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乳児型脊髄性筋萎縮症治療薬「スピンラザ®髄注12mg」が製造販売承認を取得

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バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区)は7月3日、「スピンラザ®髄注12mg」(一般名:ヌシネルセンナトリウム)について、乳児型脊髄性筋萎縮症の適応症で、製造販売承認を取得したと発表しました。
「スピンラザ®髄注12mg(SPINRAZA®)」は、日本で初めて承認された*アンチセンス核酸医薬品です。



スピンラザ髄注12mg-ヌシネルセンナトリウム瓶

 *アンチセンス核酸医薬品とは……疾患に関連するタンパク質を造るRNA(mRNA、mRNA前駆体、miRNA)を標的とする核酸医薬品の事。


▲尚、本剤の承認申請は2016年12月12日に行われましたが、その時に脊髄性筋萎縮症の疾患や、本治療薬の作用機序について、2016年12月21日の記事に図説と共に掲載していますので、併せてお読みいただくと、分かりやすいと思います。
 http://ameblo.jp/aki-prism/entry-12229753769.html


脊髄性筋萎縮症(SMA=Spinal Muscular Atrophy)は、幼児と小児の脊髄や下位脳幹における進行性の“運動ニューロン(神経細胞)の脱落”を特徴とする、常染色体劣性遺伝神経筋疾患で、重篤で進行性の筋萎縮や筋無力を起こします。

最も重篤なタイプ(タイプ1、2)の脊髄性筋萎縮症では、最終的に麻痺状態となり、呼吸や嚥下(えんげ=食物を飲み込む)など、生命維持の為の基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。

脊髄性筋萎縮症の患者では、生存運動ニューロン遺伝子1(SMN1=Survival of Motor Neuron 1)の欠失または変異により、運動ニューロン維持に必要な、SMNタンパク質を十分に産生することが出来ず、SMN1遺伝子が無ければ、脊髄の運動ニューロンは退化し死滅します。
欠失は、SMN1遺伝子そのものが欠落している事です。

そこで、SMN2遺伝子のイントロンにSMN1遺伝子の役割を持たせ、RNA転写によって必要なタンパク質を作り出します。

脊髄性筋萎縮症(SMA)の患者の重症度は、このSMNタンパク質の量と相関関係があると言う。



ヌシネルセンナトリウムの作用機序
「スピンラザ®髄注12mg」の作用機序。



脊髄性筋萎縮症(SMA)は、乳幼児の死亡の主要な遺伝的原因の一つであり、進行性で筋力の低下を特徴としています。
乳児型脊髄性筋萎縮症の適応症は、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定のもと、申請から約7カ月で承認されました。また遅発型脊髄性筋萎縮症の適応症についても、現在、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)による迅速審査が進められています。




【製品概要】

【製品名】: スピンラザ®髄注12mg
【一般名】: ヌシネルセンナトリウム
【効能・効果】: 乳児型脊髄性筋萎縮症

【用法・用量】
通常、ヌシネルセンとして、1回に付き下表の用量を投与する。初回投与後、2週、4週及び9週に投与し、以降4カ月の間隔で投与を行う事とし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。
スピンラザ
スピンラザ髄注-ヌシネルセンナトリウム
「スピンラザ」の投与は髄腔内注射によって実施する必要があります。
これは、治療薬を脊髄周囲の脳脊髄液(CSF)中に直接送達するものです。


【副作用】
脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断された乳児を対象とした第III相シャム(疑似的)処置対照二重盲検試験(Study CS3B、日本を含む国際共同試験)において、本剤群80例のうち9例(11.3c)に副作用が認められた。主な副作用は発熱(2.5%)、頻脈、貧血母斑、蜂巣円、処置後腫脹、眼振、血管炎、体温低下、体温上昇(各1.3%)であった。

【製造販売承認日】: 2017年7月3日





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民間の11クリニック、無届けで臍帯血治療…緊急停止命令

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無届け臍帯血投与で停止命令

厚生労働省は6月28日、他人の臍帯血(さいたいけつ)を投与(輸血)する医療を無届けで行ったとして、東京と大阪、福岡の11の『民間クリニック』に対し、再生医療安全性確保法違反に基づき、治療を一時停止させる緊急命令を出したと発表した。


【違反概要】


~再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令について~


以下の医療機関に対し、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号。)第24条第1項又は第2項に基づく立入検査を行ったところ、下記の法律違反が確認されました。

●保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると判断したため、法律第85号第22条に基づき、当該再生医療等の提供の一時停止を命じましたのでお知らせいたします。


無届け臍帯血投与で停止命令2

【確認された法律違反】
・第一種再生医療等提供計画を提出せず、他人の臍帯血を用いた第一種再生医療等を提供していたこと(法第4条第1項違反)。


  医療機関名       住所   一時停止命令日
1)表参道首藤クリニック(東京都渋谷区/平成29年5月16日)
2)クリニック真健庵(東京都港区/平成29年5月16日)
3)大阪タワークリニック(大阪府大阪市/平成29年5月17日)
4)医療法人社団博心厚生会
   アベ・腫瘍内科・クリニック(東京都千代田区/平成29年6月2日)
5)医療法人社団健若会
   赤坂AAクリニック(東京都港区/平成29年6月2日)
6)医療法人恵聖会
   恵聖会クリニック心斎橋院(大阪府大阪市/平成29年6月2日)
7)天神皮ふ科(福岡県福岡市/平成29年6月2日)
8)医療法人社団向笑会
   花岡由美子女性サンテクリニック(東京都練馬区/平成29年6月2日)
9)品川荏原ライフケアクリニック(東京都品川区/平成29年6月2日)
10)六本木ドクターアンディーズクリニック(東京都港区/平成29年6月6日)
11)医療法人社団創輝会
   東京国際美容クリニック(東京都港区/平成29年6月8日)


●発出:厚生労働省 医政局研究開発振興課 再生医療等研究推進室


尚、この命令発出以前に、厚生労働省は2017年2月20日付で、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、埼玉県内のクリニックに対して、再生医療等の提供の一時停止を命じる緊急命令を出しています。

無届け臍帯血投与で停止命令1



小林麻央さん通ったクリニックが「無届け医療」で業務停止命令

6月22日に逝去した小林麻央さん(享年34)。その壮絶な死から約1週間後の6月28日、驚きのニュースが飛び込んできた。他人のさい帯血を投与する医療を無届けで行ったとして、全国11のクリニックに業務停止命令が下った。そのうちの1施設が、麻央さんの昨年から何度も通っていたAクリニックだったのだ。「11カ所の民間クリニックではがん治療などの..........
≪続きを読む≫


これを受けて一般社団法人 日本再生医療学会は、声明を発表し、
 第三者の細胞を患者に投与する行為は、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」で、「第一種再生医療等技術」として分類されています。

 第一種再生医療等技術は、「人の生命及び健康に与える影響が明らかでない、又は相当の注意をしても人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれ」があるものとして、

(1)高度な審査能力を持つ「特定認定再生医療等委員会」の意見を聴いた上で、必要書類を厚生労働大臣に提出し、
(2)厚生科学審議会の意見に基づく安全性等の確認、を受けなければ実施できません。

つまり、現状の科学的常識に照らして、有効性と安全性のバランスを慎重に検討されるべき医療行為が、無届けで実施された、と言うことを意味します。

安全性確保の観点からは、絶対に許すことの出来ないものです。


もし受診したクリニックにおいて、細胞の移植や、それに類する治療法を勧められた場合、法律に基づいた対応を行っているか?
日本再生医療学会の認定医であるか?

と、言ったことを医師にご確認ください。

もし不安・不明な点がある場合は、かかりつけの医師にご相談されるなど、新規の治療法を受けるべきかの判断については、慎重に検討されることを推奨いたします。
無届け臍帯血投与で停止命令3

法律に触れる行為や、不誠実な医療の排除のためには、日本再生医療学会の会員自身が自らを律するのは勿論のこと、国民の皆様の厳しい視線を絶対に欠かすことが出来ません。

再生医療という新しい医療を、社会と共に構築して行けるよう、国民の皆様のお力添えをお願いいたします。






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がん治療に伴う口内炎の疼痛緩和液材「エピシル口腔用液」が製造販売承認を取得

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ソレイジア・ファーマ株式会社(本社:東京都港区海岸一丁目)は7月7日、がん化学療法、及び放射線治療法による口内炎に伴う疼痛緩和用・口腔用液状材「エピシル™口腔用液」(開発コード:SP-03)に関し、厚生労働省より7月6日付けで、日本国内における医療機器製造販売承認を取得したと発表しました。


エピシル口腔用液10ml
がん化学療法及び放射線療法による口内炎に伴う疼痛緩和口腔用液材
「エピシルTM口腔用液10ml」


~がん化学療法及び放射線療法による口内炎について~

がん治療に伴う口内炎(=口腔粘膜炎)は、化学療法剤が口腔粘膜へ直接作用して障害が生じるものや、放射線照射により唾液腺組織に障害が生じ、唾液の分泌低下により、口腔内の自浄作用が低下し、局所感染が起こる事で発生する「一次口内炎」、白血球減少などに伴う骨髄抑制による口腔内感染が原因となる「二次口内炎」があります。


抗がん剤治療の口内炎の副作用

口内炎は症状として、接触痛、出血、冷温水痛、口腔乾燥、口腔粘膜の発赤・腫脹、開口障害、構音(発声)障害、嚥下(食物の飲み込み)障害、味覚障害などが見られます。

臨床経過は、抗がん剤投与後数日~10日で口内炎が発生。その後、2~3週間で徐々に改善し、予後は良好です。


厚生労働省の『重篤副作用疾患別対応マニュアル(抗がん剤による口内炎)』によると、抗がん剤による口内炎の発現頻度は、▽通常の抗がん剤使用時で30~40% ▽造血幹細胞移植時(大量の抗がん剤使用)で70~90% ▽抗がん剤と頭頸部への放射線治療併用時でほぼ100%、とされている。


抗がん剤治療の口内炎発症頻度

放射線治療の口腔粘膜炎の症例
放射線治療による口腔粘膜炎の症例。


しかし、抗がん剤の多剤併用や投与期間が長い場合は、口内炎の発生頻度が高まり、重篤になると、治療の継続に悪影響(苦痛)を及ぼす事もあります。

がん治療による口内炎に伴う疼痛緩和に対して、確立された治療は存在しません。
現在は、対症療法に頼っているのが現状で、新たな対処法が求められていました。




エピシル口腔用液3ml
「エピシルTM口腔用液3ml」

「エピシル口腔用液」は、スウェーデンのルンド市に本社を置くカミュラスAB社(Camurus AB)の特許技術に基づいて開発された、脂質ベースの液体で、口腔内に適用されると口腔粘膜を覆う強固な生体接着保護膜を形成し、患部を物理的に保護します。

臨床試験の結果、適用後数分以内に口腔内の疼痛を緩和し、その効果は8時間程度持続する事が示されています。

使用は簡便で、ノズルヘッドをプッシュして口腔内に適用します。

携行に便利なポケットサイズの容器に充填され、海外では、2009年に欧州で最初に販売され、現在では米国を含む多くの国で販売されている。





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膵・消化管神経内分泌腫瘍で「ソマチュリン®皮下注120mg」が追加承認を取得

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帝人ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区)は7月3日、フランスのパリに本社を置くイプセン社(ADR:IPSEY)から導入している、先端巨大症および下垂体性巨人症治療剤「ソマチュリン®皮下注120mg」(一般名:ランレオチド酢酸塩)について、厚生労働省より、「膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET=Neuroendocrine Tumor)」の効能・効果の追加承認を取得したと発表した。


