸がんなど、死亡リスクの上昇に至る重篤な転帰に及ぶ可能性もあります。

また、日本国内において先端巨大症については、欧米での発症割合の推定と同程度ですが、近年の疫学報告からは、更に多い事(増加傾向)が示唆されています。


先端巨大症の治療は、成長ホルモンとインスリン様成長因子(IGF-1)値を抑制し、症状の改善や合併症の罹患率を減少させ、死亡率を下げる事です。

治療の第一選択は、外科手術による腫瘍の摘出です。


脳下垂体
下垂体腺腫



経鼻的経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術
腫瘍摘出手術は、鼻の経蝶形骨洞から行う。


しかし、この手術の適応にならない患者や、手術後も成長ホルモンやIGF-1のコントロールが不良な場合には、薬物療法や、必要に応じて放射線療法が行われます。

経鼻的経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術
経鼻的経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術。


しかし、最近の調査結果で、先端巨大症の患者の45%が既存の治療によって、適切な成長ホルモン値や正常なIGF-1値を達成出来ていない事が判明し、既存治療では効果が十分とは言い難いのが現状となっています。



「シグニフォー®LAR筋注用キット(パシレオチドパモ酸塩)」は、ホルモンを過剰分泌する固形腫瘍(先端巨大症など)で発現が亢進(増大)しているソマトスタチン受容体に結合、活性化する事によりホルモン分泌を抑制するソマトスタチンアナログ(SSA)製剤です。

手術が適応にならない、又は手術で効果が不十分薬物治療歴が無い、或いは既存SSA製剤での薬物治療でコントロール不良な、先端巨大症や下垂体性巨人症の患者を対象とした、国内外の臨床試験において、「シグニフォーLAR筋注用キット」が、より多くの患者で成長ホルモンとIGF-1のコントロールを達成し、更に著明な腫瘍体積の縮小、先端巨大症の臨床症状の改善傾向などを示しました。



海外では、2014年11月にEU(欧州連合)で、先端巨大症の患者に対する治療薬として承認されたほか、2014年12月には米国において先端巨大症の患者に対する治療薬として承認を取得しているほか、2016年3月現在、欧米など40カ国で承認済となっている。

尚、本剤の再審査期間は8年。







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抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®」CLLに対する効能追加の承認を取得

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シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)は8月26日、抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®点滴静注用25mg、同100mg」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)の慢性リンパ性白血病(CLL)に対する新効能・新用量/新剤形(25mg製剤)追加の承認を取得したと発表した。

「トレアキシン®」は、2010年12月からエーザイ株式会社(本社:東京都文京区小石川)を通じて、100mg製剤が再発・難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の効能・効果で販売され、治療薬の約6割の市場を獲得している。


ベンダムスチン塩酸塩点滴静注用25mg
シンバイオ製薬とエーザイが
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及び慢性リンパ性白血病を適応症として販売している
「Symbenda®」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)の25mg点滴静注用。
中国、韓国、台湾、シンガポールでは「Symbenda®」で販売、
欧州では「Ribomustin®」の製品名で、米国では「Treanda®」の製品名で販売。


今回の追加適応は、厚生労働省から「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外医薬品」としての開発要請を受け実施したもので、慢性リンパ性白血病(CLL=Chronic Lymphocytic Leukemia)に於いても、多くの患者の新しい治療選択肢となると期待される。

トレアキシン点滴静注用100mg
慢性リンパ性白血病の効能追加承認を取得した、
抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®点滴静注用25mg、同100mg」



『白血病』は、進行の速さと癌化した細胞のタイプによって、「急性骨髄性白血病」、「急性リンパ性白血病」、「慢性骨髄性白血病」、「慢性リンパ性白血病」の4つに大きく分ける事が出来ます。

罹患者が最も多いのは「急性骨髄性白血病」で、白血病全体の約6割を占めています。

「慢性リンパ性白血病」は、全白血病の中で、欧米では約30%を占めますが、日本では約2~3%と比較的稀有です。
「慢性リンパ性白血病」は、骨髄中で白血球の一種である小型リンパ球が腫瘍化し、過度に増殖するがんの一種で、国内の患者総数は2,000人程度、新規の罹患率は10万人に0.3人前後と希少な疾患であり、まだ有効な治療法が確立されておらず、新規医薬品などの開発が強く望まれている医療ニーズの高い疾患です。



臨床試験での治療成績。
トレアキシンの治験データ2009
慢性リンパ性白血病の人が最初の化学療法を考える場合、
「トレアキシン」治療を選択する事で、既存の「クロラムブシル」治療より
高い奏効率と無増悪生存期間の延長が期待できる。
(2009年8月3日発表時)


