塩野義製薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)が2016年1月27日に製造販売承認申請していた、小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療薬「インチュニブ®錠1mg、同3mg(一般名:グアンファシン塩酸塩徐放性製剤、『国内開発コード:S-877503』)」について、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会は3月2日、承認の可否について審議し、国内での製造販売承認を了承した。
小児期の注意欠陥/多動性障害治療薬「インチュニブ®錠(Intuniv®)」
欧米では1mg、2mg、3mg及び4mgが発売されているが、剤形が異なる為、
日本国内では丸く飲みやすい1mgと3mgのみが承認申請され、了承された。
▼本稿では『AD/HD』の日本語表記について、日本精神神経学会が示した「注意欠陥/多動性障害」を疾患名として使用していますが、塩野義製薬株式会社が承認申請した疾患名は「注意欠如・多動症」となっています。どちらも正しいのですが、現時点で疾患名は統一されていません。
注意欠陥・多動性障害(注意欠如/多動症=Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、注意を持続させる事が困難(意識的に集中出来ない)、多動性及び衝動性(突然乱暴な行動をする)の3つの主要症状で定義され、知的障害の合併があっても良いとされます。
これまでは小児期の疾患とされて来ましたが、近年では、症状が成人期になっても持続する場合がある事が認められるようになりました。
ADHDの原因病態メカニズムは、先天性の、脳の微細な機能的障害と考えられています。
大脳の前頭前野にある、神経細胞(前シナプス)と神経細胞(後シナプス)の間にある隙間(シナプス)に放出される、神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリン)の低下によって‥‥
‥‥衝動感情・随意運動・認知・注意力と言った機能を制御する「大脳基底核」の働きが弱くなってる事が分かっています。
ADHDは、WHO(世界保健機関)に於いても疾患分類がなされており、世界での罹患率は5.29~7.1%、小児及び18歳未満の学童期では3~5%未満と推定されています。男児に多く、男女比は3~5対1です(2012-2013アメリカ精神医学会)。
ADHDの発症要因は解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因の両方が重なり、発症すると考えられています。
「インチュニブ®錠『S-877503』」は、2011年11月に塩野義製薬とシャイアー社(本社:アイルランド)との間で締結した、国内における共同開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、小児期のADHD治療薬として共同開発されて来た。
国内に於いて、ADHDに対する適応が承認されている薬剤は2剤のみで、欧米などと比較して使用出来る治療薬が少ない為、新たな治療薬が望まれていました。
「インチュニブ®錠」は、シナプス(神経細胞と神経細胞の連結部の隙間)に存在する受容体を介して、ノルアドレナリン作動性神経を活性化する事で症状を改善する、非中枢神経刺激薬で、前頭前野皮質に於ける後シナプス性α2A受容体の活性化作用により、ADHD症状を改善すると考えられています。
更に「インチュニブ®錠」は、培養げっ歯類の前頭前野大脳皮質における樹状突起のシナプス構造の一種である成熟を促進し、数および密度を増加させる事が示されている。
本剤は、「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」を効能・効果とする新有効成分(グアンファシン塩酸塩)含有医薬品で、再審査期間8年となっている。
【承認内容の概要】
【販 売 名】:インチュニブ®錠1mg、同3mg
【一 般 名】:グアンファシン塩酸塩徐放性製剤
【効能・効果】:小児期の注意欠陥/多動性障害
【用法・用量】:
体重50kg未満の小児では1日1mg、50kg以上の小児では1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔を空けて、1mgずつ体重別の維持用量まで増量する。症状により適宜増減する。
いずれも1日1回経口投与する。