ソマチュリン皮下注120mg
「ソマチュリン®皮下注120mg」


膵臓や小腸・直腸などの消化管に発生する「膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)」は、ホルモンを分泌する神経内分泌細胞から発生する悪性腫瘍で、ホルモン(ガストリン、インスリン、グルカゴンなど)の過剰分泌により様々な症状が現れる「機能性」と、ホルモン分泌による症状がない「非機能性」に大別されます。

「機能性」タイプでは、低血糖や消化性潰瘍、重度の下痢などの症状を引き起こす事がある。

神経内分泌腫瘍の発症部位別頻度
神経内分泌腫瘍の発症部位別頻度。


日本人が、1年間に新規発症する割合は、人口10万人当たりで膵神経内分泌腫瘍が約1.3人、消化管神経内分泌腫瘍が約3.5人と言われています。
いずれも比較的稀少な疾患ですが、患者数が年々増加傾向にある事から、その治療意義が高まっている。



膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)に対しては、第一選択として外科的切除による全摘が標準的な治療となっていますが、切除不能や手術後に腫瘍が残った場合には、腫瘍増殖を抑えて、生命予後を改善させる薬物治療が用いられている。

微妙なコントラストの膵臓神経内分泌腫瘍の画像

膵頭部の神経内分泌腫瘍
膵頭部の神経内分泌腫瘍では、
肝転移などが無ければ腫瘍切除による機能温存手術が可能。

消化管・直腸神経内分泌腫瘍の内視鏡画像
消化管(直腸)神経内分泌腫瘍の内視鏡画像。


身体症状が見られる膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)の薬物治療としては、*ソマトスタチンアナログ製剤が第一選択とされています。

しかし、日本国内には、抗腫瘍効果で膵神経内分泌腫瘍に使用可能なソマトスタチンアナログ製剤はなく、消化管神経内分泌腫瘍には1剤のみで、薬剤の選択肢が限られていました。

*ソマトスタチンアナログ製剤とは…
  内分泌ホルモンの分泌を抑制する効果を持つ▼ソマトスタチンの類似化合物の事。(▼ソマトスタチンは、視床下部などから分泌される成長ホルモン放出抑制ホルモン)




今回、先端巨大症および下垂体性巨人症治療剤「ソマチュリン®皮下注120mg」の追加承認の取得は、イプセン社が欧州14か国で実施した、切除不能、または遠隔転移を有する膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)を対象に、『ランレオチド酢酸塩』の有効性・安全性を検証した、プラセボ対照の「CLARINET®試験」、及び帝人ファーマが日本で実施した、2013年以降の第2相臨床試験の結果に基づくもの。


ソマチュリン皮下注
「ソマチュリン®皮下注120mg」は、日本で初めての膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)を適応症に持つソマトスタチンアナログ製剤となります。




【製品概要】
【販売名】:ソマチュリン®皮下注60mg、ソマチュリン®皮下注90mg
      ソマチュリン®皮下注120mg
  『膵・消化管神経内分泌腫瘍の効能・効果は「ソマチュリン®皮下注120mg」のみ承認されています。』

【一般名】:ランレオチド酢酸塩
【剤 形】:徐放性注射剤(針付きプレフィルドシリンジ製剤)

【効能・効果】
■ 下記疾患における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善。
先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)

膵・消化管神経内分泌腫瘍

【用法・用量】
■ 通常、成人にはランレオチドとして90 mgを4週毎に3ヵ月間、深部皮下に注射する。その後は患者の病態に応じて60 mg、90 mgまたは120 mgを4週毎に投与する。

通常、成人にはランレオチドとして120 mgを4週毎に、深部皮下に注射する。





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国内初の新規乳がん治療剤「イブランスカプセル」が製造販売承認を取得

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は7月27日、新有効成分含有の乳がん治療剤「イブランス®(IBRANCE®)カプセル25mg、同125mg(一般名:パルボシクリブ=®palbociclib)」ついて、「手術不能または再発乳がん」を効能・効果とする製造販売承認を了承した。
同剤は、早ければ9月末にも正式に承認される見通し。

(適応症/予定:HR+HER2-=ホルモン受容体陽性ヒト上皮増殖因子受容体2陰性の進行性又は転移性再発乳がん)

新たに製造販売承認を取得したのは、ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)が、2016年10月31日に「手術不能又は再発乳癌」の効能・効果で、国内に於ける製造販売承認申請を行っていた、世界初・国内初のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬「イブランス®カプセル25mg、同カプセル125mg(一般名:パルボシクリブ)」です。



イブランスカプセル120mg_ドイツ
欧州(ドイツ)で販売されている「イブランス®(IBRANCE®)カプセル125mg」
尚、現在までの所、25mgカプセルの承認は日本のみで、欧米では販売されていない。


乳がんは、世界に於いて、女性の罹患率が第一位のがん種であり、全世界で約170万人が新たに乳がんと診断されています(2012年=World Cancer Research Fund International)。

日本に於いては、乳がんの年間罹患数は約7万4000人で、女性の部位別罹患数として第一位(2012年)、乳がんの年間死亡者数は1万3000人を超えています(2014年=国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計』)。

初診断時に転移がある場合、5年生存率は26.3%と予後は大変厳しい状況です(National cancer institute=米国立がん研究所)。

転移がない場合でも、原発巣に対する根治的治療後に推定20~30%の割合で転移・再発が見られ(Metastatic Breast Cancer Network=米国転移性乳癌ネットワーク)、転移・再発乳がんは切除可能な局所再発を除いて、治癒は極めて困難です(日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2015年版)。

乳癌の再発転移の部位別発症割合

転移・再発乳がんの化学療法後の10年生存率は、僅か5%です(日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2015年版)。




ガン細胞の細胞周期と増殖
細胞周期は正常細胞もガン細胞も同じですが、
ガン細胞では増殖のスピードが速くなる。


サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6は、細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こします。
「イブランス®カプセル25mg、同125mg(®palbociclib)」は、世界初の経口サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6に対する阻害作用を有する低分子化合物で、CDK4及びCDK6を選択的に阻害して、細胞周期の進行を停止させる事で、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。



イブランスカプセルの作用機序
サイクリンD1-CDK4/6複合体を阻害する事で、細胞周期に必要な
RBタンパク質を不活性化し、E2Pタンパク質を放出する事で
腫瘍細胞の増殖を抑制する。




【効能・効果】:「手術不能、または再発の乳がん」

【用法・用量】:「内分泌療法剤(ホルモン療法剤)との併用において、通常、成人にはパルボシクリブとして1日1回125mgを3週間連続して、食後に経口投与し、その後は1週間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返し、患者の状態により適宜減量する」

◎閉経の有無に関わらず使用できる。
◎7月27日の部会では、これに伴い、ホルモン療法剤の「フェソロデックス®筋注250mg(一般名:フルベストラント)」について、イブランスカプセルと併用出来るようにするための承認事項の一部変更が報告された。

◎再審査期間8年。



尚、米国(FDA)に於ける適応症は、2015年2月に「HR+HER2-(ホルモン受容体陽性ヒト上皮増殖因子受容体2陰性)閉経後進行または転移乳がんに対する初回内分泌療法(レトロゾールとの併用)」
「内分泌療法により疾患が進行したHR+HER2-進行又は転移乳がん(閉経の有無を問わない)に対する治療(フルベストラントとの併用)」となっている。

欧州医薬品庁(EMA)の承認勧告では、2016年9月に「HR+HER2-局所進行又は転移乳がん(アロマターゼ阻害薬との併用、又は内分泌療法を受けた患者ではフルベストラントとの併用)」が適応症となっている。


本剤の承認で、閉経の有無に関わらず、『ホルモン受容体(HR)陽性かつヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の手術不能または再発乳がん』の患者さんにとって、革新的治療選択肢が増える事は、精神的・肉体的に大きな支えになるものと期待されます。






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遺伝性卵巣がん治療薬「Olaparib」の国内での製造販売承認を申請

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アストラゼネカ株式会社(日本法人本社:大阪府大阪市北区 / 本社:英国・ロンドン)は8月8日、遺伝性卵巣がん治療薬「Olaparib(日本での一般名:オラパリブ)」について、国の医薬品審査機関である、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に承認申請した事を明らかにした。

親から子に受け継いだ遺伝子が原因で発症する「遺伝性がん」に対する薬剤の申請は、国内では初めてとなる。


オラパリブ_Olaparib
遺伝性再発卵巣がん治療薬「Olaparib(オラパリブ)」
本剤は2014年12月に米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)から
「Lynparza(リンパルザカプセル)」として承認を取得。


国内での卵巣癌の1年間の罹患者数は、9,000人で、死亡者数は4,700人となっています(平成24年=2012年)。
卵巣癌の2014年の患者数はおよそ26,000人と報告されています。

最新の年齢別罹患者数と死亡者数は下図の通り(国立がん研究センターがん対策情報センター)。


卵巣癌年齢別罹患者数

卵巣癌年齢別死亡者数


この内、代表的な癌抑制遺伝子として知られる「BRCA1」遺伝子及び/又は「BRCA2」遺伝子の病的変異を伴う、『遺伝性のBRCA遺伝子変異陽性卵巣癌』は、推定患者数が3,500人未満と極めて稀であるものの、散発性の卵巣癌とは異なる病態的特性を持ち、遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC:Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome)という確立された疾患概念の一部として認識されています(卵巣がん全体の約1割)。


日本人を対象とする多施設共同研究に於いて、本人が乳がんを発症し、本人を含む第2度近親以内の親族(貴女から見た場合に、きょうだい、父母から祖父母、叔父、叔母、孫までの範囲の血縁者を指す)に、40歳未満で乳がんになった人がいる場合、両方の乳房にガンができた人や、卵巣癌になった人がいる場合には、「BRCA1/BRCA2遺伝子変異」の陽性率は38~46%でした(国立がん研究センターがん対策情報センター)。


17番BRCA1遺伝子
遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC)に関与しているBRCA1とBRCA2遺伝子は、
第17染色体と第13染色体上に存在する。


細胞が何らかの原因で損傷した場合、DNAにはその細胞を修復し、腫瘍化(異常化)を防ぐ癌抑制遺伝子が存在し、修復の為のタンパク質を放出しますが、この遺伝子に異常があると、DNAは修復されないまま分裂を繰り返し、やがて腫瘍細胞へと変化します。

乳がんや卵巣がんに於いては、BRCA1とBRCA2遺伝子がそのDNA損傷修復の指令を出し、腫瘍化を阻止しますが、遺伝的にこの遺伝子に異常があると、抑制作用が発現せず、発症リスクが高まる事になります。




「Olaparib(オラパリブ)」は、革新的なファースト・イン・クラス(画期的な作用機序をもつ医薬品)のポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常を来たしたガン細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導します。

審査期間は9か月間程度と見られ、早ければ来年前半にも承認される可能性が高いという事です。


オラパリブ_Olaparib_カプセル


本剤が承認される事で、患者にとって治療の選択肢が広がる一方、家族の発症リスクも解かる可能性があるため、関係学会は家族のケアを含めた適切な診療体制の検討を始めました。


尚、現在「Olaparib(オラパリブ)」は、原発乳がんに対する術後補助療法を検討する第III相試験(OlympiA)が行われています。

BRCA1およびBRCA2遺伝子変異に関連する乳がん患者、並びに卵巣がん患者は、非遺伝性の患者に比べ若年期に発症する傾向があります。

その為、再発する場合も多く、DNA損傷修復機能とがん細胞のDNA損傷応答による細胞死機能を持った薬剤の登場によって、治療の選択肢が広がる事が期待されています。






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末梢性T細胞リンパ腫・抗悪性腫瘍剤「イストダックス点滴用」が製造販売承認を取得