トレアキシンの治験データ2011
既に治療を受けた事がある慢性リンパ性白血病の人でも、
「トレアキシン+既存のリツキサン」治療を選択する事で、
高い確率で奏効が期待できる。
(2011年8月15日発表時)


トレアキシンの治験データ2016
慢性リンパ性白血病の最初の化学療法を考える場合、
「トレアキシン+既存のリツキサン」を選択しても
「既存のフルダラ+シクロホスファミド+リツキサンの3剤」と同等の
無増悪生存期間は期待しにくい症例もある。
(2016年5月20日発表時)




【トレアキシン®(Treakisym)の製品概要】(下線が今回の追加部分)

【製品名】:トレアキシン®点滴静注用100mg(同25mg)
【一般名】:ベンダムスチン塩酸塩
【効能・効果】:再発又は難治性低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫
  (新)慢性リンパ性白血病

【用法・用量】:再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫では、通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。 投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。

  (新)慢性リンパ性白血病では、通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として100mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。 投与を2日間連日行い、26日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。



本剤は希少疾病用医薬品で、再審査期間10年。2016年4月現在、海外では80の国または地域で承認済となっている。本剤はエーザイが販売している。


今年3月、新規作用機序の難治性慢性リンパ性白血病治療薬「イムブルビカ®」が承認を取得したが、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤のカプセル剤で、全く新しい薬剤である為、薬価が高額になっている。

「イムブルビカ」治療によって「2年生存率(推定)」が85%から98%に改善したとの試験データがあるものの、既に発売されている薬剤の使い方で、効果が期待でき、無増悪生存期間が同等であれば、変異遺伝子の状態で使用可能なら、選択肢が増える事になる。








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難治性末梢性T細胞リンパ腫治療薬「ロミデプシン」を国内承認申請

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セルジーン株式会社(本社:東京都千代田区丸の内)は9月2日、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を対象として、臨床試験識別番号「米国国立衛生研究所:NCT01456039(一般名:ロミデプシン=Romidepsin)」の医薬品製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表しました。


末梢性T細胞リンパ腫治療薬ロミデプシン
ドイツで販売されている「ロミデプシン=romidepsin」点滴注射キット


末梢性T細胞リンパ腫(PTCL:Peripheral T-cell lymphoma)は、ホジキン病と非ホジキンリンパ腫に大別される悪性リンパ腫の一つで、免疫細胞の一つであるはずのT細胞が癌化する事で、血液の中に現れたり(白血病型)、或いは全身のリンパ節が腫れたり(リンパ腫)するなど、様々な症状を呈します。

*「ホジキン」とはイギリスの医師の名前で、リンパ節を始めとする造血器細胞が系統的に侵される病気を指し、日本国内では非ホジキンリンパ腫(造血臓器以外)の発症率が高いのが特徴です。

末梢性T細胞リンパ腫の全身症例写真
末梢性T細胞リンパ腫(進行期)の全身症例写真
症状は発熱、発汗、体重減少などですが、病期がⅢ期、Ⅳ期にならないと
発疹、リンパ節腫脹、肝臓や脾臓の腫大は現れません。


病態は、腫瘍細胞の大きさや機能的な面から、T細胞型B細胞型などに分類され、末梢性T細胞リンパ腫は、月単位で進行する中悪性度のリンパ腫に分類される、難治性の悪性リンパ腫で、国内の患者数は2000人以下と推計されています。

【*注意】ひと口に悪性リンパ腫と言っても、様々な病態・病状がありますが、ここで取り上げているのは末梢性T細胞リンパ腫に限定されているので、他の悪性リンパ腫と混同しないよう注意が必要です。

非ホジキンT細胞リンパ腫
本来ピンク色をしているT細胞リンパ球が、
癌化し濃藍色に変化。

皮膚上皮に集積した末梢性T細胞リンパ腫の組織構造
皮膚上皮に集積した末梢性T細胞リンパ腫の組織構造。

末梢性T細胞リンパ腫に対する標準治療は、未だに確立されておらず、特に再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対する治療選択肢は限られている為、新しい薬剤の開発が求められています。





ロミデプシン(romidepsin)は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤で、HDACの活性を阻害します。

HDACの活性を阻害する事によりアセチル化ヒストンが細胞内に蓄積し、がんの細胞周期の停止や細胞死(アポトーシス)が誘導され、その結果、抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。


ロミデプシンのHDAC阻害作用機序
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤「ロミデプシン」の作用機序


