「スピンラザ®髄注12mg(SPINRAZA®)」は、日本で初めて承認された*アンチセンス核酸医薬品です。
*アンチセンス核酸医薬品とは……疾患に関連するタンパク質を造るRNA(mRNA、mRNA前駆体、miRNA)を標的とする核酸医薬品の事。
▲尚、本剤の承認申請は2016年12月12日に行われましたが、その時に脊髄性筋萎縮症の疾患や、本治療薬の作用機序について、2016年12月21日の記事に図説と共に掲載していますので、併せてお読みいただくと、分かりやすいと思います。
http://ameblo.jp/aki-prism/entry-12229753769.html
脊髄性筋萎縮症(SMA=Spinal Muscular Atrophy)は、幼児と小児の脊髄や下位脳幹における進行性の“運動ニューロン(神経細胞)の脱落”を特徴とする、常染色体劣性遺伝神経筋疾患で、重篤で進行性の筋萎縮や筋無力を起こします。
最も重篤なタイプ(タイプ1、2)の脊髄性筋萎縮症では、最終的に麻痺状態となり、呼吸や嚥下(えんげ=食物を飲み込む)など、生命維持の為の基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。
脊髄性筋萎縮症の患者では、生存運動ニューロン遺伝子1(SMN1=Survival of Motor Neuron 1)の欠失または変異により、運動ニューロン維持に必要な、SMNタンパク質を十分に産生することが出来ず、SMN1遺伝子が無ければ、脊髄の運動ニューロンは退化し死滅します。
欠失は、SMN1遺伝子そのものが欠落している事です。
そこで、SMN2遺伝子のイントロンにSMN1遺伝子の役割を持たせ、RNA転写によって必要なタンパク質を作り出します。
脊髄性筋萎縮症(SMA)の患者の重症度は、このSMNタンパク質の量と相関関係があると言う。
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、乳幼児の死亡の主要な遺伝的原因の一つであり、進行性で筋力の低下を特徴としています。
乳児型脊髄性筋萎縮症の適応症は、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定のもと、申請から約7カ月で承認されました。また遅発型脊髄性筋萎縮症の適応症についても、現在、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)による迅速審査が進められています。
【製品概要】
【製品名】: スピンラザ®髄注12mg
【一般名】: ヌシネルセンナトリウム
【効能・効果】: 乳児型脊髄性筋萎縮症
【用法・用量】
通常、ヌシネルセンとして、1回に付き下表の用量を投与する。初回投与後、2週、4週及び9週に投与し、以降4カ月の間隔で投与を行う事とし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。
【副作用】
脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断された乳児を対象とした第III相シャム(疑似的)処置対照二重盲検試験(Study CS3B、日本を含む国際共同試験)において、本剤群80例のうち9例(11.3c)に副作用が認められた。主な副作用は発熱(2.5%)、頻脈、貧血母斑、蜂巣円、処置後腫脹、眼振、血管炎、体温低下、体温上昇(各1.3%)であった。
【製造販売承認日】: 2017年7月3日