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セルジーン株式会社(本社:東京都千代田区丸の内)は7月3日、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)」の治療薬として、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤「イストダックス®点滴静注用10mg」(一般名:ロミデプシン=Romidepsin)の製造販売承認を取得したと発表した。
本剤は今回の承認により、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)」の治療薬として、日本で初めてのHDAC阻害剤となります。



末梢性T細胞リンパ腫治療薬ロミデプシン
再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)治療薬
「イストダックス®点滴静注用10mg」


末梢性T細胞リンパ腫(PTCL:Peripheral T-cell lymphoma)は、ホジキン病と非ホジキンリンパ腫に大別される悪性リンパ腫の一つで、免疫細胞のリンパ球の中の“T細胞”から発生する非ホジキンリパ腫です。

日本国内の患者数は、2000人以下と推計されています(厚生労働省大臣官房情報部 患者調査報告(傷病基本分類別統計)2014)。
月単位で病勢進行する「中悪性度」に分類され、中悪性度リンパ腫の10~15%を占めるとされています(国立がん研究センター:末梢性T細胞リンパ腫2015.)。



末梢性T細胞リンパ腫の病態分類
T細胞リンパ腫の分類

*「ホジキン」とはイギリスの医師の名前で、リンパ節を始めとする造血器細胞が系統的に侵される病気を指し、日本国内では非ホジキンリンパ腫(造血臓器以外)の発症率が高いのが特徴です。
*「ヒストン」とは、染色体の中にあるタンパク質の一種でDNAに結合している。



非ホジキンT細胞リンパ腫
濃い藍色に変化し点在している部分が癌化したT細胞。
本来正常なT細胞はピンク色をしている。


最初に行った化学療法(多剤併用療法=シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4種)で部分奏効や難治性、または再発の場合、予後は厳しいのが現状です。

末梢性T細胞リンパ腫に対する標準治療は、未だに確立されておらず、特に再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対する治療選択肢は限られている為、新しい薬剤の開発が求められていました。



「イストダックス®点滴静注用10mg」は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤で、HDACの活性を阻害します。

HDACの活性を阻害する事によりアセチル化ヒストンが細胞内に蓄積し、ガンの細胞周期の停止や細胞死(アポトーシス)が誘導され、その結果、抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。


再発又難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)治療薬イストダックスの作用機序
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤「イストダックス®」の作用機序




【製品概要】

【販売名】:イストダックス®点滴静注用10mg
【一般名】:ロミデプシン
【効能・効果】:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫

【用法・用量】:通常、成人にはロミデプシンとして14mg/m2(体表面積)を 1日目、8日目、15日目に4時間かけて点滴静注した後、休薬(16~28日目)する。
この28日間を1サイクルとして投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。

【その他】:新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。



「イストダックス」は、治療歴がある末梢性T細胞リンパ腫に対して、現在、米国を含め世界5ヵ国で承認を取得しています(2017年3月)。





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新規抗ヘルペスウイルス剤「アメナリーフ錠」が薬価収載を了承

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中央社会保険医療協議会(中医協)総会が8月23日に開催され、マルホ株式会社(本社:大阪府大阪市北区)が申請していた、新規作用機序を有する抗ヘルペスウイルス剤「アメナリーフ®錠200mg」(一般名:アメナメビル=AMNV)の薬価収載が了承され、8月30日に収載される。

帯状疱疹治療薬である抗ヘルペスウイルス剤「アメナリーフ®錠200mg」は、アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区日本橋)によって創製された、新規作用機序を有する抗ヘルペスウイルス剤で、マルホ株式会社は2012年8月に、アステラス製薬と開発・販売に関するライセンス契約を締結し、開発を進めていた。


尚、本剤は7月3日、帯状疱疹を効能・効果として製造販売承認を取得している。


アメナリーフ錠200mg
抗ヘルペスウイルス剤「アメナリーフ®錠200mg」


帯状疱疹は、水痘(すいとう/水疱瘡とも言う)罹患後、神経節に潜伏感染していたVZV(水痘帯状疱疹ウイルス)が再活性化し発症する疾患。50~70歳代で好発し、大きな発症ピークが見られるが、過労やストレスが引き金となり、20代後半~30代後半の若い人に発症する事も珍しくない。

帯状疱疹の発症過程
水痘帯状疱疹ウイルス
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)

前駆症状として神経痛様の疼痛(ピリピリとした痛み)や知覚異常が認められ、その後、疼痛部位に皮疹が帯状に出現。皮膚症状は紅斑・丘疹から、水疱(すいほう、みずぶくれ)、膿疱、びらん・潰瘍を経て、痂皮(かさぶた)に至り、最終的には痂皮が脱落して、発症後2~3週間で治癒する。


しかし稀に、皮疹の治癒後も帯状疱疹後神経痛として疼痛が長期間残存する事がある。

帯状疱疹_肋間神経と三叉神経

経口(ヘルペスウイルス感染症)治療薬としては、アシクロビル(1988年8月保険収載)、バラシクロビル塩酸塩(2000年8月保険収載)、ファムシクロビル(2008年6月保険収載)などがあります(いずれも核酸類似体)。
 ▲アシクロビル…ヘルペスウイルスに効く医薬品として最初に開発された。内服として薬効の持続時間が短いため、1日4~5回服用。

 ▲バラシクロビル…服用後に吸収され、肝臓で分解されてアシクロビルに変化し作用を現す。

 ▲ファムシクロビル…服用後に肝臓でペンシクロビル(海外では局所軟膏)に代謝され、アシクロビルと似た作用を示す。



アメナリーフ錠の作用機序
「アメナリーフ®錠」の作用機序。
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「アメナリーフ®錠」の有効成分である『アメナメビル(AMNV)』の標的は、ヘルペスウイルス増殖の初期段階で、DNA複製に必須であるヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を阻害することで、二本鎖DNAの開裂、及びRNAプライマーの合成を抑制し、ヘルペスウイルス(VZV)の増殖を初期に抑制します。

これは、これまでの抗ヘルペスウイルス薬が、酵素によって核酸としてDNAポリメラーゼに取り込まれ、新たなDNA合成の伸長を阻害するのに対し、元DNAの二本鎖の開裂段階で、分裂そのものを阻止するよう働く、新しい作用機序の薬剤です。

また、最も重要な後遺症である帯状疱疹後神経痛の発症率も、低下させる事ができます。


肋間神経に発症した帯状疱疹
患部は治癒しても、神経が損傷を受けると痛みが長く残る。

種々の検討から、皮膚病変(ピリピリとした痛み)の出現後72時間以内に抗ウイルス薬を使用すれば、皮膚病変と疼痛を早期に軽減できるとされています。

治療の目標は、帯状疱疹後神経痛を残さない事で、この痛みが残ると、長期に渡って、神経に沿った疼痛に悩まされ続ける場合が多々あります。

エミリン鞘
ミエリン鞘(髄鞘)の損傷。

これは神経を保護しているミエリン鞘(髄鞘)が傷つくためで、通常はミエリン鞘(髄鞘)が傷ついても修復(再ミエリン化)されますが、人によって修復に時間を要する場合があるためです。
その間、神経線維が露出するので、疼痛が長く続きます。



【製品概要】
【販売名】:アメナリーフ®錠200mg
【一般名】:アメナメビル
【効能・効果】:帯状疱疹

【用法・用量】:通常、成人にはアメナメビルとして1回400mgを1日1回食後に経口投与する。

【使用上の注意】:
◆本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始すること。尚、目安として皮疹出現後5日以内に投与を開始することが望ましい。

◆本剤は、原則として7日間使用すること。改善の兆しが見られないか、或いは悪化する場合には、速やかに他の治療に切り替えること。

◆本剤は、悪性腫瘍や自己免疫性疾患など免疫機能の低下を伴う患者に対する有効性及び安全性は確立していない。

【その他の特徴】:アメナリーフ®錠200mgは1日1回、食後に服用する事で帯状疱疹に効果を示します。主に糞中に排泄される為、腎機能の指標となるクレアチニンクリアランス(腎臓が身体の老廃物を排泄する能力)に応じた用法・用量の調整の必要がない薬剤です。





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世界初、球脊髄性筋萎縮症の進行抑制で「リュープリンSR注射用キット」が追加承認取得

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武田薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市)は8月28日、「リュープリンSR®注射用キット11.25mg(一般名:リュープロレリン酢酸塩)」について、厚生労働省より、球脊髄性筋萎縮症(SBMA=Spinal and Bulbar Muscular Atrophy)の進行抑制の効能追加承認を取得したと発表した。

「リュープリン®」は2015年9月28日、「リュープリン®PRO注射用キット22.5mg」が、前立腺がん及び閉経前乳がん治療剤として製造販売承認を取得している。


リュープリンSR注射用キット11.25mg
「リュープリン®SR注射用キット11.25mg」


球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、筋萎縮を特徴とし、脳の一部や脊髄の運動神経細胞の障害により、しゃべったり、飲み込んだりする時に使う筋肉や、舌の筋肉、更には手足の筋肉が萎縮(やせる)する病気で、成人男性で発症するX連鎖性の下位運動ニューロン疾患です。

球脊髄性筋萎縮症のX染色体関連遺伝子座
球脊髄性筋萎縮症のX染色体関連遺伝子座
Xq11.2-q12(アンドロゲン受容体座位)


球脊髄性筋萎縮症の発症は、C(シトシン)・A(アデニン)・G(グアニン)の塩基配列が、“三連繰り返し”と呼ばれるDNA部分の異常な拡大で起こります。

球脊髄性筋萎縮症を発症するCAG3塩基異常
球脊髄性筋萎縮症を発症するCAG3塩基反復拡張変異

これによってポリグルタミンを有する変異アンドロゲン受容体(AR)が、核内に異常蓄積する事で、男性ホルモン依存的筋細胞死が起こり、神経細胞障害が生じます。

通常30~60歳頃に発症する事が多く、緩徐進行性の経過を辿り、末期には車イスでの生活や寝たきりの生活を余儀なくされるばかりではなく、誤嚥性肺炎を繰り返します。

日本では「指定難病」に定められており、特定疾患医療受給者証所持者数は、1223人(平成26年度厚生労働省特定疾患調査研究より)と報告されている。




「リュープリンSR®注射用キット11.25mg」は、武田薬品工業株式会社で合成された、高活性のLH-RHアゴニスト(黄体形成ホルモン放出ホルモン誘導体)の、12週間持続徐放性注射用製剤です。
脳下垂体に持続的に作用し、脳下垂体の反応性を低下させる事で性ホルモンの産生を抑制します。



「リュープリンSR」の投与前と投与後の陰嚢細胞変化。
リュープリンSRの投与前と投与後の陰嚢細胞変化
(A)治療前、陰嚢皮膚は核で反ポリグルタミン抗体の為に強烈で常習的(濃灰色)な染色を示す。
(B)治療12週後、核を染色すると強烈な強さの色彩は、著しく減少しました。性ホルモンの産生が抑制された為です。


今回の効能追加承認の取得は、主として、名古屋大学神経内科が中心となって、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の患者を対象に、「リュープリンSR®」の有効性および安全性を検討した、医師主導治験の結果に基づき評価されたものです。