ロミデプシンは、治療歴がある末梢性T細胞リンパ腫に対して、現在、米国を含め世界5ヵ国で承認を取得しています。

日本では、2016年8月24日に厚生労働省より、「末梢性T細胞リンパ腫」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されている。
今回、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫の患者を対象とした、国内及び海外の臨床試験結果を踏まえ、日本国内での承認申請に至った。


*国内での臨床試験は、以下の医療機関で実施され、既に終了しています。

名古屋第二赤十字病院、名古屋市立大学病院、千葉県柏市国立がんセンター病院東、愛媛大学病院、広島県福山市中国中央病院、札幌Hokuyu病院、札幌医科大学病院、神奈川県伊勢原市東海大学医学部、高知医科大学病院、大阪府近畿大学病院、東京都国立がんセンター病院、東京都渋谷区日本赤十字医療センター、福岡県九州大学病院、熊本大学病院、京都府立医療大学病院、東北大学病院、東京がん研究会有明病院。(順不同)



セルジーン株式会社では、ロミデプシンを新しい治療選択肢として、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の患者に届けられるよう、早期承認に向けて取り組むとしている。







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多発性骨髄腫治療薬「カイプロリス?」が発売を開始

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小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区)は9月7日、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてプロテアソーム阻害剤「カイプロリス?点滴静注用10mg、40mg」(一般名:カルフィルゾミブ=Carfilzomib)を、8月31日に新発売したと発表した。
本薬剤の製造販売承認年月日は、2016年7月4日。


多発性骨髄腫治療薬カイプロリス点滴静注用
多発性骨髄腫治療薬「カイプロリス?」点滴静注用


多発性骨髄腫は、骨髄中にある形質細胞と言うリンパ球が腫瘍化した血液癌で、単に骨髄腫と言う事もある。
形質細胞は抗体(免疫グロブリン)を産生する細胞ですが、多発性骨髄腫になると異常な抗体(M蛋白)が産生され、正常な抗体が低下する為、免疫力は低下します。

日本国内における総患者数は、約18,000人と報告されています。


多発性骨髄腫


現在、多発性骨髄腫に対する治療法は複数存在し、特に難治性の多発性骨髄腫治療薬としては、2015年、「ポマリスト?」や「ファリーダック?」が承認・販売され、治療の選択肢は広がって来ています。

しかし厄介な事に、多発性骨髄腫は主に50歳以上の中高齢者に発症する病気であり、有効療法の一つである、大量化学療法(抗がん薬による治療)後に造血幹細胞移植を行う為の、強力な化学療法は高齢者では行えないのが現状です。


正常細胞と多発性骨髄腫細胞
(写真左)通常の骨髄細胞。(写真右)多発性骨髄腫の骨髄細胞。


一般的な抗がん剤治療を行う場合、寛解と再発を繰り返し緩やかに進行する、或いはどの治療法も有効で無くなる難治性の病状に移行する場合も少なくありません。

また、治療が長期的になる事で、副作用や合併症が報告されており、治療に難渋する場合があり、これらの事から、多発性骨髄腫に対する新たな治療薬の開発が今も尚、期待されています。





「カイプロリス?」は、小野薬品工業株式会社が2010年9月に米Onyx Pharmaceuticals社(=オニクス・ファーマシューティカルズ/ 現:米アムジェン・Amgen社の子会社/カリフォルニア州)から導入したもので、高い選択性を有するプロテアソーム阻害剤です。

プロテアソームは、細胞内に存在する酵素複合体で、ポリユビキチン化されたタンパクを分解する作用があり、細胞の増殖、分化、機能的細胞死(アポドーシス)を制御している。
「カイプロリス」はプロテアソームの作用を阻害する事で、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導します。


多発性骨髄腫治療薬カイプロリスの作用機序
多発性骨髄腫治療薬カイプロリスの作用機序



■ 承認用法に関しては、抗造血器悪性腫瘍剤「レナリドミド(2010年6月25日承認)」、副腎皮質ステロイド剤「デキサメタゾン」と併用して用いる。

■ 再発又は難治性の多発性骨髄腫患者26例(いずれも前治療回数1回以上)を対象。

■ 国内第Ⅰ相試験において、本剤が投与された26例中26例(100%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。


 ◎主な副作用(15%以上)は、▼血小板減少12例(46.2%)、▼リンパ球減少11例(42.3%)、高血糖10例(38.5%)、▼ALT(GPT)増加7例(26.9%)、▼発疹7例(26.9%)、▼便秘6例(23.1%)、▼筋痙縮6例(23.1%)、▼低リン酸血症5例(19.2%)、▼白血球増加5例(19.2%)、▼AST(GOT)増加4例(15.4%)、▼好中球減少4例(15.4%)、▼好中球増加4例(15.4%)、▼発熱4例(15.4%)、▼末梢性ニューロパチー4例(15.4%)、▼血中ビリルビン増加4例(15.4%)、▼白血球減少4例(15.4%)であった。(承認時)