ADHD治療薬の既承認類薬としては、中枢刺激薬の「コンサータ(メチルフェニデート徐放剤)」、非中枢刺激薬の「ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)」があり、いずれも第一選択薬に位置づけられていますが、厚生労働省の審議担当官によると、「インチュニブ®錠」もこれらと同様に、第一選択薬に位置づけられると想定されるとしている。
尚、海外では欧米など33の国で承認済(Intuniv®として2016年11月末現在)。
小児期の注意欠陥/多動性障害治療薬「インチュニブ®錠(Intuniv®)」
欧米では1mg、2mg、3mg及び4mgが発売されているが、剤形が異なる為、
日本国内では丸く飲みやすい1mgと3mgのみが承認申請され、了承された。
▼本稿では『AD/HD』の日本語表記について、日本精神神経学会が示した「注意欠陥/多動性障害」を疾患名として使用していますが、塩野義製薬株式会社が承認申請した疾患名は「注意欠如・多動症」となっています。どちらも正しいのですが、現時点で疾患名は統一されていません。
注意欠陥・多動性障害(注意欠如/多動症=Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、注意を持続させる事が困難(意識的に集中出来ない)、多動性及び衝動性(突然乱暴な行動をする)の3つの主要症状で定義され、知的障害の合併があっても良いとされます。
これまでは小児期の疾患とされて来ましたが、近年では、症状が成人期になっても持続する場合がある事が認められるようになりました。
ADHDの原因病態メカニズムは、先天性の、脳の微細な機能的障害と考えられています。
大脳の前頭前野にある、神経細胞(前シナプス)と神経細胞(後シナプス)の間にある隙間(シナプス)に放出される、神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリン)の低下によって‥‥
‥‥衝動感情・随意運動・認知・注意力と言った機能を制御する「大脳基底核」の働きが弱くなってる事が分かっています。
ADHDは、WHO(世界保健機関)に於いても疾患分類がなされており、世界での罹患率は5.29~7.1%、小児及び18歳未満の学童期では3~5%未満と推定されています。男児に多く、男女比は3~5対1です(2012-2013アメリカ精神医学会)。
ADHDの発症要因は解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因の両方が重なり、発症すると考えられています。
「インチュニブ®錠『S-877503』」は、2011年11月に塩野義製薬とシャイアー社(本社:アイルランド)との間で締結した、国内における共同開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、小児期のADHD治療薬として共同開発されて来た。
国内に於いて、ADHDに対する適応が承認されている薬剤は2剤のみで、欧米などと比較して使用出来る治療薬が少ない為、新たな治療薬が望まれていました。
「インチュニブ®錠」は、シナプス(神経細胞と神経細胞の連結部の隙間)に存在する受容体を介して、ノルアドレナリン作動性神経を活性化する事で症状を改善する、非中枢神経刺激薬で、前頭前野皮質に於ける後シナプス性α2A受容体の活性化作用により、ADHD症状を改善すると考えられています。
更に「インチュニブ®錠」は、培養げっ歯類の前頭前野大脳皮質における樹状突起のシナプス構造の一種である成熟を促進し、数および密度を増加させる事が示されている。
本剤は、「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」を効能・効果とする新有効成分(グアンファシン塩酸塩)含有医薬品で、再審査期間8年となっている。
【承認内容の概要】
【販 売 名】:インチュニブ®錠1mg、同3mg
【一 般 名】:グアンファシン塩酸塩徐放性製剤
【効能・効果】:小児期の注意欠陥/多動性障害
【用法・用量】:
体重50kg未満の小児では1日1mg、50kg以上の小児では1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔を空けて、1mgずつ体重別の維持用量まで増量する。症状により適宜増減する。
いずれも1日1回経口投与する。
ADHD治療薬の既承認類薬としては、中枢刺激薬の「コンサータ(メチルフェニデート徐放剤)」、非中枢刺激薬の「ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)」があり、いずれも第一選択薬に位置づけられていますが、厚生労働省の審議担当官によると、「インチュニブ®錠」もこれらと同様に、第一選択薬に位置づけられると想定されるとしている。
尚、海外では欧米など33の国で承認済(Intuniv®として2016年11月末現在)。