本剤は、国内に於いて前立腺がん、閉経前乳がんなどのホルモン依存性疾患の治療剤として使用されており、「球脊髄性筋萎縮症(SBMA)」の進行に対する治療剤としては、世界初の承認となります。




【今回承認された効能・効果、用法・用量について】

【効能・効果】:球脊髄性筋萎縮症の進行抑制
【用法・用量】:通常、成人には12週に1回リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを皮下に投与する。
▲投与に際しては、注射針を上にしてプランジャーロッドを押して、懸濁用液全量を粉末部に移動させて、泡立てないように注意しながら、十分に懸濁して用いる。






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血小板増加薬「レボレード/ネオーラル」が再生不良性貧血に対する適応追加承認を取得

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ノバルティスファーマ株式会社(本社:東京都港区西麻布)は8月25日、トロンボポエチン受容体作動薬「レボレード®錠12.5mg、同25mg(一般名:エルトロンボパグオラミン)」について、再生不良性貧血に対する適応追加の承認を取得し、また、同時に、サイトカイン免疫抑制剤「ネオーラル®内用液10%/ネオーラル®カプセル10mg、同25mg、同50mg(一般名:シクロスポリン)」の非重症の再生不良性貧血に対する承認も取得したと発表しました。


経口血小板増加薬レボレード錠
経口血小板増加薬「レボレード®錠12.5mg、同25mg」

ネオーラル内用液10パーセントカプセル10mg25mg50mg
免疫抑制剤「ネオーラル®内用液10%/ネオーラル®カプセル10mg、同25mg、同50mg」


再生不良性貧血(AA=aplastic anemia)は、骨髄にある造血幹細胞(血液を造る基になる細胞)が減少する事により、汎血球減少(白血球、赤血球、血小板の全てが減少する事)を引き起こす疾患で、厚生労働省から難病に指定されています。

国内における総患者数は、約1万4000人(平成26年度厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 特発性造血障害に関する調査研究・2013年時点)と推定され、男女ともに10~20歳代と、70~80歳代に発症のピークがあるとされています(厚生労働省難病情報センター:2017年8月1日時点)。


再生不良性貧血
再生不良性貧血の発症



主な症状は、酸素を身体中に運搬する“赤血球”の減少によって、酸素欠乏の状態になるため、労作時の息切れ、動悸、めまいなどの貧血症状と、“血小板”の減少によって、皮下出血斑(アザが出来やすい)、鼻出血や歯肉出血といった出血傾向になり、“白血球”のうち好中球の減少が強い場合には、細菌感染などに伴う発熱が見られます。

進行すると骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病といった、生命に関わる疾患に移行するケースも見られます。



血小板輸血療法
再生不良性貧血(AA)の治療は、“血小板”の減少による出血傾向の抑制に『輸血』などの支持療法と、免疫抑制療法、造血幹細胞移植などの『造血回復』を目指した治療がありますが、“移植非適応”の場合や、既存治療で効果不十分な患者の治療は、『輸血療法』が中心となります。

しかし、頻回に血小板輸血を行うと、血小板に対する抗体が体内に誘導されるため、血小板を輸血しても血小板が増えなくなり、感染症や出血、輸血依存症と言った一定のリスクを伴い、更に、通院に伴う生活面の負担が増す事になります。


正常な骨髄と再生不良性貧血の骨髄生検細胞

一方で、移植非適応の未治療な再生不良性貧血の患者に対する標準治療は、免疫グロブリンのATG(サイモグロブリン®)及びシクロスポリン(免疫抑制薬)の併用療法ですが、このような免疫抑制療法の治療効果を更に向上しうる薬剤の開発も望まれています。




レボレード錠の作用機序
レボレード錠®の作用機序

「レボレード®(REVOLADE)」は、トロンボポエチン(TPO)受容体との特異的な相互作用を介して、巨核球や骨髄前駆細胞の増殖及び分化を促進させる、経口投与が可能なトロンボポエチン受容体(TPO-R)作動薬です。

「レボレード®」は、国内に於いて、慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療薬として、2010年10月27日に製造販売承認を取得しています。また、2016年11月に「再生不良性貧血」を予定効能・効果として、希少疾病用医薬品の指定を受けています。

「REVOLADE®(米国では「Promacta®」として)」は、慢性特発性血小板減少性紫斑病、C型肝炎ウイルス感染に伴う血小板減少症、既存治療で効果不十分な重症再生不良性貧血に対する治療薬として、世界70カ国以上で承認されています。


ネオーラル内用液
「ネオーラル®内用液10%」はカプセルを呑み込めない小児用として。

「ネオーラル®」は、免疫をつかさどるT細胞を活性化するシグナル伝達を阻害し、インターロイキン2 に代表されるサイトカインの産生を抑制する事で、免疫抑制作用を示します。

現在、臓器移植(腎、肝、心、肺、膵、小腸)における、拒絶反応の抑制、骨髄移植における拒絶反応、及び移植片対宿主病(いしょくへんたいしゅくしゅびょう)の抑制、更にベーチェット病、非感染性ぶどう膜炎、尋常性乾癬(重症)、ネフローゼ症候群、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎(重症)などの自己免疫疾患の治療薬として、広い領域に使用されており、世界でも100カ国以上で承認されています。




【「レボレード®」の製品概要】
【製品名】:
「レボレード®錠12.5mg」(REVOLADE® Tablet 12.5mg)
「レボレード®錠25mg」(REVOLADE® Tablet 25mg)

【一般名】:エルトロンボパグ オラミン(Eltrombopag Olamine)

【効能又は効果(下線部は今回追加承認された効能又は効果)】:
1.慢性特発性血小板減少性紫斑病
2.再生不良性貧血

【用法及び用量(下線部は今回追加承認された用法及び用量)】:
1.慢性特発性血小板減少性紫斑病の場合
通常、成人には、エルトロンボパグとして初回投与量12.5mg を 1 日 1 回、食事の前後 2 時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減する。また、1 日最大投与量は 50mg とする。

2.再生不良性貧血の場合
抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の場合。
抗胸腺細胞免疫グロブリンとの併用において、通常、成人には、エルトロンボパグとして75mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。尚、患者の状態に応じて適宜減量する。

既存治療で効果不十分な場合。
通常、成人には、エルトロンボパグとして初回投与量25mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。尚、患者の状態に応じて適宜増減する。また、1日最大投与量は100mg とする。


【承認取得日】:2017年8月25日
*効能又は効果に関連する使用上の注意並びに用法及び用量に関連する使用上の注意は、添付文書をご覧下さい。


【「ネオーラル®」の製品概要】
【製品名】:
「ネオーラル®10mgカプセル」(NEORAL®10mg Capsule)
「ネオーラル®25mgカプセル」(NEORAL®25mg Capsule)
「ネオーラル®50mgカプセル」(NEORAL®50mg Capsule)
「ネオーラル®内用液10%」(NEORAL®)

【一般名】:シクロスポリン(Ciclosporin)

【効能又は効果(下線部は今回追加承認された効能又は効果)】:
1.下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
2.骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制
3.ベーチェット病(眼症状のある場合)、及びその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分であり、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎に限る)
4.尋常性乾癬(皮疹が全身の 30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬
5.再生不良性貧血(重症)、赤芽球癆
6.ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合)
7.全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)
8.アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)

【用法及び用量(下線部は今回追加承認された用法及び用量)】:
8.再生不良性貧血の場合
通常、シクロスポリンとして1日量6mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。尚、患者の状態により適宜増減する。
また、罹病期間が短い患者の方が良好な治療効果が得られる可能性があることから、目安として罹病期間が 6 ヵ月未満の患者を対象とすることが望ましい。




この数年間、再生不良性貧血に対する新たな治療薬の承認はなされていませんでしたが、今回の「レボレード」および「ネオーラル」の承認により、新たな治療選択肢が二つ同時に提供される事になります。
ノバルティスでは、今後も、再生不良性貧血の患者さんの治療の質の向上に努めてまいります、とのコメントを発表しています。




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全身性エリテマトーデス抗体医薬「ベンリスタ点滴用/皮下注用」の製造承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は9月8日、グラクソ・スミスクライン株式会社(本社:東京都渋谷区千駄ヶ谷)が承認申請していた、「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」を効能・効果とする新規皮下注射剤、「ベンリスタ®(Benlysta®)点滴静注用120mg、同400mg、同皮下注200mgオートインジェクター、同皮下注200mgシリンジ(一般名:ベリムマブ(belimumab))」について、承認の可否を審議し、承認を了承した。
厚生労働省は早ければ1か月程度で正式承認する見込みである。



ベンリスタ点滴静注用belimumab
既存治療で効果不十分な
全身性エリテマトーデスを効能・効果とする新有効成分含有医薬品
「ベンリスタ®(Benlysta)点滴静注用120mg、同400mg」

ベンリスタ皮下注200mgオートインジェクター
「ベンリスタ®(Benlysta)皮下注200mgオートインジェクター/シリンジ」



全身性エリテマトーデス(SLE=Systemic Lupus Erythematosus)は、エリテマトーデス(紅斑性狼瘡(ロウソウ))の最も代表的な疾患で、文字通り、エリテマトーデスが全身に起こる疾患です。
全世界の約500万人と言われているエリテマトーデス患者の約70%が罹患(りかん)しています。

国内では1万人に1人くらいが発病し、全国に約6~10万人程の患者がいると考えられていますが、2013年に全身性エリテマトーデス(SLE)として難病の申請をしている人は、61,528人で、特に20~30代の女性に多く、男女比は1対10です。

このうち小児患者は、約5000人がいると推定され、発症割合は、女子が男子に比べ5倍多く発症しています。


全身性エリテマトーデス(SLE)は、自分の体の細胞核成分と反応する抗体が作られてしまう為に、全身の様々な臓器で炎症を引き起こす病気で、寛解と増悪を繰り返し、慢性に経過します。

全身性エリテマトーデスの発症要因
リンパ球は本来、ウイルスなどの対外からの異物に対し免疫を発揮するが、
SLEでは自分の組織を異物と見なし攻撃する。


症状は、多臓器が侵されるため、関節症状、蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)皮疹、円板状紅斑、中枢神経病変、腎障害、心肺病変、血液異常などが見られます。特に、中枢神経病変、腎障害があると命に係わる危険性が高くなり、約8割の小児に慢性腎炎による腎障害(ループス腎炎)が起こります。
全身性エリテマトーデスSLE症例写真
全身性エリテマトーデスの特徴である『蝶形紅斑』と『円板状紅斑』、
更に関節症状と背面紅斑の症状写真。



膠原病(SLE)の一群に分類されていますが、膠原病には厳密な医学的基準が無いため、各疾患ごとに理解すると良いでしょう。

全身性エリテマトーデス, ▼全身性強皮症, ▼多発性筋炎・皮膚筋炎, ▼混合性結合組織病, ▼ベーチェット病, ▼大動脈炎症候群(高安動脈炎), ▼ウェゲナー肉芽腫症, ▼悪性関節リウマチ, ▼結節性動脈周囲炎(結節性多発動脈炎・顕微鏡的多発血管炎)

膠原病に分類される疾患のうち、国の難治性疾患克服研究事業により、治療費を補助する“特定疾患”に指定されている病気は、上述の10疾患です。


全身性エリテマトーデスの分類
*尚、全身性エリテマトーデスと膠原病は、共に『SLE』と略称されています。



「ベンリスタ®点滴用/皮下注用」は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者に過剰発現し、疾患の活動に重要な役割を果たしていると見られる、可溶性Bリンパ球刺激因子(BLyS)を標的とする抗体医薬品です。