■ 薬価  点滴静注用10mgバイアルが2万3982円、40mgバイアルが8万6255円となっている。

■ 用法・用量 レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において、通常、成人には1日1回、本剤を1、2、8、9、15及び16日目に点滴静注し、12日間休薬する。この28日間を1サイクルとし、12サイクルまで投与を繰り返す。
13サイクル以降は、1日1回、1、2、15及び16日目に本剤を点滴静注し、12日間休薬する。
本剤の投与量はカルフィルゾミブとして、1サイクル目の1及び2日目のみ20mg/m2(体表面積)、それ以降は27mg/m2(体表面積)とし、10分かけて点滴静注する。尚、患者の状態により適宜減量する。


■ 承認条件 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。






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国内初の抗悪性腫瘍剤「アフィニトール®錠」が神経内分泌腫瘍で追加承認を取得

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ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)は8月26日、抗悪性腫瘍剤「アフィニトール®錠2.5mg、同錠5mg」(一般名:エベロリムス)について、消化管又は肺原発の神経内分泌腫瘍(NET:NeuroEndocrine Tumors)に対する効能追加の承認を取得したと発表した。

これまで「アフィニトール」の効能又は効果として、膵神経内分泌腫瘍(膵NET)が承認されています。


膵神経内分泌腫瘍と膵臓がんは別の病気で、予後は大きく異なり、膵臓がんは、進行が早く非常に予後が悪い事が知られていますが、膵NETは比較的ゆっくり進行します。

抗神経内分泌腫瘍薬アフィニトール2.5mgと5mg
新たに神経内分泌腫瘍治療薬として追加承認された
抗悪性腫瘍剤「アフィニトール®錠2.5mg(写真上)と5mg(写真下)」



神経内分泌腫瘍(NET)は、身体機能を調節する様々なホルモンを生成・分泌する細胞から生じる希少がんで、特に消化管、肺、膵臓に多く発生します。

神経内分泌腫瘍は遺伝する事はありませんが、膵・消化管NETの約60%の患者で、細胞が癌になるのを防ぐ働きを持つ“がん抑制遺伝子MEN1”の、生まれつきの異常(変異)が原因となり発症する事が分かっています。


神経内分泌腫瘍の発生部位
神経内分泌腫瘍の発生部位
特に膵臓や消化器の胃・十二指腸・直腸・空腸/回腸などや肺に生じる。
僅かながら下垂体、副甲状腺、甲状腺、副腎や胸腺に発生する事もある。

神経内分泌腫瘍NETの発生部位-米国疫学データ
神経内分泌腫瘍(NET)の発生部位-米国疫学データより


神経内分泌腫瘍は、ホルモン産生症状を有する機能性と、ホルモン産生症状の無い非機能性に大別され、機能性神経内分泌腫瘍は、ホルモンなどの物質の過剰分泌によって症状を生じ、一方の非機能性神経内分泌腫瘍では、腫瘍の増殖による症状が見られ、多くの患者が既に進行している状態――すなわち、がんが転移し治療が困難となった状態で診断されます。

国内の神経内分泌腫瘍の患者数は約15,000~17,000人と推定され、人口10万人で5.25人の割合で発症し、近年、増加傾向にあります。



神経内分泌腫瘍の患者数の推移
初発診断患者の推移と患者分布。
太平洋側の近畿と、特に関東に集中している。


「アフィニトール®」は2011年12月に、抗悪性腫瘍剤として日本で初めて承認された、経口のmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質=mammalian target of rapamycin)阻害剤で、がん細胞の増殖、成長及び血管新生の調節因子である、mTORタンパクを選択的に阻害する事により、腫瘍細胞の増殖抑制とがん細胞への栄養供給通路となる血管新生阻害と言う、2つのメカニズムで抗腫瘍効果を発揮します。

外科手術は、神経内分泌腫瘍に対して最も有効な治療法で、現時点では、唯一根治を望む事ができる治療です。

しかし一方で、他の臓器に転移した場合(特に肝臓転移)でも、減量手術による機能性症状の緩和や予後の延長が期待できる場合がありますが、極めて予後不良です。


正常な膵臓と内分泌腫瘍と膵臓癌細胞の比較
正常な膵臓細胞(上)、
膵神経内分泌腫瘍(左)と膵臓癌細胞(右)の比較


2011年に、国内初の『膵神経内分泌腫瘍』の効能又は効果で承認されていますが、今回新たに『消化管又は肺原発』の神経内分泌腫瘍にも使用出来るようになった事で、医師などの医療従事者が、神経内分泌腫瘍の患者に、新たな治療選択肢を提供出来るようになりました。