可溶性Bリンパ球刺激因子(BLyS)の機能を特異的に阻害する「ベンリスタ®(Benlysta)」は、可溶性Bリンパ球刺激因子(BLyS)に結合する完全ヒト型モノクローナル抗体です。
「ベンリスタ®(Benlysta)」は、B細胞に直接結合せず、可溶性Bリンパ球刺激因子(BLyS)に結合する事により、自己反応性B細胞などの生存を阻害し、B細胞の免疫グロブリン産生形質細胞への分化を抑制します。

ベンリスタの作用機序
「ベンリスタ®(Benlysta)」の作用機序。

標準治療薬である副腎皮質ステロイド薬との併用で、疾患活動性が高い(抗dsDNA抗体陽性、及び低補体など)自己抗体陽性SLE成人患者の治療薬に想定されると言う事です。




【本剤の使用上の注意点】

■ 患者は医療関係者からトレーニングを受けた後、単回投与のオートインジェクター、又はプレフィルドシリンジのいずれかを使用して、自宅で、週1回、200mgを投与する事が可能となります(皮下注射製剤)。
■ 点滴静注用製剤は、10mg/体重1kgを、医療関係者が患者に対して投与するもので、(0、14および28日目に投与する初回負荷投与後)4週間ごとに1時間、医療機関にて点滴静注します。

【使用制限】:「ベンリスタ®(Benlysta®)」の有効性は、重症で進行性のループス腎炎、又は重症で進行性の中枢神経系ループス患者で、評価は達成されていないため、使用する事は出来ない。
ループス腎炎

また、他の生物製剤や静脈内シクロホスファミドとの組み合わせは検討されていません。これらの状況での使用は推薦されません。

【その他の注意事項は、正式承認後のプレスリリースでご確認下さい。】



「ベンリスタ®(Benlysta®)」は、海外において点滴静注用では欧米など65か国で承認済。皮下注製剤は米国で承認済ですが、欧州連合では承認されていません(2017年7月21日現在)。

今回の承認了承によって、新有効成分含有医薬品の皮下注射製剤が、患者自ら、医療機関へ通う代わりに、自宅で薬剤を自己投与する事が出来るようになり、治療選択肢の幅が広がるものと期待されています。






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再発/難治性の多発性骨髄腫治療薬「ダラザレックス点滴静注」の製造承認を了承

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ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区)が2016年12月20日に承認申請していた、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする、新有効成分含有医薬品「ダラザレックス® 点滴静注100mg、同400mg(一般名:ダラツムマブ®=daratumumab®)」について、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は9月8日、製造販売承認を了承する決定をした。
本剤は早ければ年内にも市場投入される見込み。



ダラザレックス点滴静注100mg_400mg
再発又は難治性の多発性骨髄腫治療薬
「ダラザレックス® 点滴静注100mg、同400mg(Darzalex)」



多発性骨髄腫(Multiple Myeloma=MM)は、骨髄中にある血液細胞の一つ、「形質細胞」と言うリンパ球が腫瘍化した血液癌です。
形質細胞は免疫システムの役割を担っており、ウイルスなどが体内に侵入して来た時に攻撃する免疫グロブリン(抗体)を産生する細胞です。

しかし多発性骨髄腫になると、異常な抗体(M蛋白)が産生され、これが異物が無いのにどんどん増殖し、正常な抗体が低下する為、骨の痛み、病的骨折・圧迫骨折、倦怠感、貧血、出血傾向、感染症に対する抵抗力の低下、腎臓の機能低下、アミロイドーシス(臓器機能の低下)、過粘稠度症候群(血液の粘りが高くなる)、ウイルス感染による体力の低下などで、免疫力の低下などを来たします。


多発性骨髄腫の腕のX線写真_溶骨性障害
多発性骨髄腫の腕のX線写真。
複数の溶骨性障害により、痛みや骨折が起こる。


原因は不明ですが、遺伝的素因が疑われている。

日本国内における総患者数は、約18,000人(厚生労働省「2014年患者調査」)と報告されています。死亡数は4185人(国立がん研究センターがん情報サービス「人口動態統計によるがん死亡データ」)。
最新のデータによると、2016年は新たに8700人が多発性骨髄腫と診断されています(国立がん研究センター)。


多発性骨髄腫年齢別罹患数


多発性骨髄腫の患者の5年相対生存率は36.4%であり、新たに診断された患者の29%が診断から1年以内に死亡しています(治療開始の遅れなどで)。
治療によって寛解に至る事もありますが、再発する可能性が極めて高い疾患です。




ダラザレックスの作用機序
「ダラザレックス®点滴静注」の作用機序。

「ダラザレックス®」は、多発性骨髄腫の細胞表面に過剰発現している、シグナル伝達分子CD38を標的とするモノクローナル抗体です。
病期に関係なくCD38に結合する事によって、複数の免疫介在性作用機序、及び免疫調節効果により患者の免疫機能を活性化させ、がん細胞を攻撃し速やかな、がん細胞のアポトーシス(細胞自滅死)をもたらします。


  用語説明【免疫介在性作用機序】:
  *CDC ~ 補体依存性細胞傷害作用(抗体が抗原に結合して腫瘍細胞を死滅)
  *ADCC~ 抗体依存性細胞傷害作用(免疫細胞のNK細胞を活性化し腫瘍細胞を攻撃)
  *ADCP~ 抗体依存性細胞食菌作用(腫瘍細胞をマクロファージが食作用で包み細胞膜から遊離)



腫瘍細胞死に導くことに加え、患者の免疫機能の活性化により腫瘍細胞を攻撃する新たな作用を持つとされる。レナリドミド及びデキサメタゾンとの3剤併用、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンと3剤併用する。

海外では欧米など45の国、地域で承認済(2017年5月時点)。





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国内初の2型糖尿病治療剤「カナリア®配合錠」が発売開始

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田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)と第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は、選択的DPP-4阻害剤「テネリア®錠(一般名:テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物)」と、SGLT2阻害剤「カナグル®錠(一般名:カナグリフロジン水和物)」の配合剤である2型糖尿病治療剤「カナリア®配合錠」について、8月30日に薬価基準に収載された事を受け、9月7日に発売を開始したと発表しました。

【プレスリリース】
http://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=../release/nr/2017/MTPC170907.html


2型糖尿病治療剤カナリア配合錠
2型糖尿病治療剤「カナリア®配合錠」
《テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物/カナグリフロジン水和物配合錠》


「カナリア®配合錠」は、日本で初めて発売された、ジペプチジルペプチダーゼ‐4(DPP-4)阻害剤と、ナトリウム-グルコース共輸送体2阻害剤(SGLT2)の2成分を含有する配合剤です。

選択的DPP-4阻害剤「テネリア®錠」と、SGLT2阻害剤「カナグル®錠」は、いずれも田辺三菱製薬が創製した日本オリジン(日本に研究開発の拠点を置く製薬企業が開発した新医薬品)の2型糖尿病治療剤です。


カナリア配合錠-2型糖尿病治療剤

二つの薬剤を配合した「カナリア®配合錠」は、DPP-4阻害剤による血糖値に応じたインスリン分泌促進作用の「テネリア®錠」と、SGLT2阻害剤による尿糖排泄促進作用の「カナグル®錠」と言う、2つの異なる作用機序により、1日1回1錠で、良好な血糖降下コントロールが期待できる、国内初の配合製剤となる。




糖尿病はインスリン作用の不足に基づく慢性の高血糖状態を来す代謝疾患です。
1型糖尿病、2型糖尿病、その他の疾患に伴う糖尿病、及び妊娠糖尿病に分類されます。


糖尿病の病態分類表


【1】1型糖尿病
~自己免疫異常により、インスリンを合成する膵β細胞が破壊され、インスリンが絶対的に欠乏し、高血糖になる。8~12歳の思春期に発症が多くなりますが、幼児や、最近では成人にも発症が見られます。日本の有病率は1万人に約1人です。

【2】2型糖尿病
~糖尿病の98%以上を占め、40歳以降に起こりやすいタイプです。インスリン分泌の低下、或いはインスリン抵抗性によって骨格筋などでの糖の利用が悪くなり、高血糖を来す。2型糖尿病は多因子遺伝で、家族性に起こります。
最近では50歳以上の人の約10%が2型糖尿病です。

【3】その他の疾患に伴う糖尿病
~遺伝子異常が突き止められた糖尿病(MODY、ミトコンドリア糖尿病)や、糖尿病がその他の疾患や条件(内分泌疾患、膵疾患、肝疾患、ステロイド薬服用)に伴って発症する事もあります。

【4】妊娠糖尿病(GDM、GD)
~妊娠中には女性ホルモンなどの影響で耐糖能(たいとうのう*)が悪化し、糖尿病になる事があります。多くは出産後、正常に戻りますが、妊娠糖尿病になった女性は、将来糖尿病を発症しやすいので、注意が必要です。


 *耐糖能とは……検査時、血中グルコース(糖)濃度を測定する事で求められます。
 耐糖能が低い場合、血糖値を制御するインスリンなどが十分に機能していないと判断される。健常人と糖尿病患者の中間に該当し、いわゆる「糖尿病予備軍」に入る。WHOなどは「耐糖能異常」の病名を与えている。





一般的に、2型糖尿病の治療では、第一選択薬としてスルホニル尿素(SU)系薬剤やジペプチジルペプチダーゼ‐4(DPP-4)阻害剤などの単独投与が行われており、単独投与で血糖コントロールが不十分な場合には、増量、又は作用機序の異なる薬剤の併用療法が推奨されています。

従って、第一選択薬で十分なコントロールが出来ない場合の配合製剤は、服薬する薬剤(下記一覧参照)の種類、錠数、及び服用回数が減少できる事など、患者サイドにとっても大きな利点を有している。

糖尿病_高血糖の要因

本剤は、国内の臨床試験で、「テネリア®錠」又は「カナグル®錠」の単独治療で効果が不十分な患者を対象として、有効性や安全性において良好な成績が認められました。
「カナリア®配合錠」は、この併用治療により血糖コントロールが安定している2型糖尿病の患者が使用する事で、服薬錠数が低減され、アドヒアランス(適切に飲みやすい)の向上につながります。

更に、「テネリア®錠」又は「カナグル®錠」での単剤治療を受けているにも関わらず、効果が不十分な2型糖尿病の患者にとっては、本剤の使用によって血糖コントロールの改善が期待される。


糖尿病患者数

尚、糖尿病の総患者の具体数は、厚生労働省の統計値や推計値を見ても、統一した明確な判断基準がなく、同じ2016年数値でも様々発表されており(継続的治療中、入院治療、糖尿病予備群、健康増進法に基づく推定患者数、高脂血症など)、曖昧なため掲載を断念しました。(概ね、316万人~1000万人)




【製品概要】
【販売名】:カナリア®配合錠(CANALIA® Combination Tablets)
【一般名】:テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物/カナグリフロジン水和物配合錠

【効能・効果】:2型糖尿病
但し、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物の併用による治療が適切と判断される場合に限る。

【用法・用量】:通常、成人には1日1回1錠(テネリグリプチン/カナグリフロジンとして20mg/100mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。
尚、本剤を2型糖尿病治療の「第一選択薬として用いない」事に注意する。

【国内臨床試験で報告された、臨床検査値異常を含む副作用】
 ▼主な副作用は頻尿(3.3%)、血中ケトン体増加(2.0%)、外陰部膣カンジダ症、便秘、口渇(各1.7%)など。▼重大な副作用は、低血糖、脱水、ケトアシドーシス、腎盂腎炎、敗血症、腸閉塞、肝機能障害、間質性肺炎、類天疱瘡が報告された。

【薬価】:300.30円
【製造販売承認日】:2017年7月3日
【製造販売元】:田辺三菱製薬株式会社
【販売元】:第一三共株式会社


◆現在、臨床使用されている糖尿病薬配合製剤◆

▼チアゾリン誘導体ピオグリタゾン(アクトス他)と、DPP-4阻害薬アログリプチン(ネシーナ)との配合製剤(リオベル)
▼ピオグリタゾンと、SU系薬グリメピリド(アマリール他)との配合製剤(ソニアス)
▼ピオグリタゾンと、ビグアナイド(BG)系薬メトホルミン(メトグルコ他)との配合製剤(メタクト)
▼速効型インスリン分泌促進薬ミチグリニド(グルファスト)と、αグルコシダーゼ阻害薬ボグリボース(ベイスン他)との配合製剤(グルベス)
▼DPP-4阻害薬ビルダグリプチン(エクア)と、BG系薬メトホルミンとの配合製剤(エクメット)
▼DPP-4阻害薬アログリプチンと、BG系薬メトホルミンとの配合製剤(イニシンク)

‥‥などがあります。





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大阪府和泉市の無痛分娩死~過失致死容疑の医師「麻酔は1人で…」と説明

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無痛分娩の重大事案
平成23年(2011年)からの無痛分娩による主な重大事例。
死亡例などの重大過誤は、最近、関西に集中している。



大阪府和泉市無痛分娩妊婦死亡事件

大阪府和泉市の産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック2」で、無痛分娩をした女性が死亡した事件で、老木レディスクリニックのホームページ(HP)に記載された麻酔科医2人が、無痛分娩に関与していなかった事が、捜査関係者への取材で分かった。

無痛分娩の麻酔は、業務上過失致死容疑で書類送検された、院長・老木正彰容疑者(59)が1人で実施していたと言う。大阪府警和泉署は、妊婦を集めるための虚偽記載と見ている。

捜査関係者によると、老木レディスクリニック2(老木レディスクリニック1とは別住所)はHPで、スタッフとして老木正彰容疑者の親族と、男性医師の計2人の麻酔科医を紹介。
無痛分娩について、「複数名の麻酔科のスタッフが体制を整えている」とし、麻酔科医が関与するかのように記載していた。

所が、老木正彰容疑者は大阪府警和泉署の調べに対し、「無痛分娩の麻酔は1人でやっていた」と説明。2人の麻酔科医は時折、帝王切開にたずさわっていただけだった。

名前が掲載された男性医師は、読売新聞の取材に、「行くのは1~2か月に1回程度で、無痛分娩に関わった事は無い」と証言した。


【以上ここまで読売新聞YOMIURI ONLINE:2017年10月07日 08時48分発表より引用
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171007-OYT1T50017.html




大阪府和泉市無痛分娩妊婦死亡事件
大阪府和泉市無痛分娩妊婦死亡事件1

この医療過誤事件は、大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック2」で今年1月10日、麻酔で出産の痛みを和らげる『無痛分娩』をした長村千恵さん(当時31)が、容体急変し呼吸困難となり、1月20日に死亡した医療事故事案。

担当した院長の老木(おいき)正彰容疑者(59)が、大阪府警和泉署の調べに、「人工呼吸をしようとしたが、パニックになり出来なかった」と、供述している事が、捜査関係者への取材で分かった。

大阪府和泉市無痛分娩妊婦死亡事件5
大阪府和泉市無痛分娩妊婦死亡事件4

大阪府警和泉署は、救命に必要な適切な処置を怠ったとして、今月6日に老木正彰容疑者を業務上過失致死容疑で書類送検した。老木正彰容疑者は容疑を認めている。

無痛分娩を巡り、医師が書類送検されるのは極めて異例。

捜査関係者によると、処分保留や不起訴相当ではなく、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたと見られる。

無痛分娩での硬膜外腔麻酔
大阪府和泉市無痛分娩妊婦死亡事件


長村千恵さんの父・安東雄志さん(68)は10月6日、大阪府大阪市内で記者会見し、「娘の死を無駄にせず、二度とこうした事故が起こらないようにして欲しい」と訴えた。
同席した代理人弁護士は、今後、「老木レディスクリニック2」に対し損害賠償請求訴訟を起こす事も検討しているとした。
大阪府和泉市無痛分娩妊婦死亡事件6


【以上ここまで産経新聞DIGITAL/産経WEST:2017.10.6 19:52配信より抜粋引用
http://www.sankei.com/west/news/171006/wst1710060072-n1.html



医療事故・医療過誤は偶然に起こるものではありません。
何らかの複合的出来事の結果です。
(設備の不備、医師の技量不足、対処方法の未熟、専門外の医療行為、過信、営利優先による人員不足など)


他の分野……例えば航空機事故の場合、原因には必ず複合的要素が絡んでいます。その原因と対応策を見つけ、パイロット・整備士・管制官・CAなどが一斉に再教育を受けます。
全ての関係者が、真実に向き合い、新しい事案に対処する方法を共有して、現在の安全運航が支えられています。

しかし残念ながら、医療分野では、医療事故の原因が分かっても、その情報を他の医療機関、特に個人クリニックでは共有する事なく、営利優先のため自分の技量を磨く事がおろそかになっています。

その原因は、『示談』と言う仕組みです。刑事責任を問われないため、情報が詳細に公表される事はありません。

医療も人の命をあずかる仕事である以上、過誤の原因を知り、全ての医師が情報を共有し、十分安全対策を講じ、経験を積み上げて行く事に努力を惜しまないでもらいたい。

次の災禍を無くすには、常に【何故だ?何故事故は起きた?】と、問い続ける事だと、信じてやみません。医療過誤の犠牲者は常に患者です。医師が裁かれる事は殆どありません───。
一体、どれだけの患者を医療ミスで死なせれば、医者は利己主義や慢心から目覚めるのでしょう───。




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泡状潰瘍性大腸炎治療剤「レクタブル2mg注腸フォーム」が製造販売承認を取得

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EAファーマ株式会社(本社:東京都中央区/~エーザイ株式会社の消化器事業子会社~)と、キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市)は9月27日、EAファーマが、日本に於いて、潰瘍性大腸炎治療剤「レクタブル®2mg注腸フォーム14回」(開発番号:AJG511)の製造販売承認を取得したと発表しました。

潰瘍性大腸炎治療剤レクタブル2mg注腸フォーム14回
潰瘍性大腸炎治療剤「レクタブル®2mg注腸フォーム14回」
本体(注腸用アプリケーター装着時)


潰瘍性大腸炎は、主として大腸消化管粘膜を侵し、しばしば粘膜びらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸のビ漫性非特異性炎症で、腹痛や下痢、下血などにより、著しいQOL(生活の質)の低下を余儀なくされる疾患です。

国内に17万人以上の患者がいると推定され、厚生労働省によって医療費助成制度の対象となる「指定難病」の一つに指定されています。助成は、難病指定医によって潰瘍性大腸炎の診断となった患者のうち、一定以上の重症度、或いは軽症であっても一定以上の高額な医療を受ける必要がある患者が対象となります。



潰瘍性大腸炎治療剤レクタブル2mg注腸フォーム14回方法
「レクタブル®2mg注腸フォーム14回」投与方法。

「レクタブル®2mg注腸フォーム14回」は、日本初の泡状の注腸製剤(∴注腸フォーム製剤)であり、1回の噴射で、潰瘍性大腸炎の主病変である直腸及びS状結腸まで、拡散される。

有効成分の“ブデソニド(Budesonide)”は。他の副腎皮質ステロイド剤に比べて、高い受容体結合親和性を有する一方、速やかに肝臓で代謝され、全身への曝露が少ないグルココルチコイド(副腎皮質から分泌されるステロイド系のホルモンの総称)です。

フォーム剤(泡状)の特性から、到達した薬剤の有効成分が腸管内に留まり、投与後に薬液漏出の課題が軽減されるという特徴があります。



潰瘍性大腸炎の治療法

潰瘍性大腸炎の注腸液剤

既存の潰瘍性大腸炎の適応を持つ注腸剤は、いずれも液剤(ペンタサ注腸、プレドネマ注腸、ステロネマ注腸)で、投与後に肛門からの薬剤漏出や、投与時に臥位(ガイ=あおむけ,うつぶせ,横向きなどの寝る姿勢)の姿勢を強いられるなどの問題がありました。

しかし本剤は、立位での投与が可能な事により、注腸治療の簡便性を向上させ、潰瘍性大腸炎の寛解導入治療に於ける新たな選択肢として期待されている。



──「レクタブル®2mg注腸フォーム14回」の使用法──
レクタブル注腸フォームの使用法0
1回ごとに挿入用アプリケーターを交換し取り付け。

レクタブル注腸フォームの使用法1
立位でやや屈め、直腸より挿入し、定量注腸する。


本剤は、EAファーマ株式会社がドイツのDr.Falk Pharma社(ドクター・フォーク・ファーマ)より導入し、EAファーマ株式会社とキッセイ薬品工業株式会社が共同で開発を進めて来ました。

「レクタブル®2mg注腸フォーム14回」の製造販売承認は、国内で、活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に行った、第Ⅲ相二重盲検比較試験などに基づくものです。本試験では、本剤を1日2回、6週間直腸内投与した時の内視鏡所見スコアを基にした、粘膜治癒率を主要評価項目としており、プラセボ(偽薬)に対し「レクタブル®2mg注腸フォーム14回」の優越性が確認されました。


レクタブル注腸フォーム大腸各部位分布割合
治験データ:慶應義塾大学病院IBD(炎症性腸疾患)センター//慶應義塾大学医学部消化器内科

排便後に99mTc(99mテクネチウム=テクネチウムの放射性同位体)標識ブデソニドブデノファルクフォーム(ブデソニド2mg/20mL)を単回直腸内投与し、γカメラによるシンチグラフィ検査によって測定。


【製品概要】

【製品名】:レクタブル®2mg注腸フォーム14回(RECTABUL®2mg)
【一般名】:ブデソニド(Budesonide)
【効能又は効果】:潰瘍性大腸炎(重症を除く)
【用法及び用量】:通常、成人には1回あたり1プッシュ(ブデソニドとして2mg)、1日2回直腸内に噴射する(肛門より)。

【使用上の注意】:本剤が腸内で到達する範囲は、概ねS状結腸部までであり、直腸部及びS状結腸部の病変に対して使用すること。

【製造販売元】:EAファーマ株式会社
【販売元】:キッセイ薬品工業株式会社

2017年3月時点、「レクタブル®」は世界36ヵ国で承認されています。






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肺動脈性肺高血圧症治療薬「レバチオ」新たに小児適応の製造販売承認を取得

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ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区代々木)は9月27日、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬「レバチオ®錠20mg」(一般名:シルデナフィルクエン酸塩)の肺動脈性肺高血圧症の効能・効果に、小児に対する用法・用量の追加の一部変更承認、及び「レバチオ®懸濁用ドライシロップ900mg」、「レバチオ®ODフィルム20mg」の製造販売承認を取得したと発表した。


レバチオ錠20mg

既発売で小児適応用量が追加された
小児肺動脈性肺高血圧症治療薬「レバチオ®錠20mg(Revatio®)」

レバチオ経口懸濁液

新剤形で承認取得した「レバチオ懸濁用ドライシロップ900mg」
本剤は発売準備中のため、写真は欧州品「Revatio® for oral suspension(経口懸濁液)」

また「レバチオ®ODフィルム20mg」も現在発売準備中。



肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)は、肺動脈圧の上昇を認める病態の総称で、次の5つに分類されます。