【アフィニトール®錠の製品概要(下線部が追加承認)】


【製品名】:「アフィニトール®錠2.5mg/5mg」(Afinitor® Tablets 2.5mg/5mg)
【一般名】:エベロリムス(Everolimus)

【効能・効果(下線部は今回追加承認された効能又は効果と承認取得日)】

1. 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌(2010年1月20日)
2. 膵神経内分泌腫瘍(2011年12月22日)
3. 結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫(2012年11月21日)
4. 結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫(2012年11月21日:じょうい,かきょさいぼうせい,せいさいぼうしゅ)
5. 手術不能又は再発乳癌(2014年3月17日)
6. 神経内分泌腫瘍(2016年8月26日)

【用法及び用量】:腎細胞癌、(新)神経内分泌腫瘍、結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の場合
■ 通常、成人にはエベロリムスとして1日1回10mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

:手術不能又は再発乳癌の場合
■ 内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはエベロリムスとして1日1回10mgを経口投与する。


国際共同第III相臨床試験における主な副作用は、口内炎(62.9%)、下痢(31.2%)、疲労(30.7%)、感染症(29.2%)、発疹(27.2%)、末梢性浮腫(25.7%)、悪心(17.3%)、無力症(16.3%)、貧血(16.3%)、食欲減退(15.8%)、味覚異常(14.9%)、肺臓炎(13.4%)、咳嗽(12.9%)、そう痒症(12.9%)、発熱(10.9%)、高血糖(10.4%)、呼吸困難(10.4%)等と報告。



また「アフィニトール」は、世界120カ国以上で承認されており、腎細胞癌、膵神経内分泌腫瘍、乳癌、結節性硬化症に伴う腎臓血管筋脂肪腫、結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫に対する治療薬として使用されています。






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消費者庁…「豆鼓エキスつぶタイプ」などトクホ初の取り消し

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消費者庁は23日、特定保健用食品(トクホ)の制度が1991年に始まって以来初めて、『日本サプリメント(本社:大阪府大阪市北区茶屋町19-19)』が販売する、粉末清涼飲料「ペプチド茶」など6商品について、許可を取り消したと発表した。



日本サプリメントのトクホ茶取り消し1
日本サプリメントのトクホ茶取り消し2

消費者庁が、トクホ=特定保健用食品としての表示の許可を取り消したのは、大阪府大阪市の会社、『日本サプリメント』が販売していた、「豆鼓エキスつぶタイプ」「ぺプチド茶」「ペプチドストレート」「ペプチドスープEX」「ペプチドエースつぶタイプ」「食前茶」の、合わせて6つの商品です。



トクホ取り消しの日本サプリメント
トクホ取り消しの日本サプリメント

トクホ取り消しの日本サプリメント
トクホ取り消しの日本サプリメント

消費者庁によりますと、これらの商品は、かつお節から作られるアミノ酸の「LKPNM」や、大豆を発酵したエキスに含まれる「トリス」が含まれると届け出て、「血圧が高めの方に適している」「糖の吸収をおだやかにする」と、言った効果を表示する事が許可されていました。


しかし、消費者庁によりますと、いずれの商品も、こうした成分が十分に含まれていなかったり、全く含まれていなかったりする事が分かったと、外部からの指摘で、『日本サプリメント』が調べた所、実際には有効成分が表示より少ない事が分かったと、今月消費者庁に報告があり、既に販売を終了していると言う事です。




消費者庁の調べでは、会社側は、こうした事実を2年前に認識していたと言う事で、連絡が遅い事を重く見て、許可を取り消す処分にしました。

トクホの審査では、第三者の研究機関による分析もあり、2001~2005年の発売時期には6商品は、いずれもパスしていた。消費者庁によると、『日本サプリメント』が指定した分析方法が間違っていたり、発売後に成分の含有量が変わったりした可能性があるという。


日本サプリメントのトクホ茶取り消し4
トクホの許可が取り消されるのは、1991年に制度が始まって以来、これが初めてです。


日本サプリメントのトクホ茶取り消し3

『日本サプリメント』は、ホームページ上で、「ご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます」とコメントを発表し、6つの商品の販売を終了すると共に、これまでに販売した商品については返品に応じるとしています。





やったな、ぼろ儲け!!
2年前、外部からの指摘で発覚‥‥?
それも作為を感じるが‥‥
社内で製品・成分チェックをしてなかったのか?







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