肺動脈性肺高血圧症の原因

(1)肺動脈性肺高血圧症、(2)左心疾患に伴う肺高血圧症、(3)肺疾患や低酸素血症に伴う肺高血圧症、(4)慢性血栓症や塞栓性疾患に伴う肺高血圧症、(5)その他の肺高血圧症。

その中でも、肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)の発症頻度は、100万人に1~2人と稀な疾患ですが、予後は極めて不良で、患者の約半数が3年以内に右心不全で死亡する。

男女比は1:2.6と女性に多く見られ、発症年齢の分布も男女で異なる事が知られています。

また小児の予後は、成人に比較して更に不良で、平均生存期間が10か月であると報告されている(公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター)。

小児肺動脈性肺高血圧の原因、発症機序は不明で、BMPR2、ALK1、Endoglinなどの遺伝子異常が存在するものと、未だ遺伝子異常が明らかでないものがある。遺伝子異常があっても本症が発症するとは限らないが、遺伝子異常により、肺動脈平滑筋の異常増殖が起こる可能性があるとも考えられている。(小児慢性特定疾病情報センター、日本小児循環器学会より)



肺動脈性肺高血圧症の肺血管造影図
肺動脈性肺高血圧症(PAH)の肺血管造影写真(上)と肺組織(下)。
(肺の細い小動脈が異常に狭く硬くなる事で血圧が上昇する)



「レバチオ®錠20mg」は、2008年に成人の『肺動脈性肺高血圧症』を効能・効果として承認されました。しかし、日本小児循環器学会から小児への適応と新用法用量について、早期開発・承認の要望が厚生労働省へ提出されていた。

そのため「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて、高い評価を受けて開発が進み、小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同試験に加え、2012年より国内臨床試験を実施、「レバチオ」の小児患者に対する有効性及び安全性が示された事から、今回、小児に対する用法・用量が承認されました。

本剤は、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬として初めて、小児肺動脈性肺高血圧症の適応を持つ薬剤となります。
 ◆小児用量の追加によって、「ドライシロップ剤」及び「ODフィルム」の剤形追加が行われ、これらは成人にも使える。

*ホスホジエステラーゼとは…ヌクレオチドや核酸などのリン酸二エステルを加水分解する酵素の総称。
海外では、2011年欧州で小児への適応が承認されています。


【シルデナフィルPAH非臨床に関する概括評価】
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/development/clinical_development/new_medicine_info/documents/apply_document/appli_doc_h20_01_revatio_hirinsho.pdf



【レバチオ(=Revatio®)の概要】
*下線部分が今回追加、又は変更された部分

【一般名】:シルデナフィルクエン酸塩
【販売名】:レバチオ®錠20mg、レバチオ®ODフィルム20mg、レバチオ®懸濁用ドライシロップ900mg

【効能・効果】:肺動脈性肺高血圧症

【今回承認された用法・用量】:
[レバチオ錠・レバチオODフィルム]
成人には通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。

1歳以上の小児には、体重20kg超の場合:通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。

[レバチオ懸濁用ドライシロップ]
成人には通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。

1歳以上の小児には、体重8kg以上20kg以下の場合:通常、シルデナフィルとして1回10mgを1日3回経口投与する。体重20kg超の場合:通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。


【用法・用量に関連する使用上の注意】:
◆レバチオODフィルム◆
本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜から吸収される事は無いため、唾液又は水で飲み込むこと。[添付文書の「適応上の注意」の項参照]






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日本初のメルケル細胞がん治療薬「バベンチオ点滴静注」が製造販売承認を取得

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メルクセローノ株式会社(本社:東京都目黒区)とファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は9月27日、両社が共同開発を行っている抗PD-L1抗体「バベンチオ®点滴静注200mg(一般名:アベルマブ(Avelumab=遺伝子組換え)」について、根治切除不能なメルケル細胞がんの効能・効果で厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。

「バベンチオ®点滴静注200mg」は、メルケル細胞がん(MCC)に対する、日本で初めて承認された唯一の治療薬で、日本初のヒト型抗PD-L1抗体薬です。



バベンチオ点滴静注200mg
国内初の根治切除不能なメルケル細胞がん治療薬
抗PD-L1抗体「バベンチオ®(Bavencio®)点滴静注200mg」



メルケル細胞がん(MCC=Merkel Cell Carcinoma)は、神経終末部近くのメルケル細胞と言う皮膚最表層に出来る、がん細胞に由来する希少、且つ進行性の疾患です。

メルケル細胞がんのメルケル細胞
皮膚表層付近にあるメルケル細胞

高齢者の頭部や顔面に出来る事が多く、この癌も紫外線との関連が指摘されていますが、2008年、メルケル細胞ポリオーマウイルス(Merkel cell polyomavirus)が同定され、がん抑制遺伝子の働きが阻害される事が原因のひとつと考えられていますが、詳細は分かっていません(国立がん研究センター 希少がんセンター)。

メルケル細胞ポリオーマウイルス55ナノメートル二十面体
関連が疑われるメルケル細胞ポリオーマウイルス
特徴は二十面体である事と大きさが50~60ナノメートル。

第一選択肢の、腫瘍切除術後の放射線療法で、再発を有意に遅らせる事が知られていますが、生存率の改善は確認されていません。

治療選択肢が限られている悪性度の高い皮膚がんの一種であり、日本に於ける患者数は、100人に満たないと推定されています。
非常に進行が早く、予後が不良な癌であり、有効な治療法の開発が待ち望まれていました。(ファイザー株式会社/国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院)


メルケル細胞がん症例写真

メルケル細胞がんと正常なメルケル細胞



「バベンチオ」は、メルケル細胞がん(MCC)に対する日本で初めて承認された唯一の治療薬であり、日本初のヒト型抗PD-L1抗体薬でもあります。
ヒト型抗PD-L1抗体薬は、PD-L1(プログラム細胞死リガンド-1)と呼ばれるタンパク質を特異的に阻害する、ヒト型抗体です。

腫瘍細胞は、T細胞の様な白血球から身を守るためにPD-L1を利用しますが、「バベンチオ」がPD-L1に結合する事によって、この方法が使えなくなり、抗腫瘍反応にさらされる事になります。


「バベンチオ® 点滴静注200mg」の作用機序
バベンチオの作用機序


尚、「バベンチオ」は、薬理作用としてイン・ビトロ(in vitro=試験管内)で抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する事が確認されています。


2014年11月、メルクセローノ株式会社とファイザー株式会社は、「バベンチオ」を共同開発し、製品化する戦略的提携の締結を発表。
本剤は2016年12月に、メルケル細胞がん(MCC)に対して、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を厚生労働省から受けている。




【製品概要】

【製品名】:バベンチオ® 点滴静注200mg
【一般名】:アベルマブ(Avelumab=遺伝子組換え)

【効能又は効果】:根治切除不能なメルケル細胞癌

【用法・用量】:通常、成人にはアベルマブ(遺伝子組換え)として、1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で1時間以上かけて点滴静注する。

【製造販売元】:メルクセローノ株式会社
【販売提携】:ファイザー株式会社



◆「バベンチオ」は、日本に於けるメルケル細胞がん(MCC)治療薬。◆米国に於ける転移性メルケル細胞がん治療薬、及び化学療法歴のある局所進行性・転移性尿路上皮がん治療薬。◆スイスに於ける化学療法歴のある転移性メルケル細胞がん治療薬、◆欧州連合(EU)に加盟する28ヵ国およびノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドに於ける、成人の転移性メルケル細胞がんに対する治療薬として、承認を取得しています。

◆その他の地域の市場に於いては、いかなる適応症に対してもまだ承認されていません。





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胎児の先天性トキソプラズマ症発症抑制剤「スピラマイシン」の製造販売承認を申請

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「自分のせいで、子どもを病気にさせたことが苦しかった」
と、妊娠中に寄生虫のトキソプラズマに感染した女性の言葉です。

nhk先天性トキソプラズマ症1
nhk先天性トキソプラズマ症

感染を知らされた時、治療に使う薬は、患者数が少ない事などから、日本では承認されていなかった。
薬は患者が自費でスイスから個人輸入する必要があったのです。

生まれた子供が1歳になるまで飲む抗菌薬は、日本では未承認。
その為、個人輸入していたと言う。
入手に掛かる費用は計数十万円に上り、女性は理不尽さを痛感していた──。
ここまで朝日新聞デジタル2016年11月6日06時00分より引用抜粋 http://www.asahi.com/articles/SDI201611041710.html


───製薬企業が、年間症例の少ない薬剤の開発に消極だったのは、止むを得ないかもしれない。
しかしここ数年でその意識も変わりつつあるように思います…。




サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区)は10月5日、胎児における先天性トキソプラズマ症の発症抑制剤として開発中の「スピラマイシン」について、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表しました。


アセチルスピラマイシン
国内に於いて、適応外ではあるがアセチルスピラマイシンが標準的に治療に用いられている。
アセチルスピラマイシンは、スピラマイシンの70%の投与量で同等の血中濃度が得られる。
血漿中濃度はアセチルスピラマイシンが1,189μg・min/mL、スピラマイシンが833μg・min/mL)
しかし現在、国内ではトキソプラズマが適応症となっていない。保険適応外薬である。


トキソプラズマ症スピラマイシン
「スピラマイシン」は海外に於いて、妊婦のトキソプラズマ感染症の効能・効果で承認。

国内申請された、妊娠中のトキソプラズマ初感染が否定できない場合、胎児への感染を防ぐ目的で、
「スピラマイシン」として1日量6,000,000~9,000,000国際単位(UI)を、
1日2~4回に分けて経口投与する。



トキソプラズマ症(toxoplasmosis)は、加熱不十分な食肉、飼い猫のトイレ掃除、園芸、砂場遊び、又は洗浄不十分な野菜や果物を介して、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)が、口から体内に入り発症する事があります。空気感染、経皮感染はしません。

通常、健康な成人、又は小児がトキソプラズマ症(後天性トキソプラズマ症)に感染しても、殆どの場合、免疫系の働きにより症状はありませんが、約1割(10%)に風邪のような症状が出現し、やがて数週間で回復します。

トキソプラズマ病原体の形態変化
トキソプラズマ原虫の形態変化。
増殖型虫体(タキゾイド)に形態化すると胎児の脳に侵入する。

しかし、妊婦が初めてトキソプラズマに感染した場合に、トキソプラズマが胎盤を通過して胎児にも感染する『先天性トキソプラズマ症』では、死産、及び流産だけでなく、胎児に水頭症、精神・運動機能障害や視力障害等の重篤な症状をもたらす事があります。

「先天性トキソプラズマ症」での胎児感染のリスクは、母体が感染した時期によって異なり、妊娠初期の感染では、胎児感染率は低いものの症状は重度となります。

妊娠経過に伴い胎児感染率は増加し、妊娠末期では60~70%に達しますが、症状は軽度となります(羊水中の先天性トキソプラズマ症の出生前診断1994-Hohlfeld P, Daffos F, Costa JM、及びトキソプラズマ症感染の為の妊娠中絶1994-Berrebi A, Kobuch WE, Bessieres MHより)。


先天性トキソプラズマ症


国内では、先天性トキソプラズマ症の発生数に関する疫学的データはありませんが、出生10,000人当たり1.26人(出生数は年間130~1300人と推計)との推計値が報告されています(小児慢性特定疾病情報センター)。

海外ではスピラマイシンが、妊婦のトキソプラズマ症に対し、胎児への感染を減らし、重症度を軽減する事が示されている事から、標準的な治療薬として推奨されています。

しかし日本国内では、現在トキソプラズマ症を適応症として承認されている薬剤はありません。


トキソプラズマ症の国内発症状況



このような背景から、日本産科婦人科学会よりスピラマイシンの開発要望が出され、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に於いて、医療上の必要性が高い薬剤として評価がなされ、2014年11月、サノフィが開発要請を受けました。
また、スピラマイシンは、日本で2016年12月にオーファンドラッグとしての指定を受けています。



スピラマイシンは、抗菌活性に加え、抗トキソプラズマ活性も有するマクロライド系抗生物質であり、1955年にフランスで承認されて以降、70カ国以上で細菌感染症治療薬として承認・販売されています。

また、妊娠中のトキソプラズマ症に対しても70カ国以上で承認され、30年以上に渡り使用されています。





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クロストリジウム・ディフィシル感染症の再発抑制薬「ジーンプラバ」が製造販売承認を取得

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MSD株式会社(本社:東京都千代田区)は9月27日、抗クロストリジウム・ディフィシルトキシンBヒトモノクローナル抗体「ジーンプラバ®点滴静注625mg」(一般名:ベズロトクスマブ〈=bezlotoxumab、遺伝子組換え〉)について、クロストリジウム・ディフィシル感染症の再発抑制を効能・効果として製造販売承認を取得した。

ジーンプラバ点滴静注625mg
米国、及び欧州でも昨年末から本年に掛けて承認されましたが、
未だ発売準備中のため、製剤の商品写真はありません。


クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI=Clostridium difficile infection)は、抗菌薬(抗生物質)投与などによる腸内細菌叢(さいきんそう)の撹乱に伴い発症する下痢症の、主な原因菌種で、致死的な重症に至る例もある。

クロストリジウム・ディフィシルは、人間が元々腸内に持っている細菌で、通常、人間の腸内では種々の腸内細菌がバランスをとって共存し、クロストリジウム・ディフィシルの増殖を抑制しています。


クロストリジウム・ディフィシル細菌
クロストリジウム・ディフィシル細菌

しかし、長期に入院していたり、長期間抗菌薬を使用していると、腸内細菌の量と種類のバランスが崩れてしまうため、特定の病原性の細菌が増殖して、他の種類の細菌と置き換わってしまいます。
過剰に繁殖し感染の原因となる最も一般的な細菌が、クロストリジウム・ディフィシルです。
この細菌の増殖によって感染症を引き起こし、大腸の保護粘膜に炎症(大腸炎)を起こす2種類の毒素「Toxin-A(A毒素)、Toxin-B(B毒素)」が放出され、下痢などの症状を発症します。

クロストリジウム・ディフィシル細菌よる偽膜性大腸炎
クロストリジウム・ディフィシル感染症よる偽膜性大腸炎。


通常は、クロストリジウム・ディフィシル腸炎が軽度であれば、原因となっている抗菌薬の服用を中止して、別の抗菌薬に切り替えれば、殆どが軽快します。

発症に関与している抗菌薬は、クリンダマイシン、ペニシリン系(アンピシリンやアモキシシリンなど)、セファロスポリン系(セフトリアキソンなど)、フルオロキノロン系(シプロフロキサシンなど)が最も多く関わっています。


良い腸内細菌と悪い腸内細菌バランス
良い腸内細菌と悪い腸内細菌バランス
▲米国医学図書館国立衛生研究所文献によると、乳酸桿菌-乳酸菌は病原性微生物に対する防御作用があり、胃腸管や泌尿生殖器や膣に存在する事で、有害ウイルスの増殖を抑制しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15156050


クロストリジウム・ディフィシル感染症による腸炎の発生リスクは、年齢とともに上昇し、•重度の基礎疾患、•長期にわたる入院、•介護施設の入居者、•消化管の手術歴なども危険因子に含まれ、幼い乳児や小児でもリスクが高くなっています。

特に高齢者では、院内感染に注意を払う必要があります。

クロストリジウム・ディフィシル感染症は1度再発すると、その後の再発率は大きく増加するとされ、特に重症な基礎疾患や、免疫力が低下している患者で再発リスクが高いと言われています。



今回承認された「ジーンプラバ®点滴静注625mg」は、クロストリジウム・ディフィシルより産生されるトキシンB(B毒素)に高親和性に結合し、トキシンB(B毒素)を中和し、再発を抑制するヒトモノクローナル抗体です。

細胞傷害作用を持つトキシンB(B毒素)を中和する事で、腸管壁の傷害を抑え、抗菌薬治療と併せて単回投与する事でクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の再発を抑制します。


ジーンプラバ点滴静注625mgの作用機序
「ジーンプラバ®点滴静注625mg」の作用機序


「ジーンプラバ®点滴静注625mg」は、クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の再発リスクの高い患者が投与の対象となります。診断には便サンプル内の毒素の特定が必要です。

尚、「ジーンプラバ(ZINPLAVA)」は、米国では2016年10月、欧州では2017年1月に承認を取得しています。




【製品概要】
【製品名】:ジーンプラバ®点滴静注625mg
【一般名】:ベズロトクスマブ=bezlotoxumab(遺伝子組換え)
【効能・効果】:クロストリジウム・ディフィシル感染症の再発抑制

【用法・用量】:通常、成人にはベズロトクスマブとして10mg/kgを60分かけて単回点滴静注する。

【使用上の注意】:
(1)クロストリジウム・ディフィシル感染症に対する治療は、別途適切に行うこと。
(2)本剤は、クロストリジウム・ディフィシル感染症に対する治療施行中に投与すること。
(3)本剤を複数回投与した場合のベネフィット・リスク(効き目&副作用)は不明である。
(4)18歳未満の患者に対する安全性及び有効性は確立していない。
(5)うっ血性心不全を有する患者[心不全が悪化するおそれがあるので、慎重に投与すること。]  




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初のヌーナン症候群の低身長適応「ノルディトロピンフレックスプロ」の承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会は11月2日、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区丸の内)が追加承認申請していた、「フレックスプロ注5mg/同10mg/同15mg/ノルディトロピンS注10mg(一般名:ソマトロピン)」について、『骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長』の効能・効果を追加する承認申請を了承した。
早ければ、約1ヶ月ほどで正式承認される。



ノルディトロピンフレックスプロ注
ヌーナン症候群における低身長の効能・効果が追加承認された、
ヒト成長ホルモン製剤「ノルディトロピンフレックスプロ注」と「ノルディトロピンS注」。


ヌーナン症候群(Noonan syndrome)は、低身長、胸郭異常、思春期遅発、停留精巣、先天性心疾患、心筋症、知的障害、特徴的な顔貌(眼間乖離,翼状頚,外反肘など)により特徴づけられる、常染色体優性遺伝性疾患で、国の指定難病です。

国内の患者数は約600人とされますが、診断されていない患者もいると考えられている。

病因として分かっているのは、細胞内のRAS/MAPKシグナル伝達経路に関わる遺伝子に起因する疾患であり、同定された遺伝子は現在、PTPN11、SOS1、RAF1、RIT1、KRAS、BRAF、NRAS、SHOC2、CBL遺伝子の9個の遺伝子が知られている。



ヌーナン症候群原因遺伝子
ヌーナン症候群の原因遺伝子とされる9個の遺伝子変異割合。

但し、これらの遺伝子変異はヌーナン症候群の患者の約60%で認められているに過ぎず、今も遺伝子の解析が進められている。


ヌーナン症候群のある人には、鼻と口の間で地域間平均よりも特徴的な間隔があり、他に両目の間が広く、耳の位置が低い特徴がある。
ヌーナン症候群の特徴_鼻と口の間が広い
ヌーナン症候群の特徴は、
低身長のほかに鼻と口の間が広い。

ヌーナン症候群をもつ個人の50~70%は、短い背丈ですが、生まれた時は、通常の身長と体重です。ノルディトロピン
しかし、身長の成長は時間と共に減速する。

成長ホルモン(体の骨と組織の通常の成長のために必要であるタンパク質)の異常な低い濃度が、遅い成長に関与していると考えられています。

ヌーナン症候群の成長曲線
米国におけるヌーナン症候群の成長曲線。

© U.S. Department of Health & Human Services
Privacy : National Institutes of Health
Accessibility : National Library of Medicine



しかし同じように、低身長、翼状頸などの骨格異常や、眼間開離や眼瞼下などの特徴的顔貌などが、症状として見られるターナー症候群に似ているが、ターナー症候群は45番X染色体の異常に起因し、女性のみに起こり、ヌーナン症候群は、性染色体(46番XX、46番XY)が正常でも男性でも女性でも罹患する可能性がある。

    *ヌーナンとは…米バーモント州の小児心臓病学者、ジャクリーン.A.ヌーナン博士(女史)によって発見された、遺伝性低形成性左心筋症候群の小児に、しばしば身長が低いなどの特徴が見られる事から、1971年に正式名称された。



「ノルディトロピンフレックスプロ」及び「ノルディトロピンS」は、既に『骨端線閉鎖を伴わない・成長ホルモン分泌不全性低身長症/ターナー症候群における低身長/軟骨異栄養症における低身長/成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)/SGA(small-for- gestational age)性低身長症(保険収載)』で臨床使用されており、今回、新たに『骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長』が加わった事になる。

正常な成長ホルモンの分泌
正常な成長ホルモンの分泌は、成長ホルモン(GH)が
成長ホルモン受容体の2所に同時に結合する事で必要量が分泌される。
しかしヌーナン症候群などの成長ホルモン分泌不全では、
この機能が弱いために、低身長になる。


「ノルディトロピン(ソマトロピン)」はヒト成長ホルモンと同じ作用を有し、
成長ホルモンを対外から補う事で、低身長症を改善する。

ソマトロピンの作用機序


有効成分のソマトロピン(遺伝子組換え)は、ヒト成長ホルモンと同じ191個のアミノ酸からなるポリペプチドで、下垂体から抽出したヒト成長ホルモン製剤と同等の身体成長促進作用を有する。

本剤適応は、海外では2017年7月末日現在、米国を含む5か国で承認済。




【製品概要】
【販売名】:ノルディトロピンフレックスプロ注5mg/同10mg/同15mg/ノルディトロピンS注10mg
【一般名】:ソマトロピン(遺伝子組換え)

【効能・効果/用法・用量】

(1)骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピンとして0.175mgを6~7回に分けて皮下に注射する。

(2)骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピンとして0.35mgを6~7回に分けて皮下に注射する。

(3)骨端線閉鎖を伴わない軟骨異栄養症における低身長
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピンとして0.35mgを6~7回に分けて皮下に注射する。

(4)成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)
通常開始用量として、1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.021mgを6~7回に分けて皮下に注射する。患者の臨床症状に応じて1週間に体重kg当たり0.084mgを上限として漸増し、1週間に6~7回に分けて皮下に注射する。
尚、投与量は臨床症状及び血清インスリン様成長因子-I(IGF-I)濃度等の検査所見に応じて適宜増減する。但し、1日量として1mgを超えないこと。

(5)骨端線閉鎖を伴わないSGA(small-for- gestational age)性低身長症
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピンとして0.23mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
尚、効果不十分な場合は1週間に体重kg当たり0.47mgまで増量し、6~7回に分けて皮下に注射する。

(6)骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長
用法・用量は正式承認後、別途添付文書に記載予定。

【使用法】:本剤は成長ホルモンカートリッジが、注入器にセットされた(プレフィルド)製剤で、0.025~2.0mgまで0.025mgきざみで設定可能です。





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